Sat 180818 劇画ミラクルはまだ続く/2点スクイズ/吉田君が心配だ 3700回
熱血♡野球劇画は、まだまだ続くのである。2点スクイズだなんて、まだツーランスクイズへの警戒が薄かった1980年代までの話だと思っていた。それが2018年8月、1点負けている最終回の土壇場で炸裂するんだから、これ以上の熱血劇画が考えられるだろうか。
昨日の3回戦で劇画的な大逆転3ランホームランに感激。「高校生活初のホームラン」が甲子園のバックスクリーンに飛び込むだなんて、普通にマンガに描いたって、きっと編集者が「ストーリーが無理すぎるんじゃありませんか」と冷たく呟いてボツ、ゴミ箱行きのレベルである。
しかもその直後の最終回は「3者三振」。カナノーのピッチャーが、横浜高校の打線を3者三振に仕留めてゲームセット。これもまた、編集者が冷たくニヤリとしてボツ、ゴミ箱行きの憂き目を見るストーリー展開だ。
要するに諸君、3回戦の金足農 vs 横浜の戦いには、「編集者ニヤリ」「ボツ」のレベルの展開が、少なくとも2回あったのだ。さらにその前、「吉田君のバックスクリーン同点ホームラン」もまた「ニヤリ」「ボツ」の世界。ニヤリとボツが3つも続いて、それがミラクル勝利につながった。
(甲子園には行かないで、カナノーの奮戦をニャゴと見守った)
ワタクシはすでに4半世紀にわたって、カナノーの奇跡について語り続けてきた男である。1984年のミラクル、1995年もミラクル、特に1995年は、今年の吉田君に勝るとも劣らない大エース♡千葉君が、怪我で1度もマウンドに立てない中での泥んこのベスト8だった。
だから諸君、ニャゴとともに部屋でコブシを突きあげるほどに、嬉しくて嬉しくてたまらない。3回戦は、吉田君の同点ホームランで1回、8回の高橋君の逆転ホームランで4回、9回の3者三振で2回、勝利が決した瞬間に3回、合計10回もコブシを天に突き上げたのだ。
だってそうじゃないか。ワタクシがカナノーを語り始めたのは、河合塾の講師になった1992年。今でも忘れられないが、最初に語ってみせたのが、河合塾の千駄ヶ谷・東校舎だった。
バント徹底とスクイズ徹底の姿勢が、1984年の初出場チームをベスト4に導いた。「だから諸君も基礎基本徹底だ」と熱く語ると、千駄ヶ谷東校舎の教室が大きくどよめいた。
今はなき河合塾千駄ヶ谷校は、当時の東京本部校舎。しかし千駄ヶ谷校とは違って千駄ヶ谷「東」校舎は、あんまり英語力の高くない生徒が集められていた。「そうか、それなら自分たちも基礎徹底でいこうじゃないか」と、多くの生徒諸君が固いコブシを固めたのである。
(金足農の奮戦に夢中のニャゴ。中盤の同点スクイズに熱く頷く)
そりゃ、小学生時代から有名塾のライバルにギューギュー揉まれ、都会の中高一貫教育を受けてきたエリート集団なら、話は別だ。予備校の世界でも、やっぱり私立エリート校は完全に別格扱いなのだ。
しかし諸君、河合塾でも千駄ヶ谷「東」校舎、駿台でも池袋「新館」とか大宮「研修館」とか横浜「SS館」、そういう付属校舎に回される生徒諸君は、「基礎基本徹底♨︎」という今井のコトバに飢えていた。
今井君は自分自身が「地方の公立高校」出身だから、できるだけ彼ら彼女らの味方になってあげたいのである。田舎の普通の公立校で、教科書も半分しか終わらないような授業を受けてきた諸君に、バント徹底、スクイズ徹底、熱い基礎基本徹底の重要性を説きまくりたかった。
思えば長いもので、すでに4半世紀が経過したのである。その間に金足農も何度か甲子園に出場。しかしさすがに私立エリート校の壁は厚く、滅多なことで打ち破れるものではない。
秋田県チームは連戦連敗、ついに「13年連続初戦敗退」と、なぜか天下の朝日新聞が面白おかしく書きたてた。生まれてからずっと朝日新聞を購読しているが、その件でどうも朝日がキライになったりした。
(今井ブログのアクセス数も、たいへんなことになっている)
そして諸君、2018年8月18日、今年の準々決勝がやってきた。横浜高校を大逆転ホームランで撃破した昨日の記憶はあまりに熱く、ワタクシもとても眠れるものではない。
いろいろネットをクリックしているうちに、吉田投手の心配な発言を発見した。
「横浜戦の5回6回ぐらいから、股関節が痛くなった」
「あんまり痛いから、プレートの踏み方を工夫した」
「最後は、信じられない力が出ました」
というのである。
肩や肘については、以前から「無理しないほうがいい」「毎試合160球も投げてたらコワれちゃう」「スカウトがみんな心配してる」という声が各所で上がっていた。それがどうも、股関節に出ちゃったのかもしれない。
準々決勝の甲子園は、朝から異様な雰囲気である。もちろん他の7チームのファンも多いんだろうけれども、うーん、判官ビイキの甲子園の観客は、一様に第4試合のカナノーを応援にやってきた気配。それぐらいの濃厚濃密な魅力が、今の金足農にはあって、むしろ「金足濃」に近い神がかりな魅力である。
素晴らしい熱戦の連続の後で、午後4時、カナノー vs 近江の試合が始まった。その展開と結果は、読者の皆様もご存知の通りであって、もし「まだ」というヒトがいらっしゃったら、今すぐ「バーチャル高校野球」で「試合丸ごと」をご覧になっていただきたい。
(9回裏のミラクル2点スクイズが決まった瞬間。ニャゴもマブタを大きく見開いた)
マウンドに上がった吉田君は、明らかに昨日までとは表情が違う。それでも優しく明るい笑顔で投げ続けるのだが、一目で「どこか痛いのかな」と感じさせる投球である。
最速145kmだったか146kmだったか、確かにそういう数字も出るし、奪った三振もまたまた10個超えなのだが、力のある直球は減って、変化球を多投する。あとは、気力というか気迫というか、正確には「気魄」と書くのであるが、チーム全員で近江打線を2点に抑え込んだ。
0アウト1塁2塁のピンチが2回連続しても、なんとか0点に抑える。その姿が9回裏、夕暮れの甲子園の異様な雰囲気につながった。数万の観衆がほぼ全員で、カナノーの大逆転を後押しすることになるのである。
それにしても諸君、「無死満塁からの2ランスクイズ」、完璧にセオリーを逸脱したミラクルは、こりゃホントに劇画を超越する神がかりだ。股関節に痛みを覚えた手負いのエースが、それでも140球 & 10三振の熱投だなんて、まさに今後100年の語り草になりそうだ。
あの場面でバントを決めた斎藤君には、まさに大喝采。3回戦で大逆転ホームランの高橋君は、今日もスクイズバントに見事に反応して同点のヘッドスライディングを決めた。
スクイズ決行の時に2塁走者だった菊池ヒューゴ君は、2回戦で「ど根性ゼミを背中にくっつけて3塁打」「ヘッスラしてもセミと一緒」という驚異の伝説の持ち主。日替わりで伝説の男が続出するドリームチームである。
吉田君が、このあと無事に大選手に成長して、メジャーでも大活躍、150回大会で満面に笑みをたたえ、レジェンド始球式をやる瞬間が、今から楽しみだ。彼のことだ、70歳になっても、ズバーンと外角高めの直球を投げ込むんじゃないか。
(ニャゴも吉田君が心配だ。悩みはマコトに深いのである)
そのためにも、もしもカナノーが残り2試合、伝説というか神話というか、真に劇画を超える夢を実現するとすれば、どうやら20日の準決勝に、思いもかけない控えのピッチャーが突如として登場、「6回パーフェクト」とか「8回まで2塁を踏ませない」とか、もう1つのミラクルを夢見るところである。
もちろん、秋田県の公立農業高校だ。そんな贅沢は言いっこなしである。しかし諸君、4番サードの打川君は、中学時代からの吉田君の親友である。中学時代はピッチャーとして吉田君のライバルだったんだそうだ。身長190cmに近い堂々たる体躯を見ると、そのミラクルを期待するのも、それほど非常識ではないかもしれない。
では今井君は、準決勝の20日の午前10時、甲子園に姿を現すんだろうか。実は今日も「行こうか or 行くまいか」、ギリギリまで迷っていたのである。しかし諸君、やっぱりワタクシは吉田君の股関節が心配でならない。大人しくお部屋でニャゴと観戦という結論になりそうだ。
1E(Cd) Karajan&Berlin:HOLST/THE PLANETS
2E(Rc) Amadeus String Quartet:SCHUBERT/DEATH AND THE MAIDEN
3E(Rc) Solti & Chicago:BRUCKNER/SYMPHONY No.6
4E(Rc) Muti & Philadelphia:PROKOFIEV/ROMEO AND JULIET
5E(Cd) Midori & Mcdonald:ELGAR & FRANCK VIOLIN SONATAS
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