Sat 180303  就職直前の思ひ出/池袋で早春シリーズの締めくくり/夜桜と特ヒレカツ | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Sat 180303  就職直前の思ひ出/池袋で早春シリーズの締めくくり/夜桜と特ヒレカツ

 東京では桜が満開である。世の中もみんな新しくなって、高校生も大学生もどんどん卒業していく。あんまりペースが速くて、少し寂しいぐらいである。

 

 就職を控えた諸君は、おそらく今ごろ泣きそうなのである。ワタクシは知っている。というか、まざまざと覚えている。だってあの頃、ワタクシも泣きそうだったのだ。

 

 大学に通った頃は、テレビというものを持っていなかったが、「就職するんだからテレビぐらいなきゃいけないな」と、おかしなことを考えた。大学の生協で、赤い14インチのテレビを買った。

 

 当時のアパートには、テレビのアンテナというものさえなかった。千葉県松戸市の「松和荘」である。築30年、木造2階建、4畳半+4畳、トイレは汲み取り式、そういう恐るべき部屋だった。

 

 松戸から大学まで、片道60分かけて通っていたが、就職してもとりあえず同じアパートから通勤することにした。「引っ越しはオカネがたまってから」、そう思っていた。

 

 何しろあの頃は、「就職はあくまで仮の姿、チャンスがあったらすぐに作家デビューしちゃおう」と、マコトにバカげたことを考えていた。就職も全然ホンキじゃなくて、21世紀型「意識高い系」の諸君とは真逆の意識の低さだった。

19702 夜桜1

(3月24日、世田谷の北沢川緑道に夜桜を見に行く 1)

 

 だから最後の3月は、買ったテレビを眺めて過ごした。アンテナがないから、室内据え置き型のアンテナを買ってガマンした。画面は砂嵐の真っただ中みたいになったが、三船敏郎の出演する時代劇の再放送とか「大江戸捜査網」とかなんだから、別にどうでもよかった。

 

 それでも3月の最終週には、いろいろ就職の準備をしなきゃいけなかった。温かい雨の降る1日、松戸駅東口の「イトーヨーカドー」に出かけて、白いワイシャツを5枚買った。ネクタイも1本買った。その1本だけで当分はゴマかせると思った。

 

「そう言えば『カバン』というものも必要だ」と気づいた。同じイトーヨーカドーで、A4版でも入りそうな縦長のショルダーバッグを買った。今思えばこれ以上ないぐらいにダサい選択だったのであるが、それもあの頃はどうでもよかった。

 

 そしてどういうわけか、涙が止まらなかった。むかしの時代劇を見ているうちに朝が来て、7時を過ぎ、NHKニュースを見ながら8時を過ぎ、やがて9時になって始まったセンバツ高校野球を眺めていたら、涙はもっと熱くなった。何だか人生が終わってしまったような思いだった。

 

 だからワタクシは、今でも3月下旬がキライである。「桜が満開」のニュースもキライ。センバツを見ていると、いまだにあの朝を思い出すのである。いつまでもヌクヌクと、今まで通りのノンキな生活を続けていたかった。

19703 池袋

(2018年早春シリーズを池袋で締めくくる)

 

 さて3月24日、2018年早春シリーズの締めくくりとして、池袋で公開授業を行なう。「ずっと同じことを続けていたい」というタイプの心理はここでも相変わらずで、「今日で早春シリーズが終わりだ」と思うと、やっぱりどうしても悲しいのである。

 

 電車の中にもエレベーターの中にも、卒業式の女子学生がいらっしゃる。この日は立教大学の卒業式だったらしくて、なるほどそれなら池袋は立教の学生でいっぱいになって当たり前だ。彼ら&彼女らも、きっといま就職直前の悲しい気持ちでいるだろう。

 

 池袋の公開授業、対象は新高1生とその保護者である。申し込みベースで110名だったが、飛び込みの参加者が多数あって、最終的に何名になったか分からない。補助椅子をたくさん出して、今井君の退場路が塞がれてしまうぐらいだったから、うにゃ、130名に近づいていたんじゃないか。

19704 ケーキ

(池袋で早春シリーズの〆のケーキをいただく)

 

 新高1は、2020年のいわゆる入試改革の影響をモロに受ける学年である。いろんな塾や予備校の説明会に出て、おそらく目いっぱい脅かされている。パパもママも本人も、「こんなに難しくなります」「こんなにたいへんです」「だからウチに入塾しなさい」という方式の説明会に出ずっぱり、すっかり食傷している様子である。

 

 だから今井君は、この間の市ヶ谷と同様、「落ち着きなはれ」「あわてなさんな」の論調をとる。確かに入試制度は変わる。確かに英語は難しくなる。しかしだからこそ今は基礎基本徹底なんじゃないか。高1の1年間は単語と文法と音読を徹底して、鎧袖一触の基礎力を磨くべきなんじゃないか。

 

 この論調ほど、パパとママと本人を安心させるものはないようである。30分もかからずに、パパもママも本人も、暗く翳っていた表情がキラキラ輝き始める。「何だ、そうか」「よし、この1年は基礎基本をギュッと固めるチャンスじゃないか」。そうコブシを固めるわけである。

 

 30分でそこまで行っちゃうんだから、60分経過、90分経過、そのころにはもう会場全体が今井君の大ファンになっている。「早く帰って、今すぐ始めたい」。生徒諸君はもうウズウズしている。

 

 だからワタクシは、授業延長もしないし、サイン会も実施しない。早く帰ってサッサと始めたくなっている生徒を、あえてこの場に引き止めて、せっかくのウズウズ感を台無しにする必要はないはずだ。

19705 夜桜2

(3月24日、世田谷の北沢川緑道に夜桜を見に行く 2)

 

 その分ワタクシもサッサとこの場をあとにして、単独祝勝会に向かう。首都圏の公開授業後は正式な懇親会がないから、今井君は単独で祝勝会を催すのである。

 

 しかも今回の祝勝会は、1月25日以来42回分の早春シリーズ全体を締めくくる大祝勝会である。大いに張り切って、池袋から西麻布までタクシーに乗った。3000円以上かかるけれども、今日ぐらいはいいじゃないか。

 

 選んだお店は「おとら」。西麻布の交差点付近に3年ほど前に出来た店である。23日にも行ったが、24日にも連続で訪ねることにした。個室料1000円を払えば、静かな個室で落ち着いてお酒を楽しめる。

 

 食べる物も飲む物も、別に超高級というわけではない。というか、ごくごく普通であって、徳島のじゃこ天、高松の醤油豆、どうやら四国系の店であるらしい。ワタクシは食べ物にも飲み物にもメンドーなこだわりがないから、静かで落ち着いた店が一番である。

19706 にゃご

(オウチでは、ニャゴロワが不満そうに待っている)

 

 お店には23時までいて、それから夜桜も眺めに出かけた。選んだのは、世田谷区淡島の北沢川緑道。むかしむかし1997年から2002年まで、このすぐ近くの代沢4丁目に住んでいた。もう20年も前のことであるが、あの頃はお花見といえば必ずこの緑道だった。

 

 23時を過ぎているのに、まだ宴会が続いている。中高年20人あまりの宴会であるが、夜桜の下の高歌放吟は、まだまだ終わりそうにない。周囲は閑静な住宅地。住民はさぞかし迷惑だろうけれども、あくまで桜の時期だけの迷惑、「あと数日、じっとガマン」ということなのだろう。

 

 なお諸君、翌25日のワタクシも、また下北沢に出かけた。どうしてもトンカツを貪りたかったのである。26日には新講座の収録が始まる。2週間で一気に収録なんだから、ビシッと栄養をつけておきたい。大好きな特ヒレカツを2人分胃袋に突っ込んで、元気ハツラツな授業を展開したい。

19707 ヒレカツ

(下北沢で特ヒレカツを2人前むさぼって栄養をつける)

 

 1人前を平らげるのに5分もかからない。ほとんど丸呑みに近い勢いだ。2人前を合計で10分で平らげて、まだまだ胃袋にはナンボでも空きがある。「ここでジャンボハンバーグ定食を追加するかどうか」。今井君の悩みはそういう非常識な展開になった。

 

 ジャンボハンバーグ、270グラム。もしもこれを注文すれば、特ヒレカツ200グラム×2人前+270グラム。肉を670グラム腹に詰め込むことを、どう考えるか。非常識にすぎないか。

 

 その考察の結果をいえば、ワタクシは常識の側についた。ジャンボハンバーグは来週、収録の前半が終わった時にしようじゃないか。そう判断して、すごすご家路についた日曜日の今井君なのであった。

 

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