Fri 180817 野球劇画「カナノー」のススメ/ワタクシ、甲子園に行くかも 3699回
マンガ家志望の諸君、これはもう実録の劇画として、今すぐデビュー作「カナノー」を描き始めたまえ。実名「金足農」ではさすがに恥ずかしいだろうから、「鉄農」とか「銀農」とか「激農」とか、何かそういうチーム名を直ちに考えることから始めようじゃないか。
100回の節目の大会だ。ホントは大正4年の第1回大会で準優勝した秋田中に出場してほしかった。我が母校・秋田高校である。しかし、カナノー、素晴らしいじゃないか。授業の合間に熱く語り続けてきた甲斐があったと言ふものだ。
これは間違いなく、昭和野球マンガの世界である。吉田君が1人で投げ抜くスタイルに、各方面から心配の声が上がっているが、「タッチ」の上杉達也も、確か予選から甲子園まで全試合を剛速球1本で投げ抜いて優勝したはずである。
背中にド根性ゼミがくっついたまま三塁打、三塁にヘッドスライディングしてもまだセミ君はしがみついている。2回戦・大垣日大高を倒した試合での心温まる逸話も、劇画のワンシーンとして十分に取り入れていいと信じる。
8月17日のお昼、何を隠そう今井君は、自室で派手にコブシを突きあげた。もしもそこに蜂や鳥がいたら、コブシの勢いで巻き起こった突風に驚き、気絶して床に墜落するほどの、強烈なコブシの一撃だった。
(再び「串カツ田中」を訪れ、ニンニク丸揚げでパワーをつける)
1回の表、三塁打と四球と失策が絡む最悪の展開で、横浜高校に2点を奪われる。こりゃいかん。いつもの今井君なら、落胆してサッサとテレビの前を離れるケースである。
諸君、秋田県人には、ノリノリになっているときはホントに心からノリノリで、イケイケ&どんどん、かさにかかって攻めまくるタイプの人が多い。ワタクシはまさにその典型で、ノリノリでグイグイ進み始めた今井の授業の勢いは、もう誰にも止められない。
しかし逆に、いったんションボリしてしまうと、ションボリはションボリを幾何級数的に増幅して、あっという間に「どうでもいいや」と投げやりに全てを放置、もしそれが20歳以上なら、知らん顔で昼酒に酔っ払い始めたりする。
だから高校野球なんかでも、初回や2回にビッグイニングを作られてしまうと、16ー1とか18—2とか、歴史や記録に残りそうな大敗を喫することになる。県内のテレビ視聴率も、突然ガクンと落ちるんじゃあるまいか。
かくいう今井君も、「知らんぷりでテレビの前を離れる」というションボリ人間。何かがうまくいかない時に、「最後まで諦めずに頑張り抜こう」 の類いの粘り腰は、残念ながら持ち合わせていない。
だから浪人して駿台予備校に通い始めても、5月上旬の模擬試験の数学で惨憺たる得点を取るや、いきなり予備校の授業に関心を失って、池袋だの高田馬場だのの名画座で時間を潰すようになった。
オトナになって以後の野球観戦でも、行動パターンは全く一緒であって、昨年の夏の甲子園は秋田代表・明桜高のエースピッチャーが肩の脱臼で登板できず、序盤で大量点を失った段階で、テレビなんかサッサと消しちゃった。というか、「テレビなんか捨てちゃおう」と決意したぐらいだった。
(夕暮れの「串カツ田中」。金足農旋風の歓喜をギュッと噛みしめる。明日も20日も21日も、きっとここで祝杯を上げたい)
そういう危険な人間だから、今年の高校野球はPCで見ている。世の中はマコトに便利になって、「バーチャル高校野球」をクリックすれば、PCでもスマホでもナンボでも自由に観戦できる。
ブログを書き続ける必要がある以上、テレビなら捨てられても、このMac君をブン投げるわけにはいかない。そのぶん、まあ安全なのである。1回戦の鹿児島実戦はスマホで、2回戦の大垣日大戦はMac君で、吉田君の熱投と、彼の素晴らしい仲間たちの大健闘を満喫した。
秋田県チームがベスト8入りするとすれば、3年前の秋田商以来である。あのときは左ピッチャー成田翔君の激投。今回は吉田君。どうも秋田のピッチャーは、1試合の投球数が多くなる傾向があるみたいだが、何しろ他県から選手集めのできない公立校ばっかりだ。致し方ないだろう。
そうやってグッと辛抱して眺めていたら、いきなりバックスタンドに飛び込む「同点2ランホームラン!!」の声。今井君の鉄のように硬いコブシが、天井まで届く書架が9つ並んだお部屋に高々と突き上げられた。
その後も、さすがにスーパー優勝候補の横浜だ。どこのチームに行ってもエース級になれる好投手が3人もいる。打線もセミプロ並み、さすがの吉田君でも、打たれたヒットは12本にのぼった。6回 → 7回と着実に差を広げられていく展開に、ションボリ系のサトイモはもうすっかり諦めていた。
しかし諸君、すげーじゃねーか。8回裏にまたまたバックスタンド、3点ホームランが飛び込んじゃった。大逆転、5-4。これがマンガか劇画でなくて何だと言うんだ?
(馬肉の燻製で、もっともっと体力を増強する。「明日か20日、甲子園に行ってこようかな♡」と、恐ろしい決意が湧き上がる)
「マンガ?」「劇画?」「スポ魂ドラマ?」。その思いを強くしたのは、9回表の吉田君の投球である。3者三振。ズバーンという轟音とともに、キャッチャーのミットからモクモク、嘘のように立ち上る砂ケムリ。ボールを受けるキャッチャーの決死の表情もまた劇画の世界である。
甲子園で3試合、まだレギュラーメンバーに1人の交代もない。「高校生活で初めてホームランを打ちました」という選手が次から次へと出現。ほとんど「神がかり」の世界であって、いやはや、これはどうにかして優勝させてあげたいじゃないか。
授業中に今井が語る前回の金足農旋風は、1984年のこと。初出場の夏に、一気にベスト4まで勝ち上がり、桑田&清原が君臨したPL学園をねちっこいバントの構えで追い詰め、「勝利まであと6アウト」まで迫ったエピソードは、この1ヶ月いろんな新聞で雑誌で取り上げられてきた。
しかしむしろ今井が語りたい金足農旋風は、1995年のベスト8進出なのである。1回戦11−4、2回戦4−2、3回戦8−6、徹底したバント攻勢で勝ち進んだ。エースナンバーの千葉君が怪我で投げられず、背番号3と7と8の継投で勝ち進む泥んこの姿も感動的だった。
(チーズ、牡蠣、うずら、キス、山芋、ニンニク。たっぷり栄養をつけようじゃないか)
しかしいくら神がかりめいてきても、今日160球以上を熱投した吉田君が、明日もまた1人で投げ抜くことを考えると、4人もエース級を揃えた相手の近江高が羨ましくてならないのである。
「全員が秋田の子」のその中に、1回でも2回でも抑えられる投手がいたら、さぞかし心強かっただろう。そこでどうしても思い出してしまうのが、2007年の「今野君」である。
4回まで好投していたエース高橋君の鎖骨のあたりを、相手の打球が直撃したのである。そのまま立ち上がれずに、負傷退場。「どうすんだ?」「どうすんだ?」という不安の視線の中、急遽登板した今野君は、見るからにひ弱そう。投げる直球も打ちごろのハーフスピードで、大量点は必至と思われた。
しかしその今野君が、最後まで見事に踏ん張ったのである。2−1で敗れはしたが、1995年に次ぐ奮闘は、長くサトイモの頭脳に刻み込まれている。
もちろん、だからと言って明日の準々決勝、吉田君以外のピッチャーがマウンドに上がったんじゃ、やっぱり困るのである。こんなに昭和で20世紀な野球劇画の感激が、ここで終わってしまうんじゃイヤじゃないか。
準々決勝の後には、1日のお休みがあるらしい。天気予報によれば雨天順延は望めそうにないから、あとは我々の熱い応援あるのみだ。熱戦を期待したい。
(気合タップリの8月17日午後、早稲田大学政経学部2018年の全問題を解説する)
というか、熱く期待するあまり、今井君は明日の午後3時ごろ、甲子園に姿を現す可能性もある。ヒコーキで伊丹空港まで1時間。伊丹から甲子園は目と鼻の先じゃないか。カナノーの試合は、明日の第4試合。昼のヒコーキに乗れば、十分に間に合うはずだ。
もちろん諸君、今の今井は「過去問解説講座」の収録で吉祥寺のスタジオに籠もりきり。予習も忙しくて、甲子園への日帰りは厳しそうだ。まあその分、今日もまた「串カツ田中」でゲンを担ぐことにした。
新聞の折込チラシに「10%割引クーポン」を発見。ハサミで丁寧に切り取って、3日ぶりに「串カツ田中」に闖入した。何と言っても体力勝負だ。思い切って「ニンニクの丸揚げ」を注文、カナノーの選手諸君に代わって、ニンニクパワー全開になっちゃった、何とも愚かなキウィ君なのである。
1E(Cd) Bonynge:OFFENBACH/LES CONTES D’HOFFMANN 1/2
2E(Cd) Bonynge:OFFENBACH/LES CONTES D’HOFFMANN 2/2
3E(Cd) Cecilia Bartoli:THE VIVALDI ALBUM
4E(Cd) Herb Alpert’s Tijuana Brass:WHIPPED CREAM & OTHER DELIGHTS
5E(Cd) Akiko Suwanai:DVOŘÁK VIOLIN CONCERTO & SARASATE
total m86 y1457 dd23927