Wed 180314  バッツマンの疾走/今度はオレが攻める番だ(またシドニーの12月 24) | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Wed 180314  バッツマンの疾走/今度はオレが攻める番だ(またシドニーの12月 24)

 いつもいつでも、「オレって、説明がうまいなぁ」と自画自賛するのである。どんな面倒なことも、どんな複雑なことも、今井の舌にかかれば、誰でもスッキリ理解が進み、そのままストンと胃袋に収まる。

 

 新講座の収録がマコトに順調に進み、毎回それなりの難度の長文読解も入るのであるが、電子黒板を巧みに使いこなし、蛍光ペンもカラフルに使用して、自分でも「うわ、こりゃ分かりやすいや」「こんなに分かりやすいんじゃ、ご同業のヒトビトがピンチに陥るでごあす」と、思わず呟くのである。

 

 だから話がクリケットになっても、さすがに諸君、昨日の記事でゲームの概要がほとんどストンと胃袋に収まったんじゃないかね? クリケットのルールなんてのは、誰が説明しても滅多なことじゃ理解できないもの。たった一夜のブログ記事で、ここまで納得が行くなんてのは、まさに今井の真骨頂だ。

 

 ホントは今の段階で、ぜひ読者諸君にも生クリケット観戦に行ってほしいのである(スミマセン、昨日の続きです)。ヒコーキに乗ってシドニーまで9時間。ムンバイまで8時間。ロンドンまで12時間。驚くほど多くの人々が、クリケット観戦に興じている。

 

 もしも「グローバルに生きたい」と生意気なことをヌカすなら、あるいは国際派を自ら任じて意識高い系に参入するなら、「クリケットを見たことありません」とは言えないはずだ。そう言った瞬間、イギリスとオセアニアとインドと南アフリカ共和国が、たちまちキミにソッポを向く。

19776 夜景1

(ホテルからの夜のシドニー・ハーバー・ブリッジ 1)

 

 野球の2塁打に相当する「4点打」のこと、分かりましたね。野球のホームランに該当する「6点打 → シクサー → 6er」のことも理解しましたね。投手であるボウラーも、打者であるバッツマンも、もうすっかりお馴染みですね。

 

 だからもう、「今すぐトビタテ!!」であって、シドニーでもロンドンでもどんどん語学研修に飛び立って、そのついでに日本一のクリケット通になってから帰国すればいいのだ。

 

 Mac君みたいに「クリケット通」を「クリケット痛」と変換、今井をからかって悦に入るのも、それはそれなりに楽しい人生だ。しかし諸君、この夜の今井君は「クリケット痛」というより、7日前に椅子の手すりに痛打した臀部がまだ痛い。ドラ焼き大のコブが出来て「ドラ焼き痛」の状態だ。

 

 しかし若い諸君なら、クリケット通になって日本に帰ってきて、「クリケット大使」を名乗るのも悪くない。意識高い系な生き方も確かに素晴らしいが、クリケット大使やアイスホッケー大使みたいな生き方も、負けないぐらいグローバルだと信じる。

19777 夜景2

(ホテルからの夜のシドニー・ハーバー・ブリッジ 2)

 

 ところで諸君、クリケットについて、もう1つだけ知っておいた方がいいことがある。4点打と6点打以外の「ごく普通の打球」の場合、バッターランナーがどう行動するかである。野球ならもちろん猛然と一塁に疾走し、一塁ベースを駆け抜けるところだ。

 

 サワヤカ高校野球なら、ヘッスラことヘッドスライディングをするもよし、一塁を回って果敢に2塁をうかがうもよし。内野ゴロで明らかにアウトなのに、一塁コーチが大きく腕を広げて「セーフ」のアピールをするのも、昔からお馴染みのシーンだ。

 

 それがクリケットになると、マコトにユーモラスなのである。野球に例えれば、「本塁と2塁しかない」なのだ。ごく普通の打球になった場合、バッツマンは棍棒をもったまま、猛然と2塁にダッシュする。

 

 その2塁には「ランナー」に該当するヤツがいて、ランナーは2塁からまっすぐ本塁に疾走する。バッツマンと何度もすれ違いながら、アウトにならない限り2塁と本塁の間を行き来していい。行き来の分だけ得点が入る。ただしその間にボールが戻ってくると「アウト」になってしまう。

19778 ブリッジ

(12月29日朝のハーバーブリッジ。帰国の日になっちゃった)

 

 おお、これでアナタも完全なクリケットファンになれる。どうだい諸君、今井君の説明の巧みさ、びっくりしたかね。今井の授業を受けたことがなければ、そりゃ大きな損失だ。大学生諸君も社会人諸君も、直ちに「今井のC組」「今井のE組」を受講したまえ。英語がイヤになるほどよく分かるはずだ。

 

 12月28日夜、「明日の夕方のヒコーキで帰国」という寂しい夏の夜だったが、今はとにかく目の前の試合「シドニー vs アデレイド」に集中しなければならない。アデレイドの打線は予想以上に強力。シドニー6ersの投手(ボウラー)がいくら奮戦しても、一向に攻撃が終わる様子がない。

 

 何しろ野球みたいに「3アウト → 攻守交代」というメンドーな制度は存在しない。野球でいえば9回分の攻撃が全て滞りなく終わるまで、攻撃はどこまでも続く。「線路はつづくよ、どこまでも」であるが、同様に「アデレイドの攻撃はつづくよ、どこまでも」なのだ。

19779 ミルソンズポイント

(帰国の日でもまだまだ冒険を続ける。詳細は明日)

 

 アウェイのチームが先に攻撃するのは、野球とおんなじだ。ホームチームは、やがて始まる自軍の攻撃を楽しみに、じっと我慢の時間帯を耐え忍ぶ。それは観客も同じこと。ビールにワインにチップスにチキン、そういうもので腹をタプタプさせつつ、ワクワクしながら攻撃を待つ。

 

 アデレイドの攻撃は2時間以上も続き、194点入ったところで終了となった。194–0。いやはや、もしもこれが野球なら、ホームチームの観客は、とっくにゾロゾロ家路につく頃である。

 

 万が一、甲子園でタイガースが0ー19、ナゴヤドームでドラゴンズが0−19、そんな状況を考えてみたまえ。ジェットフーセンは投げやりに飛びまくり、選手のバスに生タマゴが投げつけられ、監督コーチは罵倒され、「ヤメロ」「ヤメチャエ」のシュプレヒコールが始まってしまう。

19780 オペラハウス

(ハーバーブリッジからのオペラハウス。詳細は明日)

 

 今から20年も前のこと、夏の高校野球青森県予選で「122–0」という言わば「事件」があった。あまりのことに世論は沸騰し、中学校の道徳の教科書にまで取り上げられたそうだ。

 

 甲子園4回出場の名門私立・東奥義塾が122点。青森県立深浦高校が0点。1回表に39点、2回表が10点、3回表11点、4回表17点。5回16点、6回12点、7回17点。規定により、7回でコールドゲームとなった。

 

 3時間。7本塁打。86安打。盗塁78。対する深浦高校は、ノーヒット。それでも1つのアウトを取るたびにスタンドからは大きな拍手が湧き上がり、双方の美談としてマスコミが大きく取り上げるに至った。深浦高校はその後の統廃合を経て、「青森県立木造高校深浦校舎」と名前が変わった。

 

 さてシドニー6ersであるが、こちらは例え194–0であっても、野球ではなくてクリケットである。「いよいよオレたちが攻める番だ」。2時間超の守備が終わって選手たちがベンチに戻ると、観客席の雰囲気が一変する。

19781 絶景

(ハーバーブリッジをわたって、湾の向こう側に降りてみた。詳細は明日)

 

「今度はオレが攻める番だ」。ハードボイルドな映画やテレビドラマで、最も人気のあるセリフなんじゃないか。今までに世界で書かれた小説や戯曲の中で、この同じセリフが何度使われたことだろう。誰だって一生に一度は言ってみたいだろう。

 

 一方的に攻めまくられ、肉体的にも精神的にもボロボロに傷ついたヒーロー。優しくなぐさめ、身体の傷をいやし、「もうこれ以上戦わなくていい」と囁くヒロイン。ところがこのヒロインをさらなる絶望が襲う。こうなれば、もうヒーローが立ち上がるしかない。「今度はオレが攻める番だ」なのである。

 

 もしも今井君が予備校の広告を作る立場にいれば、間違いなくこのセリフを使う誘惑に駆られるはずだ。傷つき、捲土重来を誓う3月下旬の浪人生。彼または彼女を慰め&導くスゲー&カッケー神♡講師。まあそういうCMである。

 

 男子バージョン「今度はオレが攻める番だ」、女子バージョン「今度はアタシが攻める番だね」。21世紀女子の語尾は「だね」。いまだに「だわ」などと言ってるのは、英語の参考書の全訳例ぐらいである。しかしこの男女2バージョンで、長らく不調の続く浪人生専門予備校も、きっとギュッと攻勢に転じるんじゃないか。

 

 さてシドニー6ers、もし野球なら「ホームランズ」、いよいよ攻撃の番が来た。194点差を、これから2時間かけて取り返す。観客もギュッと緊張感を取り戻して試合に集中する。

 

 はたして、どうなるか。さあいよいよだ。しかし諸君、今日も長く書きすぎた。試合の後半とその結果については、また明日の記事で書くことにしたい。

 

1E(Cd) Goldberg & Lupu:SCHUBERT/MUSIC FOR VIOLIN & PIANO 2/2

2E(Cd) Wand & Berliner:SCHUBERT/SYMPHONY No.8 & No.9 1/2

3E(Cd) Wand & Berliner:SCHUBERT/SYMPHONY No.8 & No.9 2/2

4E(Cd) Alban Berg:SCHUBERT/STRING QUARTETS 12 & 15

5E(Cd) Richter & Borodin Quartet:SCHUBERT/”TROUT”  “WANDERER”

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