Tue 180807 一年に一度、浪人生の授業に熱くなる／中等教育を早く卒業せよ 3690回
８月７日は立秋であって、東京はホントにいきなり秋になった。朝５時、外ではコオロギが鳴いている。コロコロ＆コロコロ、あれは間違いなくコオロギであって、アブラゼミとミンミンゼミからいきなりコオロギの天下になった。ツクツクボウシの順番は飛ばされちゃった。
今日の気温は27度までしか上がらないのである。昨日か一昨日までは「27度までしか下がらない」と言っていたし、今朝の大阪や名古屋の最低気温が27度だというのに、東京は最高気温が27度。熱中症直前で呻吟していた我々にとっては、いきなり天国がやってきたような涼しさである。
しかしまだ東北では夏祭りの真っ最中だ。ねぶたも竿灯も今がクライマックスなんだから、秋のスタートはまだ３〜４日待ってほしい。遠ざかる笛の音を聴きながら「ねぶたも、終わっちゃったね」、遥かな太鼓や花火の響きに耳をすまして「ちょっと悲しいね」。そういう風情を楽しみたいじゃないか。
（８月６日新宿、浪人生対象の授業で熱くなる １）
かく言う今井君は昨８月６日、恒例の「浪人生の授業」に出かけてきた。我々は現役生対象の予備校であって、合格実績もすべて「現役のみ」で発表している。講習のみの生徒や、「テスト生」と称する模試受験者を合格実績に勘定しないのは当然であるが、「浪人生も実績には入れません」と、マコトに念の入った潔癖さを貫いている。
しかし諸君、われわれのところにも「浪人生」はたくさん存在するのである。首都圏だけでも、新宿・吉祥寺・千葉・柏・北千住・横浜など、昔の予備校用語で言えばいわゆる「拠点校」には浪人クラスがあって、朝から晩までビシッと＆ギュッと東進で過ごしている。
そして彼ら彼女らの日々は、むかしむかしのメガ予備校の浪人生活とは比較にならないほど厳しいのである。1980年代とか1990年代のメガ予備校、全国の主要駅の前に巨大戦艦校舎を建てて、「建物が立派なんだから → 中身も立派だよ」という錯覚を武器に生きていた予備校なら、１年遊んで暮らすことも可能だった。
「可能だった」などと言うのはまだまだ甘いので、「遊んで暮らす生徒が多数派だった」と表現しても、そんなに大袈裟ではなかった。東京でも関西でも、札幌・仙台・名古屋・広島・福岡の都市圏でも、浪人してメガ予備校に入ってしまえば、「授業をサボってスタバで語る」というのがむしろ多数を占めていたように思う。
（８月６日新宿、浪人生対象の授業で熱くなる ２）
いや、もっとすげーことが日常茶飯になっていた。ワタクシの記憶が確かならば、メガ予備校のチューターとか担任とかアドバイザーとか、要するに日常的に生徒に接する大人たちが、「授業はしぼって受講するほうがいいよ」、そういうすげー言辞を弄していた。
「授業なんか♡全部受けてたら、疲れちゃうだろ」
「意味ねー授業は、どんどん切っちゃったほうがいい」
「有名講師の授業以外は、受ける必要ないんじゃないかな」
そういうことをチューターが平気で言い、それを聞きかじった浪人生がまず自分で「どんどん切っちゃって」、しかもその生活スタイルを友人たちに自慢げに語る。
「オマエ、まだそんな授業出てんの？」
「イミねーんじゃね？」
「切っちゃえよ」
「切っちゃえよ」
「オレなんか、週７コマまで切っちゃったぜ」
「甘いな。オレなんか週３コマだぜ」
そういう会話を、予備校のロビーで声高にかわす。切れば切るほどエラく見え、切り放題に切っちゃって滅多に予備校に姿を現さないヤツの方がカッコよく見えて、いつの間にか浪人生集団のオピニオンリーダーになっていたりした。
（新宿でいただいたケーキ。「ジョーズ」の世界に熱くなる）
懐かしい時代であるが、そういう浪人生は一般に成績が上がらない。当たり前のことであるが、「意味ねー授業」を切って余った時間は、「自習室で過ごす」「自宅で勉学に励む」はずだったのである。しかし自習室に彼らの姿を見出すこともどんどん少なくなる。
では、彼らはどこにいたのか。よくは分からない。古い古い昭和の時代なら「パチンコ屋」「雀荘」「映画館」であって、そういう場所で18歳＆19歳の男子がタバコの煙に親しみ、モクモク煙の漂う場所で人生経験を積んでいるつもりになった。
しかし21世紀になると、まず「雀荘」「パチンコ」の人気が急降下。そういう場所に出入りすることを「カッケー♡」と思う人間は、おそらく一種の絶滅危惧種になった。むしろ「人気講師の授業にモグってました」「スタバで語ってました」と言ふ行動が、授業を切っちゃった人間の逃げ場になった。
（トド肉にエゾシカでますます熱くなる）
そうやって諸君、今や21世紀もまもなく中盤に入ろうとしている。少子化に入試制度改革、裏口入学と女性差別入試の発覚、それに加えて都市伝説だった２浪差別に３浪差別も発覚しかけて、「予備校」の存在や「浪人」と言ふ人生の選択についても、いろいろ難しい判断が必要になってきそうだ。
しかし今ワタクシの目の前にズラリと並んだ120名の浪人生は、こんな難しい情勢の中でも敢然と「東進で１年の浪人生活に耐えようじゃないか」と決意した、マコトに強靭な精神力の持ち主たちである。
Pretty塾や「どうすんだい？」なら、欠席しても叱責されることはない。キライな授業なら「切る」「切っちゃう」などという行動だって許してもらえて、困ったことにそんなマイナス志向の行動に「自主性」と勘違いのレッテルを貼らせてもらえる。
（朝市寿司、トドの刺身。これで熱くならなかったらやっぱりダメじゃないか）
しかし東進での浪人生活を選択すれば、「切る」などという言語道断な逃避は決して許されない。基礎基本の徹底、基本動作の徹底、日々の音読、要するに今後80年にわたって真に知的な人生を送るのに、必須の基本姿勢を徹底的に叩き込まれることになる。
そういう生活を４月からはじめて、夏休み真っただ中の８月は、まだ４ヶ月目である。若い諸君にはまだ若干の反発も残っていて、「こんなに基礎基本徹底でいいのか？」「もっと小ムズカシイこともやらなきゃいけないんじゃないなのか」、そういう質問をかかえて首都圏全域から新宿に集結するのである。
そういう浪人生をワラワラ甘やかすのは、マコトにカンタンである。
「オマエたちは、知の頂点を目指しているんだ」
「頂点を目指すのに、単語とか熟語とか、音読とか文法とか、そんな基礎的なことに終始してちゃダメなんだ」
愚かな自尊心をくすぐってオカネ儲けを企むなら、その類いのコチョコチョをやるのは朝飯前であって、事実そういう予備校講師はむかしからナンボでも存在する。というか、今井君ほどのベテランになれば、そういう講師の名前を30年前から具体的に列挙することだって今すぐに出来る。
それどころか諸君、あえて告白すれば、むかしむかしの今井君は、その類いのコチョコチョ講師の代表格だったのかもしれない。いやはや、昔のワタクシは、愚かな自尊心をコチョコチョやるのがホントに得意でござったよ。
（今井君はダルマねぶた並みに熱くなっている）
その辺の深い反省をこめて、いま今井君は意地でも基礎基本の徹底を説き続けるのである。学部受験の段階の勉強なんか、それが東大や京大や旧７帝大を目指すのであっても、入学後に始まるホントの勉強から見たら、まだ基礎とか基本の名にすら値しないかもしれない。
要するに今の諸君がやっているのは、「中等教育の仕上げ」なのだ。「知の頂点」とかおだてられて、小ムズカシイ話に引っ張り込まれるのは、時間のムダどころか単なる「愚の骨頂」である。
それを受験生諸君にハッキリ言ってあげられるのは、今井が数々の修羅場をくぐり抜けた大ベテランだからこそなのだ。優秀な諸君ほど、肝にギュギュッと銘じてほしい。
今アナタが通り抜けているのは、中等教育のトンネルに過ぎない。そのトンネル、拘泥すればキリがないが、くぐり抜けてしまえばあっという間に懐かしい昔話にかわる。
大事なのは、例えば東大合格ではなくて、東大で何をやり、東大を卒業した後で何をやるか。「合格しました♡」「合格の秘訣は♡」と語り続ければ語り続けるほど、アナタは「中等教育の段階でストップした人間」に終わる可能性が高くなる。
ワタクシは諸君、諸君に中等教育でストップした人間になってほしくない。基礎基本を徹底して、可及的速やかに中等教育のトンネルをくぐりぬけていただきたい。
卒業した高校や卒業した大学学部の自慢で人生を台無しにしてはならない。むしろ今すぐに、今から６年後のことを考えようじゃないか。中等教育を完全に卒業して、修士＆博士でどんな論文を書くか、就職して何をやるか、それを思って焼けつくほどにカッカしていてほしいのである。
1E(Cd) Bruns & Ishay：FAURÉ／L’ŒUVRE POUR VIOLONCELLE
2E(Cd) Collard：FAURÉ／NOCTURNES, THEME ET VARIATIONS, etc. 1/2
3E(Cd) Collard：FAURÉ／NOCTURNES, THEME ET VARIATIONS, etc. 2/2
6D(DMv) ANOMALISA
total m36 y1407 dd23877