Sat 181117 おおぼけ&こぼけ、日帰りの旅/旅依存症/大歩危の舟下り 3755回 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Sat 181117 おおぼけ&こぼけ、日帰りの旅/旅依存症/大歩危の舟下り 3755回

 これだけ日々旅をしていても、それでもまだ旅に出たくなるというんだから自分でも恐れ入る。昨年はモロッコ・メキシコ・キューバ・ノルウェー・シドニー周辺とエアーズロック。2017年はいつもにも増して激しい旅の1年だった。

 

 今年は少しだけ反省して大人しく、トゥールーズ・サンマロ・シルミオーネ・チンクエテッレ・ミラノ周辺。大人しくしていたせいか、最近になって何だか両手がワナワナしはじめた。

 

 映画やドラマにに登場するアルコール依存症の人がワナワナするのとおそらく似たような原理で、旅依存症ないし旅中毒の今井のお手手も、旅が不足するとワナワナし始めるらしい。ワナワナ&ワナワナ、こんな状況になるともう居ても立ってもいられないので、大慌てで日帰りの旅を企画した。

   (秋の1日、おおぼけ&こぼけの旅に出る 1)

 

 11月中旬の日本は、まさに紅葉真っ盛りであって、日帰り旅の目的地には事欠かない。京都でも奈良でもいいけれども、諸君、京都では11月8日にお仕事をしたばかりだ。

 

 1113日、高雄・槇尾・栂尾あたりは紅葉狩りにベストの状況だったらしいが、そうまで京都京都と大騒ぎしなくてもいいじゃないか。仕事ではなかなか行けないところへ旅をしたい。ANAのマイルも十分に貯まっている。日帰りのヒコーキ旅を、ヒコーキ代0円で満喫できそうだ。

 

 選んだのは、大ボケ&小ボケの旅である。今井君自身が「大ボケ」の名にふさわしい存在だし、それに付録として「小ボケ」がくっついてくるなら、なかなか豪華な日帰り旅になりそうだ。13日朝6時にオウチを出て、新宿バスタ発6時半のバスで羽田空港に向かった。

   (秋の1日、おおぼけ&こぼけの旅に出る 2)

 

 大ボケ&小ボケとは、ちゃんと漢字で書けば「大歩危&小歩危」であって、まず羽田から高知空港に飛ぶ。高知と言えばずいぶん遠いところにありそうだが、「ヒコーキでビューン」をやれば、わずか1時間ちょいの旅程。坂本龍馬もビックリ、あっという間に南国♡土佐に到着した。

 

 高知は、ホントに久しぶりだ。大学4年の3月、友人4人とともに四国を旅して以来、おそらく数百年ぶりの高知である。あの時はまだ本州と四国が橋で結ばれていなかったし、「ヒコーキでビューン」などという贅沢のできる身分ではなかったから、高知はマコトに遠かった。

       (とりあえず、ごめん 1)

 

 当時はまず「四国周遊券」と言ふ古式ゆかしいものを購入したのである。周遊券を買えば、四国までの往復と、四国の国鉄全線を利用できた。まだ四国を縦横無尽に走り回っていたいろいろな「急行列車」の自由席にも乗れた。

 

 東京からの夜行列車で岡山にたどり着いたのが朝4時。岡山から宇野までは各駅停車で移動、宇野と高松を結んでいた「宇高連絡船」に乗り、2時間だか3時間だかかけてやっと高松に到着した。

 

 高松から土讃線の急行に乗り込み、ほうほうのていで高知に到着したのは、東京を出発してまるまる一昼夜が経過した頃だった。桂浜の近くに宿をとり、一息ついた段階で、何だか分からないがちょっとした口ゲンカが始まった。長旅の果てに、みんな心まで疲労しきっていたらしい。

       (とりあえず、ごめん 2)

 

 あれからすでに数百年が経過した。大ボケ&小ボケも数百年ぶりと言ふことになるが、どういうわけかワタクシには大ボケ&小ボケの記憶が全くないのである。

 

 大ボケ&小ボケからバスで1時間ほどの所に「かずら橋」で有名な祖谷渓があり、平家の落人が隠れ住んだほどの深い深い山奥であるが、今井君の大学生時代のアルバムには、かずら橋の写真が1枚ポツンと残っているだけであって、大ボケ&小ボケの写真は1枚も存在しないのだ。

  (後免から特急「南風」で1時間、大歩危に到着する)

 

 まあさすがに、数百年前の大学生だ。カメラなんか持っているヤツはほとんどいない。スマホのスの字もなし、ケータイのケの字もなし。「写ルンです」を友人の誰かが駅の売店で買って、それで旅の写真を全て済ませた。

 

 だから諸君、1週間も四国を旅したのに、アルバムに残った写真は数枚だけなのである。道後温泉が1枚、祖谷のかずら橋が1枚、はりまや橋と室戸岬が1枚ずつ、急行「いよ」の勇姿が1枚。たったそれだけであって、足摺岬もなければ金比羅さんもない。

 

 大ボケ&小ボケについては、写真ばかりか記憶もない。記憶力の鬼である今井の記憶にないとすれば、あの時は立ち寄らなかったに違いない。「酔っ払っていて覚えていない」という可能性もゼロではないが、諸君、今井君はどんなに酔っ払っても「記憶をなくした」という経験は皆無なのだ。

 

 だからおそらく今回が、我が人生初の大ボケ&小ボケの旅になる。これほど有名な四国の名勝を「初訪問」とは、ワタクシもずいぶん怠けてきたものである。ハバナだのブエノスアイレスだのブダペストだのをのし歩いても、意外に大ボケ&小ボケみたいな近場を忘れていた。

     (ついに大歩危を写真に収める 1)

 

 高知空港からタクシーで「ごめん」の駅に向かう。「後免」と書いて「ごめん」と読む。高知市中心部まで路面電車でつながっている。

 

 小学生の頃、「ごめん」という面白い名前の駅がありますという記事を雑誌で読んで、行ってみたいな&行ってみたいなとコブシを握りしめ、しかし怠けに怠けているうちに数世紀の時が流れた。後免もまた我が「初ごめん」。今回の日帰り旅は、こうして「初ものづくしの旅」になった。

 

 後免から大歩危までは、3両編成のディーゼル特急で1時間。大歩危も無人駅、小歩危も無人駅。それでも大歩危には切符の自動販売機があるが、小歩危のほうはそれもナシ。掘っ建て小屋のような駅舎には電気もナシ。列車に乗り込んでから乗務員さんに申し出て切符を入手する。

 

「ごめん」の町には明るい朝日が差していたが、土佐山田を過ぎる頃から次第に雲が多くなって、いくつものトンネルを抜けて深い山に分け入ったあたりで、細かい霧雨が降り出した。冷たく濡れた奥山の中に、山吹色に黄葉したイチョウの木々が鮮やかである。

     (ついに大歩危を写真に収める 2)

 

 大歩危到着、11時半。大歩危から小歩危まで約2時間の徒歩の旅を満喫する計画である。無人駅の外に出て、1軒だけ元気に営業中の「おおぼけマート」を過ぎる。吉野川の橋をわたると、いよいよ渓谷沿いの道に入る。

 

 気持ちのいい広い歩道が車道沿いに小歩危まで6kmだか8kmだか延々と続いている。車道のほうはダンプやら大型バスやらが頻繁に走っていてマコトに剣呑な雰囲気だが、歩道からは遥か眼下に渓谷を望むことができる。

 

「遥か眼下に」と入力したワタクシを、Mac君は「春香眼科に」と変換しておちょくりまくる。若い女医さんのやっているお目目の病院であろうか。しかしそれにも負けない違和感のある看板が間もなく見えてくる。「おおぼけタクシー」というのである。

 

 うーん、ここは漢字で「大歩危タクシー」にした方が 無難じゃなかったか。おおぼけなタクシーには、なかなか乗る気がしない。今井君は微かに降り続ける初冬の霧雨の中、小歩危まで2時間弱の散策を楽しむことに決めた。

     (おおぼけタクシー、元気に営業中)

 

 歩き出して15分、「舟下りのりば」に到着する。大歩危の静かな渓谷を20人乗りほどの舟で下り、約15分行ったところで引き返してくる。その先の小歩危には、ラフティングに使用するような浅瀬の急流が続くから、舟はスゴスゴ引き返してくるしかないのである。

 

 いかにも昭和な建物の階段を降り、さらに坂道を下って乗り場に向かう。いかに偏屈なサトイモ入道と言っても、まさか大歩危を訪ねておいて「舟下りの舟には乗りません」「ひたすら散策です」と喝破するわけにはいかないのである。

 

 ここでもまた中国語が優勢。「シンガポールから来ました」という集団もいて、日本語は甚だしい劣勢である。霧雨の中を舟が静々と進むと、両岸から巨大な片岩の岸が迫り、巨岩のてっぺんに大きな鵜が平然と佇んで、至近距離からこちらを睥睨していたりする。

     (ついに大歩危を写真に収める 3)

 

 右も左も急峻な高い崖の谷川である。もし晴れていれば水面が光って水中は見えないだろうが、川の水は霧のおかげで透明な深い暗緑色を呈し、水底までキレイに見透せる。晴れているばかりが好天ではないのだ。

 

 両岸の崖は常緑樹が優勢だが、ところどころに黄葉や紅葉の広葉樹が混じり、その赤や黄色が暗緑色の水面に映ってこれもまた絶景である。いやはや大歩危&小歩危、マコトにいい日に訪問した。

 

 川を下り終え、折り返し点から舟はちょっとスピードを上げた。先ほどの鵜は、まだ平然とこちらを見つめている。舟から上がって12時半。団体バスツアーの人々は「ここで昼食」という段取りのようだが、ワタクシには縛られなければならないスケジュールは存在しない。

 

 帰りの列車は、小歩危駅1411分の発車予定。その次は17時過ぎの列車までないから、帰りのヒコーキに間に合うためには、小歩危までの道のりを約90分で踏破しなければならない。だからここでのランチは中止。まだ晴れない霧の道を、いささか急ぎ足で歩き出したのである(次回に続く)。

 

1E(Cd) Richter & MünchenerBACHBRANDENBURGISCHE KONZERTE 2/2

2E(Cd) Lucy van DaelBACHSONATAS FOR VIOLIN AND HARPSICHORD 1/2

3E(Cd) Lucy van DaelBACHSONATAS FOR VIOLIN AND HARPSICHORD 2/2

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