Mon 180521 レイオロ&レイオロ/しょんぼりサトイモ/大阪府八尾の大盛況 M14 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Mon 180521 レイオロ&レイオロ/しょんぼりサトイモ/大阪府八尾の大盛況 M14

 温泉旅館に泊まるのは大好きだけれども、帰りの時間が迫ってくると、どうも悲しすぎていけない。温泉の午前10時がワタクシは最も苦手なのである。

 

 特に館内の土産物屋をのぞいていると、「いかにも癒し系」のオルゴールが悲しいじゃないか。

「一泊ホントにゆっくりしたけど、もうお仕事だ」

「贅沢しちゃったな、仕事がんばらなくちゃ」

これでしょんぼりしないほうがおかしい。

 

 しょんぼりした気分で、買ってもどうせ使わないお土産、あげてもどうせ喜んでもらえない雑貨の数々、そういうのを眺めていると、この1日の贅沢を悲しく後悔するのである。

20384 旅館ロビー

(城崎温泉、西村屋ホテル招月亭。おお、いかにも温泉旅館のロビーじゃないか)

 

 そもそも今回の城崎温泉は、お仕事で来ているのである。豊岡のビジネスホテルに宿泊すればいいものを、わざわざタクシー代まで払って城崎に来た。「贅沢しちゃった」系のしょんぼりムードは、いつもにも増して強烈であった。

 

 そこで諸君、今井君は「癒し系オルゴールなんか耳に入らないうちに、とっとと大阪に戻ろう」と決意。買っておいた特急券は、城崎温泉発11時半のものだったが、2時間前の列車に変更しちゃうことにした。

 

 だから、温泉に来たけれども、温泉には一度も入っていないのである。レストランに入って飯を食わないとか、居酒屋に入って酒を飲まないとか、カラオケで歌わない → ひと寝入りしただけ、そういう愚かな行動である。

 

 でも諸君、ワタクシはそれでもちっともかまわない。「しょんぼり」だけはどうしてもイヤなのだ。梅雨空からミストサウナみたいな濃厚な霧雨が降り続く午前8時半、ホテルの無料シャトルバスに乗って駅に向かった。

20385 城崎温泉駅

(温泉からの帰りは、いつでもしょんぼりふさぎこむ)

 

 シャトルバスの客は、ワタクシ1人だけなのである。まあそりゃそうだろう。西村屋のチェックアウト時間は、午前10時だ。他のお客さんは、みんな朝食を満喫して、「もう1回温泉につかってくるか?」と話し合い、風呂上がりにまたビールを飲んで、お土産ショップに立ち寄る。まだそういう時間帯だ。

 

 それに対して今井君は、ひとりぼっちで閑散とした駅前に着いた。「ひとりぼっち」と考えただけで、我々の世代の人なら「ひとりぼっちの羊飼い」を歌い出す。「ひとりぼっちの羊飼い、レイオロ&レイオロ、レイオー」というヨーデルである。

 

 映画「サウンド・オブ・ミュージック」の劇中歌として、日本でも1960年代後半にスゲー流行した。テレビをつければ「ドレミの歌」か「エーデルワイス」か「ひとりぼっちの羊飼い」を誰かが歌っている、そういう時代だった。

 

 そこで諸君、20世紀の申し子であり、昭和の申し子であるワタクシは、温泉に一度も入らなかった城の崎にて、ただひとり「レイオロ&レイオロ、レイオー」「レイオロ&レイオロ、レイオー」と口ずさみ続けたのである。

20386 こうのとり

(特急こうのとり。3時間弱、延々と田園地帯を走る)

 

 だって、駅前の店はみんなシャッターを下ろしたままだ。「開店、午前10時」というカタクナな貼り紙が、梅雨のヌルい霧雨に濡れている。そりゃレイオロ&レイオロ&レイオーでも歌っているしかないだろう。せめて立ち食い蕎麦、せめて駅弁屋、そのぐらい開いていたっていいじゃないか。

 

 9時すぎ、駅の売店がオープン。しかしその棚に並んでいる朝飯候補は、昨日の売れ残りのおにぎり、昨日の売れ残りのサンドイッチ、ちくわ、かまぼこ、甘エビの唐揚げ、うーん、こりゃ食指が動かない。まさに「レイオロ&レイオロ、レイオー」なのである。

 

 ちょうどその時である。

「京都府内の山陰線で、倒木のため運転見合わせ」

「京都方面は午後1時まで運休とします」

という放送が入った。

 

 ワタクシの乗る特急は新大阪行きだから影響はなさそうだが、そろそろ人の集まり始めた駅構内は、たちまち騒然となった。京都まで行く人は新大阪まで行って、新快速に乗り換えればカンタン。難しいことはない。しかし駅員さんが1人1人の乗客に個別に対応していくんだから、なかなかラチがあかないのだ。

20387 八尾1

(大阪・八尾の大盛況。「椅子が足りなくなりました」 1)


 さて、ワタクシの乗った「こうのとり」は、定刻に発車。のどかな田園地帯を延々と約3時間、車内販売なし、自動販売機もなしの3時間は諸君、さすがにツラい。車内放送は、「車内販売はありません」「自販機もありません」と、冷酷に何度も何度も繰り返すばかりである。

 

 JR西日本の在来線特急は、この方針を墨守する気らしい。山陰に向かうにも、福井&金沢に北上するにも、和歌山を南紀に向かって南下するにも、この「なんにもありません特急」に3時間、ひたすら耐えることになる。

20388 八尾2 

(大阪・八尾の大盛況。「椅子が足りなくなりました」 2)

 

 こうしてワタクシの「城の崎にて」は、しょんぼりしたまま終了した。志賀直哉の「城の崎にて」についても、昨日紹介した通りのストーリー構成であって、読んでしょんぼりすることこの上ないが、21世紀の今井君だって、来る日も来る日も輝かしい堂々の大行進というわけにはいかないのだ。

 

 午後1時、大阪駅前のインターコンチネンタルホテルにチェックインする。チェックアウトしたのは、昨日の午後2時。その同じホテルに、23時間後に再びチェックインしたことになる。

 

「ボクチンいったい何やってんの?」であるが、ホテル側のスタッフはもうみんなこのサトイモを記憶していて、そこいら中で「今井様、お帰りなさいませ」「今井様、行ってらっしゃいませ」の熱い挨拶が飛び交う状況だ。

 

 ま、嬉しくないこともない。特にこの日のワタクシは、濃厚な霧雨に濡れつづけてしょんぼり、なんにもない特急に揺られてもっとしょんぼり、お腹をすかせてまたしょんぼり、しょんぼりサトイモとして帰還した。「今井様♡」の声を四方八方から浴びて、やっとニタニタいつもの調子が戻って来た。

20389 ビア

(八尾の懇親会にて。まず最初に、1人で「生ビール2つ」を注文する。2つで5分が定番だ)

 

 テレビをつけると、派手な政治ショーが終盤を迎えていた。マスメディアのご意見は「あれもやってない」「これもやってない」「失望の声が広がった」ということらしいが、午前9時に始まって夕暮れが迫るまで、お2人の大活躍は間違いなく素晴らしかったんじゃないか。

 

「午前9時から」というスケジュールに、まずビックリする。「いったい何時に起きたの?」であって、7時じゃ遅すぎるし、6時でもやっぱり遅いし、3時か4時には起き出して、スタッフと綿密な確認を行ったはずなのだ。

 

 その同じ時間帯、今井君はずっとしょんぼりしていただけなのである。「うーん、こりゃいかん」「ここはひとつ、お2人を見習って、今日から心を入れ替えますかね」「生まれ変わろう!!」、おお、毎度おなじみの「生まれ変わろう」が始まった。

 

 しかし何も、ド派手な行動に移る必要はないのだ。ごくフツーの一般人としては、地道に地道に今日のお仕事をこなしていくしかないじゃないか。

 

 ブログは今日でマジックナンバー14。約10年、約3640日にわたり、毎日文庫本6ページずつを書き続け、合計100冊分を書いて、ついに残り2週間になった。いやはやこのサトイモも、考えてみると間違いなくすげーヤツなのである。

20390 お刺身

(豪華お刺身盛り合わせ。大阪・八尾での懇親会にて)

 

 この日の仕事は、大阪府八尾である。この1週間、豊岡・八尾・岸和田・橿原神宮・愛媛県新居浜と回る。年間100回の公開授業を続けて13年、合計1300回を全て成功させてきた。1回平均160名として、のべ20万人の生徒諸君と生授業で向き合った。やっぱりホントにすげーじゃないか。

 

 そういうことを考えているうちに、重苦しいしょんぼり雲は去っていった。八尾までは、まず大阪環状線で鶴橋まで20分。鶴橋で近鉄電車に乗り換えてまた20分。マコトに地味な移動であるが、こういう地味で基本的な努力の継続こそ大切。日々ワタクシが生徒諸君に訴えていることである。

 

 近鉄八尾駅前「プリズムホール」での公開授業は、19時半スタート、出席者は約120名。90分の予定でスタートし、マホーのように90分、21時ぴったりでカンペキに終了。これこそ基礎&基本に忠実な大ベテラン模範演技なのである。

 

 終了後、駅前「無法松」で懇親会。豪華お刺身盛り合わせ、豪華サーロインステーキ鉄板焼き、豪華お寿司の盛り合わせ。冷たい生ビールを4杯に、アルゼンチンの赤ワイン1本を空っぽして、午前0時半、意気揚々とホテルに引き上げた。

 

1E(Cd) Schiff:BACH/GOLDBERG VARIATIONS

2E(Cd) Schreier:BACH/MASS IN B MINOR 1/2

3E(Cd) Schreier:BACH/MASS IN B MINOR 2/2

4E(Cd) Hilary Hahn:BACH/PARTITAS Nos.2&3  SONATA No.3

5E(Cd) Richter & Münchener:BACH/BRANDENBURGISCHE KONZERTE 1/2

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