Wed 180815 VIVA 金足農/昭和な「商」と「農」の活躍に酔う/収録が続く 3697回 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Wed 180815 VIVA 金足農/昭和な「商」と「農」の活躍に酔う/収録が続く 3697回

 いやはやマコトに年甲斐もないことだが、1150分から高校野球中継にかじりつき、めったやたらに興奮して熱い涙を止めることができず、試合は長引いて14時すぎ、慌ててスマホを握りしめ、タクシーを呼んで吉祥寺に向かった。

 

 8月14日、この日も15時から吉祥寺のスタジオで収録があったのである。3日連続の収録だ。前日が明治大学文学部の過去問解説で2時間。14日は早稲田大学文学部の解説授業で3時間、スタジオにこもるのである。

 

 こういう日々に大興奮の高校野球観戦がプラスされれば、サトイモの頭脳は熱くなりすぎて、もくもく湯気だかケムリだかを上げ始める。ゆでイモ状態、または(もしもそういうものがあるとすれば)焼きサトイモ状態であって、接近するすべてのヒトがその扱いに困惑する。

 

 英語では、そういう存在を「Hot Potato」と呼ぶ。扱いにくい厄介な問題、普通の人の手に余る難問、有名人のスキャンダルなどがHot Potato。ラッセル・クロウ主演の映画「Mystery, Alaska」で、熱いポテトをみんなで投げ合うシーンがあるが、それがまさにそのHot Potatoというヤツである。

  (油断ない肉食獣とともに、金足農の奮戦を見守る 1)

 

 では「どうして今井君がそんなホット里芋になってしまったか」であるが、そりゃ諸君、金足農の大活躍のせいに決まっている。ワタクシが甲子園での金足農の活躍について授業で紹介し始めてから、すでに20年が経過している。23年ぶりのベスト16進出で、今井が興奮しなくてどうすんだ?

 

 まあ諸君、そのあまりに昭和な戦いぶりに注目してくれたまえ。メディアに紹介されるのは、プロ注目の好投手・吉田君の超絶スーパー投球についてばかりだが、むしろ日本中の若者たちに感激して欲しいのは、21世紀のど真ん中に出現した20世紀チームの古風な戦いぶりなのである。

(金足農が甲子園出場を決めた日。今井ブログの順位もグイッと上がる)

 

 何と言っても諸君、「◯◯農」というチーム名が嬉しいじゃないか。やっぱり高校スポーツは「◯◯商」「△△工」じゃなきゃいかんぜよ。その意味では、今回も見事な戦いぶりで勝ち上がっている富山県の高岡商、高知県の高知商にも絶賛の拍手を送りたいのである。

 

 公立「◯◯商」タイプのチームがバリバリ勝ち上がるのは、7年ぶりだか8年ぶりだか、とにかく久しぶりなんだそうな。前回は沖縄県の浦添商と秋田県の秋田商と、あともう1校、記憶に残っていないが、やっぱりその時も秋田が絡んでいた。

 

 松山商・広島商・高松商・徳島商・下関商・高崎商・福島商・所沢商・銚子商・福井商・京都商・岐阜商・静岡商・浜松商・中京商・水戸商・札幌商・宇部商・久留米商・大分商・別府商・唐津商・岡山東商・八幡商。名門校をあげれば、まさに「枚挙にイトマがない」の見本みたいなことになる。

 

「遑」。「枚挙にイトマがない」のイトマは、「遑」と書くのである。21世紀の現代文入試で、いまだに「漢字の書き取り」なんてものが出題されているのかどうか知らないが、もし出題されたらたいへんだから、受験生諸君はぜひ気をつけてくれたまえ。

(金足農の2つ目の勝利の日。今井ブログのアクセス数もグイッと上がる)

 

 だから2018年夏の甲子園1回戦で、ワタクシが一番嬉しかったのは「佐賀商 vs 高岡商」の商商対決だった。あんまり話題になっていないが、その後も勝ち進んだ高岡商が3回戦で大阪桐蔭に挑む。今井としては絶対に見逃せない一戦だ。

 

 その「商」でさえ、最近はあんまり見かけない状況だ。ましてや諸君、「◯◯農」の快進撃は、もっともっとどんどん熱く大きく報道されていいんじゃないか。20世紀には、新潟県の新発田農とか広島県の西条農が活躍したこともあったが、セミプロ軍団が席巻する21世紀の甲子園では、もうさすがにこんな快挙は無理と思っていた。

  (油断ない肉食獣とともに、金足農の奮戦を見守る 2)

 

 もちろんスーパー好投手・吉田君の快投も素晴らしい。前半は抑え気味、3点ぐらい取られても平気、勝機と見るや一気にギアを上げるペース配分には、熱くゲームを組み立てる演出家の才能さえ感じる。

 

 しかし諸君、注目すべきところは他にもっとあるのだ。マスメディアの皆様には、そのマコトに20世紀的な戦い方を是非もっと報道してほしいのだ。1塁にランナーが出れば、1アウトからでもバント。3塁にランナーが進めば、何が何でもスクイズ。高校野球は、やっぱりそう来なくっちゃ。

 

 2回戦、大垣日大高との対戦にどうしてそんなに熱くなっちゃったのかといえば、そういう古風な金足農の戦いぶりに、いつの間にか相手まで巻き込まれて、ありゃりゃ、もう2018年なのに、そこに展開されたゲームは完全に昭和の甲子園に戻っちゃっていたからなのである。

 

 まず、スリーバントの連続。3ストライク目にバントをすれば、ファウルになっても三振の扱いになる。だから21世紀、スリーバントなんてことは、常識的にもう誰もしない。しかし金足農、「スリーバント失敗」をこの試合で2回もした。

  (肉食獣も、ふと睡魔に負けそうになることがある)

 

 1アウトでもバントで2塁に走者を進める。「おお、何と古風な攻撃だ」と涙を拭いていたら、相手の大垣日大高もそのペースに巻き込まれる。なんと「同点なのに4番打者を敬遠」「敬遠でランナーが2人になっても、次のバッターで勝負」という策に出た。

 

 こんな切羽詰まった作戦は、昭和の時代でさえマレな話だった。それなのに金足農ペースに巻き込まれた相手は、ほぼ同じことを7回の守備でも繰り返した。

 

 2アウト2塁で、1番打者を敬遠。あえて2アウト1塁2塁のピンチを自ら作り、その直後に死球を与えて満塁、迎えるバッターは3番、好投手の吉田君。強烈に切羽詰まった昭和の甲子園、「死にもの狂い」な雰囲気を、2度も3度も味わわせてもらった。

 

 3回戦に勝ち進んだ金足農の相手は、何と横浜高校。エース級を3人も揃えるスーパー優勝候補である。絶対エースたった1名、ランナーさえ出ればひたすらバント&バントの金足農に、そんなに勝ち目があるとは思えない。

 

 しかし全国の諸君、ぜひ声を合わせて「農」や「商」を応援しようじゃないか。全員が富山の子、全員が秋田の子、そういう20世紀タイプのチームが、大学生チームにも勝利するセミプロレベルの軍団にかなわないのは当たり前だが、そこに奇跡が起こったら、我々もまた勇気100倍で明日に臨めるじゃないか。

   (今日はこれから早稲田大法学部の解説収録だ 1)

 

 というわけで今井君は、8月14日、熱い涙をようやく拭い終えて、吉祥寺のスタジオに駆けつけた。予備校講師として解説するのがおそらく日本でいちばん難しい早稲田大文学部であるが、まあ諸君、大ベテラン今井の解説はあまりに見事であって、余裕たっぷりでスタジオに入ったのである。

 

 お盆の真っただ中だ。コドモたちは今ごろジーチャン&バーチャンの家で、スイカにモモ、ナシにブドウにトウモロコシ、そういう美味を満喫しながら、流行中の「お盆玉」をもらってガッツポーズの真っ最中だろうに、収録に付き合わされるスタッフの皆さんに、何だか申し訳ない気分になるのである。

   (今日はこれから早稲田大法学部の解説収録だ 2)

 

 前日の13日は、ちょうど吉祥寺に向かう時間帯に強烈なカミナリが鳴り始め、東京はそれこそ「数年に一度しか経験しないような豪雨」に襲われた。タクシーを降りてスタジオに駆け込む数秒で、頭から足の爪先までびしょ濡れのありさまだった。

 

 しかし14日、「商」と「農」の大活躍に感激した今井君の頭上は、マコトに熱く青く晴れわたった。雲は湧き&光あふれて、天高く純白のタマは飛んでいないにしても、今井君も若い人々のためにイザ最高の授業を収録しようと、マナジリを決していたのである。

 

1E(Cd) Solti & ViennaWAGNERDAS RHEINGOLD 2/2

2E(Cd) Solti & ViennaWAGNERDIE WALKÜRE 1/4

3E(Cd) Solti & ViennaWAGNERDIE WALKÜRE 2/4

4E(Cd) Solti & ViennaWAGNERDIE WALKÜRE 3/4

5E(Cd) Solti & ViennaWAGNERDIE WALKÜRE 4/4

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