Thu 190530 30年前の黄緑スーツ/広島→東京→モナコ(南仏カーニバル紀行2)3840回 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Thu 190530 30年前の黄緑スーツ/広島→東京→モナコ(南仏カーニバル紀行2)3840回

 明日で5月が終わる。「楕円形のワタクシも、せめて人並みに衣替えを」と考え、書斎に併設のクローゼットをモゴモゴいじくり回していたら、30年前に購入したスーツの上着がひょっこり姿を現した。

 

「あーら、ゴブサタ。久しぶりねェ、今井さん」

「もうすっかりお見限りだったじゃない」

「どこか他に、お気に入りの店でも見つけたの?」

 

 ザギン(純真な若い人々のための注1)かギロッポン(純真な若い人々のための注2)のバーのママがいかにも口走りそうな皮肉とともに、30年前のミドリちゃんないしキミドリちゃんは、涙目で不満そうに楕円入道を睨んだものである。

 

(純真な若い人々のための注1)ザギンとは銀座のこと。すげーオカネのかかるお店がズラリと並んでいるせいで、世界中で恐れられている。

(純真な若い人々のための注2)ギロッポンとは六本木のこと。まあそれなりにオカネのかかるお店がズラリと並んでいることで、やっぱり世界中で恐れられている。

  (30年近く前、河合塾パンフレットに登場した今井君)

 

 そりゃ30年もご無沙汰すれば、スーツちゃんだって皮肉を言うのである。ましてやスーツのうちのズンボはとうの昔に廃棄して、上着だけが残ったのだ。その寂しさも十分に理解できる。

 

 しかしこの上着を廃棄しなかったのにはワケがある。1993年、若き今井君は初めて予備校のパンフレットに写真を掲載してもらえた。河合塾と駿台予備校の案内書であるが、講師を職業としてたった1年、まさかこんなに早く大っきな写真を載っけてもらえるとは思っていなかった。

 

 まあ諸君、本日1枚目の見てくれたまえ。若き今井君は、まだちっとも楕円形じゃない。どちらかといえば逆三角形である。メガネも大っきくて、顔の1/3近くを覆っている状況。お手手には「早慶大英語」のテキスト、おお、最初からずいぶん高級なクラスを担当させてもらっていたんですな。

    (1993年、河合塾の浪人生対象パンフ)

 

 というわけで、このスーツは人生の転換点で購入した記念すべきものなのである。記念の品は、捨てられない。今井君はそういう人間であって、同時期の冬コートは今も現役で着用しているし、2000年ごろに着ていたZegnaのスーツもクローゼットに残っている。

 

 しかし諸君、このミドリちゃん、ズンボはとっくに穴が空いちゃって廃棄処分とした。ブランド名は「五大陸」。紳士服の五大陸ブランドが今も生き残っているかどうか分からないが、とにかくミドリちゃんはクローゼットの片隅でこうして生きながらえていた。

(クローゼットの中で生きながらえていたミドリ君)


 さて、時が経つのはマコトに速いもので、モナコに滞在して南フランスのいろんなカーニバルを満喫したのは、すでに3ヶ月も前のことになる。

 

 昨年末のロンドンと同様、今井君としては非常に短い滞在であって、普段は2週間を旅のスタンダードとしているワタクシなのに、出発が2月20日、帰国が3月1日。なんだ、たった8日で帰ってきちゃった。詳しい旅程は、以下を参照してくんろ。

Fri 190301 ただいま無事モナコから帰京いたしました(南仏カーニバル紀行1)3807回

(モナコに旅立つ2日前、今井は伊豆半島の河津桜を満喫した)

 

 しかしまあ、短期滞在もまた致し方なかったのである。2月から3月は「早春シリーズ」に該当する全国行脚の真っ最中。たとえ8日とはいえ、この時期のヨーロッパを旅したのは、ほとんど奇跡的と言ってよかった。

 

 実際、2月下旬のヨーロッパの旅は、2005年以来14年ぶり。前回は代ゼミをサッサと辞めちゃった直後の「ヨーロッパ40日の旅」の途上であって、2月下旬にドイツからイタリアに進み、2月下旬にイタリアのジェノバから南フランスに入った。ホントに久しぶりの春の旅だった。

 

 いま振り返ってみても、やっぱり2019年春の旅は奇跡的と形容してよかった。2月下旬にポッカリ日程が空いたけれども、3月6日にはもう北海道函館での公開授業が入っていたから、とにかく3月のアタマには帰国していなきゃいけない。

(モナコに旅立つ前日、今は広島県三原で名物「はっさく大福」を味わっていた)

 

 だから諸君、旅立ちの前の超多忙スケジュールを振り返ってみると、今でも信じがたい思いである。2月17日には伊豆半島の河津桜を眺めに行った。伊豆から深夜に帰ってきて、翌18日は広島に飛んだ。広島県三原で公開授業を実施、広島のホテルに帰ったのは23時半を過ぎていた。

 

 翌19日、広島から東京に帰る。ただし、悪天候で予定のヒコーキが「欠航の可能性が高いです」というメールがANAからきた。すぐにキャンセルして新幹線に切り替えたが、小倉のあたりで車両トラブルがあって、新幹線も「2時間以上の遅れ」が発生、今井はピンチに陥った。

(旅立ちまであと24時間、今井は広島県三原で熱く語りまくっていた)

 

 だって諸君、2月19日には、新宿で19時から仕事があって、首都圏の高校の先生方を対象にした「センター試験講評会」に登壇しなきゃいけなかったのである。ヒコーキもダメ、新幹線もダメ、そういう状況で広島から東京に帰還したのが、いまだに奇跡的に思えるのである。

 

 19時に始まった講評会が終了したのは20時過ぎ。会場は西新宿の京王プラザホテル。タクシーでいったんオウチに戻って、着替えとモナコ旅行の荷造りが済んだのが2040分。予約した羽田空港定額タクシーがやってきたのが2045分。もう分刻み、いやはや余りに激しい旅の始まりである。

(モナコへの旅立ちまで残り3時間。今井は新宿で高校の先生方に熱い大演説をぶっていた)

 

 こうして今、あの晩を思い起こして書いていても、奇跡的というよりむしろ「幻想的」というコトバの方が適切に思えるぐらいである。中国の皆さまが大量に渦巻いている羽田国際線ターミナルでユーロへの両替を済ませ、おなじみダイアモンドメンバー専用のラウンジで夕食をとった。

 

 ただしこのラウンジもウルトラ大混雑。無料のディナーとは言っても、あの晩はほとんど席が空いていなかった。あまりの大混雑に、これから東南アジアに出張するらしい日本オジサマ4名のグループがブチキレてしまい、ラウンジ担当の可哀そうな女子スタッフにひどい言葉遣いで当たり散らしていた。

(羽田ラウンジで、ビーフとエビと稲荷寿司を繰り返し貪った)

 

 もちろん今井君は、そういうオッカナイ場面からはコソコソ逃げ出して、ラウンジのビュッフェからとにかく濃厚に栄養になりそうなものをお皿に山盛りにして、ひたすら貪り食うことに専念した。

 

 エビチリにビーフシチュー、それを3度も4度もオカワリ。炭水化物なんか相手にしている場合ではないが、やっぱり炭水化物ゼロは寂しすぎるから、うまそうな稲荷寿司もお皿に盛った(上の写真を参照)。これを数回、繰り返し繰り返し貪った。

(フランクフルトで乗り換えて、ニースには朝9時に到着した)

 

 ということになれば、当然アルコールも果てしなく飲みふけった。シャンパンもあればワインもあり、日本酒もあればウィスキーもある。全て「そこそこ」「まあまあ」というランキングの酒であるが、それこそザギンだのギロッポンで飲んだら、普通に「1杯5000円」を請求されてもおかしくないアルコールである。

 

 そういう驚嘆に値するドリンクを10杯近く胃袋に流し込んで、フランクフルト行きのヒコーキに乗り込んだのが午前1時過ぎ。我が幻想的旅立ちは、ついにクライマックスを迎えたのである。

(モナコ風景。新宿から18時間、広島から22時間後である 1)

 

 1ヶ月も前に購入した座席は、エコノミーの一番後ろ。遠慮なくリクライニングを倒せるし、トイレにも自由に行ける、今井君定番の座席である。もうとっくに腹は一杯だから、ANAエコノミーの例の機内食は、最初の段階で「遠慮いたします」「必要ありません」と丁重にお断りした。

 

 CAの皆様も、その辺はよく心得ていらっしゃるご様子。JALなんかだと、国内線のドリンクを遠慮しただけで「は?」「いったいどうして?」「紙コップのコーヒー、接着剤のカホリが素晴らしいのに?」と驚きの表情を浮かべられるが、ANA国際線ならそういう煩わしさは皆無である。

(モナコ風景。新宿から18時間、広島から22時間後である 2)

 

 いったいその辺、どっちに問題があるのか分からないし、おそらく両方に問題が山積しているのだが、ANAの深夜国際便で「機内食はいりません」と発言した途端に、「そうですよね」「もちろん、必要ありませんよね」という余裕の苦笑が返ってくる気がする。

 

 そりゃそうだ。コンビニのサンドイッチみたいなのが1つ、ボンと無造作に配られるだけなのだ。いや、サンドイッチならまだマシであって、おかゆにカレーにオムレツ、他のどれだって、正直言ってノドを通過させるのが難しい。可及的スミヤカな改善をお願いしたいサトイモ君なのだった。

 

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