Wed 180530 ついに20年熟成した古酒をあける/20年を味わう/2038年に向けて M5 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Wed 180530 ついに20年熟成した古酒をあける/20年を味わう/2038年に向けて M5

 6月20日は、夜になっても雨が降り続いた。昼のうちは弱い霧雨だったものが、いよいよ本降りの雨になって、傘を差しても足許がグッショリ濡れるほどになった。

 

 地下鉄東西線と千代田線を乗り継いでオウチにたどり着くと、もう23時に近かった。雨の日には、さすがにタクシーを拾って帰るのが常であるが、人というのは不思議なもので、「今日はタクシーはイヤだな」「傘を差して歩くのもいいな」という夜があるものである。

 

 しかし諸君、ありゃりゃ、どうも傘に穴があいちゃったみたいだ。20年も前に新宿の伊勢丹で買った傘だ。穴の1つや2つあいても致し方ないが、滅多に差さない傘だから、穴の存在に全く気がつかなかった。

 

 こりゃさすがに、新しい傘を買わなきゃいけない。ビニール傘というものはキライなので、また伊勢丹か高島屋か東急本店に出かけて、これからまた20年を共に過ごすチョイ高級傘を買おうじゃないか。

20454 古酒1

(20年、タンスの中で熟成した日本酒。最初は無色透明だった)

 

 

 思えばワタクシは、物を大切にしすぎるのである。「予想の3倍重たいカバン」もすでに20年。この夜の雨ですっかり濡れちゃった革靴は、2008年以来10年。身の回りには10年選手や20年選手が溢れていて、どいつもこいつもみんなロートルだ。

 

 正確には「物」ではないが、このブログもやっぱり10年選手。あと5回で目標達成のあとは、そろそろリニューアルしていいんじゃないか。10年達成後の「2次会」は、なでしことニャゴの写真も新しいものに替えて、リフレッシュするのも悪くないんじゃないか。

 

「ついでに、タンスの中で20年熟成させてきた日本酒も、今晩あたりいよいよ開けてみようじゃないか」。サトイモ君はそう考え、お仕事に出かける前に酒の瓶を冷蔵庫に入れておいた。24時、日付が6月21日に変わった頃に、お酒は冷蔵庫の中でちょうどよく冷えていた。

 

 このブログでも、すでに3回ほど触れた日本酒である。1999年、今はビジネスホテルに変わっちゃった代ゼミ名古屋校で、誰か生徒が差し入れしてくれた。「10年 → 15年 → 20年と熟成させれば、おいしい古酒に育っていきます」と書かれていた。

20455 古酒2

(20年前に生徒が差し入れてくれた熟成古酒)

 

 酒の外箱には、「冷蔵庫を避け、常温の暗い場所で育ててください」とある。「揺らさないでください」「横に寝かさないでください」など、いろいろ難しい注文もついているが、要するに押し入れかタンスの中に放置すればいいのである。

 

 もしも難しい点があるとすれば、それはサトイモ君のダラシなさである。ワタクシのダラシなさは、おそらく空前絶後のレベル。「日本史上で最もダラシない男」と言われても文句は言えないんじゃないか。自分でもその自覚はある。

 

 いやいや、「日本史」などというククリはまだ甘いので、東洋史上で最もダラシない男、世界史上でも最高にダラシない男、そういう自覚さえ持っている。我慢とか禁欲とか、自制とか辛抱とか忍耐とか、その種の言葉が全て欠落したデロデロなサトイモなのである。

 

 だから、周囲に存在する酒という酒を、我が肉体の許容する範囲で全て飲み尽くしてしまう。「お前はヤマタノオロチかい?」という世界であって、ヤマタノイマイの傍若無人には、スサノオノミコトだってかなわない。

 

 手の届く範囲の酒は全て飲み尽くさずにはいられない。「ワインセラーに1000本のワインがストックされています」などという辛抱強いオカタの話を聞くと、驚嘆のあまり目を見張り、目玉がゴロンと落っこちかねない。

20456 古酒3

(拡大図。20年を経て、深いカホリと色合いに育っていた)

 

 だから諸君、この20年、ヤマタノイマイ君はこの酒の存在を常に忘れられずにいた。

「押し入れの中に、アイツが存在する」

「タンスの中で、少しずつ熟成しつつある」

そう考えて舌なめずりするたびに、この酒は大ピンチ、完全な熟成前というのに、グビグビ胃袋に流し込まれる危機に追い込まれていたのだ。

 

 そういう数えきれない危機を乗り越えて、2018年6月21日がやってきた。誕生日の5日前、ブログ10年達成パーティーの5日前である。本来なら26日を待つべきなのであるが、諸君、ワタクシがゆっくりオウチにいられるのは、誕生日前はこの夜がラストなのだった。

 

 21日昼のヒコーキで大阪に向かう。22日は新宿に戻って公開授業だが、23日の朝から仙台に入り、24日は岩手県花巻で6時間もの授業をこなす。その夜は仙台に宿泊して、25日には京都に入り、26日は大阪府茨木でお仕事がある。

20457 古酒4

(5年後→10年後→20年後。酒の箱についていた取扱説明書の通りに育ってきた)

 

 すると諸君、20年にわたる長い奇跡的な辛抱の末、ついにカンペキな熟成を遂げたこの酒と、じっくり付き合えるのは今晩しかないじゃないか。外は、夏の雨。「まだ16」のニャゴも目の前でスヤスヤ。冷たく冷えた古酒をあけてじっくり味わうには、最高のシチュエーションになっていた。

 

 蝋で丁寧に密封されたコルクを取り除き、これもまた20年使い続けているグラスに注いでみると、さすがに深く濃厚な香りが立った。1999年には無色透明だった酒は、濃厚な烏龍茶に少し赤みを加えたような、素晴らしい色合いになっていた。

 

 そして間違いなく、20年の歳月の味がしたのである。酒をくれたのがどんな生徒だったかは全く分からないが、18歳だった彼または彼女は、今ごろは38歳になって、社会の中堅として日本と世界を支えている。

 

 あの年に生まれた赤ちゃんは20歳になっただろうし、3歳だった者は23歳になっている。20年とはマコトに長い歳月であって、酒が熟す間に、傘にも穴があき、ワタクシは頑丈なチャーチ製の革靴を2足、ほぼ履きつぶしてしまった。

 

 20年前、ニャゴなんかまだ影も形もなかったのである。読者諸君が受験生世代だとすれば、諸君もまたニャゴと同様、まだ影も形もなかった。今日はぜひ、20年前に想いを馳せ、20年の月日をじっくり振り返り、来し方&行く末を思って過ごそうじゃないか。

20458 眺め

(6月21日大阪。ホテル31階からの眺望)

 

 わずか4合の日本酒である。古酒としてどんなに芳醇に熟成していても、4合は4合、ウワバミ並みに酒に強いワタクシなら、4合に1時間もかからない。

 

 しかしこの夜は、20年に敬意を表して、屋根に降る雨の音を聴きながら、ニャゴの白い寝顔を眺めつつ、じっくり&ゆっくり3時間かけて酒を味わったのである。味わったのは、酒そのものよりむしろ20年という歳月であるから、酔い心地もまた格別なのであった。

 

 最後の一滴を飲み干した頃、時計はすでに午前3時を回っていた。6月21日は夏至であって、2階の天窓から見上げる空は、すでに青く明けはじめていた。雨も止みかけたようである。

 

「20年を、3時間で飲んじゃった」となれば感慨も深い。余りに濃厚濃密な3時間の単独飲み会であった。「あんなこともあった」「こんなこともあった」の連続であって、世界150を超える街を歩き続けた20年は、普通に平凡に平穏に生きていたなら想像もできないぐらいの、マコトに濃厚&芳醇な日々であった。

20459 堺東

(大阪府堺東の大盛況。詳細は、明日の記事で)

 

 さて今井君は、そろそろ次の20年を始めなければならない。それもまたこのブログと同様、「2次会」の様相を呈し、またまたハチャメチャというか、20年ぶっ通しでジェットコースターに乗り続けているような、激烈な興奮と爽快な酔い心地を伴うものになりそうである。

 

 では諸君、ワタクシはいよいよ「次の20年」を開始する。誰でもいい、次の20年を刻むようなお酒を差し入れしてほしい。あの時18歳だった人が38歳になっているなら、その38歳の人が58歳になる頃に、ワタクシはその酒をあけるのだ。

 

 20年後の世界に「ブログ」というものが残っているとは思えない。今をときめくSNSだって、この世に生き残っているかどうか甚だ心許ない。だから今から20年後、イマイがその20年古酒をあけたかどうか、2038年までの20年をイマイがどう過ごしたのか、読者諸君に報告する手段はないかもしれない。

20460 山三

(大阪難波「山三」。日本酒の聖地であるらしい。詳細は明日)

 

 しかしそれでもワタクシは、諸君に報告できるように懸命に努力するし、この10年1日平均4000アクセスを確保したブログを「2次会」という形で継続し、たとえ最後の1人になっても、ブログ記事を書き続けようと思っている。

 

 旅をやめることも、おそらくありえない。世界中を歩き尽くした気もするが、間違いなくそれは勘違いであって、「行かずに死ねるか?」という街は、まだナンボでも残っている。

 

 2038年6月26日にあける次の酒を夢見つつ、午前4時、すっかり明るくなった空を眺めながら、サトイモ君は横になった。乗らなきゃいけないヒコーキは、羽田発12時。睡眠時間は3時間ちょっとしかとれない。相変わらずの超多忙が、まだまだ続くのである。

 

1E(Cd) Eschenbach:MOZART/DIE KLAVIERSONATEN 5/5

2E(Cd) Böhm & Berliner:MOZART 46 SYMPHONIEN 1/10

3E(Cd) Böhm & Berliner:MOZART 46 SYMPHONIEN 2/10

4E(Cd) Böhm & Berliner:MOZART 46 SYMPHONIEN 3/10

5E(Cd) Böhm & Berliner:MOZART 46 SYMPHONIEN 4/10

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