Wed 181226 京の夕食/メゾン・ド・ヴァン鶉亭/ボルドー三昧(京都すみずみ7)3777回 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Wed 181226 京の夕食/メゾン・ド・ヴァン鶉亭/ボルドー三昧(京都すみずみ7)3777回

「京都で晩メシ」といえば、そりゃ誰でも一応はハレの舞台であって、お店にも料理にもこだわりをもって臨むことになる。

 

 かく言ふ今井君だって、年齢もそれなりに重ね、ホンモノの大金持ちには程遠いにしても、寿司屋や天ぷら屋のカウンターで、フトコロ具合を気にせずにバンバン注文できるぐらいの小金持ちにはなった。たまに訪れた京都で贅沢な晩メシを楽しんでも、そんなに叱られることもないだろう。

 

 ただし、それなりの立場は築いても、肝腎の時間がない。仕事で京都を訪れた場合、そのお仕事はほとんどの場合19時過ぎにスタート、終了は21時を過ぎる。そのあとは深夜まで「まあ接待」という世界に入るから、「自分で馴染みのお店を作って」という経験には至らない。

 

 もちろん、懇親会というかお食事会というか祝勝会とか、そういうのは何より大好きであって、そういう楽しい宴会のない出張の場合、今井君は高い確率で風邪をひく。首都圏での仕事には「宴会ナシ」の寂しい夜がほとんどで、だから首都圏郊外の仕事の後は要注意。気がつくと熱が38度を超えている。

  (四条大橋付近の鴨川から、京都南座を望む)

 

 ま、そういう事情もあって、こんなに京都を訪れていても、いざ自分で夕食ということになると、ハタと困ってしまうことになる。馴染みの店なんか、数えるぐらいしかない。

 

 しかもそのほとんどがランチ中心のお店。だって諸君、ワタクシが京都で自前のメシを貪るチャンスは、仕事の前のランチ、または仕事の翌日、東京に戻る前のランチ、そのぐらいしかないのだ。

 

 だから「馴染みの店」と言っても、四条大橋付近の老舗有名店ばかりになってしまう。何と言ってもニシン蕎麦の「松葉」。このブログでも1年に2回か3回「また松葉に寄ってきました」という記事を書き続けてきた。

 

 ロシア料理の「キエフ」、中華料理の「東華菜館」も、このところしょっちゅう登場するはずであって、これに洋食の「菊水」を加えれば、いやはや今井の昼食と言ふものは、四条大橋を中心にして4隅に杭を打ち込んだようなありさま。ここからなかなか離れない。

 

 それでもこの数年はずいぶん頑張って、う雑炊で有名な七条「わらじや」とか、すっぽんの名店「大市」とか、いくつかのお店を開拓してきたし、仕事の翌日のメシなら、遠慮がちにお酒も注文して、だいぶ顔馴染みにもなってきたのである。

 

 それでもやっぱり、経験不足は否めない。「祇園に馴染みのお店がいくつかありまして」みたいなことを平気で言えるような、そんなオシャレなお大尽様には当分なれそうにない。というか、おそらく一生なる気はなくて、京都ではおそるおそる小さくなって行動するほうが楽しいように思うのだ。

         (京都南座の勇姿)

 

 というわけで諸君、いざ京都の夕暮れに放置されてしまえば、今井君としては四条大橋付近をウロウロするか、または「一休」「ぐるなび」「食べログ」の類いに救いをもとめて画面上を右往左往するか、そのどちらかを選択することになる。

 

 今年の秋は「画面を右往左往」を選択して、とりあえず3軒のお店を経験することになった。

① メゾン・ド・ヴァン鶉亭

② ラ・ロカンダ

③ 祇園おくむら

特に①「鶉亭」については、いやはや2ヶ月で4回もお邪魔して、気さくなマスターにもすっかりお世話になってしまった。

 

 四条大橋の西詰、馴染みの老舗「東華菜館」の脇の小道を左に入って、徒歩1分のあたりである。まさに京都一の繁華街であるが、京町家風の小さな店の裏の鴨川ではアオサギが悠々と闊歩していたりして、静かな雰囲気で大好きな赤ワインを満喫できる。

    (祇園北側の「祇園おくむら」。詳細は次回)

 

 ただし諸君、驚くじゃないか、こんな京都の真ん中に、フーゾク店が乱立しているのである。四条大橋から徒歩1分、「鶉亭」にたどり着くまでに、少なくとも4軒から5軒のフーゾク店が続き、客引き男子の鋭い視線の中を進まなければならない。

 

 今井君は、こういうのがマコトに苦手な臆病なサトイモなのである。無視すればいいだけの話であるが、寂しげな中年サトイモ野郎なんかがこの種の店舗の並ぶ前をカッポしていれば、客引きだって一般人だって「お」とか「おお」とか「そういうことですか」とか、そう誤解するじゃないか。

 

 暗がりへの角を曲がって最初に目に飛び込んでくるピンクの看板には、「団地◯」の文字。まさか「団地男」だの「団地ともお」だのではないわけで、もちろんその◯の中には「妻」の文字が入る。

 

 なんだそりゃ、まさに昭和中期、または20世紀中期、ないし奇跡の高度成長期、「三種の神器は洗濯機と冷蔵庫とテレビでした」、そういう時代の残骸がいきなり目の前に出現したんでは、森鴎外並みに謹厳実直な今井の表情も、思わず破顔一笑、客引きが声をかけやすいタイプのスキだらけの顔に変じる。

(祇園おくむらで、こんなワインを注文する。詳細は次回)

 

 そこで諸君、できるだけ周囲の文字が目に入らないように、目線を注意深く下に落として、ひたすら「鶉亭」を目指す。暖簾をくぐって店に入ると、すでにマスターが上がりかまちのところに立って待ち受けてくれている。

 

 4回のうち3回が2階のお部屋、残る1回は1階のカウンターに案内された。カウンターは6席。2階には2部屋あって、鴨川側と高瀬川の側に分かれている。ワタクシは幸いなことに3回とも鴨川の見える部屋に通してもらえた。

 

 お料理は、流行中の「ペアリング」という形式であって、料理1皿にぴったりのワインがグラス1杯ずつ添えられる。6皿でグラス6杯のコースをお願いすると、合計でグラスワイン6杯になるから、気がつけばボトル1本+α分のワインをカラッポにした計算になる。

(メゾン・ド・ヴァン鶉亭。静かな落ち着けるお店だった)

 

 他のお客様の様子を伺ってみるに、6杯のうち、最初の1杯がシャンパン、次の2杯か3杯が白、最後に赤で締めくくる、そういうマコトに常識的なバランスのとれた飲み方をなさっているようだ。

 

 しかし諸君、何しろ今井君は非常識の権化みたいな激しいキウィだ。マスターの優しそうな表情につけ込んで、「6杯、すべて赤でお願いできますか?」「赤も、ブルゴーニュとかじゃなくて、全て濃厚ボルドーでお願いできますか?」、そういう要求を突きつけるのである。

 

 窓からは、ようやく大改修が完了して公演を開始した京都南座の勇姿。その隣のド派手なパチンコ屋が気になるけれども、手前の鴨川の流れの中には、アオサギやシラサギが今日の最後の小魚を狙って例の目をいっそう鋭く尖らせている気配。2時間半はあっという間に過ぎていく。

(メゾン・ド・ヴァン鶉亭。鴨川側の2階には丸いテーブルが2つ並んでいる)

 

 マスターにMKタクシーを呼んでもらって、蹴上のウェスティンに帰還する。四条河原町のど真ん中なんだから、タクシーならナンボでも拾えるけれども、拾ったタクシーと呼んでもらったタクシーとでは、後者の方が圧倒的に贅沢感が充実している。

 

 やっぱり諸君、こんな贅沢な夜の締めくくりに、フーゾク店舗の客引きたちの前を急ぎ足でそそくさと通り過ぎるのはイヤだ。MKタクシーの後部座席にデカイ態度で収まって、「蹴上、ウェスティンまで」と落ち着いた声で一言、後は余裕で居眠りしていく。

 

 ただしやっぱりまだ飲み足りない。濃厚なボルドーを6杯胃袋に流し込んだ後は、締めくくりにウィスキーがいいじゃないか。「ホテルのメインバーで?」とも考えるが諸君、それじゃフトコロが少々厳しくなる。

 

 ここはタクシーの運転手さんにお願いして、東山三条のコンビニに寄ってもらい、ウィスキーの小瓶と氷を一袋買い込んで帰る。もちろんツマミも少々。京都の夜は、こうして更けていく。

 

 なお、今日もまた長く書きすぎた。②の「ラ・ロカンダ」と③「おくむら」については、次回の記事で詳述しようと考える。

 

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3E(Cd) Karajan & WienerBEETHOVENMISSA SOLEMNIS 1/2

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