Sat 180505  Auchan/Eataly/パヴィアの僧院(イタリアすみずみ4)M30 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Sat 180505  Auchan/Eataly/パヴィアの僧院(イタリアすみずみ4)M30

 基本的にキライなミラノでも、好きなものはナンボでも見つかるのである。キライだキライだと言っていても、人生では何一つ始まらないので、とりあえずキライなものの中に、好きなことを一点だけでも発見すること。外交でも何でも、スタートラインはそこにある。

 

 ワタクシとミラノの関係では、① Auchan ② Eataly ③ Sバーン、以上3点が関係打開の出発点になってくれた。① Auchanは中規模スーパー、② Eatalyは食品限定スーパーとフードコートの組み合わせ。どちらも無用にセカセカしないコンセプトが気に入った。

 

 そもそもワタクシは、ミラノミラノした感じの高級レストランが気に入らないのである。京都京都した高級和食もメンドーくさいし、日本の雑誌で取り上げられるパリパリしたパリの高級ワイン店も「ウゼー」の一言。ミラノミラノしたオシャレ一辺倒のカフェなんか、見向きもしたくない。

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(パヴィアの僧院への道。鳥やカエルの鳴き声と、ミツバチの羽音に導かれて30分、やがて僧院の正門に至る)

 

 そこへ行くと「Auchan」、その庶民的な雰囲気はサイコーじゃないか。店に入ってまず、大好きなチキンの丸焼きに目がいく。これに備えて今井君は、シドニーで買ったプラスチックのナイフとフォークを持参した。

 

 チキンをさばくのはお手のものであって、10年前のミラノで格闘したカラカラ干からびたチキン以来、海外で何羽の焼きニワトリを解剖したか、両手の指を10回ずつ使っても数え切れないほどである。

 

 しかし諸君、もしもそのチキンがすでに店サイドでさばかれていたら、そんなに便利なことはない。ホテルから裏道を10分、このあと連日訪れることになるAuchanで発見したのは、嬉しいじゃないか、「モモ」「手羽先」の諸君である。

 

 どちらも2本ずつパック詰めされて、5ユーロ程度。安くはないが、高くもない。ミラノミラノしたオシャレな店でディナーなんてことをすれば、その何倍もオサイフがいたむわけだから、初日からずっとチキンでグイグイいくことにした。

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(チェルトーザ・ディ・パヴィア駅から僧院までの田舎道。マコトに楽しい散歩であった)

 

 ついでに、ワインもビールも安い。Auchanで買えば、大好きなイタリアビール「モレッティ」が2缶で1ユーロ。「え?」であり「は?」であって、ビール1缶が0.5ユーロ、65円で買える。水より安い。

 

 ビールが水より安いのはヨーロッパ&中南米どこでも共通だが、さすがにここまで価格差がついちゃったら、水を飲むのが馬鹿馬鹿しいじゃないか。オランダから輸入の「Mastro」なら、さらに安く手に入る。いやはやAuchan、本当に頑張っている。

 

 ワインだって、ビックリするほど安く手に入る。ミラノミラノしたお店で50ユーロとか70ユーロとか払わなきゃいけないブルゴーニュワインでも、Auchanなら10ユーロだ。

 

 それに感激してワインの棚の前でウロウロするうちに、発見したのが「アマローネ」である。こんな中規模スーパーの棚の上では完全に特別扱い。何の遠慮もなしに「AMARONE♡30ユーロ」の値札を自慢げに掲げている。

 

 よっしゃ、そんなに遠慮がないなら、この旅の後半に徹底的に飲んでやろうじゃないか。そんなふうに決意したサトイモ軍曹は、脳裏に「AMARONE」「AMARONE」と刻みつけつつ、ひたすらチキンとチーズとハムを貪る控えめな日々を過ごしたのであった。

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(Eatalyの勇姿)

 

 もう1つ、ガリバルディ駅至近の「Eataly」も楽しかった。パスタをはじめとするイタリアの食材を一堂に集め、牡蠣でもムールでもチーズでもワインでも、何でもござれのフードコートが全フロアに広がっている。もちろん店の名前は「Italy」と「Eat」をくっつけたものである

 

 ワタクシはまず、耐熱ガラスのティーカップとエスプレッソグラスを購入。必ず近いうちに再訪して、生牡蠣とロゼワインをたらふく胃袋に流し込もうと決意した。ミラノミラノしてはいないが、今井君の好みにピッタリと合致。やっぱりメシというものは、こうじゃなくちゃいかん。

 

 以上、ミラノ初日の今井君の行動である。「ちょいワル」とか「ミラノおやじ」の行動とは全くベクトルが違うけれども、まあ許してくれたまえ。どうしてもそういう世界に同化できないサトイモなのだ。

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(チェルトーザ・ディ・パヴィア。マコトにのどかな駅であった)

 

 翌5月28日、マジメで控えめな今井君は、パヴィアの町を訪問することにした。パヴィアは、大学の町。中世から続く「パヴィアの僧院」が有名であって、パヴィア大学はミラノの若者たちの憧れでもあるらしい。

 

 ミラノからそのパヴィアの僧院に行くのに、今も日本のガイドブックは「パヴィアからバスで行け」としつこく繰り返している。パヴィアからバスで10分だと言うのであるが、そのバス便がそれほど多くないので、日帰りでは往復が難しいとおっしゃるのである。

 

 しかしパヴィアの僧院には、電車で至近の「チェルトーザ・ディ・パヴィア」という駅が便利なので、「うぉ、今井ブログにしては珍しく役に立つ情報だ!!」であるが、諸君には電車でのアプローチをオススメしておく。

 

 イタリア語ならChertosa di Pavia。ミラノ・ガリバルディから近郊電車に乗れば、約40分、パヴィアの駅の1つ手前であって、こりゃマコトにカンタンだ。

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(パヴィア僧院の正門。この静けさこそ北イタリアにふさわしい)

 

 ただしこの「近郊電車」、まだミラノ市民にも十分に浸透していない。おそらくドイツの「Uバーン」「Sバーン」にならったのである。Uバーンは地下鉄、Sバーンは近郊電車。ベルリンでもフランクフルトでもミュンヘンでも、この2種類の電車が都心を縦横に走っている。

 

 ミラノの地下鉄はM1・M2・M3の3本であって、近いうちにM4が開通する予定であるが、Sタイプの快速電車は5年前には存在しなかった。

 

 だからミラノ市民もまだ敬遠気味なのであるが、副都心ガリバルディやレップブリカからSバーンに乗り込めば、マコトにスピーディに近郊の街にたどり着ける。

 

 イタリア語で何と呼ぶのかハッキリしないが、ガラガラのSバーンを利用すれば、Chertosa di Paviaの駅に直通。対応の遅い日本のガイドブックはいつまでも「バスが便利」を続けているけれども、ぜひ諸君、パヴィアの僧院には電車でスカッと向かいたまえ。

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(パヴィアの僧院。奥に豊かな思索の庭が広がっていた)

 

 駅に着くと、すぐ目の前に僧院の煉瓦塀が現れる。中世風の煉瓦塀を左に見て、ミツバチの羽音と小川のせせらぎを楽しみつつ反時計回りに30分弱、のどかな田園風景の中を進めば、やがて僧院の正門前に着く。

 

 13時、人影はまばらである。それもそのはず、12時から14時まで、僧院は昼休みだ。僧たちも、のどかにランチを楽しみ、深く豊かな思索に静かな時間を過ごすのである。

 

 それならば今井君も、ランチに行こうじゃないか。静かで豊かな昼食と思索ということなら、まさにワタクシの得意ワザである。僧院のそばには2軒のお店があって、1軒はミシュラン星つきの高級店、もう1軒は地元にギュッと染み込んだ庶民的なお店である。

 

 こういう場合、ワタクシが選択するのが後者であることは論を待たない。高級店なんてのは、つまらないのである。後者をえらんで勝手なテーブルにつき、忍び足で寄ってくる野良猫3匹をからかいながら、声をかけてもらうのを呑気に待つのがいい。

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(ごく平凡なハム&チーズの昼食で、僧院の見学に備える)

 

 店は完全に家族経営である。注文をとるのは、ママを先頭に、マコトに無愛想な娘たち3名。「そんな不機嫌でどうすんの?」という異次元の不機嫌さだが、変に愛想のいいミラノのお店みたいに、ふいに裏切られたりしないのがいい。

 

 ハムとチーズとパンとビールで、今井君は一気に復活。何しろ暑い田舎道を闊歩した直後だ。何より嬉しいのは冷たく冷えたビール、カリカリのパンと、塩辛いハム&チーズを満喫すれば、「きっと僧院の僧たちも同じだろう」である。

 

 僧たちの深く豊かな思索だって、結局はハムとチーズと冷たい水分が支えているに違いない。さてそれでは重い腰をあげて、中世から続く穏やかな思索の場を見学に行きたいと考える(スミマセン、明日に続きます)。

 

1E(Cd) Keith Jarrett & Charlie Haden:JASMINE

2E(Cd) Ann Burton:BLUE BURTON

3E(Cd) Harbie Hancock:MAIDEN VOYAGE

4E(Cd) Miles Davis:KIND OF BLUE

5E(Cd) Weather Report:HEAVY WEATHER

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