Sun 181216 バスでバタ足の男児/独立心と自尊心/大阪京橋と大和八木の大盛況 3771回 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Sun 181216 バスでバタ足の男児/独立心と自尊心/大阪京橋と大和八木の大盛況 3771回

「いやだ!!

「オマエなんか、あっち行け!!

「ジュースなんか、いらない!!

「いやだ、いやだ、いやだ!!

2歳児、ことによるともう3歳になっているかもしれない。幼い男子の絶叫が、バスの車内に響きわたった。

 

 夕暮れの首都高速、大渋滞に迷い込んだバスは、羽田空港から新宿まで90分近くかかった。普段なら30分の道のりである。バスは超満員。男児の泣き叫ぶ声は、羽田を出て15分で始まり、新宿の手前で高速から降りる頃まで、ほぼ1時間続いた。

 

 最初はママが何とか抱っこしていたのが、とうとう抑えきれなくなって通路に寝転がり、通路を力強く踏み鳴らしながら泣き叫び続けた。通路で激しいバタ足の練習をしているような有様である。

 

 ワタクシが羽田第2ターミナルで乗り込んだ時、バスは国際線ターミナルから乗って来た客ですでに混雑していた。第2ターミナルでほぼ8割の席が埋まり、最後にJALからの第1ターミナルで、パーフェクトに満員になってしまった。

 

 新宿行きは10分おきに出ているのに、このありさまである。もはや5分おきにバスを走らせるしか解決策はない。最後の最後に乗り込んできたのが、その男児を抱っこしたママと、会話の中身から察するにおそらくママの妹かお姉さんである。

(12月11日のランチは、大阪マルビルの地下街でマコトに平凡な串揚げ定食を選択。平凡もまた素晴らしいものである)

 

 ママは今井君の隣の席に座り、「おそらく妹」がずっと後ろに空いていた席に座った。ママのポシェットが今井君の腰のあたりにつっかえて、男児を抱っこしながら一言「スミマセン」と声をかけてくれた。

 

 男児の靴がやっぱり今井君の腰に当たっているのだが、まあこの超満員だ、そのぐらい仕方ないじゃないか。とりあえず男児はまだ上機嫌でケタケタ笑っている。「渋滞がひどくならなければいいが」と、天に祈るような気持ちだった。

 

 ところがバスは遅々として進まない。超満員の乗客は概して不機嫌であり、前の方を占めた中国人集団の声高な話し声を聞きながら、一様にスマホいじりを続けていた。

    (大阪京橋、保護者対象講演会の大盛況 1)

 

 男児の機嫌が一気に悪くなったのは、「高速道路が渋滞のため、一般道を走行いたします」「ご理解をお願いいたします」というドライバーのアナウンスが入った直後のことであった。

 

「いやだ!!」の一言で始まり、「抱っこはいやだ!!」「後ろのほうに行く!!」と続き、気がつくと通路でのバタ足が始まっていた。欧米人のオバサマが、激しい怒りの表情で男児を睨みつけた以外、他の乗客はまだ知らんぷりでスマホをネロネロやり続けていた。

 

 まさかこの騒ぎがそこから1時間も続くとは、最初はおそらく誰も想像していなかったのである。ママは辛抱強く男児をなだめようとする。「厳しく叱ったほうがよくないか?」と考える人もいるだろうが、この場で叱ったところで事態が好転&解決するとは思えない。

(東進移籍以来、大和八木にはすでに20回以上の訪問を重ねている)

 

 言葉から察するに、ママは九州の人であるらしい。福岡か佐賀か長崎か、ヒコーキで長旅をして東京に着いたところである。ヒコーキで疲れ、バスは超満員の大渋滞、ただでさえ息苦しいところに、遅々として進まない。

 

 誰もがみんな不機嫌なのだ。この状況で男児が「抱っこなんか絶対イヤ」と叫び出すのは、それなりに無理もない。最初のうち男児の靴で腰のあたりを蹴られていた今井君はマコトに厳しい状況に追い込まれているが、子育てというのは忍耐の連続なのだ。ここは九州ママの忍耐と奮闘に期待するばかりである。

 

 ま、ここはジュースにアメ玉に、とりあえず甘やかしてみるしかないじゃないか。案の定、後ろの席からママの妹と思われる女子が近づいてきて、アメ玉を押しつけた。しかし男児は頑として受けつけない。「オマエなんかあっち行け!!」と、絶叫のボリュームはさらに上がった。

 

 2歳3歳ともなれば、こういう時の声量はオペラ歌手なみである。密閉&密封されたバスの車内に、3大テノールの1人が出現し、大悲劇のアリアを歌い上げるようなものだ。なぜかアリアは「あぶない」「あぶない」「あぶない」の連呼になった。

 (大阪京橋駅前にて。右は大和、左は京の都に通じている)

 

 アメ玉の次は、もちろんジュースである。ママと妹の間で「暑いんじゃなかか?」「眠いんじゃなかか?」「疲れたんじゃなかか?」「喉がかわいたんじゃなかか?」という低い会話が続く。

 

「暑いの?」「眠いの?」「疲れたの?」と、かわりばんこに男児に問いかけるけれども、かえってくるのは「うるさい!!」「いやだ!!」「あっちいけ!!」「あぶない!!」の連呼ばかり。通路でのバタ足が際限なく続く。

 

 バスは一般道を大回りしてようやく中央環状線に入ったけれども、延々と続く長いトンネルに突入しても、大渋滞は一向に改善されない。トンネルに入って、ますます状況は悪くなり、他の客の機嫌もどんどんトゲトゲしくなって、一触即発の雰囲気である。

 

 いつ誰が「チャンと叱れよ」「うるせえんだよ」と怒鳴り出してもおかしくない状況。アメ玉が通路に散乱し、下手をすれば握らせたジュースのペットボトルをブンブン振り回しそうな勢いだ。

(大阪京橋名物の「グランシャトー」。オジサマが大好きなあらゆるレジャーがギュッと凝縮された夢のお城である)

 

 これはもう今井君が助け舟を出すしかないじゃないか。何しろ超ベテランの予備校講師だ、こういう暴れん坊への対処の仕方も心得ている。

 

「普段のシツケがなっていない」

「言葉遣いや公共交通機関の中での行動を、しっかりシツケておくべきだ」

そういうことをいま言っても、仕方がないのである。確かにシツケが行き届いていないし、他人にこれほどの迷惑をかけているのは問題だけれども、それは今度の経験でママが学べばいいことである。

 

 今後のシツケの重要性については、おそらくママがギュッと身にしみたこととして、とりあえずこの場を何とかするには、やっぱり今井君の登場を待つしかないじゃないか。躊躇に躊躇を重ねた上で、おずおず声をかけてみた。

 

 ここは諸君、「おずおず」という態度が大切だ。ママだって動転して気が立っている。周囲の人間がおかしなことを言い出せば、すべてを敵意と受け取る可能性もある。あくまで「おずおず」。「あのー、補助席を出して、座らせてあげたらいいですよ」。小さめの声でアドバイスするのである。

 

 2歳男児、3歳男児ともなれば、ママへの依存心より、むしろ独立心や自尊心のほうが大きく前面に出ることがある。今井君もかつては男児だったからよく記憶している。

 

 男児とはマコトに難しい存在であって、たくさんの人々の目の前でママに抱っこされているのが恥ずかしくてたまらない。「どうしても1人前に扱ってほしい」、そういう気持ちがギュッと前に出てきたら、もう絶対にママに甘えるのはイヤなのだ。

(大阪グランフロントのクリスマスデコレーション。ブルーやピンク、真紅や純白に刻々と色彩が変化する)

 

 ママは一瞬とまどって、今井のコトバを敵意の表出と勘違いしたかもしれない。通路の補助席を出してみるまで、十数秒の間があった。しかし諸君、実際に補助席を出して、ポンと席に座らせてもらうと、男児の絶叫は嘘のように静まった。めでたし&めでたしである。

 

 あとはアメ玉を口に入れて、1分も経たないうちに補助席でスヤスヤ眠り込んでしまった。おお、ホンマにめでたし&めでたし。シーンと静まり返った渋滞のバスの中、疲労に疲労を重ねた今井君も、到着まで十数分の惰眠をむさぼることにしたのである。

 

 別に、自分の手柄を自慢しているわけである。かっかっか、さすが人生の大ベテランだ。バスを降りる時、ママが「すみませんでした」と声をかけてくれたので、「このぐらい大きくなったら、1人分の席をとってあげたほうがいいですよ」と、ここでもまたオズオズ言ってみた。

 

 確かにオカネはかかるが、ヒコーキで九州から東京までくるオカネに比べたら、バス料金ぐらいそれほど大きい負担ではないはずだ。男児の独立心&自尊心を尊重して、「今日からはちゃんと1つ席を取ってあげるからね」と言ってあげれば、厳しく叱ったりシツケたりしなくても、男児はちゃんと大人になる。

    (大阪京橋、保護者対象講演会の大盛況 2)

 

 ま、そういう夕暮れであった。考えてみれば、長い出張だった。日曜の朝に東京を出て、金沢・福井・奈良・大阪と巡り、木曜日まで4泊の出張。気がつけばすでに週末であって、冬至間近の19時の新宿は、忘年会の真っただ中である。

 

 これからもう1週間お仕事に励んで、仕事納めの後はいきなりロンドンに旅立つのであるが、とりあえず今日は仕事の写真も掲載しておく。1211日は奈良の大和八木、12日は大阪京橋、ともに保護者対象の教育講演会だった。

 

 しかし諸君、激しく泣き叫ぶ男児でも「座らせてあげたら」の一言でスパッとニコニコさせられるほどの大ベテランだ。講演会の見事さはむしろ当然である。集まった全ての保護者を、たった90分で我々の大ファンにしてみせる手際は見事の一語に尽きる。

 

 それどころか、「今度は生徒ご本人に今井の話をナマで聴かせられるように、校舎側にどんどん要望を出してください」とまで言い切り、宣伝広報活動ばかりでなく、ぐいぐい前向きな営業活動までやって、意気揚々と帰京したのである。

 

1E(Cd) COMPLETE MOZARTDIVERTIMENTISERENADES 1/11

2E(Cd) COMPLETE MOZARTDIVERTIMENTISERENADES 2/11

3E(Cd) COMPLETE MOZARTDIVERTIMENTISERENADES 3/11

6D(DMv) GOD'S POCKET

total m46 y2012  dd24482