Fri 180511 早慶戦/てんこもり/ラヴェンナ近郊クラッセへ(イタリアすみずみ10)M24 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Fri 180511 早慶戦/てんこもり/ラヴェンナ近郊クラッセへ(イタリアすみずみ10)M24

 ちょっと病気のニャゴが、こんなにニャゴ&ニャゴ熱心に話しかけて、「行くな」「行くな」と言っているのに、それでもブログを書きに書斎に降りる気にはなれない。

 

 何しろ「あと24回で10年達成」というところまで迫っているんだから、本来ならそのことをニャゴに冷たく言って、2階の居間から半地下の書斎へ、ドタバタ階段を降りていけばいいだけなのである。

 

 しかし諸君、あんまりニャゴが「行くな」というから、気の弱い今井君はふとテレビをつけて、ニャゴロワの気持ちが済むまでテレビを見ながらニャゴを撫でて30分、いや1時間、ゆっくり時間を過ごそうと考える。

20295 ラヴェンナ駅

(ミラノから電車を乗り継いで3時間、まずはラヴェンナに到着)

 

 日曜日午後のテレビなんてものは、ゴルフか競馬中継、グルメ番組にバラエティ、どうせ10分か15分眺めていればウンザリするだろうとタカをくくっていたら、諸君、思わず2時間ギュッと画面を見つめることになってしまった。

 

 ほぼ我がチャンネルを固定状態のNHK♡Eテレで、日曜の午後に放送していたのは、懐かしや&懐かしや、東京6大学野球の早稲田 vs 慶応戦である。早稲田側からは早慶戦、慶応側では意地でも慶早戦。いやはやホントに懐かしい応援合戦が続いていた。

 

 もちろん、大昔の早慶戦みたいな殺気を感じることはない。20世紀の早慶戦は、前夜から神宮球場の周辺で暴飲&暴食しながら試合開始を待ち受けた。「若き血」に「紺碧の空」、深夜&早朝から早慶の若者がドラ声で歌いまくり、試合開始時点での泥酔のアリサマは、「凄まじい」の一語に尽きた。

20296 クラッセ1

(サンタポリナーレ・イン・クラッセ聖堂 1)

 

 2018年、NHKの画面に映し出される早慶戦は、あまりにも穏やかである。早慶戦100年の歴史を知り尽くしたオジョーサマとオボッチャマが、先輩ジーチャンたちの昔話をタップリ聞かされた上で、「結果なんかどうでもいい」「スポーツマンシップに魅了されよう」、そういうスタンスで高尚な応援合戦を繰り広げていた。

 

 それでも、ちっともかまわない。いまや中年サトイモと化した今井君は、「行くな」とソプラノでミャーミャー訴え続けるニャゴをソファの右の席に座らせて、慶応と早稲田の好プレー&凡プレーに2時間、釘づけになっていたのである。

20297 クラッセ2 

(サンタポリナーレ・イン・クラッセ聖堂 2)

 

 このところ、ブログはまさにテンコ盛りである。今日がマジックナンバー24。10年=3652回達成だなんて、自分でも信じがたい快挙なのだ。「読者はそうではないかもしれない」などと冷静に考える余裕はない。

 

「写真は1日5枚」。自ら課した制約を4〜5年にわたって忠実に守ってきたが、もうそんなのどうだっていい。いつの間にか毎日7枚から8枚、10枚から11枚、枚数がグングン増えて止めどがない。まさに来る日も来る日もテンコ盛りだ。

20298 クラッセ3

(サンタポリナーレ・イン・クラッセ聖堂 3)

 

 もしも今の日本に「小森てん」という名前の女子が存在したらどうだろう。苗字が小森、ラストネームが「てん」。つい2ヶ月前までNHKの連ドラの主人公は「てん」であったし、その「わろてんか」の視聴率だって20%近くをキープしていたのだから、小森てん、ないし小森天、ホントにいたって不思議はないはずだ。

 

 すると諸君、その欧米語読みが「てん・こもり」だ。M24に興奮した今井君は、今日も写真11枚、文章もA4版で連日4枚。てん・こもりチャンも大喜びの毎日である。

 

 イヤですか 、てん・こもり? うな重でもパスタでも、カレーでも天丼でも、今井君は常にてん・こもりの大ファンだ。というか、もし「てん・こもり」でなければ、2度とそんなお店には行きたくない。天津丼でも親子丼でもすき焼き丼でも、やっぱり人生の基本はてん・こもりじゃないか。

20299 クラッセ4

(サンタポリナーレ・イン・クラッセ聖堂。「12使徒を表すヒツジたち」のモザイクが美しい)

 

 しかしさすがの今井君も、来る日も来る日も雨、雨のてん・こもり、そういう梅雨は願い下げだ。5月の北イタリアは、まさにその雨のてん・こもり。夕暮れに雨のてん・こもりにならなかった日は、ほぼ1日もなかった。旅の3日目、ジェノヴァで激烈な雷雨に襲われて以来、最終日まで例外なく雨に濡れた。

 

 5月15日のデセンツァーノも雨。16日のミラノでは、「晴天の霹靂」という言葉をそのままに、15時まで汗ばむ陽気だったミラノの空が、16時には一天ニワカにかき曇り、黒雲のど真ん中に風神&雷神が出現。幸いマコトに際どいタイミングでホテルに帰還した(スミマセン、昨日の続きです)。

 

 こういう日々が続くと、さすがの今井君でも「折りたたみの傘があると安心でしょう」と呟きながらの外出になる。5月17日は、ラヴェンナへの小旅行。ラヴェンナもまた10年ぶりの訪問であるが、ミラノからはボローニャ経由で片道3時間の長旅だ。

20300 クラッセ5

(ヒツジたちの幸福そうな表情がスンバラシー 1)

 

 ミラノからボローニャまでは、イタリア式の新幹線。駅に入る時だけは目いっぱいの徐行になるが、幹線部分では300km/hで疾走する。ギュッと固定された「4人がけ」または「後ろ向き」での疾走は気になるが、あと10年、いや15年経過すれば、日本の新幹線に学ぶ余裕はあると確信する。

 

 ボローニャで、各駅停車ラヴェンナ行きに乗り換える。話が「各駅停車」と言ふことになると、親分、こりゃテーヘンだ。ペースはいきなり20世紀前半に逆戻り。映画「ライフ・イズ・ビューティフル」の冒頭に戻ったような悠長さだ。

 

 もちろん今井君は準・乗り鉄だから、このぐらいの悠長さはちっとも構わない。10年前にはボローニャに滞在して、フェラーラとラヴェンナを1日で一気に見て歩いたほどのツワモノだ。

20301 クラッセ6

(ヒツジたちの幸福そうな表情がスンバラシー 2)

 

 しかし今回は、ラヴェンナからさらに各駅停車を乗り継ぎ、「クラッセ」という修道院の村まで行くのである。各駅停車どうしの乗り継ぎ、またはバスからバスへの乗り継ぎとなると、これはさすがに上級者の世界。「イタリアすみずみ」のヘビーさは、いよいよ極大値に迫る。

 

 その乗り継ぎ時間が15分しかない。15分で各駅停車用のチケットを購入し、しかもそのチケットにコンポステしてもらわなきゃいけない。「コンポステ」とは、20世紀ヨーロッパで常識だった必須のハンコ。ハンコを押してもらわないと、不正乗車とみなされて高額の罰金を徴収される。

 

 さすがに「時代遅れ」という考え方もあって、一部の先進地域ではコンポステの必要がなくなりかけている。フランクフルトで「コンポステの機械はどこでしょう?」と若者に尋ねたら、「コンポステって何ですか?」とキョトンとされた。さすが先進地帯、20世紀の古い常識は消滅しかけていた。

20302 クラッセ7

(ヒツジたちの幸福そうな表情がスンバラシー 3)

 

 しかし諸君、この日の今井君が訪問したクラッセは、ミラノからボローニャまで1時間、ボローニャから各駅停車で1時間半、そのラヴェンナでまた別の各駅停車に乗り換えなきゃたどり着けない。「チョーすみずみ」ないし「スーパーすみずみ」だ。20世紀の伝統♡コンポステを確認しようと、マコトにおっかない表情の車掌さんが待ち構えていた。

 

 アドリア海の海岸線に沿ってリミニに向かう単線の列車は、ラヴェンナからクラッセまで約10分で駆け抜ける。クラッセは、無人駅。アドリア海の田舎町を結ぶ列車の乗客は、ほとんどが通学の高校生であって、おそらく車掌さん1人でキップの管理を行なっている。表情が厳しくなるのも当然だ。

20303 クラッセ駅

(支線の支線、ラヴェンナ〜リミニ線のクラッセ駅。他に降りる人も乗る人もいなかった。むかし存在した2番線と3番線は荒廃にまかせて放置、1番線のみが機能していた)

 

 クラッセに到着してみると、おお、これこそ間違いなく「イタリアすみずみ」だ。駅は無人、昔の駅舎に「立ち入り禁止」のユルいロープを結んで、荒廃するに任せてある。

 

 キップの自販機はまだ動いているが、コンポステの機械は3台中2台が故障中。「No」とマジックの手書きで書いてあるが、これでは旅行者はさすがに心細い。すでに「治安」どころの話ではないのである。

 

 日本のガイドブックでは、クラッセにはラヴェンナからバスで来るように記載されている。「ラヴェンナの駅前から、4番のバスで40分」というのであるが、うーん、例え心細くても、ワタクシはこのローカル列車のほうが確実だと思う。

 

 目指すは「サンタポリナーレ・イン・クラッセ聖堂」である。イタリア語表記なら、Basilica di Sant’Apollinare in Classe。道に迷う心配は皆無。閑散とした駅前に、他に目立つ建物は何一つ存在しない。

 

 駅前には、ピザ屋とSushi屋とファルマチアが1軒ずつ、あとはヒマそうな犬たちがバーチャン連に叱られてフガフガ言っているだけである。日本の田舎の小さな私鉄駅前で、すっかり見慣れた光景である。

20304 ラヴェンナ

(不思議なお手手。ラヴェンナのモザイクの要所要所で、この不思議なお手手が出現する)

 

 遠足でやってきた小&中学生たちがマコトに賑やかだけれども、うまく時間をズラせば、6世紀から1500年続く聖堂の静謐を十分に満喫できる。「キリストと12使徒を表すヒツジたち」のモザイクが美しい。

 

 白馬に限りなく近い姿に描かれたヒツジたちの、限りなく幸福そうな笑顔を見てみたまえ。「幸福とは、要するにこういう表情のことなんじゃないか」。すみずみのスミズミまでたどりついて、午後の今井君はマコトの幸福の姿を見たような気がしたものである。

 

1E(Cd) Zagrosek & Berin:SCHREKER/DIE GEZEICHNETEN 2/3

2E(Cd) Zagrosek & Berin:SCHREKER/DIE GEZEICHNETEN 3/3

3E(Cd) Sequentia:AQUITANIA

4E(Cd) Nevel & Huelgas Ensemble:Canções, Vilancicos e Motetes Portugueses

5E(Cd) SPANISH MUSIC FROM THE 16thCENTURY

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