Fri 190920 金沢・600名の大盛況/焼き入れ/金沢から富山へカレー大遠征(3873回) | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Fri 190920 金沢・600名の大盛況/焼き入れ/金沢から富山へカレー大遠征(3873回)

 うかうかしている間にどんどん時間は進んで、公開授業のスケジュールも容赦なく次から次、金沢が終わったと思ったら、昨日はもう次の北見が終了した。

 

 16日金沢、出席者600名。いったん東京に帰って丸1日怠け放題に怠けてから、北海道北見に旅立つことにした。遥か南の海上で台風が発生して、「次の連休は西日本から東日本が台風の影響を受けそうだ」などと言っているのに、北見の気温は10℃を下回る。寒い。寒すぎる。

 

 もっとも、これとそっくりの体験を先週の今井君はミュンヘンでしたばかりであって、35℃の南イタリアで2週間過ごした直後、たった7℃のミュンヘンに放り出され、ダウンジャケットのドイツ人の真っただ中に、半袖シャツ1枚で飛び込むことになった。

 

 8月上旬にはその逆のパターンも体験。デンマークのコペンハーゲンで15℃の日々を過ごした直後、災害級の熱帯夜と熱中症警戒の東京に放り込まれた。どうやら今年のサトイモどんは、猛暑と寒気の間を右往左往する運命のようだ。

       (金沢、600名の大盛況 1)

 

 ま、それもまたいいじゃないか。むかしむかしの理科の時間に「焼き入れ」と「焼きなまし」の違いを習った。鉄を柔らかくするには、火で真っ赤に熱した後で空気中に放置、時間をかけてゆっくり冷やす。これが「焼きなまし」で、このプロセスを何度も繰り返すと鉄はヤワヤワ柔らかーく変わる。

 

 柔らかい鉄なんか役に立たないかと勘違いするが、柔軟性がヤワヤワ増大すれば、しぶとく、割れにくく、粘り腰の強い鉄になる。これを人間かサトイモに例えれば、まさに今の今井君みたいな鉄なのであって、負けそうで負けない、折れそうで折れない、しういういやらしい粘り腰がそっくりだ。

 

 一方の「焼き入れ」は、真っ赤に焼けたところをジュッと冷水に突っ込んで一気に冷やす。冷えたらまた真っ赤に焼いて、焼けたらまたまた冷水でジュッと冷やす。ヨーロッパ中世の魔女裁判を彷彿とさせるマコトに残酷な鉄への拷問である。

 

 そういう拷問を繰り返すと、鉄はググッとその硬さを増すので、日本刀でも出刃包丁でも、切れ味はどんどん鋭くなる。「抜けば玉散る氷のヤイバ」みたいな不気味な光を帯び、その冷たい光を見ただけでヒトは冷水を浴びたように感じ、恐ろしさに2歩3歩あとずさりする。

 

 だから昭和の昔までは、人間に対しても「焼きを入れてやろうか?」などと恐ろしい鍛え方があった。あんまり軟弱な態度と行動をとり続けていると、コワーい先輩や指導役のオジサマがやってきて、ほぼ拷問に近い「焼き入れ」を始めたものである。「カワイガリ」とも言った。いやはや恐ろしい時代だった。

       (金沢、600名の大盛況 2)

 

 軟弱ではあるが粘り腰でどこまでも勝ち進む今井君は、「不気味なほどの切れ味」みたいな妖剣の迫力をもたない。しかし何だか理由は分からないが、滅多に負けることがない。負けないから、気づくと優勝したり準優勝したり、仕事の勝率は極めて高い。

 

 しかしそういう焼きなましの今井君でも、妖剣タイプの不気味でシャープな切れ味には憧れを感じる。焼き入ればかりした妖刀は実はもろく折れやすく刃こぼれも多くて、観賞用にはなっても実戦には向かないのであるが、でもたまにはワタクシだって、観賞用の妖刀の輝きを放ってみたいじゃないか。

        (金沢の名店・宝生寿司)

 

 毎年9月中旬になると、加賀♡前田100万石の城下町に馳せ参じて、600人参加の大規模公開授業をやらせていただく。これほどの規模となると、秋の熊本での600名とか、春の福岡での800名とか、初冬の札幌での600名とか、年に数回だけの嬉しい機会である。

 

 もう10年近く前になるが、「金沢歌劇場」というオペラ座みたいなところで「1100名」という驚くべき公開授業も実施した。その前日に同じ場所で「AKB」というヒトビトのライブがあって、それに勝るとも劣らない人数が集まったのである。

 

 この4〜5年は、あえて入場者数をしぼって「ホテル金沢」での開催になっている。今井君としては全学年の高校生にも集まってもらって、1500人とか2000人規模のイベントもやってみたいのだが、この会の目的はあくまで「中3生の持ち上げ」。600名の参加者は、中3とその保護者に限られる。

 

 当日の金沢は「いかにも北陸」という重たい曇天であって、時おりシャワーのような雨が降り注いだ。「雨が降れば出席者は0.8掛け」というのはむかしむかしの常識であって、いまや雨が降ろうが雪が降ろうが、欠席する生徒はほとんどいない。

 

 会場は満席。「シャープな妖刀ぶりを発揮したい」という密かな欲望に火がついて、今井君は「真っ赤」どころか超高温に白熱し、約40日ぶりの公開授業は、冒頭から激しい大爆笑に包まれた。いやはや、こうなるともう今井の勢いは誰にも止められない。

 

 15時開始、16時半終了。あまりに鋭い妖刀サトイモの切れ味に、自ら恐れ入るばかりである。「こりゃ焼き入れが強烈すぎたかな♡」であって、ここはちょっとダラシない焼きなましが必要。あんまり焼き入れをやりすぎると、妖刀もポッキリ折れて元も子もなくなってしまう。

 (金沢「宝生寿司」、綺麗なお寿司盛り合わせをいただく)

 

 焼きなましの場所は、金沢駅前からクルマで20分、金沢港そばの「宝生寿司」。これも9月の金沢の恒例であって、この名店を年に1回必ずこの時期に訪れる。

 

 実は前日のランチもお寿司だった。金沢駅前の「弥助寿司」で、光り物ばかり15貫ほどを貪った。コハダ10貫、アジ2貫、サバ2貫。ワタクシは大のコハダ好きであって、スキあらば店のコハダを全て平らげる。

 

 しかしこの日の宝生寿司での目的はあくまで「焼きなまし」であって、妖刀サトイモの切れ味を一時クールダウンすること。昨日に続いて光り物なんかを貪れば、ますます胃袋からギラギラ光りだしちゃうから、あんまり光らない普通のお寿司を、ごく大人しく静かに食すことにした。

 

 ところが諸君、ここで金沢のオジサマたちから思いがけない提案があった。「どうですか、これから富山のカレー屋に行きませんか?」とおっしゃるのである。

 

「最高にホットなカシミールカレーです」「胃袋に火がつきますよ」と焚きつけられれば、せっかく焼きなました妖刀サトイモに、「再び熱い炎で焼き入れされたい」という欲望が一気に高まるのであった。

 

 もちろんその提案は、普通の人から見れば非常識もいいところである。いま19時半の金沢にいて、しかもお寿司でみんなお腹いっぱいの状況。それなのにこれから石川&富山の県境をまたぎ、柴田勝家や木曾義仲が活躍した倶利伽羅峠を超えて、22時ラストオーダーの富山のカレー屋に出撃しようというのだ。

 (富山駅からタクシーで20分、「タージマハール」に到着)

 

 しかし諸君、ワタクシは1も2もなくOKした。やっぱりこの日の今井君は、生ぬるい焼きなましよりも強烈な焼き入れを欲していたのだ。タクシーで金沢駅まで20分。20時半の北陸新幹線「つるぎ」で富山まで25分。富山駅からタクシーでカレー屋まで20分。おお、ラストオーダーに間に合った。

 

「ボクら、いったい何やってんでしょうね?」と、オジサマ4名は苦笑して顔を見合わせたが、たどり着いたカレー屋「タージマハール」は、富山駅からさらに山を1つ越えたところにある。滅多な人が訪問できる店ではない。

 

 注文したのは、4人ともカシミールカレー。カレーの中でも最もホットなカシミールを、ワタクシは心の底から愛している。東京・西銀座6丁目の「デリー」でカシミールを貪っては、このブログにその写真を掲載してきた。読者諸君も「またか」とすっかり呆れていると思う。

  (富山「タージマハール」の絶品カシミールカレー)

 

 そのカシミールを、金沢での公開授業のついでに富山の山の中で食べられるのである。感謝であり、感激であり、感動である。素晴らしい。全く素晴らしい。上の写真を見てくれたまえ。今井の愛する銀座のカシミールカレーと瓜2つだ。どっちかがパクったんじゃないかと思うほど、盛り付けまでそっくりじゃないか。

 

 おお、この辛さ。南イタリアとミュンヘン、東京とデンマークの強烈な気温差で、肉体の外部から焼き入れを続けてきたワタクシは、今度はカシミールカレーで内側から自らに焼き入れを行うことになった。

 

 ダラダラなんぼでも流れる汗。ハンカチもタオルもホテルに忘れてきたから、その汗を拭うこともできない。こりゃいいや。胃袋と十二指腸と小腸から焼きを入れ、真っ赤に焼きの入った肉体を、冷たいビールと汗とでジュッと一気に冷やすのである。1時間半かけて金沢から富山に遠征してきた甲斐があったというものだ。

(翌日は銀座「デリー」を訪れた。絶品のカリフラワー料理)

 

 ただし諸君、カレーにはカレー独特の寂寥感がつきものだ。一気に盛り上がって肉体の焼き入れに歓喜の声を上げた割に、実はたった10分しか時間が経過していない。あっという間に終わり、しかも熱さと辛さに茫然&陶然とするばかりで、まもなく「我々は何に酔っていたんだ?」という疲労と後悔が襲ってくる。

 

 帰り道、4人のオジサマはみんな寡黙だった。こんなに寂しくなるなら、金沢の居酒屋で2時間も3時間もノンキにダラシなく焼きなましを流づける方が、よかったのかもしれない。富山から金沢に帰る新幹線はガラガラ。それぞれの寂寥を噛みしめながら、金沢駅のホームに降りたのである。

  (銀座「デリー」の3種のカレー。真ん中がカシミール)

 

 なお、この話には続きがあって、翌日のワタクシは寂しさのあまり再びカレーでの焼き入れを思い立った。羽田から銀座に直行。インド人の店員さんともすっかり顔なじみになった西銀座6丁目「デリー」を訪れ、カシミールを含む3種のカレーを注文して、富山での焼き入れを完成させた。

 

 ただし、やっぱり焼き入れのやりすぎは「ポキリ」の危険を伴う。2度のカシミールで身も心もポキリと折れてしまった今井君は、その後の2日間を茫然と口を開けて怠惰に過ごすことになってしまった。

 

 せっかく「もっと勤勉に更新を続けよう」と思い直したブログが、またまた2日放置の状況になったのは、焼き入れのやりすぎが原因。諸君もこれを他山の石として、「熱くなりすぎない」「食生活は常識的な範囲で」と、大きく色紙に書いてデスクの前に飾っておきたまえ。

 

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