Wed 180221  ソニックで行橋へ/胃袋内の群雄割拠/行橋の大盛況/豪傑が集う夜 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Wed 180221  ソニックで行橋へ/胃袋内の群雄割拠/行橋の大盛況/豪傑が集う夜

 お腹の中では、牡蠣20個と小イワシの刺身と巨大お好み焼きとが激しい3すくみの攻防を続けているが(スミマセン、昨日の続きです)、そろそろ素知らぬ顔をして、今日の公開授業先に出かけなければならない。

 

 3月12日、ワタクシの仕事場は「福岡県行橋市」という小さな町である。行橋と書いて「ゆくはし」と読む。「いく」ではなくて「ゆく」。「ゆ」という文字がマコトに奥ゆかしい雰囲気を醸し出している。

 

 もっとも、ブログ読者の皆さんで「行橋」という町を知っている人は、そんなに多くはないんじゃないか。博多から行橋までは、大分方面行きの特急で行くのである。

 

 その名も「ソニック」。昭和の昔、小倉から大分&宮崎方面への日豊本線を走る特急は「にちりん」という名前だった。太古の昔、太陽神♡天照大神が大活躍をなさったあたりであって、「にちりん」とは、もちろん「日輪」のことだったのである。

 

 その「にちりん」がいつの間にか「ソニックにちりん」に変わり、いつの間にか「にちりん」は天の岩戸に隠れてしまったらしく、「ソニック」だけがこの地域を走り回ることになった。

 

 こういう話は予備校業界でもよくあるので、20世紀には東北随一の予備校だった仙台「文理予備校」がその代表例である。生徒減少に悩んでいた文理予備校に、河合塾が提携話を持ちかけ、1991年、看板は「河合塾文理」に変わっちゃった。その15年後の2006年、「文理」の文字が消滅、あれれ、「河合塾仙台校」になっちゃった。

 

 Pretty塾はこういうことをしょっちゅうなさるので、予備校経営には注意が必要だ。かつて北海道の有名予備校だった「札幌予備学院」も、いつの間にか「河合塾札幌校」になっちゃった。Prettyちゃんの語彙においては、提携とはイコール吸収合併のことであるらしい。

19647 行橋1

(福岡県行橋の大盛況 1)

 

「にちりん」から「ソニックにちりん」へ、やがて「ソニック」へと吸収合併が進んじゃったのであるが、うーん、その「ソニック」の意味がよくわからない。英単語の「sonic」だとすれば、「音の」「音速の」と言ふ意味である。音速とはまた、ずいぶん控えめなネーミングをしたもんだ。

 

 だって諸君、スピードにプライドを持つ特急や超特急なら、音速よりやっぱり光速がいいじゃないか。「ひかり」でさえ準急あつかいで、いまや「のぞみ」でなきゃいけない時代だ。オーストリア国鉄には「レールジェット」なんてのもある。

 

 もともと「にちりん」ないし「日輪」であって、太陽神の強烈な光をイメージしていたはずの日豊本線特急は、提携と吸収合併を経て「光速から音速へ」、ホントにホントに控え目なネーミングで、九州の北端を時計回りに走っていく。

 

 しかしまあ諸君、実際に乗車してみると、その謙虚なお名前にも納得がいくのである。博多から小倉まで、新幹線に乗れば15分。一方のソニックちゃんは40分。「ひかり」に比較して、やっぱり素直に音速だ。

19648 ソニック

(特急ソニックの車内。奇抜なデザインがいいじゃないか) 

 

 目ざす行橋の街は、小倉からさらに15分ほど大分寄りである。小倉で列車の進行方向が変わるから、座っていた乗客はみんな立ち上がって、シートをクルリと回さなければならない。

 

 ついこの間まで、北海道でも同じ光景が頻繁に見られた。札幌を通る特急は、札幌でみんな進行方向が変わる。どんなに混雑していても、みんなで立ち上がってシートをクルクル180°回転させたものである。

 

 その際、しょっちゅう客どうしの睨み合いが発生した。言葉もかけずにいきなりクルクルをやるせいで、「足がシートにぶつかった」「ペットボトルのお茶が倒れた」、甚だしい場合には「お弁当がひっくり返った」などという騒ぎになったのである。

 

 睨み合う頻度が高いのは、圧倒的に「20歳代女子 vs 中年男子」。女子が「うぜんだよ」という視線を浴びせると、男子もまた「オメエの方がうぜえんだよ」という視線を返す。一触即発の危機を、ワタクシは何度も目撃した。

 

 だからこそ、「コミュニケーションには笑顔が一番」「笑いが大事」「どんどん笑おうじゃないか」と、公開授業の冒頭にもしつこく繰り返すのである。笑いさえあれば、言葉が通じなくてもコミュニケーションが成り立つ。悶着というものの出発点は、常に無愛想な無表情にあるのだ。

 

 幸いこの日のソニックでは、悶着は起こらなかった。今井君はマコトに優しいサトイモであるから、シートの回転のさせ方が分からずに右往左往していた2組の老夫婦のシートを、2つとも自ら回転させてあげたのである。

19649 行橋駅

(行橋に到着。「ゆ」の文字が奥ゆかしい)

 

 そういうふうで、ほくほくしながら行橋に到着した。ただし諸君、胃袋の中がちょいと怪しいのである。ソニックは、揺れ放題に揺れる。博多から小倉経由で行橋まで約1時間、ロデオ並みの大揺れに揺れて、今井の胃袋の中身を撹拌し続けた。

 

 別に撹拌されて困るわけではないが、生牡蠣と焼き牡蠣と小イワシとお好み焼き、3すくみどころか4すくみ、まさに戦国の群雄割拠状態。これをロデオ並みに撹拌すれば、無用の衝突も発生する。公開授業前のトイレが、意地でも欠かせない精神状態に陥った。

19650 行橋2

(福岡県行橋の大盛況 2)

 

 行橋の公開授業は、商工会議所の大会議室が会場。今日もまた超満員、申し込みベースで220名が集まった。駅前を歩いている人はたった3人、駅前で待機しているタクシーも1台だけ。そういう寂しい町で、200名を超えるヒトビトが集結したのは、ワタクシには奇跡的に思えた。

 

 胃袋の撹拌と群雄割拠がまだ気になるが、しかしいったんスイッチが入った今井君は、群雄割拠なんかすぐに平定、天下統一してみせる。織田信長と呼んでくれたまえ。なぜかコドモの頃から秀吉と家康はあんまり好きじゃないから、やっぱり「胃袋界の織田信長」と呼ばれたい。

 

「笑いすぎて息ができねえ」「このままじゃ死んじゃうよ」「腹が痛えよ」「背中も痛えよ」「もうやめてくれー」。そういう反応は、すべて今井のスタンダード。九州北端、静かな山と川と海の町を、2時間弱の大爆笑が支配したのであった。

19651 刺身

(行橋懇親会の風景。豪快なヒトビトが集結した)

 

 終了後は、もちろん激しい懇親会が待っている。こういう静かな町の塾の先生方には、概して驚くべき豪傑が多いのである。町の人はみんな知り合い、町の若者のほとんどが「モト生徒」、どの飲み屋に入っても、どのメシ屋に入っても、そこいら中で「むかし先生の授業を受けてました」と声がかかる先生方だ。

 

 塾長先生自身が「今も理科の授業をやっています」とおっしゃる。ワタクシの正面に座った豪快なオジサマは国語の担当。カラダも声も抜群に大きくて、焼酎をロックでグイグイやりながら、教育への情熱をマコトに熱く語るのである。

 

 今井の斜め右に席を占めた豪傑オジサマは、かつて大きな金融機関で仕事をなさっていた経歴の持ち主。視線にも表情にも油断のならぬ鋭利さが宿っていて、その鋭利な表情が10秒に1回ずつフワッと緩み、優しげな笑顔にかわる。その瞬間がマコトに魅力的である。

 

 こういうふうだから、今井君もまた焼酎をロックで痛飲しながら、時の経つのを忘れて語り合った。博多ゆきの最終列車は22時50分発。再び音速の「ソニック」に乗らなきゃいけないから、撹拌されて困るような胃袋にはできない。

 

 だから、夢中で熱く語り合いながらも、群雄割拠は避けなければならない。旨そうなものがテーブルにズラリと並んでも、ロックの焼酎以外あんまり胃袋に入れないように心がけた。今井君は用心深いサトイモなのだ。おかげで23時59分、無事に博多駅に帰還できたのである。。

 

1E(Cd) Solti & Chicago:BRAHMS/EIN DEUTSCHES REQUIEM 1/2

2E(Cd) Solti & Chicago:BRAHMS/EIN DEUTSCHES REQUIEM 2/2

3E(Cd) Solti & Chicago:BRAHMS/SYMPHONY No.1

4E(Cd) Solti & Chicago:BRAHMS/SYMPHONY No.2

5E(Cd) Solti & Chicago:BRAHMS/SYMPHONY No.3

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