Mon 181224 過去の悪童/直指庵への道/あぶない悪童、爆進中(京都すみずみ6)3776回 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Mon 181224 過去の悪童/直指庵への道/あぶない悪童、爆進中(京都すみずみ6)3776回

 せっかくの楽しい楽しいクリスマスイブだというのに、「しょんぼり」「風邪をひいてまたしょんぼり」という前回の記事のタイトルがブログトップに残っているのも、さらにさらにしょんぼりする事態である。ここはたいへんおめでたく、よい子の皆様に素晴らしいプレゼントが届くような楽しい記事を書いておきたい。

 

 まず諸君、これが記念すべき3776回目の記事となることを確認しておきたい。間違いなく今年は、ワタクシにとってこれまでで最高の1年のうちの1つになったのであって、我が愛する金足農業は準優勝できたし、ブログも「10年連続更新」の3652回を達成、ついに3776回まで来た。

(奥嵯峨野の名店平野屋、名物・亀石の前で「志んこ」を味わう)

 

 3776回という中途半端な数字の、いったいどこがそんなに感動的なのかというに、「3776」、諸君それは富士山の標高なのである。1日1日コツコツ&コツコツ積み上げた努力は、ついに富士山の高さにまで達したのである。

 

 コドモのころの今井君は記憶の魔に取り憑かれ、世界中の名山の高さだの湖の深さだの大河の長さだの、そういう数字を記憶しまくって自ら悦に行っていた。

 

「記憶偏重より、ホンモノの思考力を」。21世紀の日本の大新聞の論調によれば、当時の今井君はまさに最大の問題児であって、記憶&記憶ひたすら記憶。1つ記憶するごとに歓喜の歌が肉体の奥底から湧き上がって、「もっと記憶を!!」「もっと記憶を!!」と、頭脳よりむしろ胃袋が記憶を欲求した。

       (平野屋の縁先で桜湯を味わう)

 

 そういう悪ガキであるから、4歳だか5歳だか、幼稚園に通い始める前段階で、すでに3776は憧れの数字。人生のどこかで3776を達成したいと、子供心に達成の場面をいろいろ考えてみた。

 

 もっと遥かに華々しい場面での達成を夢見たものだが、ま、現実はマコトに厳しい。「著書3776!!」「世界3776市町村訪問!!」みたいなド派手なことも青年期には考えたものだが、風邪ひきしょんぼりオヤジと化した今では、「ブログ3776回更新」で富士山に並んでも、それでもマコトにおめでたい。

 

 それでもなお、意地悪に揶揄する人はいるだろう。「富士山は3776メートル、オマエは3776ミリメートル。要するに40cmにも満たない短小キウィみたいなもんじゃないか」。しかしまあ、そうおっしゃいますな。これでも我が身にふさわしい努力はしっかり重ねてきたつもりだ。

  (平野屋遠景。この2年ほどですっかり馴染みになった)

 

 もちろん今だって、実はそんなにしょんぼりばかりしているわけではないので、4日前に風邪をひいて悪寒に震え、熱が38度を超えたあとは、41度のお風呂に2時間入って汗をかきまくり、丸1日布団にこもってさらに大量の汗をかき、水分をそれ以上に吸収して、それで一気に風邪を治し、予定通りロンドンにやってきた。

 

 ワタクシだって、小学4年か5年までは、こんなにしょんぼりしてはいなかったのである。悪ガキというカテゴリーを逸脱するほどの悪辣ぶりであって、担任の先生が激怒して午前中いっぱい教室で吊し上げを食ったり、「突然の高熱で42度を超えました」などという事件も起こした。

 

 その高熱は、体温計を保健室のヤカンの口に押し付けてでっち上げたものだったが、そこから「今井君はカラダが弱い」というイメージを作り上げていった。実際に小児ぜんそくに悩まされてはいたが、むしろ昭和の昔には、「カラダが弱い」イメージは、一種の憧れの対象だったのである。

        (愛宕念仏寺の思ひ出)

 

 ようやく読み始めていた日本文学では、いつでも病気でベッドや布団に寝かされていて、そこで読書三昧の日を送り、やがて優秀なカッケー大人に成長していく男子の姿が描かれていた。

 

「病気だから読書 → 読書三昧で優秀」は当時の小説の定番であって、「よっしゃ、オレも」と思ったかどうだか知らないが、一種の仮病をつかうことに熟練してしまう。別に「学校なんか、不当な束縛のためのオトナたちの悪意の施設としか感じなかった」みたいな高尚なことではなかったのである。

 

 小説の中だけではなくて、モデルとなる存在が身近に1人存在した。母方の末の叔父であるが、彼は幼い頃から肺の病に侵され、長く病床についていた。それこそ読書三昧で優秀、数学も物理も化学も抜群の成績。「子供時代にいったいどれほど多くの書物を読破したか、数えきれるものではない」と言われ、親戚中のアイドルであった。

 

 そういう叔父が近くにいたんでは、今井君だってまさか「豪勇無双」というわけにもいかないだろう。「胃袋には肉でもコメでも魚でもなんぼでもござれ」「すべてワシワシ胃袋送りじゃぁ」、そういうジャイアンタイプの悪ガキにはなりにくい。

      (直指庵を経て、大覚寺に到着 1)

 

 致し方ない。何だか「カラダが弱いっぽい」、中途半端に知的な困った悪ガキを演ずることになった。ピンポンダッシュだの、酒屋に雪玉を投げ込んだだの、職員室の掃除当番で、先生方の実名を全て呼び捨てにして悪口を言いまくっただの、その類いの悪童に成り果てた。

 

 しかし諸君、サンタクロースのおじいさんは、「悪童だからプレゼントをあげない」「いい子にしかオモチャをくれない」などという計算高いツマラン人ではないのだ。悪い子にも平等に、というか、悪い子だからこそもっとニコヤカに、プレゼントをくれるはずである。

 

 いい子だってもらえるんだ、いわんや悪い子においておや。極楽浄土も同じこと、神さまも仏様もサンタさんも、「いま悪い」ということを重くみるのではない。たとえいま悪くても、将来性をごらんなるのであって、いま悪い諸君にほど、サンタさんはニッコリ笑いかけてくれる。

      (直指庵を経て、大覚寺に到着 2)

 

 さて、いったいどうして「京都すみずみ」の中でいきなりそんな悪ガキ論を展開しているのかといえば、ある秋の1日、嵯峨野の奥を散策していた今井君は、「まさにあれこそ数百年前のワタクシ」と絶叫するほど、往時のキウィそっくりの男児2名と遭遇したのである。

 

 愛宕念仏寺を出て坂道を下っていくと、10分ほどで馴染みの「平野屋」に出る。初夏から秋にかけては「あゆよろし」の鮎料理で有名。冬の期間はイノシシ鍋を出す。コタツで味わうイノシシ鍋は絶品であるが、この日はまだイノシシの季節が始まっていなかった。

 

 化野を過ぎて、大覚寺を目指す。それならば途中「嵯峨釈迦堂」こと清凉寺を経由して行ってもいいが、せっかくの「京都すみずみ」だ、この日はさらに山裾ぎりぎりまで踏み分けて、「直指庵」に立ち寄っていくことにした。

 

 直指庵と書いて「じきしあん」。1646年に隠元禅師の高弟の1人がここに草庵を結んだのが始まりとされる。その後いったん荒れ寺となり、さらに中興・荒廃・消失・再興の長い歴史を経て現代に至る。モリアオガルなんかも出没するらしい。

      (直指庵を経て、大覚寺に到着 3)

 

 しかし直指庵、さすがに遠いのである。クルマがすれ違えない狭い山道を通るので、タクシーも使いにくい。やむなく寂しい田圃道をとぼとぼ、歩いても歩いても「直指庵」「直指庵」の道案内の看板ばかりで、ちっとも直指庵本体の気配が感じられない。

 

 周囲は、まさに東北地方の農村山村の雰囲気。今井の幼年時代を4K8Kで収録したような高精細の小学生男子が、今ここにアマガエル片手に出現しても、ちっとも不思議とは言えない秋の田園なのであった。

 

 静かな辻に京都のオジーチャンが1人立ち尽くして、秋の夕陽の中を通過していく数百年前の悪ガキ♡今井君を茫然と眺めている。「なんでサトイモが歩いてゆくんや?」「ケーサツに通報せなあかんやろか?」。そういうスタンスである。

      (直指庵を経て、大覚寺に到着 4)

 

 悪ガキ2名が登場したのは、まさにそのあたりである。長い棒切れを側溝に差し込んで、力一杯かき回している。やがて側溝から引っ張り上げた棒切れには、山ほどの落ち葉や枯葉、それに混じって何らかの泥まみれのお宝も見つかったらしい。

 

 悪ガキにとってのお宝とは、泥まみれの洗濯バサミとか、同じく泥まみれのテニスボール、泥まみれのサンダルの類いであるが、そういうのを2人で投げつけあい、罵り合い、爆笑し、いきなり高く雄叫びをあげ、雄叫びを合図に激しくダッシュして次の側溝スポットに走り出す。

 

 付近には「危険、学童通学路」「あぶない、学童横断中」の看板が並んでいる。しかし諸君、今井君にはどうしても

「危険な悪童、通学路」

「あぶない悪童、爆進中」

そういうふうにしか見えない。

 

 そして別に、サンタさんとしてはそれでいいのである。危ない悪童が遠慮なく驀進して、サンタさんからかっさらうように一番のお宝を受けとっていったとしても、「よい子なおもてプレゼントもらう、いわんや悪童においてをや?」。おおいに健やかに育ちたまえ。そう思っていらっしゃるに違いない。

 

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