Sun 180325  夏スケジュール入り始める/バラ色のトゥールーズ(フランスすみずみ 3) | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Sun 180325  夏スケジュール入り始める/バラ色のトゥールーズ(フランスすみずみ 3)

 意外な感じがするだろうが、フランス南西部トゥールーズに行くのに、ワタクシはパリではなくてフランクフルトで乗り換えるのである。

 

 パリからヒコーキではなくてTGV利用もいいだろうが、何しろ大っきなスーツケースを転がしている。鉄道やメトロやTGVを乗り継いで、あの暗くて狭い通路をエッチラオッチラやるのには、さすがの今井君も年を取りすぎた。

 

 もちろん「年をとりすぎた」と言ったって、今もイノシシやクマを喰らい、日々猪突猛進して、今年になってからすでに公開授業を42回もこなすほどの猛者である。今でも30歳代前半の体力&精神力を誇る。

 

 6月&7月&8月の予定もそろそろ入り始めて、相変わらずの超多忙になる予定。すでに夏13日分の予定が決まっている。全国の関係者の皆さま、遠慮せずどんどん&ナンボでも今井君を呼んでくれたまえ。期待の5倍は成果を出してご覧に入れる。

19842 キャピタル

(トゥールーズには完全自動運転の地下鉄が走っている。わずか2両の編成だが、ほぼ1分おきに走っている。ワタクシはホテル至近の「CAPITOLE」駅を利用する)

 

 さて乗り継ぎまで時間の余裕があれば、たとえ朝でもラウンジでビールを飲みながら、目的地についての最終確認を行うのがワタクシの旅の流儀である。場合によっては、ここでスケジュールを変更したり、滞在先での鉄道やバスやホテルの手配を済ませてしまう。

 

 マコトに便利な世の中になったもので、15年前とは隔世の感がある。鉄道もバスもポチリ、ホテルもポチリ、変更もなんでも「ポチリ」を3回か4回かすればカンタンに済んでしまう。

 

 逆に「見知らぬ土地を旅をしている」という貴重な不安感や不安定感がなくて、そのぶん旅の妙味は薄れてしまうが、まあ贅沢は言いっこなしだ。

 

「フランスすみずみ」の旅でも、たとえヨーロッパ中の交通機関がストライキで麻痺状態であっても、なんとかかんとかホントにスミズミまで歩き回れそうである。トゥールーズと、トゥールーズからの小旅行を予定しているアルビ・ルルド・ポーなどについて、ガイドブックを熟読していくことにした。

19843 ミディ運河

(ミディ運河。トゥールーズでガロンヌ河から分岐、カルカソンヌを経てナルボンヌで地中海に出る。全長360km。大西洋と地中海を繋いでいる)

 

 しかし諸君、こういう小さな町について、日本のガイドブックの記述は驚くほど少ないのである。例えば「地球の歩き方」、パリの記述は108ページにも及ぶが、トゥールーズは5ページ、ルルドは3ページ、アルビも3ページ。「熟読していく」も何も、5分もかからない。

 

「CREA」なんか、年に2回も3回もフランス特集をするけれども、要するにパリだらけであり、パリまみれである。表紙に「パリ」「またパリ」「またまたパリ」と大書しないと、おそらく売れ行きに大きな影響があるのだ。

 

 確かに今井君自身のブログ旅行記でも「またパリ」「またまたパリ」をやった記憶があるし、このままだと「まだパリ」「まだまだパリ」「それでもパリ」「それでもなおパリ」、続々と続くことになりそうだ。

 

 しかし諸君、せめてガイドブックぐらいは、パリ以外の中規模都市や田舎町について、もっと詳細な記述がほしい。パリが100ページを超えているのに、トゥールーズが5ページ、ポーなんかたった2ページじゃ、さすがにひどすぎないか。

 

「地球の歩き方」からは、すでに「パリと近郊の町」というバージョンが出ている。ならば「フランス」というタイトルのバージョンからは、もうパリを除外、除外しないまでも基本情報だけに限定し、「フランス(パリ以外)」というタイトルのものを出してもいいんじゃないか。

 

 すでに世の中は「ガイドブック不要」の時代。乗継空港のラウンジでPCをポチポチ、またはスマホをネロネロ、それだけで旅の計画なんかカンタンに出来ちゃう時代だ。ガイドブック業界だって、パリ人気の上にアグラをかいているわけにはいかないはずだ。

19844 TER

(ここは「ミディ・ピレネー県」。スペイン国境であることが、電車にもハッキリ明記されている)

 

 フランクフルトでそういうことをやって1時間、夜明けの時間帯にトゥールーズ便が出た。フランクフルトは冷たい雨。飛び立った空から下界を眺めるに、低い雲が地面にへばりついて、見るからに寒々としている。

 

 寒々としているのは機内も同じこと。トゥールーズ行きの乗客は多く見積もっても30人、いやおそらくは20人を超えるか超えないかの閑散ぶりである。

 

 これも諸君、前日の大規模なストライキの影響である。前日のフランクフルト空港は大混乱、800便以上が欠航したとあっては、早朝のトゥールーズ便をみんなが避けて通ったのはむしろ当たり前である。

 

 何とパリ大学(ソルボンヌ)の学生や、全国のリセの中高生諸君まで、このストライキに参加しているというのである。ワタクシは10年前、アビニョンからマルセイユに向かう電車の中で、まさにその電車がストライキ中のリセの生徒諸君に占拠されてしまったのを目撃&体験したが、今回も同様の混乱であるらしい。

19845 アルビ行

(旅2日目、早速アルビの町を訪れる。トゥールーズから各駅停車で1時間ほどの旅である)

 

 これに比較して日本の人々は、ずいぶん大人しくなりましたな。1970年代、日本社会党や共産党が「ゼネスト」を呼びかけ、鉄道は止まり、大学の授業も止まり、みーんな止まってホントにたいへんだった。

 

 21世紀の日本では、こんな激しさはもう考えられないようである。どんなに「アベ政治を許さない」であっても、主催者側の発表で、国会前に3万人。それもどうもベテランの中高年のヒトビトばかりが目立つ。

 

「野党は追及を強める姿勢」と言ったって、ツジモトどんやレンホーどんがテレビ画面で10秒ほど、毎日おんなじコワイ顔で呆れてみせるだけじゃ、「許さない」の迫力に決定的に欠けている。

 

 ゼネラル・ストライキ、略してゼネスト、そのぐらいのものを呼びかける覚悟がなくちゃ、野党の責任も何もあったもんじゃないじゃないのか。これが70年代ならゼネスト、とっくに始まっていたように思う。

19846 木材

(大量の材木を積んで走る長大な貨物列車。どこまでも松林の続く「ランドの森」もすぐそばだ)

 

 さてヨーロッパの今井君は、大規模ストライキにも関わらず、予定通りにトゥールーズに到着した。トゥールーズ空港も閑散、朝の冷たい曇り空の下、動き回る人影はまばらである。フランス第5位の人口を誇る大都市圏であり、「ミディ・ピレネー」の首都であるはずなのだが、なかなかそれが信じられない閑散ぶりなのだった。

 

 トゥールーズは、通称「バラ色の街」である。フランス語なら、「La Ville Rose」。普通のフランス都市なら山から石材を切り出して建設資材とするが、トゥールーズの街は赤土を焼いたレンガを基本資材としているのである。

 

 だから、大聖堂も赤く、修道院も赤く、ホテルも市役所も市役所前広場もみんな鮮やかな赤である。つい半年前のワタクシは、オーストラリアの真ん中で真っ赤な大地の広がりに衝撃を受けたばかりであるが、トゥールーズの鮮やかなレンガ色にも、またまた大きな感動を体験した。

 

 一昨日の2枚目の写真、昨日2枚目と3枚目の写真を見てくれたまえ。それが「バラ色のトゥールーズ」である。昼過ぎから冷たい雨が降り出したが、雨に濡れたバラ色もまたマコトに美しいものである。

19847 刻印機

(さすが「スミレの街」。トゥールーズのICカードは「pastel」と名付けられている)

 

 トゥールーズには「スミレの街」という別名もある。フランス語なら「Cité des violettes」。この地域にはスミレの群生地が多く、薄紫のパステルカラーは昔からトゥールーズのシンボルになっているらしい。

 

 だからトゥールーズの交通機関用ICカードは「Pastel」。市民はもうとっくに「ピッ」「ピッ」の世界であって、切符だの回数券だのを買ってウロウロしているのは観光客だけである。

 

 到着翌日、ワタクシは各駅停車の電車でトゥールーズから1時間、山に深く分け入った「アルビ」という町を訪ねることにした。「Albi」と書いてアルビ、世界遺産の町である。

 

 そのアルビで、「何故トゥールーズの街がこんなに真っ赤なのか」「トゥールーズがバラ色の街になった理由」を骨身にしみて痛感することになるのであるが、それはまた明日の記事で。というか、一昨日1枚目の写真をご覧になれば、そのわけは一目瞭然であることと思う。

 

1E(Cd) Pickett & New London Consort:CARMINA BURANA vol.2

2E(Cd) Menuhin & Bath Festival:HÄNDEL/WASSERMUSIK

3E(Cd) Diaz & Soriano:RODRIGO/CONCIERTO DE ARANJUEZ

4E(Cd) Cluytens & Conservatoire:RAVEL/DAPHNIS ET CHLOÉ

5E(Cd) Miolin:RAVEL/WORKS TRANSCRIBED FOR 10-STRINGED & ALTO GUITAR

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