Tue 190402 秋田のオジサマ晴れ姿/ウェストミンスター(冬ロンドン再訪記5)3821回 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Tue 190402 秋田のオジサマ晴れ姿/ウェストミンスター(冬ロンドン再訪記5)3821回

 新しい元号も決まって、いやはやマコトにおめでたい。「令和」、なかなかカッコいいじゃないですか。高く「令和」の文字を掲げて壇上にスックと立った官房長官、なかなかカッコよかったじゃないですか。

 

 あんなに嬉しそうな満面の笑みの官房長官って、歴代初なんじゃあーりませんか? 実際には他者と比較してさほどの長身ではないのに、いかにもスックと「tall」という形容詞が似合う感じ。素直に照れている表情にも好感が持てましたぞ。

 

 やっぱり諸君、秋田の時代なのだ。彼は秋田県の南東の端っこ、雄勝郡秋ノ宮の出身。平鹿リンゴのリンゴ畑が続く山の村から、片道2時間かけて秋田県立湯沢高校に通った。昨年の金足農の選手たち以上に、ググッと深い山の奥の少年だったのである。

 

 パパは満州鉄道の職員。苦難の末に満州から引き上げてきた。その息子である若き日の官房長官なら、山道をはるばる湯沢高校まで通うぐらい、苦労とも思わなかったに違いない。

(ロンドン、旧式のダブルデッカー。15番のバスなら、今でもこのタイプに乗れる可能性がある)

 

 北海道教育大を受験したとか、先生になるのがイヤで受験しなかったとか、いろんなウワサがあるけれども、なんと諸君、高校卒業後は「集団就職」で東京に出てきている。連ドラ「ひよっこ」のミネゴと同じだ。務めた先は板橋のダンボール工場だったというのだから、ミネゴに勝るとも劣らない厳しい環境で青年期を過ごしたのだ。

 

 そうやって工場の作業員として働きながら、1973年に法政大学を卒業している。うひゃ、こりゃたいへんな努力家だ。「東京さ出れば何とかなるべ」ではなくて、まさに「東京さ行って自力で何とかした」人だ。やがて当時の有力政治家の秘書になり、じわじわじっくり50年かけて、2019年4月1日の晴れ姿に近づいていく。

 

 1987年には、横浜市議に初当選。平成元年は1989年であるから、小渕官房長官の「平成であります」の直前まで、菅サンは市議会議員にもなっていなかった訳だ。そこから30年、あの地味な風貌を物ともせずに、ついに昨日の晴れの壇上に上った。

(すっかり新しくなったダブルデッカー。かっけーけれども、まだ味わいは深くない)

 

 そういう官房長官の人生を思いながら、「令和」のカッコよさに涙した。この種の感激を感じた人は少ないだろうが、まあ秋田の同郷人だ。どうか許してくれたまえ。あの秋田訛りの記者会見だって、誠実そうで悪くないじゃないか。

 

 小渕サンの「平成でございます」の時は、ワタクシもまだ予備校講師になっていなかった。何をやってもうまくいかず、埼玉県南浦和の暗くせまい部屋で、毎日ムクれて酒を飲んで過ごしていた。

 

 昭和天皇崩御の直後だったせいか、多くの人々が悲しげな表情のままで「平成でございます」を聞いた。「昭和のほうがずっとカッコよかった」と、突如として登場した元号に違和感を口にするヒトも少なくなかった。

(2018年、12月25日のロンドンはマコトにおめでたい快晴になった)

 

 ワタクシの平成は、あんなにダラシなくムクれた状態から始まった。ふと「こんなふうにしてちゃいかん」と呟いて、ムクッと立ち上がったのが平成2年1月のこと。平成元年からちょうど1年が経過していた。結局は大した活躍はできなかったが、周囲の人々に助けられて、まあそれなりの平成を31年にわたって満喫してきた。

 

「日々旅にして旅を住処」とした31年間。特に2005年(平成17年)からの激烈な旅の日々は、誰にもマネできないほどだったと言っていいだろう。いやはやワタクシの平成、後半のスパートが凄まじかったですな。

 

 そういう今井だからこそ、大伴旅人どんの言葉が元号のモトになったのが嬉しいのである。旅人どんは、酒豪である。というか酒好きのヒトである。「酒ツボになってみたいな」とさえツイートしたらしい。千鳥ヶ淵に桜を見に行く前に、赤坂の店で赤ワイン1本軽々と空っぽにする今井君も同感だ。

 

「天空を覆いとし、大地を敷物にして、ともに酒盃をかわそうではないか」。まさにお花見の季節にぴったりだ。こんなにおめでたい元号なんだから、「政治ショー化は問題だ」とか、そんな難しいことは言いっこなし。おお、おめでたい&おめでたい。

(ロンドン、マリオットホテルの二重窓。ガラスとガラスの間で、ビールがちょうどよく冷えた)

 

 さて4月1日も授業収録で、吉祥寺に午後3時に駆けつけた。すでに「新E組」は第7講まで収録が完了。「特別招待講習」5講分と合わせて、合計12回分の授業が終わったことになる。

 

 とはいえ、まだ90分授業を+100回分近く続けなければならない。平成から令和にかわる10連休をはさんで、収録完了は6月中旬の予定。今は無理をせずタクシーを利用する。

 

 最近どうも面白い運転手さんに遭遇することが多い。すでに書いた通り、①「秋田出身でしょ?」とワタクシが一瞬で見抜いたオジーチャン、②「フィリピンパブやガールズバーを経営してました」という豪傑オジサマと、続けざまにタクシーでの会話が盛り上がった。

(バッキンガム宮殿から真っ直ぐに伸びる1本道。お散歩にはマコトに心地よい)

 

 そして昨日は、乗り込むや否や「運転手やってますが、実は本業は骨董屋なんです」ときた。「今井様のご自宅は、ずいぶん趣きがありますね」「いかにもお宝がありそうですが?」と、あっという間に会話に火がついた。

 

「趣きがあっても、お宝なんか1つもありませんよ」

「あえてあるとすれば、大量の蔵書ですかね」

「天井に届く書架に9つ分。買いますか?」

 

 ワタクシもそれなりにノリノリになって、高く売れそうな本を数え上げた。中でも芝居のパンフレットのコレクションは、国立劇場文楽公演のパンフ40年分がキチンと揃えてある。演劇関係の老舗・神田神保町「矢口書店」だって、40年分を揃えてあるかどうかはわからない。

 

 その運転手さんがいきなり、「むかし、令子という名前の女性と付き合っていたことがありましてね」と話題を変えた。どうやら演劇のパンフには興味が湧かなかったらしい。

 

 昨日今日、明日になっても日本中の職場の会話は、「令」の文字のつく名前の人物の話が中心になるんじゃあるまいか。残念ながら今井君の思ひ出の中に「令子」はナシ。小学生のころ密かにライバル視していた大病院の娘である秀才「玲子ちゃん」の話はすでに書いたことがあるから、今日は触れないことにする。

(たいへん勇ましいホーズガーズ。お馬さんは、少しお腹の具合でも悪いのかね?)

 

 というわけで、「冬ロンドン再訪記」のサブタイトルは、おめでたさの影に隠れて見えなくなってしまった。1225日のロンドンは、キレイに透き通った快晴。4月1日午前の東京に負けないほどのおめでたさであった。

 

 ただし気温は零下であって、テムズ川の川風はピリピリ痛いぐらい。朝の散策は、ビッグベンの脇を抜けてウェストミンスター寺院へ、さらにヴィクトリア駅の方向に歩いて、ウェストミンスター大聖堂の前に出た。

 (こちらイギリス国教会のウェストミンスター寺院)

 

 諸君、同じウェストミンスターでも、「寺院」と「大聖堂」とは全く別物なのである。「大聖堂」はカトリック、「寺院」はイギリス国教会。国教会は1534年、ヘンリー8世が美女アン・ブーリンどんに夢中になっちゃったせいで、突如として生まれることになった。

 

 詳細は、シェイクスピア「ヘンリー8世」でどうぞ。「読書なんかイヤでござる」というオカタは、2008年の映画「ブーリン家の姉妹」でもOKナタリー・ポートマンがアン・ブーリンを、スカーレット・ヨハンソンがその妹を、エリック・バナどんがヘンリー8世を演じている。

   (こちらカトリックのウェストミンスター大聖堂)

 

 どうも諸君、イギリスというかイングランドというか、この国は「いったん入ってみたけど、やっぱり居心地が悪いから出ていっちゃおう」「いち、ぬけた」という困った柔軟さないし臨機応変ぶりを示す傾向があるようだ。EU離脱は国民投票の結果だから致し方ないとして、国教会のほうはその離脱と独立の理由に苦笑せずにはいられない。

 

 19世紀後半になって、国教会とカトリックがちょい仲直り。ウェストミンスター「寺院」は国教会の総本山のまま、そのすぐ近くにカトリックのウェストミンスター「大聖堂」を建設しようという話がまとまった。

 

「寺院」のほうは、ビッグベンと国会議事堂をテムズ川方向からドローンないしヘリで撮影した場合、国会議事堂の向こう側に大きな十字架の形で映り込んでいる。

 

「大聖堂」は赤レンガ色のこれまた壮大な建築であって、1895年から1903年の間に建てられた。日清戦争から日露戦争にかけて、日本が理不尽な三国干渉に「臥薪嘗胆」を誓っていた頃である。

 

 ついでに日英同盟なんてのも出来あがり、このころのイギリスは「やっぱりExitよりもEntry」、他者と仲良くする方を選んだようである。出たり入ったり、とにかく忙しい。忙しすぎて「大聖堂」、外側は完成したが、内装は21世紀の今に至っても未完成なんだそうだ。

 

E(Cd) Luther VandrossANY LOVE

E(Cd) Jaco PastoriosWORD OF MOUTH

E(Cd) Anita BakerRAPTURE

E(Cd) Anita BakerTHE SONGSTRESS

E(Cd) Anita BakerRHYTHM OF LOVE

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