Thu 180809 金足農の大旋風を期待する/投手1人で投げ抜くと言ふ理想 3691回 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Thu 180809 金足農の大旋風を期待する/投手1人で投げ抜くと言ふ理想 3691回

 これだけ話題になっちゃえば、まさかこの今井君が沈黙しているわけにもいかないだろう。金足農のエース吉田君、予想をはるかに上回るピッチングであって、秋田県出身者としてこんなに鼻が高くなる夏も珍しいのである。

 

 というかワタクシは、3年前の秋田商・成田翔投手の激投にも恐れ入った。初戦の佐賀・龍谷戦で9回1失点16奪三振。3回戦の群馬・健大高崎戦は10回3失点、ベスト8に進出した。

 

 準々決勝・仙台育英戦でも3回までパーフェクト。敗れはしたが、甲子園で4試合、33奪三振、防御率2.51U-18日本代表にも選出された。ドラフト3位指名、今後はロッテでの活躍が期待されている。

    (ねぶた祭り。これが東北人の大迫力だ 1)

 

 21世紀に入ってからの10年、8月の甲子園大会の時期になると、秋田県出身者は肩身が狭かった。「13年連続で初戦敗退」。その不名誉な記録を、天下の朝日新聞が面白おかしく書きまくった。

 

 そんな話は書かないで、そっと黙っていてくれるのが、国民の世論を導く大新聞の節度じゃないか。「秋田県、13年連続初戦敗退」。そんな見出しが全国紙のスポーツ欄に躍ったんじゃ、秋田の小中学生たちは地元のオニーチャンたちの不甲斐なさにガッカリ、野球をやろうという気概も湧かなくなっちゃった。

 

 もともと秋田県は野球にサッカーにラグビーにバスケ、スポーツのマコトに盛んな県なのである。サッカーなら秋田商が全国制覇2回。ラグビーなら秋田工が全国制覇15回。バスケの能代工については、全国制覇が多すぎて、その回数を数えるのが困難なほど。そういう県民なのである。

 

 文部科学省の実施する学力考査でも、ホントにスミマセンがこの10年、他の都道府県に負けたことがない。でも諸君、「甲子園で13年連続初戦敗退」と朝日新聞にあんなに書き立てられたんじゃ、県民はみんなションボリ、戦う気力も失いかけた。

 

 だからワタクシは、まず朝日新聞が大キライになっちゃった。新聞って、弱い者の味方をするのが本業じゃなかったの? 負け続ける県を、「13年未勝利」って、どうして囃し立てなきゃいけなかったの? 

 

 むしろ「第1回大会の準優勝は秋田中」「昭和40年、ベスト4の秋田高校は最終回まで大きくリードしていた」みたいに、もっともっと背中を押してくれるべきだったと思うのだ。

    (ねぶた祭り。これが東北人の大迫力だ 2)

 

 その13年の初戦敗退の歴史の中に、金足農も1度出場を果たしている。あの時は「左のリアル野茂」がエースだった。中盤まで互角の展開。しかし好投していたリアル野茂の肉体を、相手の打球が直撃する。

 

 急遽リリーフした控え投手・今野君は、どう見ても甲子園で相手の強力打線を抑えられるレベルのピッチャーではない。全力投球したストレートが120キロ台。相手の控え投手が投げたカーブより遅い。それでも何とかゲームを組み立てて、終盤まで0点に抑えた。

 

 今井君は、あれこそ高校野球のあるべき姿だと確信するのである。同じことが1995年の金足農にも言えた。最終的にはベスト8まで進むのだが、1995年の金足農には、今年の吉田君や、1984年ベスト4進出の時の水沢君みたいな絶対的エースが存在しなかった。

 

 もう4半世紀も昔のことである。背番号3の佐藤君。背番号7の加藤君。他に、背番号8も登板して、負傷して一度もマウンドに立てなかったエースナンバー1♡千葉君の穴を埋めた。徹底したバントとスクイズの連続で、甲子園ベスト8に勝ち進んだ。

    (ねぶた祭り。これが東北人の大迫力だ 3)

 

 だから8月8日、ワタクシは久しぶりの金足農の大活躍をスマホの画面で眺め、熱い涙をこらえきれなかった。ラーメン屋でタマゴをトッピングしてもらい、ヤケドするほど熱い餃子を生ビールで胃袋に流し込みながら、名門・鹿児島実を相手に14KMax148Km/hを記録した熱投を見つめ続けた。

 

 こりゃどうやら、勝ち進んでも恥ずかしくないチームのようである。読者諸君、応援をよろしくお願いしたい。レギュラーは全員高3生、そこも素晴らしいじゃないか。県大会からずっと高3生9人で戦い抜いてきた。試合中のメンバー交代もナシ。おお、すげー徹底した昭和チームじゃないか。

 

 スタメン以外は全て高2生、それもまた素晴らしい。ベースコーチも高2、伝令も高2。信頼する先輩たちのプレーを、後輩9人が徹底サポートして勝ち進む。

 

 昭和じゃ、昭和じゃ、あまりに昭和じゃ。1984年金足農がベスト4の大旋風を起こした時、その健闘を「雑草軍団」と呼んで讃えたものであるが、2018年、我々は是非とも「昭和軍団」として記憶にとどめたいのである。

    (ねぶた祭り。これが東北人の大迫力だ 4)

 

 だってそうじゃないか。絶対的エースが1人、マウンドに仁王立ち。腕も折れよと投げ抜く闘志。星飛雄馬さえタジタジのストレートは、ワンバウンドするかと思うほどの低めから鋭くホップして、打者の頭を超える高さにズバーンと決まる。

 

 このエースと中学時代からの親友だという4番打者・打川君もいい。おお、デカいじゃないか。春には体重100kgを超えてたという。身長だって「おお、デカい♡」であって、いかにもキャッチャーが似合う彼がサード、万が一の控え投手でもある。

 

 こりゃ昭和の熱血野球マンガの世界だ。トップバッターがなかなかのイケメンだったり、これからおそらく選手全員がどんどん急成長していったり、100回大会を彩るドラマの要素はギュギュッと金足農に集約されている。

   (チキン弁当に特別弁当。これが昭和人の大迫力だ)

 

 ただし諸君、「ピッチャーが1人だけではムリ」という残念なコメントが、ネットには多く流れている。お願いだ、今だけは、それを言わないでいてくれないか。

 

 そりゃハイレベルなピッチャーが3人も4人も控えていて、「次は任せろ」「その次はオレだ」、そういう頼もしい背番号10111718がワンサといるチームが有利なのは当たり前だ。今さら言われなくても、そんなのはあまりに明らかだ。

 

 しかしそんな贅沢を、秋田県の公立の農業高校に求められたって、そんなの無理に決まってる。県境を無視してセミプロ選手をナンボでも受け入れられる高校とは話が違うのだ。

 

 我々がいま応援しようとしているのは、秋田県立金足農業高校だ。「同じレベルの投手が他にもいなきゃダメ」だなんて、主催者サイドの「AERA」の記事に書いちゃうのは、少しおかしくあーりませんか?

 

 幸いなことに金足農の吉田君は、見るからにパワー充実・知力も精神力も肉体IQも抜群の様子。試合日程にも恵まれて、次の登板まで5日、勝ち進めばまた3日の余裕。その後も連投&連投ということにはなりそうにない。

(醤油ラーメンに、タマゴもトッピング。これが今井の大迫力だ)

 

 しかし諸君、例えば「優勝」ということを考えた場合、今の甲子園大会では6つの試合に完投し、延長戦がなかったとしても、もしもピッチャーが1人なら、合計54イニングを投げ切らなきゃいけない。

 

 1試合150球として、1000球に近い。牽制球とか、フィールディングとか、そういうのを含めれば、1人エースの肩や肘への負担は計り知れない。

 

 そういうことまで考慮するなら、「甲子園をもっと短く」という縮小案だって、本来は検討されなきゃいけないんじゃないか。この半世紀、当たり前のように「1県1校制度」が続いてきたが、大昔は大会をコンパクトにまとめて、1週間+αに収めていたのだ。

 

 むかしは、2県1校。若い諸君は信じられないだろうが、昭和の昔はそういう時代があった。京都と滋賀から「京滋代表」。和歌山と奈良から「紀和代表」。秋田と青森から「北奥羽代表」。もっと昔は秋田と山形から「西奥羽代表」。そういう制度で、出場32校になれば、大会は1週間で終わる。そういう時代が長く続いていたのである。

(りんごオヤジの大行進。やっぱり東北はこうでなくちゃいかん)

 

 むかしむかし絶対的大エースが1人で投げ抜いて、日本を代表するような進学校が何度も全国優勝を果たしていた頃の大会は、そういう無理のない運営だったのだ。もし「選手の将来」みたいなことを言うなら、主催の朝日新聞社は、そういう縮小の道だって思い切って検討しなきゃいけないんじゃないか。 

 

 ついでに諸君、今回もしも金足農の大旋風が起こったら、というか、おそらく確実に大旋風が始まったのであるが、今井君も伝説の講座「C組」「B組」「A組」、ビシッとみんな新規に収録し直さなきゃいけなくなりそうだ。

 

1E(Cd) QueffélecRAVELPIANO WORKS 2/2

2E(Cd) MartinonIBERTESCALES

3E(Cd) Cluytens & Sociétédes Concerts du ConservatoireBERLIOZSYMPHONIE FANTASTIQUE

6D(DMv) DIRTY HARRY

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