Thu 180315  新講座収録に熱く燃える/まだクリケット観戦(またシドニーの12月 25) | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Thu 180315  新講座収録に熱く燃える/まだクリケット観戦(またシドニーの12月 25)

 それにしても諸君、194–0。そんなスコアはラグビーだって見たことがない(スミマセン、昨日の続きです)。ラグビーなら、トライが5点、トライの後のコンバージョンが2点。1990年代の初期まではトライは4点だったが、まあ確かに194点差を逆転することも理論的には可能だ。

 

 しかし実際に194点差をつけられて、味方は厳然と0点。そういう立場に立ってみたまえ。偏差値40で東京大学を目指すような、あるいは目もくらむ長い急勾配を全力疾走するような、そういう激しい動悸を感じるじゃないか。

 

 それでも、シドニー市民は動じない。194点差なんか、絶対に逆転してくれる。そう信じて疑わないのである。だから、スタジアムを埋め尽くした数万人の観客は、誰1人として「もう帰っちゃお♡」という行動をとらない。

 

 このへんは、日本の野球ファンも学んだ方がいい。そんなに怒りっぽくなって、すぐに生タマゴを投げつけたり、「ヤメロ」コールを大合唱したり、そんなんじゃ、選手も監督もコーチも可哀そうじゃないか。

 

 200点近い大差をつけられても、シドニーのクリケットファンはなお大逆転を信じて疑わず、売店で購入したチキンにポテトにビールにワイン、そういうものを貪りながら、2時間後の大逆転を待つのである。

19782 オウム1

(シドニーの公園で、オウムの群れと出会う 1)

 

 どうだい諸君、大逆転には時間がかかるのだ。イメージとしては、大学受験の世界でも1ヶ月か2ヶ月、自ら「神」または「天才」と名乗るカリスマ講師の授業を受ければ、奇跡のような大逆転が待っているんだそうな。しかしそんなのは、現実には決してありえねーアニメの世界の物語なのだ。

 

 ワタクシは現在、新講座「E組」全20回の収録に夢中なのである。すでに18回分が終了、明日の記事には「20回分、カンペキに終了しました」という報告を掲載できる見込み。それだからこそ、ずいぶん大胆に自ら「神講師」を名乗るヒトビトに、どうしても疑念の視線を向けたくなるのだ。

 

 ホントにセンセーがた、その授業で「神講師」を名乗れるの? 本来はもっと謙虚に、「難関大への現役合格、お手伝いしますよ、ヘッヘッヘ♡」ぐらいにとどめておいた方がいいんじゃないの? 

 

 参考までにワタクシも、「神」を名乗っていらっしゃるセンセーがたの授業を数十秒ずつ眺めてみたのであるが、うーん、これでホントに「神」かねえ。マコトに寂しくツラい気持ちに沈む今井君なのであった。センセーがた、その英語は世界でチャンと通じてるの? その状況で「神」とか言ってたら、ちと恥ずかしいんじゃないかい?

 

 というわけで諸君、昨日の今井君は新講座「E組」の最終版を収録しながら、15年で1000日を超える海外滞在の物語を徹底的に語り、若い諸君のグローバルな生き方を語りつつ、収録のクライマックスを迎えていた。

 

 今井君がどれほど熱く燃え上がったかについて、さらに収録については、明日の記事の中で詳細を語りたいと思う。大ベテランとしては信じがたいほど強烈に気合いの入った授業は、わずか2週間、ほぼ1度の失敗もナシに、200%の完成度でパーフェクトに仕上がった。

19783 オウム2 

(シドニーの公園で、オウムの群れと出会う 2)

 

 さてクリケットであるが、194–0という驚きのスコアから、ホームチーム・シドニー6ersは確実にその差を詰めていく。200点差ぐらいなら、クリケットの観客としてはごく当たり前。ちっとも諦めてなんかいないのだ。

 

 ただし諸君、最初の2人の「バッツマン」は、いかにも凶悪そうな「バッツマン」というお名前にも関わらず、あっという間にアウトになっちゃった。よほどのことがなければアウトにならないはずなのに、シドニー6ers、たちまち敗戦の瀬戸際に追い詰められたのである。

 

 野球で言えば、「19–2」ないし「19–5」、9回ウラ2アウトでランナーなし。この状況でまだスタンドに残っている観客というのは、選手の親族ないし血縁者、またはホームチームの運命共同体であると信じ、選手のバスにぶつける生タマゴをすでに握りしめている諸君ぐらいのものである。

19784 オペラハウス

(ハーバーブリッジの上から、オペラハウスを望む 1)

 

 だから夜8時半すぎ、スタジアムの雰囲気は一気に険悪なものに変わってきた。そりゃそうだろう。胃袋には安いチキンとポテトと大量のビア。目の前の試合は敗色濃厚、すでに(野球なら)9回ウラ2アウト&ランナーなし。これで雰囲気が悪くならないはずはない。

 

「そろそろ帰った方がいいかな」。シドニーを訪れた日本人なら、誰でもそう思う場面である。だってそうじゃないか、2アウトから194点を逆転する、そのマコトにわずかな望みをギュッと握りしめて、こんなヨッパライだらけのスタジアムに残るなんてのは、あんまり楽しいことではない。

 

 というか諸君、この段階でのヨッパライ指数が、ぐんぐん急上昇し始めたのである。70%? 80%? いや90%? みんなすげー酔っ払っている。ほぼ全員すでにビール4〜5杯。叩けばポンポンいい音のしそうなビール腹に、この時点で多くの人がワインを飲み始めた。

19785 シドニーハーバー

(ハーバーブリッジの上から、オペラハウスを望む 2)

 

 

「いやはや困った、こんなヨッパライだらけじゃ、品行方正な今井君はどうすればいいんだ?」。そう考えていたまさにその瞬間、何と今井君のワイシャツの背中に、冷たい赤ワインがビシャッと落ちてきた。

 

 誰がこぼしたのか分からない。こぼした本人はあっという間にどこかに去ってしまった。4〜5人の集団の誰かだが、通り過ぎてしまえば「オマエだろ?」と問い詰めるわけにもいかない。

 

 別に、すげー高価なシャツを着ているわけではない。公開授業の時に40回も50 回も繰り返し着て、「そろそろ捨てちゃおうかな」「そろそろ断捨離かな」と思ったシャツから順番に外国旅行用のシャツになるのである。袖はほつれているし、いくらアイロンをかけてもヨレヨレ、そういうシャツである。

 

 しかし諸君、悔しいじゃないか。ヨレヨレであればあるほど、思い出もたっぷり染み込んでいる。2008年、あんなことがあったな。2012年、こんなこともあったな。2015年、すげー出会いがあったな。今井君は記憶力の鬼であって、だからこそなかなか服を断捨離できない。

19786 大型客船

(シドニー、サーキュラーキーの風景。また巨大客船が入港した)

 

 そこで諸君、ワタクシはもうホテルに帰ることにしたのである。我がシドニー6ersが逆転するにしても、おそらくはまだ3時間はかかる。ホームランばっかり連発しても、1本6点 → 35本も打たなきゃなんない。2塁打で4点ずつ取っていったとしても、50本打たなきゃダメだ。

 

 それじゃあんまりたいへんだ。しかしそういう大逆転を夢みて、数万の客がカタズをのんで深夜までここに居残るのである。赤ワインのシミがシャツを染めようが何だろうが、みんなちっとも気にしない。あくまでクリケットに夢中。日付をまたぐことも珍しくないんだそうな。

 

 そこでワタクシは見切りをつけて、「こりゃ、もう帰ろう」ということに決めた。まさかここから逆転することもないだろうし、試合終了まで粘ったら、帰りのバスが狂乱の大混雑になるに決まっている。

 

 その「帰りのバス」であるが、乗り込んでみると、すでにヨッパライでいっぱいだ。大学生らしき若者たちも、OLであるらしいイタリア系の女子たちも、もうとっくに異様に酔っ払っていて、おしゃべりの声のボリュームに歯止めがきかないようである。

19787 ラウンジ

(シドニー空港のラウンジ。ニュージーランド航空が運営する)

 

 もう翌日は日本に帰る今井君であるが、これからはもっともっとクリケットが見たい。日本のテレビでクリケットを観戦するのは、ほぼ不可能。昨日も今日も、明日も明後日も、ほぼ同じようなバラエティとグルメ番組の連続で、クリケットどころかラグビーだって放送してくれない。

 

 しかし諸君、驚くなかれ、ホテルに帰ってテレビをつけたら、さっきまでナマで見ていた「シドニー6ers vs アデレイド」の試合、まさにスポーツチャンネルで生中継中なのだった。

 

 しかも最後の最後、ちょうど日付が変わった時間帯、シドニー6ersは奇跡的な大逆転劇でアデレイドに勝利。お互い抱き合って大感激のシドニーファンなのであったが、果たして彼ら&彼女らは、無事にオウチに帰れたんだろうか。それが心配になる今井君なのであった。

 

1E(Cd) Menuhin:SCHUBERT/SYMPHONY No.1 & No.4

2E(Cd) Menuhin:SCHUBERT/SYMPHONY No.2 & No.6

3E(Cd) Menuhin:SCHUBERT/SYMPHONY No.3, No.5 & No.8

4E(Cd) Menuhin:SCHUBERT/SYMPHONY No.9

5E(Cd) Gunner Klum & Stockholm Guitar Trio:SCHUBERT LIEDER

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