Wed 190529 楕円♡愛／おむすびは塩だわら／暴飲暴食の日々／体型変化で魅了 3839回

　「円と楕円と、どっちが好きですか？」と、もしも大規模世論調査を行ったとしたら、どんな結果が出るだろうか。ワタクシは円の圧勝を予測するのである。

「うーん、円と楕円ねえ。そんなの、円に決まってるじゃないか」

「質問自体が無意味。パーフェクトな円は美しい。楕円なんてのは、円が果てしなく堕落した結果に過ぎないんだよ」

「そもそも楕円の『ダ』がいかんね。堕落のダ、怠惰のダ、中だるみのダ、だらしないのダ。ダの音には恥ずかしい緩みが常につきまとう。それを好き好んで選択する人間はいないだろう」

　いやはやマコトに手厳しい。予備校ばかりか大学までが採用する「授業アンケート」みたいなものを、楕円講師や楕円教授について実施してみたらどうなることか、今井君は心配でならない。

「楕円先生に満足感を感じますか？」なんてことになったら、「全く感じない」「どちらかといえば感じない」を合計して、もう90％。「どちらともいえない」の８％を考えれば、楕円教授の講義に満足を感じているのは２％。おお、旧民主党勢力並みの苦戦を強いられる。今井君のアンケート「満足度97％」とは真逆の結果であるね。

（暴飲暴食の日々。「串かつ田中」代官山店で完全に球形のタコ焼きを焼く　１）

　それほど人は、きっとパーフェクトな円の美しさを讃えるのだ。高等数学を「美しい」と理解する者、または理解はできないがどこまでも見栄を張って「完璧は美しい」とつぶやいてみる者、彼ら彼女らにとって、だらしない楕円に好意を居抱くなんてのは、決して他者に気取られてはならない恥ずかしい秘密なのである。

　同じ事情は当然３次元にも投影され、円が立体に変じて球となり、楕円が楕円球にプクッと膨らめば、状況はますます楕円に不利になる。タワラやキウィやラグビーボールがそれであって、完全な球形を目指すことさえしない彼らは、美を放棄した落ち武者みたいに、同情の混じった変わり者扱いに甘んじなければならない。

（暴飲暴食の日々。「串かつ田中」代官山店で完全に球形のタコ焼きを焼く　２）

　しかし諸君、だからこそ逆にスーパー熱烈＆スーパー強固なファン層も形成される。何なんだMac君、「スーパー京子」ってのは？ すっげー京子、激しく京子、そんなものすげー女子と、キミは付き合いきれるのかね？

　ま、それはいいとして、まさにこの今井君こそ、楕円を激烈に愛する変わり者の代表格だ。何よりも諸君、楕円の予測不可能性と意外性は素晴らしく魅力的じゃないか。今こそ「楕円愛好同盟」を結成したい。

　パーフェクトな球体を滑らかな斜面の一点に置き、手を離してみたまえ、球の半径と斜面の角度によって、何秒後にどの位置まで転がるか、その計算はあまりにも簡単だ。カンタンすぎて、「チャレンジしてみよう」とはちっとも思わない。ちょっと数学のできる高校生なら、あっという間に出来ちゃうはずだ。

　その点、楕円ならググッと問題が複雑化する。できれば斜面の方も「滑らか」じゃなくて「コブ斜面」にしてほしい。こりゃググッとチャレンジのしがいがありますな。どう転がり、どこまで達するか、簡単な方程式ではとても計算できない。そこがホンモノの魅力じゃないか。

（暴飲暴食は続く。西新宿「天津飯店」でフカヒレを満喫する）

　若き今井君が楕円の魅力にハマったのは、小学校低学年のある日の夕食のことだった。当時まだ30代だった（はずの）ワタクシの母上が食卓に並べたのが「大皿に盛った大量のおむすび」。ただしそのおむすび、三角でも丸型でもなくて、約30個のタワラ形だったのである。

　通称「塩だわら」。おお、いまググってみると、塩だわらのおむすびは予想以上に一般的であるらしい。ちょっと塩を多くして、普通のおにぎりよりも小さめにむすんでいく。

「むすぶ」は漢字で書けば、「結ぶ」ではなくて「掬ぶ」。辞書を引けば「両手を合わせて水をすくいとること」の項に「握り飯をつくること」も含まれている。だからワタクシは「おにぎり」でなく、どこまでも奥ゆかしく「おむすび」と呼ぶのである。

　コイツが幼い頃からの今井君の大好物であって、家族４人のために掬んだ30個のうち、今井君が少なくとも10個を平らげた。これに具だくさんの熱い豚汁があれば、10個と言わず15個でも軽かったし、食べ盛りの中学生時代には20個を豚汁とともに咀嚼＆嚥下した。

　今井君の暴飲暴食癖の始まりは、どうやらあの塩だわらから始まったようである。壮年の域に入った今でさえ、生牡蠣40個だの、フィレステーキ600グラムだの、なんぼでも非常識な暴飲暴食を繰り返しているが、その出発点は楕円球の形の塩だわらだった。

（暴飲暴食は止まらない。西新宿「天津飯店」の北京ダックと、飲み放題の紹興酒。３合飲み干しました）

　同じ時期、「イカマヨ」の暴飲暴食もあった。イカリングの大きさからさらに1/3ぐらいに切った大量のイカを、薄切りキュウリとマヨネーズであえて作った単純明快な小鉢料理。その小鉢を一晩で10杯ほどお代わりした。

　今は見るのも嫌なマヨネーズだが、だから当時はまだ大好物だったのである。中学生の頃までは「パンに塗って食べた」という記憶もある。しかし諸君、さすがに一晩で小鉢10杯は異常な食欲だ。その挙句の果てにマヨネーズのニオイを嗅ぐことさえ耐えられなくなった。

　しかしあれから幾星霜、今も塩だわらなら10個はいける。海苔も何にも巻かないで、大皿の上に熱く美しく、純白の塩むすびが輝きながら並んでみたまえ。海苔は別皿に盛って、巻きたくなったら巻けばいい。

　他には、焼きたらこ・キュウリの漬物・ナスの漬物。ほぐした塩鮭、醤油をたらした大根おろし、やっぱり醤油をたらしたシラス。そういうものを小皿に乗っけて並べてくれれば、うぉ、気がつけばあっという間に15個が、胃袋で熱い番茶と混じり合う。

（西新宿「天津飯店」の桂花陳酒。ロックで５杯ほど飲み干しました）

　その手のことを考えているうちに、５月の中旬から下旬にかけて、今井は再び暴飲暴食のトリコになっちゃった。何しろ塩だわらの大量摂取で育つうちに、お顔も肉体も性格もみんな、楕円の塩だわらとそっくりになってしまったワタクシだ。壮年の今もなお、暴飲暴食癖からは逃れられない。

　先週の水曜日、今井はまず代官山の「串かつ田中」に出現した。本日１枚目＆２枚目の写真は、串かつ田中で最初に登場したタコ焼きである。「客が自分で焼く」というマコトにメンドーなスタイルで、憎っくきパーフェクトな球形タコ焼きを焼き上げた。

（暴飲暴食の締めくくりは、恵比寿「松川」のうな重。おいしゅーございました）

　パーフェクトな球形だなんて、やっぱり余りにもつまらない。何だ、果てしなく転がしてりゃ、誰だってパーフェクト球形に仕上がるじゃないか。単純作業すぎて、知性がイビツな楕円形に大きく成長した今井としては、ちっとも興味を感じない。

　ここは読者諸君、誰でもいいから「串かつ田中」のお隣に「串かつ中田」を起業して、「中田は、田中と違います」「中田のタコ焼きは、何と楕円形!!」というノボリをヒラヒラさせてみたまえ。ライバル（というか本家本元）を駆逐するのは、やっぱり名物♡楕円タコ焼きにちがいない。

（恵比寿「松川」、うなぎ白焼き。写真ではその旨さがあんまり表現できない）

　そして、暴飲暴食は続く。実はその前の火曜日が西新宿のとんかつ定食、木曜日が西新宿の中華料理、金曜日は恵比寿のうなぎ、土曜日は日比谷のローストチキン。全てに「飲み放題プラン」をつけたから、いやはやサトイモの肉体は一気にボワッと膨れ上がった。

　記録を見るに、火曜日朝の体重は76.6kg。収録に合わせて昨年末からダイエットに励み、ロンドンから帰還した12月30日に82kgもあった体重を、きちんと６kgも落としてリニューアル講座の収録に臨んだのである。

　しかし諸君、驚くなかれ今週の月曜日、暴飲暴食の果ての体重は79.5kg。６kg減らした体重を、たった５日で３kgもリバウンドさせて吉祥寺のスタジオに向かったのである。

（うな重セット、全体図。この12時間後に日比谷でローストチキンを貪ったが、もう写真に収める意欲さえなくなっていた）

　その後またダイエットの努力をして、水曜日朝の体重は77.9kg。猛然と膨らんだかと思えば、急速にまたキュキュッと縮む。「何なんだ、この楕円形のフーセンは？」と訝りながら、諸君、ぜひ今井のリニューアル講座に期待してくれたまえ。

「おや、なかなかスリムになりましたな」と感心して見ていると、突如として火鉢の上のオモチよろしくプワーッと膨張し、見る間にしぼんで元のスリムな体型に戻る。「プワーッ!!」が、新C組の９講と10講。その直後の13講と14講では「シュワーッ!!」と音を立ててしぼんだ楕円に驚くはずだ。

　いやはや今井のサービス精神はさすがであるね。たとえ英語の授業に興味がない人でも、体型の変化で人を惹きつける。予備校講師というのは、授業と爆笑トーク以外に、こういうジャンルでも人を魅了しなきゃいけないのだ。

1E(Cd) Yohichi Murata：SOLID BRASS Ⅱ

2E(Cd) CHET BAKER SINGS

3E(Cd) Art Pepper：SHOW TIME

6D(DMv) CLIFFHANGER

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