Wed 180516 旅行記を一休み/江ノ島で生しらす/稚児ケ淵/暴飲暴食を敢行 M19 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Wed 180516 旅行記を一休み/江ノ島で生しらす/稚児ケ淵/暴飲暴食を敢行 M19

 何しろ旅行記が長々と続いた。フランス&イタリアすみずみ、読者諸君の中には、「カンケーねー」とうんざり顔のオカタもいらっしゃるだろう。「予備校講師なんだから、もっと受験情報を書くべきなんじゃないか」とおっしゃるわけである。

 

 しかしワタクシは決してそうは思わない。受験情報はすでにナンボでも世の中に溢れていて、何も今さら今井なんかが、「ああせー」「こうせー」と小うるさくアドバイスなんかしたって、正直申し上げてKUSO面白くもないはずだ。

 

 受験情報なり、日々の勉強へのアドバイスなりは、年に数回で構わない。「こういう思い違いに気をつけろ」「そこに落とし穴があるんだ」の類いのうるせー&メンドイ話を読んでいるヒマがあったら、諸君、何も迷わずに基礎&基本の徹底のみを心がけたまえ。

 

 単語をシコタマ覚えたまえ。要するに最終的には単語の数で全てが決まる。でもそれだけじゃあんまり無味乾燥だから、オアシスとして文法で楽しみたまえ。

 

 いやはや、文法ほど楽しいものはない。「覚えよう」とウンコラショ、頑張りすぎるとツラくなって、すぐに「重箱のスミ」「枝葉末節」とマスコミの諸君みたいに悪口を言いたくなる。無理に覚えるんじゃなくて、「これはあくまでオアシスなんだ」「楽しいな♡」「楽しいな♡」と、今井の授業で爆笑し続けたまえ。

20346 カレー1

(江ノ島で暴飲暴食。カレーとラーメンを一気に注文する)

 

 一方の今井君にとって、というか日本人全体にとって、初夏から夏の基礎&基本は、海であり、すると湘南であり、湘南の中でも特に江ノ島である。6月には必ず一度江ノ島を訪ねて、新鮮な魚介類を満喫するのが日本人の基礎基本である。

 

 夏の基本が江ノ島であるのに勝るとも劣らず、江ノ島の基本は生しらすである。江ノ島に行って生しらすを食べないのは、今井の授業に出て爆笑しないぐらいの大間違いだし、語学学習で音読を拒絶するのに近い馬鹿げたふるまいである。

 

 そこで諸君、臆病者のワタクシは「基礎をわきまえない愚か者」「基本をおろそかにする大バカ者」と罵倒されるのがコワいから、6月初旬の某日午前10時前、新宿駅から小田急線の特急に乗り込んだ。

20347 えのしま

(小田急線の特急「えのしま1号」は、新型車両でやってきた)

 

「お休みは今日で終わり」「いよいよ明後日から夏の全国行脚が始まる」「長く続いた晴天も今日でおしまい」「明日から梅雨入り」「いやに蒸し暑いな♨︎」という、何だか物悲しい朝であった。

 

 それでも諸君、とにかく江ノ島に行って、生しらすをお蕎麦かそうめんみたいにズルズルやれば、物悲しさも吹き飛ぶはずだ。遠慮なく、大いに生しらすを味わおうじゃないか。

 

 ま、あんまり勢いよくズルズルやりすぎると、生しらすにむせてゲホゲホ、鼻の穴と耳の穴から生しらすが4〜5匹にゅっと飛び出す惨劇を演じかねないが、とにかくここは一番、初夏の生しらす祭りに突撃だ。

 

 休みの日なんだから、朝から何をしても自由である。小田急の特急「えのしま1号」を待ちながら、すでに頭の中は生ビールである。だって蒸し暑い。だって駅カフェの隣のテーブルのオバサマも、平気で生ビールをぐびぐびやっている。朝食にカツサンド&生ビール、オトナだけの特権じゃないか。

20348 新宿

(小田急の駅のデザインの日本酒と「とうもりこ」を買って乗り込む)

 

「えのしま1号」は、新型車両で入線してきた。おお、みんなスマホで写真を撮りだした。もう誰も「デジタルカメラ」を使わない。形容詞「デジタル」を、いちいちカメラの前につける人はすでに皆無である。

 

 デジタルカメラ、思えば短い命だった。盛者必衰、夏の夜の夢のごとし。1990年代初頭、ワタクシがまだ駿台予備学校の若手スーパー人気講師だった頃、福岡の居酒屋で小論文のベテラン講師が、自慢げに「デジタルカメラ」の素晴らしさを教えてくれた。あれからまだ4半世紀しか経過していない。

 

 さて諸君、お酒とツマミをキオスクで購入して、ガラガラの新型車両に乗り込んだ。お酒は、小田急線の駅のデザイン。おお、こりゃ斬新だ。お酒なんかちっとも飲みたくないが♡、このデザインならどうしても買わなきゃいかん。買ってブログに載せなきゃいかん。初夏のサトイモどんは、どんどんお調子に乗ってきた。

 

 しかし世の中にはマコトに不機嫌な人物も存在するから、あんまりゴキゲンをひけらかさない方が身のためだ。サトイモ君の後ろの座席に乗ってきた中年紳士こそ、その「フキゲンの権化」なのだった。

 

 いきなり窓のカーテンをブシャーッ!!、激しい音とともに閉じてしまうと、何だか厳しい音をたててPCのキーを叩き始めた。おー、こわ。おー、こわ。生しらす目指して湘南の海を目指す今井君は、仕方がないから飲みたくもないお酒をちびちび、おとなしく窓の風景に見入ったのである。

20349 富士山

(さすが江ノ島、富士山の頭の位置がググッと高い)

 

 江ノ島到着、11時。まさに昼食時を狙いすました行動である。何しろ江ノ島は「日本のモン・サン・ミシェル」だ。それにしてはちょっと平べったすぎる気はするが、まあいいじゃないか。

 

 平べったいモン・サン・ミシェルには、馴染みのお店がワンサカ。このブログの中でも、「キンメの煮付け」「ハマグリの浜焼き」「サザエのつぼ焼き」で楽しいお昼を過ごした話を、少なくとも5回か6回は書いたはずだ。

 

 しかし今年はさすがに記念の10年目、いつもとはチョイと違った行動をとりたい。橋を渡りながら、江ノ島の手前からお船に乗ることにした。漁船みたいな船であるが、とにかくワタクシはお船が好き。ガルダ湖でもコモ湖でも、そこにお船があれば必ず乗り込んでみる。

20350 生しらす

(江ノ島・稚児ケ淵「見晴亭」の生しらす)

 

 船は「稚児ケ淵」ゆき。ほんの10分ほどの船旅である。海の向こうに富士山が姿を現した。東京でも富士に挨拶ぐらいはできるが、さすがに江ノ島まで富士に接近すれば、富士の頭はびっくりするほど高い位置にある。まだ真っ白い頂上が、日の出の頃の満月みたいに儚く見えていた。

 

「稚児ケ淵」とはまた、いわくありげな命名である。昔々、鎌倉・建長寺の僧「自休」という人が、ここで美しい稚児「白菊」を見かけて恋におちる。苦悩した白菊はここで身を投げてあの世へ。それを知った自休も、後を追ってあの世へ。悲しい物語である。

 

 自休どんの辞世の歌が「白菊の 花の情けの 深き海に ともに入江の 島ぞうれしき」。昔から歌舞伎なんかでそれなりに人気のお話だ。あんまり詳しく説明していると「長すぎる」「また今日も小森てん?」と叱られそうだから、興味のある方は「桜姫東文章」でググってくんろ。

 

 むかしは修行の場だったぐらいだから、江ノ島にはそういう危ない場所も少なくないのである。太宰治どんの最初の自殺未遂事件も江ノ島。水上温泉付近とか、玉川上水とか、何度か繰り返した心中事件の、最初が江ノ島なのだった。

20351 ねこ

(江ノ島、白長靴に白手袋の黒猫君)

 

 その稚児ケ淵から、ぐいぐい石段を登っていくと、最初に見えてくる飲食店が「見晴亭」である。諸君もぜひ「見晴亭」、立ち寄ってみてくんなんしょ。

 

 確かにスバラシー見晴らしであって、お隣のテーブルの欧米人家族4人も、見晴らしに感動しながらカレーとラーメンを分け合っていた。おお、カレーをスプーンでひとすくい、ラーメンに入れてるじゃないか。よく分かっていらっしゃる。

 

 しかしワタクシは、意地でも生しらす。だって今日1日の目的は、「生しらすをお蕎麦のようにズルズル」以外になかったはずだ。受験生諸君が単語と文法で基礎&基本を徹底するのと同じように、今井君は生しらすで肉体の基本 → カルシウム摂取に努めたい。

 

 欧米人家族のカレーとラーメンの光景にヨダレを垂らしつつ、ここは我慢して、あくまで生しらす。ちょっと寂しいから、ハマグリの浜焼きも追加。稚児ケ淵にともに入り江の → 白菊&自休のお話もすっかり忘れてしまった。

20352 江ノ島

(江ノ島「遊覧亭」からの絶景。この眺めなら、カレー&ラーメンのダブルでも軽い)

 

 店を出て、さらに石段を100段ほどダッシュすると、「見晴亭」をはるかに凌ぐ見晴らしの店が2軒も3軒も続いて、「うーん、やっぱり慌てちゃいけませんな」「こっちの店の方がよかったな」と、苦い後悔が連続する。

 

 そこいら中に今は盛りと咲き誇るアジサイ諸君に、「盛者必衰」「奢れるものも久しからず」と、稚児ケ淵の修行僧よろしく諸行無常を説き聞かせつつ道を行けば、目の前にはカレーとラーメンがちらついてもう我慢ができない。

 

 生しらすだけで昼食を済ませるほど、まだサトイモ君の修行は進んでいないのだ。ここは自称♡てん小森、てんこ盛りのラーメンと、てんこ盛りのカレーライスを意地でも胃袋に流し込みたい。

 

 その時早く&かの時おそく、我が両眼に飛び込んできたのが、超おなじみの店「遊覧亭」である。そんなにグルメな店ではないが、もしも「カレーとラーメンを一気喰い」ということになるなら、この手の昭和なお店がベストである。

20353 カレー

(昭和カレー。グリーンピースが懐かしいじゃないか)

 

 店に入って10分、「非常識じゃないか」「あまりに馬鹿げていないか」「ヤメた方がよくないか」と自問自答を続けたあげく、ワタクシが我慢できずに注文してしまったのが、今日の写真の1枚目「カレー&ラーメン」という暴飲暴食の図なのである。

 

「いや、それは単なる暴食であって、『暴飲』は欠けているじゃないか」という諸君、心配はいらない。今井が暴飲を怠るなんてことは、金輪際ありえない。どんな暴飲だったか、その詳細については、ここに書くまでもないだろう。

 

 背後のテーブルでは、マコトに怪しい1名の紳士が、ハマグリを相手に怪しく格闘中。スマホを手に「どうもでーす♡」と、怪しい会話が始まっちゃった。

 

 だって諸君、彼はいきなりスマホに向かって「ワタシは今、江ノ島のテラス。相模湾の美しい絶景を眺めています」とおっしゃるのだ。

 

「は?」「何じゃそりゃ?」と聞き耳を立てたが、その話の続きがどうなったか、そのへんはここには書かないでおく。いやはやこの世の中には、自休&白菊と同じような話がナンボでも溢れているものである。

 

1E(Cd) Krause:BACH/DIE LAUTENWERKE・PRELUDES&FUGEN 2/2

2E(Cd) Karajan & Berliner:BACH/MATTHÄUS-PASSION 1/3

3E(Cd) Karajan & Berliner:BACH/MATTHÄUS-PASSION 2/3

13A(α) 太宰治全集4:筑摩書房

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