Sat 180407  元に戻そう/毎日チャンと文章を書こう/ポーに到着(フランスすみずみ16) | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Sat 180407  元に戻そう/毎日チャンと文章を書こう/ポーに到着(フランスすみずみ16)

 フランス時間4月25日朝、前触れもなくスタートしたアメーバの新「アクセス解析」、すこぶる評判が悪いようである。みんなみんな「アクセス数の激減」にビックリして、「やる気が失せた」「今までの数字は何だったんだ?」の苦情が、山のように押し寄せている。

 

 そりゃそうだ。いきなり「今までの6割」という数字になったんじゃ、やる気も書く気もみな失せる。心配なので「スタッフブログ」を覗いてみたら、「早く元に戻して」という集計方法への苦情が、400件近くも殺到していた。

 

 今井君にしたところで、「1日最大7700」「毎日4500」だと思っていたものが、3000はおろか、2000台の数字を見せられたんじゃ、それでも「あと60日で10年前の約束達成だ、頑張れ」と自らを叱咤激励するのがバカバカしくなってくる。

 

 ここまで苦情が殺到したんじゃ、おそらくスタッフ側も連休明けぐらいには何か対策を講じないわけにはいかないだろう。元に戻すのか。後には引けないのか。いやはや、何とも難しい。

19936 赤い人

(フランス最南部「ポー」の町で。雨に濡れる赤い人物が、暖かそうな店内を覗いていた)

 

 何しろ「働き方改革」の時代だ。連休ぐらいはスヤスヤゆったり休んでもらってかまわないが、事前のお知らせもナシにいきなりやっちゃったアクセス解析のリニューアル。多くの人が「0の行進だ」と苦情を言っている。これに対応できないようだと、きっとブログの世界が終わっちゃう。

 

 だって諸君、「いいね」がたくさんついているのにアクセス数0、そういうおかしな事象まで発生しているんだというじゃないか。幸いというか何と言うか、ワタクシのブログは「いいね」も「コメント」も一切ナシにしてもらっているからいいが、とにかく理不尽なのはイカンよ。

 

 今井君は、心からアメーバを愛しているのである。次から次へと新しく生まれてくるSNSに押しまくられて、古色蒼然としたブログは決定的に不利。それでもこの10年、地味なイチ予備校講師に過ぎない今井君の書く文章を、世間に公表する媒体になってくれた。

 

 愛するアメーバどんに、こんなことで潰れてもらっては困るのだ。みんなが「元に戻せ」と大合唱するなら、元に戻ることを恥じてはならない。元の方が良かったのだから、サッサと元に戻るべきである。

19937 大聖堂1

(雨に濡れるポーの町で、教会に救われた 1)

 

 ワタクシは、長老である。テレビにもCM以外ほとんど出ていない。誰も最後まで読みきらない学習参考書を書くこともイヤである。要するに何にもしていないし、何の努力もしていない。

 

 しかしブログのアクセス数だけはビックリするほど多い。順位も信じがたいほど上位である。ブログの文章の力だけでこんな上位にいる。なみいる人気タレントさんたちを押しのけて、驚くほどの上位に定着している。

 

 某国営放送の英語講師として有名な某オジサマと、連日のように抜きつ抜かれつのデッドヒートを演じているぐらいだ。そういう人間の意見をこそ、今は聞くべきである。

 

 文章を書く人間の多くは、プライドをエンジンにしている。そのプライドを踏みにじって、「アクセス数0」などという恐るべき数字を突きつけるようじゃ、21世紀の媒体として成立しないんじゃないか。ワタクシも、連日4500だと思い込んでいたものが、いきなり2500と言われたら、そりゃションボリせずにはいられない。

 

 我々は日々プライドで生きている。我々が存在してこその広告収入だ。高いゲタぐらい、履かせてもらおうじゃないか。ワタクシは、マトモな文章さえほとんど掲載できない媒体がイヤなのだ。だからブログを最後の砦とさえ考えている。ここで持ちこたえてくれなきゃ困るのだ。

19938 大聖堂2

(雨に濡れるポーの町で、教会に救われた 2)

 

 世の中は、グローバリズム。何でもかんでも世界共通であって、世界中どこへ行っても、英語とグーグルマップとYouTube。フランスの田舎町を訪れても、ウルグアイやキューバやモロッコを訪ねても、みんなが英語、みんながスマホだ。

 

「多様性」も「diversity」も、人間の世界ではもう絶滅寸前。フランスの片田舎でごく基本的なフランス語を話そうとしたって、ニッコリ笑って英語で返される。英語万能、「英語で通じます」。そんな旅のつまらなさを痛感するのである。

 

 2〜3年前のANAの広告キャッチフレーズに、「なんだ、世界って1つじゃないか」というのがあった、コピーライターの気持ちは分かるが、諸君、それじゃ困るのだ。

 

 世界が1つじゃ、何も面白くないじゃないか。本来は「みんな違って、みんないい」なのであって、みんなが違う言語を話し、みんなが違う文化に意地でもプライドを持つべきだ。

19939 ポー城1

(ポー城。アンリ4世のお城である)

 

 たとえ英語で話しかけられても、よほど相手が困り果てていないかぎり、「英語なんか知りませんよ」とツンとしていているほうがいい。マスメディアのご意見では「それではグローバル化していく世界に取り残される」なのであるが、そんな英語追従では、かえって世界中にバカにされるだけだ。

 

 ポルトガルではポルトガル語。トルコではトルコ語。アナログな地図を眺めて四苦八苦、旅立ちの直前に徹夜で学んだ片言の現地語をつかって、また四苦八苦。それでも心から優しくしてもらって、「旅の醍醐味はまさにそこにある」と言えた日々が懐かしい。

 

 諸君、我々日本人は、もっともっと日本語で文章を書こうじゃないか。ツイッターとかインスタじゃなくて、キチンとした4段落。せめて3段論法の文章をブログに掲載しようじゃないか。

 

 やっぱり、起承転結。3段落の序破急でもいい。2行か3行の短文でナマの感情を吐露するんじゃなくて、1段落4行×4段落、常に論理性を優先させて、チャンとした母語の論理的な文章を掲載しようじゃないか。人間の多様性を22世紀に持続させるわずかなチャンスは、そこにしかない。

19940 ポー城2

(ポー城にて。昔々の長大なテーブルがピカピカに輝いていた)

 

 今井君が10年、意地でもこのスタイルを貫いてきたのは、そういう発想からである。「長すぎる」「読めねえ」という批評をあえて無視しながら、あくまで市井の一般人として、文庫本200冊分の文章を書いてきた。果てしない旅の記録も、そのための材料だったのである。

 

 だからワタクシとしては、たかが集計方法のリニューアルなんかでアメーバどんが窮地に陥っては困るのだ。これほど多くの苦情が殺到しているのなら、話はカンタンだ、プライドは捨てて、元に戻したまえ。

 

 ここは、キチンと母語で文章を書いて21世紀の世界の多様性を担保しようとする人々の、素晴らしいコミュニティである。我々の脆弱なインセンティブを、ドライな数字で萎えさせてはならない。

19941 足置き

(ポー城にて。王様たちのソファの足置きが可愛いじゃないか) 

 

 4月16日、「フランスすみずみ」の旅は、まだわずか6日目である。延々18日の旅のうち、たった1/3しか終わっていない。それなのに、旅行記はすでに15回目を迎えていて、いやはや、今井君ってホントにしつこいサトイモなのだ。

 

 ワタクシが訪ねたのは「ポー」の町。ピレネー山脈は昨日までのルルドよりもっと間近に迫り、交通標識の表示もフランス語とスペイン語が併記されている。今井君が何より好きな多様性の世界である。

 

 フランス語のボルドーは、スペイン語でボルデウ。同じくフランス語のバイヨンヌは、スペイン語ではバイオナ。まさに「そう来なくっちゃ」であって、ニューヨークだってスペイン語世界ではヌエバジョルク。リスボンもリシュボア。英語万能なんてのは、つまらんのだ。

19942 道表示

(バイヨンヌはバイオナ、ボルドーはボルデウ)

 

 Pauというスペリングで、ポー。ポー川の清冽な流れがピレネーに沿い、フランス語とスペイン語が並列するフランス最南部の町である。1300年前、世界を完全征服しつつあったイスラム圏の猛攻に抗して、キリスト教圏ギリギリの砦として戦いに明け暮れた。

 

 この日もフランス国鉄は大ストライキの真っただ中。電車はピクリとも動かない。だから今井君は臨機応変、路線バスで3時間半かけて、トゥールーズから何とかポーの町にたどり着いた。

 

 ただしまだ「ポーの町」には着いていない。バスが止まったのは、ポーの町から遠く離れたポー大学の構内である。目の前には閑散としたスーパーマーケットが1軒あるだけであって、「ポー市街には徒歩30分」というマコトに厳しい数字が提示される。

 

 しかも諸君、冷たい早春の雨が降り続く。この雨の中、今にも折れそうな折りたたみ傘で我が肉体を守りながらの徒歩30分。オロオロしながら歩き続ける。本来の人生とは、こういうものなのである。

 

1E(Rc) Rozhdestvensky & Moscow Radio:BARTOK/DER WUNDERBARE MANDARIN  & TWO RHAPSODIES FOR VIOLIN & ORCHESTRA

2E(Rc) Darati & Detroit:STRAVINSKY/THE RITE OF SPRING

3E(Cd) 東京交響楽団:芥川也寸志/交響管弦楽のための音楽・エローラ交響曲

4E(Cd) デュトワ&モントリオール:ロッシーニ序曲集

5E(Cd) Akiko Suwanai:DVOŘÁK VIOLIN CONCERTO & SARASATE

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