Sun 190818 ヤメようかと思うこといろいろ/A新聞購読/高校野球の熱烈ファン 3866回 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Sun 190818 ヤメようかと思うこといろいろ/A新聞購読/高校野球の熱烈ファン 3866回

 こんなに長く人生を生きていると、「ヤメようかな」「もうヤメようかな」「そろそろヤメる潮時かな」と思うことがさまざまあるものだ。特に今年は、1月下旬から仕事と旅で疾風怒濤の半年を過ごし、精神も肉体も疲労気味。疲れている時には、いろんな「ヤメようかな」が押し寄せてくるものである。

 

 8月18日のワタクシを襲っている「ヤメようかな」は、以下の4つである。

① A新聞の購読をヤメようかな。

② 高校野球の熱烈ファンをヤメようかな。

③ 急速に劣化する私立大入試の解説授業をヤメようかな。

④ AN◯のヒコーキの大ファンをヤメようかな。

 

  おお、①から④まで、残らずギュッと過激じゃないか。特にいま強烈にサトイモ男爵を襲っている「ヤメたいな♡」は①と②と③と④。なんだ、要するに全部であって、全部が全部ホントに「ヤメたいな♡」の対象なのである。

(8月7日、山口県下関で公開授業。このごろの今井君もフグに劣らずまん丸にふくれている)

 

 まず①であるが、何を隠そうワタクシは、小学3年生以来のA新聞の大ファンだ。この世に生を受けて以来、物心ついてすでに数百年、朝のトイレの読み物はずっとA新聞であって、Morning Sunを読まなければ夜が明けたことさえ実感できなかった。

 

「天声人語」も大好き、20世紀の連載4コマ漫画「フジ三太郎」も大好き、夕刊の「素粒子」も、「かたえくぼ」も横山泰三の「社会戯評」も大好き、将棋名人戦の解説まで大好きな少年期を過ごし、小論文の文体までMorning Sunの影響を受けるに至った。

 

 だから、この新聞の論調の猛烈な偏向ぶりだって、ちっとも気にならない。各方面から「偏向」と批判される思考を、素直に恥ずかしがらずに読者にぶつける勇気は、メディアの手本として讃えられて然るべきである。

 

 日韓関係がこれほど冷え込んでも、堂々と「お隣どうしなんだから仲良くしようよ」と、社説からコラムから読者の川柳の欄までこぞって統一的に意見を繰り出す執念。「社が一丸となって」の風情、こりゃ素晴らしいスクラムであって、ラグビーW杯に向けてまさにチームプレーのお手本を言っていい。

   (新下関の駅は、ひたすらフグ&フグ&フグである)

 

 しかし諸君、さすがの優しいクマどんにも、辟易する時があるのだ。例えば先月はじめ、韓国に関する「ホワイト国除外」の話が出た時には、さっそく天声人語が噛みついた。

 

 噛みつくのはちっとも構わないし、噛みつくことこそ新聞の役割なのかもしれないが、その噛みつきかたが読者としてのワタクシの許容限度を超えていた。

 

「アクビは、感染するものだ」と筆者氏はおっしゃるのである。アメリカ政権のアクビが、日本の政権に感染したらしい。アメリカが保護主義だから、日本も保護主義になっちゃった、そうおっしゃるのである。

 

 筆者氏はさらに続けて、「飼い犬は飼い主のアクビに特に感染しやすい」と書き始める。飼い主に従順であればあるほど、飼い主のアクビは飼い犬にうつっちゃうんだそうな。

 

 自国の政権を「アメリカの飼い犬」と表現する姿勢。どんなに頑張ってイランの説得に出向いても、その背後から「アメリカの伝書鳩」と嘲ってニヤニヤ罵倒&嘲弄する精神。実はワタクシ、そこまでは何とか許容範囲に収まるのだ。さすがにサトイモ、フトコロの深さには自信がある。

   (山口県新下関の大盛況。詳細は次回の記事で)

 

 ところがこの新聞社、そのコラムを「毎日丸写しにしましょう」という「書き写しノート」を売っている。誰かの一方的な罵倒や嘲弄を、何の批判もなしに毎日丸写しにして、そのことで「国語力を高めましょう」。なぜなら「A新聞からこんなに大学入試の問題が出題されています」とおっしゃるのだ。

 

 そもそもこの新聞社が今回の入試制度改革に賛成しつ続けてきたのは、

「記憶偏重より、論理的思考力が大切」

「他人の意見を鵜呑みにするんじゃなくて、自分の意見を論理的に表現する力が大切」

「生徒の数だけ答えがあるんだから」

というキレイゴトが根拠になっていたんじゃなかったか。

 

 それなのに、「書き写しましょう」「毎日コラムを書き写しましょう」とおっしゃる。それがどんなに偏向的な罵倒や嘲弄であっても、他者をイヌ&伝書鳩よばわりする文章であっても、とにかく無批判に書き写しましょう。そうおっしゃるのである。

 

 その理由が「大学入試に出題されるかもしれませんよ」。諸君、これほど困った利益誘導が、この世に他に存在するだろうか。ワタクシは思わず「Morning Sunから国民を守る党」ないし「A新聞から若者を守る党」を立ち上げたくなるほどなのである。

 

N国」ならぬ「A国」。諸君はそう思わないかね。どんな意見を紙面に書き立てても構わないが、それを「いいから黙って書き写しなさい」「だって入試によく出るんですよ」。かつてどんなに強烈なスパルタ塾でも「いいから無批判に書き写しなさい」などという指導はまかり通らなかったはずだ。

  (下関の会場も、やっぱりひたすらフグなのであった)

 

 こういう新聞社が「夏の全国高校野球選手権」なんてのを101年も主催している。昭和の時代には「腕も折れよと投げ抜く闘志」みたいな超スポ根を推奨していた大会なのに、どうも最近は「球児の将来を見据えて」ということで、「投手の投げるタマ数を制限しなきゃいかんぜよ」という方向性らしい。

 

 その先の難しいことはワタクシにはわからないが、いやはや球児にとってそれほど重要なことを、またまた上から目線の新聞社中心で決めようとする。昭和のスポ根礼賛に、いったいどこで線引きしたんですかい?

 

 そのあたりが曖昧だから、いろんなところで場外乱闘が発生する。日曜日の朝、TBS系の「サンデーモーニング」なるものを、眠気マナコをこすりながら眺めていたら、どうやら諸君、「ダルビッシュ vs 張本勲」という意外な対決が始まっちゃったらしい。これはもう世代 vs 世代の対立だ。

 

 この番組を巡っては、「張本」の方が四面楚歌の状況らしい。彼は20世紀中盤から後半のスーパー名選手であって、かつて日本のプロ野球で、ヒットを打つ技術において彼の右に立つ選手は存在しなかった。

 

 その彼が四面楚歌なんだから、どうやらスポ根ははるかな過去のものとなったらしい。「怪我をするのが怖かったらスポーツはできませんよ」と発言しちゃったのは、確かに四面楚歌もやむを得ないが、ワタクシがびっくりしたのは、「へえ、ダルビッシュほどの世界の大スターが、TBSの番組なんか観てるんだ」という事実であった。

 

 だってあれほどのスーパースターだ。遠いアメリカの地で、日本のテレビなんか歯牙にもかけない優雅で知的な生活を続けているに違いないと思うじゃないか。場外乱闘は何故かシューマイの崎陽軒まで巻き込んだようであるが、まさか彼が日曜朝のオジサン番組なんか眺めて、プンプン怒っているとは思わなかった。

 

 だって諸君、その「サンデーモーニング」なるもの、MCの関口宏にしても張本どんにしても、グチと文句ばかり並べている他のコメンテーターの面々にしても、もうヨレヨレのおじーちゃん世代。言わば日曜朝の公民館の老人会みたいな世界だ。

 

 一昔前には「床屋政談」というコトバがあって、すでに現役を退いたか、ほぼ退いた世代が、昼間の床屋に集まって好き放題の放言を楽しんだ。じーちゃんたちの時間の過ごし方としては、まさに最高である。

 

 だから諸君、そこでの発言をマジメに聞いて、マジメに反応を返す必要はないのだ。テレビの前で憤激しているパパやジーチャンの姿を眺めて、「おやおや今日も元気だな」「こんなに達者なら、まだまだ心配の必要はないな」とニコニコ見ていればいいのだ。

(下関での祝勝会風景。この寿司についても次回の記事を参照)

 

「球数制限」だとか「どうして大船渡の監督は佐々木に投げさせなかったんだ」みたいな議論に欠けているのは、「球児の未来」「高校生の将来」という時の、「将来」というコトバの広がりについての認識だとワタクシは思うのである。

 

 だって諸君、「球児の将来」と発言する時、「もしケガでもしたら、こんな有望な選手がプロ野球やメジャーリーグで活躍できなくなっちゃうじゃないか」、そういうことしか話題にならないじゃないか。

 

 その球児が10年後に医師になっているとか、指導者として大活躍しているとか、商社マンや営業マンや教師としてバリバリ働いている姿とか、そういう未来を論じる人があまりに少ないのだ。

 

 ラグビー日本代表のエース、快速ウィングの福岡堅樹君は、かつて受験生時代に今井君の授業に熱中してくれていた若者である。攻撃のステップの鮮やかさも、守備の華麗さ&堅実さも、日本ラグビー界30年に一度の逸材であるが、その福岡君の一貫した夢は「医師」なのである。

 

「もし怪我をしたらプロ選手になれない」「だから高校生時代はほどほどに」という議論は、「若者はみんなプロ選手になるのが夢」という前提に縛られていて、プロ以外の若者の夢を一切無視してしまっている。

 

「野球は高校生まででオシマイ」「甲子園で燃え尽きたって構わない」という18歳のほうが圧倒的に多いはず。もしも若者の未来をホンキで考えるなら、医師になりたい・教師になりたい・起業をしたいその他、「プロに進みたい」というヒト握りのスター以外のことも、マジメに論じたほうがいい。

 

 彼ら彼女らはすでに18歳なのである。「スポーツは高校生まで、だから悔いがないように今やれるだけやってみたい」という意思があるなら、そこに自己責任を認めてあげられるぐらいの度量があっていいんじゃないか。

 

 投げたくない者を無理やり投げさせるというなら、そりゃ明らかに虐待だ。しかし「高校生活に悔いを残したくない」「だからどうしても投げたい」「最後まで投げて、それで野球の世界を卒業したい」という若者に、オトナの世論で投げるのを禁止するのも、また精神的虐待ではないのか。

  (新下関駅、22時半。すでに人影はほとんどない 1)

 

 金足農の野球を、ワタクシがこの30年間一貫して推奨してきたのは、この点なのである。彼らの中には、確かにプロに進むものも少なくなかった。かつてカナノーの選手だった小野も石山も足立も、プロで大活躍した。

 

 しかし昨夏の甲子園準優勝メンバーの多くが、ごく普通に就職を選んだ。秋田県庁やJRや農業機械メーカーに就職して、社会人として懸命に頑張っている。球児の将来というなら、むしろそういう将来を見据えて、「部活だけは悔いを残さないように最後まで精一杯」という視線が欲しいじゃないか。

 

 というか、もっと簡単に言えば、主催の朝日新聞社がホンの少しだけ日程を延ばせばいいだけなのだ。地方大会でも、準々決勝と準決勝の間に1日、準決勝と決勝の間に1日、心と身体を休める日を設定する。全国大会でも同様に、3回戦と準々決勝の間に1日、準決勝と決勝の間に1日、休みを設定する。その程度のことがなぜ出来ない?

 

 だってそうじゃないか。17日の3回戦で延長14回まで奮戦した星稜の奥川君が、翌18日の午後からまたまたマウンドに立たなきゃいけないスケジュールなんてのは、常軌を逸した超スポ根の世界だ。

 

 幸い控え投手の2人が奮闘して、見事に勝ち進む結果になったからよかったが、万が一エース奥川を出さずに敗戦なんてことになっていたら、ワタクシは小学校3年の時に始めた熱烈な高校野球ファンを本日すぐにでも「ヤメました」と宣言するところだった。

  (新下関駅、22時半。すでに人影はほとんどない 2)

 

 いやはや、地方大会と全国大会それぞれ2日ずつ、大会全体でたった4日程度のスケジュール変更で十分に改善する問題を放置して、タマ数制限の方向に進んじゃったら、そりゃもう地方公立校に勝ち目はなくなっちゃう。好きなだけセミプロ級のピッチャーを集めて勝ち進むチームばかりになったら、古い古い昭和のファンは、すごすごこの世界から消えていくしかないのだ。

 

 何だかすっかりしょんぼりして、今日の準々決勝はほとんど見なかったし、ホントはブログの更新さえやる気がなくなっていたのだが、あらら、気づくとこんなに書いている。いまや今井君の元気の源は、文章を書きまくることにしかないらしい。

 

 というわけで、冒頭に「ヤメたくなること」として提示した4つのうち、③と④については次回に持ち越しだ。ワタクシはMorning Sunと違って「つべこべ言わないでオレの書いた文章を書き写したまえ」などと乱暴なことは言わない。そのぶん③や④の話をぜひ楽しみに待っていてくれたまえ。

 

 なお、本日の写真は8月7日、山口県下関での公開授業に関わるもの。詳細はこれまた次回の記事で読んでくれたまえ。このごろ更新の頻度が下がっていて、マコトに申し訳ございません。

 

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