Wed 190130 入った入った/名古屋マリオット/豊橋の大盛況(京都すみずみ19)3793回 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Wed 190130 入った入った/名古屋マリオット/豊橋の大盛況(京都すみずみ19)3793回

 日本語とはマコトに興味深い言語であって、「動詞の終止形がそのまま命令形として使用される」などというのは、おそらく世界中の言語でも他に類を見ないのである。

 

 給食の時間に先生が「ほら、サッサと食べる!!」と命じる。営業マンの先輩が「黙ってとにかく数字を出す!!」と怒鳴る。厳しいお父さんが「いいから黙っていうことを聞く!!」と、息子を叱りつける。

 

「食べる」「数字を出す」「聞く」、これは全て終止形であって、本来なら命令の意味を含まない。しかし言われた方は何故か命令されたと認識し、唯々諾々と給食を口に運び、数字を出そうと懸命に励み、理不尽だと思いながらもパパの言うことを聞くのである。

(京都・大将軍八神社、お神輿の辻回し。「ほいっとー、ほいっとー」の声が勇ましい)

 

 しかし福禄寿♡今井(前回の記事参照)がふと思うのは、「もしかするとこれは終止形ではなくて連体形なんじゃないか」ということである。本来は「食べること」「出すこと」「聞くこと」であって、そこから「こと」が省略された形なのかもしれない。

 

 つまり、もともとは

「食べること がオマエたちの仕事だろ」

「数字を出すこと がオマエの仕事だろ」

「黙って聞くこと がオマエの義務だろ」

という発言であり、そういう発言の中盤から後半 →「ことがオマエの仕事だろ」「するのがオマエたちの義務なんじゃないか」が、メンドーだから省略された形であるとも考えられるのである。

     (大将軍八神社のお神輿が勇壮に進む 1)

 

 この種の不思議な現象は、「連用形が命令形として使用されることさえある」と言ふ、ますます人類史上マレにみるレベルまで高まっていく。例えば諸君、日本語では一般に過去の動作を示す「た」「だ」を動詞の語尾につけてみたまえ。

 

「飲んだ」「食った」「参加した」「頑張った」「入った」。どの形も、昨日とか一昨日とか、先月とか去年とか、過去に行われた動作ないし行動であることを示しているはずだ。

 

 ところが諸君、それがそのまま命令法としても使用可能なのだから恐れ入る。

「さあさあ、どんどん飲んだ」

「ほら唐揚げが残ってるぞ、食った食った」

「ほーれ、どんどん参加した!!

「東進です。遠慮しないで、入った入った」

「さあ入試本番だ。思い切り頑張った!!

     (大将軍八神社のお神輿が勇壮に進む 2)

 

 この現象をどう理解したらいいんだろう。さすがの今井君も途方にくれるのであるが、可能性は2つあって

① 英語の仮定法と似た現象なんじゃないか

② 助動詞「たり」の「り」が脱落した形なんじゃないか

いやはや、ホントに日本語は面白い。

 

 可能性①であるが、もちろん英語の仮定法では「現在の事実に反することは過去形で」が原則。ほとんどのヨーロッパ言語に「条件法」と言ふものが存在して「今の現実に反することは過去形で言おうね」と、大昔からルールが決まっている。

    (辻回しは続く。ほいっとー、ほいっとー)

 

 その辺を「細かい文法なんか気にしてるから英語が話せないんだ」「重箱のスミを突くような文法事項は必要ないんだ」と切り捨ててしまうと、人生はちっとも面白くなくなる。「あらら、日本語にももしかして仮定法と同じ現象があるの?」と、ヒザをポンと叩いてみたまえ。

 

 実際には飲んでないから「飲んだ!!」と過去形で命令する。実際には食べてないから「食べた」、ホントは入ってないから「入った」、目の前の事実と反するから「頑張った!!」と励ましの声をあげる。現実とは異なるという心理的距離感を過去形で示すのである。

        (さすが京都でござるね)

 

 可能性②については、助動詞「たり」をちょっと調べていただきたい。活用形は「たら(未然形)、たり(連用形)、たり(終止形)、たる(連用形)、たれ(已然形)、たれ(命令形)」。おやおや、高校の古文の時間、あまりにも懐かしいじゃないか。

 

 時代劇なんかで「ほーら遠慮なく、食べたり食べたり」「どんどん飲んだり飲んだり」みたいな発言を聞くはずだし、命令形「たれ」となると、学校の垂れ幕や校歌やスローガンなんかにナンボでも登場するじゃないか。「文武両道の若者たれ」「疾風怒濤の集団たれ」というヤツでござるよ。

 

 そういう助動詞「たり」「たる」「たれ」から、活用語尾の「らりるれろ」が脱落したのが「食べた」「飲んだ」「入った」の類いの命令法に発展した。福禄寿♡今井は、名古屋マリオットホテルのお風呂に1時間もつかって、そういうことを思いめぐらしていたのである。

      (元気いっぱいの女子神輿が先に進む)

 

 なぜ「名古屋のマリオットホテル」にいるのかについては、後ほど詳しく説明するとして、とりあえず福禄寿が悩んでいたのは、お神輿を担ぐ京都人の掛け声「ホイットー」「ホイットー」のことなのであった。

 

 Mon 190121 ニャゴとTV観戦/おみこしホイットー/城南宮(京都すみずみ16)3789回にも記したとおり、「江戸時代の高瀬川の荷揚げの声『ほいっと』がお神輿に伝播した」という説はあるのだ。しかし実際に伏見竹田の城南宮や北野・大将軍八神社のお神輿を眺めていると、「ほいっと」はむしろ「はいった」と聞こえるのである。

 

 こうして諸君、可能性①でも②でも、実は「入った」という命令形に近い使い方で「ほら、どんどんお神輿を担ぎたまえ」「ほら、入ったり入ったり」「事実としてアナタはまだお神輿の仲間に加わっていないが、どんどん仲間に入りたまえ」「入るべきだ」という仮定法表現に聞こえるのだ。

 (富士山2019。1月というのに、雪がマコトに少ない)

 

 大将軍八神社のお神輿は、まずコドモ御輿と女御輿が元気に町内を一周し、最後に勇ましい男衆の神輿本体が「ほいっとー」「ほいっとー」とリズミカルな掛け声をあげながら進む。

 

 福禄寿♡今井の福耳には「はいったー」「はいったー」と、マヌケヅラで見物している観光客に熱い参加を促す声に聞こえるのだ。「はいったー、はいった」「はいったー、はいった」。そう高く叫びながら、お神輿は大将軍の交差点で勇壮な辻回しに入る。

 

 辻回しといえば、祇園祭の山鉾巡行でもやっぱり見せ場中の見せ場である。京男たちは力強くお神輿を天に向かって差し上げ、2度3度、心ゆくまでお神輿をぐるぐる回転させてみせる。世界中から集まった見物客の大歓声が、快晴の京都の秋空に響く瞬間である。

(名古屋駅に到着。さっそく新幹線ホームの「住吉」できしめんをすする)

 

 さて今井君は今井君で、秋の京都のことを書きながら、いよいよ2019年早春シリーズの佳境に入るのである。函館で楽しい日々を過ごしたのも束の間、1月29日には愛知県豊橋でお仕事。名古屋のマリオットホテルに宿泊している。

 

 ご苦労なことに、豊橋のお仕事なのにあえて名古屋から向かうのである。新幹線で20分もかかるが、いやはやワタクシは、この20年間の濃厚な記憶が詰まった名古屋マリオットが大好きなのだ。

   (名古屋マリオットホテル、46階からの絶景)

 

 地上50階のマリオットが誕生したのは、2000年5月のこと。そろそろ開業20年になるが、ピカピカの1年生だったマリオット開業のころ、若き今井君は「代ゼミ四天王」として君臨、毎週1回水曜日に名古屋への出張があった。

 

 いやはや、このホテルではホントにいろんなことがあった。当時まだ飛ぶ鳥落とす勢いの代ゼミに「東進に移籍します」と告げたのもここ。20年間の生々しい思ひ出がトロトロ&ドロドロ発酵して、香ばしいというかおぞましいというか、懐かしさが渦巻いて、ふと熱く深い溜め息をつくのである。

       (愛知県豊橋、200名の大盛況)

 

 2年ぶりになる豊橋での公開授業は、出席者200名。会場のキャパと消防法の関係上、200名の段階で締め切り、かなりの数の申込者に「残念ながらもう締め切りました」と、お断りを申し上げたのだという。おお、マコトにもったいない、というか申し訳ないことをした。

 

 大盛況&大爆笑で90分、大汗をかいた後、焼肉屋での祝勝会には、若手のスタッフを中心に16名が参加。16名がみんな遠慮なしに飲んで、赤ワインのボトルが次から次へと空っぽになった。やっぱり祝勝会はこうでなきゃいかん。

   (名古屋マリオットホテル、46階からの夜景)

 

 ただし福禄寿どんは、名古屋のホテルに帰らなきゃいけない。こんなに楽しくなるなら豊橋に宿泊すればよかったと後悔しながら、最終の「ひかり」に乗りこんだ。

 

 豊橋発2329分、名古屋着2349分。さすがのマリオットホテルももうすっかり静まり返って、20年前とちっとも変わらない美しい夜景を眺めながら、買っておいたウィスキーをゆっくり楽しんだ。気がつけば時計は午前3時。そろそろ福禄寿もベッドに入らなきゃいけない。

 

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