Mon 180219  タッチの差で/各駅停車のトボトボ感/鹿児島の大盛況/黒豚の懇親会 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Mon 180219  タッチの差で/各駅停車のトボトボ感/鹿児島の大盛況/黒豚の懇親会

 いま羽田空港のラウンジでこれを書いている。3月10日から昨日13日の15時まで福岡に3連泊。16時前のヒコーキで東京に帰った。しかしそのままオウチには帰れない。羽田から真っ直ぐに次の公開授業に向かわなきゃいけない。神奈川県の「湘南台」という街である。

 

 湘南台のお仕事は20時に開始、終わったのは21時40分である。すると諸君、湘南台から新宿行きの最終の快速急行にタッチの差で間に合わない。発車時刻は21時45分。駅のホームに駆け上がったのは21時46分。タッチの差でも、差は差であって、電車は1分前に出てしまっている。

 

 するとワタクシは、信号待ちと時間調整だらけの、マコトに不承不承に走る「各駅停車」というシロモノで帰らなければならない。渋谷区のオウチにたどり着いたのは、23時10分。もうヘトヘトのヘトノスケだ。

 

 中年♨︎ヘト之介は、テーブルにへたり込んでビールを一気飲み、ニャゴロワの白い背中を撫でながら、真夜中までおクチを開けたまま呆然とニュース番組を眺めていた。「差は差」と冷たく言い放ったものの、タッチの差で快速急行に乗れなかった事実はマコトに重いのである。

 

 何とそのあと映画を1本観てしまい、ベッドに入ったのは午前2時。翌朝6時には起床して、朝のヒコーキで沖縄に向かわなければいけないのに、いやはや、やっぱり「小田急線の各駅停車」が、気力にも体力にも精神力にもエラく重く響いちゃったのである。

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(美しい肉の饗宴 @ 鹿児島 牛編)

 

 こうして諸君、いま空港ラウンジで書くはめになった。沖縄には午後1時に到着、夕暮れから公開授業。明日は午後1時のヒコーキに乗って、羽田空港から真っ直ぐに公開授業先へ。世田谷の成城学園前で19時からお仕事だ。

 

 南船北馬、まさにここに極まれり。さらに翌日が千葉県柏、その翌日が茨城県つくば。「タッチの差」などと言ふものを容認して各駅停車に乗るようだと、気力も体力も思い切り擦り減らす。新講座「E組」の収録をいよいよ間近に控えて、これからはタッチの差を見事に切り抜けていきたいのである。

 

 ダイアモンドのラウンジで偉そうにふんぞり返り、他のオジサマたちが読みふけっている週刊誌を観察する。今週は朝日系も毎日系も、ダイアモンド系も東洋経済系も、みんながみんな「東大合格者ランキング」。日本中のオジサマが、東大ランキングを夢中になって眺めている。

 

 ランキングを高校別に発表することに何の意味があるのか分からないが、こういうのはもう半世紀も前からの恒例行事であって、もうほとんど紅白歌合戦や「ゆく年くる年」と変わらない。

 

 東大に合格した猛者を50人でも100人でも200人でもジッパヒトカラゲにして、増えた高校は「伸びた」「伸び盛り」、減った高校は「凋落」または「落ち目」、そう言って持ち上げたりダメ出しをしたり、要するに週刊誌なんてのは、その程度のものである。

19638 鹿児島

(鹿児島、250名の大盛況)

 

 ワタクシはむしろ「タッチの差」で合格を逃がした者たちの味方でいたいのである。自らタッチの差で快速急行を逃がした直後だけに、その思いは大きい。あと5点、あと10点、いやはや、惜しかった。

 

 タッチの差で東大に行けなかった。タッチの差で京大を諦めた。そういう諸君には、「たとえ人生にヘトヘトな各駅停車感を感じても、決してメゲてはいかんよ♡」と言ってあげたいのだ。

 

 確かにヘトヘトだったけれども、昨夜の各駅停車、それなりに面白かったのである。快速急行なんてものに乗ってみたまえ、現役で東京大学に進んでみたまえ、何と言ってもおそらく人生で一番大切な「ヘトヘト感」「トボトボ感」を一度も味わうことができないじゃないか。

 

 マスコミは「本物の思考力」「表現力」と大騒ぎしているが、本物の思考力や表現力や優しさを身につけるのには、意外にこの「ヘトヘト感」「トボトボ感」が重要。というか、むしろ不可欠の要素なんじゃないか。

 

 優しいお医者さんになるのだって、「一度も負けたことがありません」「どんどん他者を追い抜いてきました」というタイプの人にはむしろ困難なのであって、挫折とか苦労とかヘトヘト感体験が、最終的には最重要の要素。「若い時の苦労は買ってでもしろ」と昔から言うじゃないか。

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(美しい肉の饗宴 @ 鹿児島 黒豚編)

 

 しかしここでもまたマスコミでは、「東大より医学部医学科が人気」という話になる。いつかの繰り返しになるが、まず今井君は「医学部医学科」という言い方がキライ。「医学部保健学科や医学部看護学科とはレベルが違うんだ」というマコトにイヤらしいエリート意識をくすぐろうとしている気がする。

 

 さらに繰り返しになるが「医学部医学科が人気の理由」についても、諸君、新聞やテレビで繰り返される発言に、ぜひ反発しようじゃないか。

 

「先の見えない不安な世の中で、安定した高収入と世間の尊敬を得られる医師への道が保証されるんです。医学部医学科、その人気が衰えることはないでしょう」。マスメディアの表現はこんなアリサマだ。

 

 これほど若者をバカにした発言があるだろうか。「求めるものは、安定した高収入と、世間の評価」。そんな短絡的な発想で自らの人生を決める若者が、21世紀の大勢を占めているとでもおっしゃるのか。

 

 うーん、世の中に溢れる活字媒体は21世紀の若者を見くびって、目先の利益に貪婪にかじりつく意地きたない生き物と決めてかかっているようだ。

 

 地域貢献がしたい、国際貢献がしたい、苦しんでいる人々を救いたい。例えそれがタテマエに過ぎなくても、そういう純粋で熱意に溢れる自己犠牲の思いを無視し、「どうせオカネとプライドでしょ?」と揶揄するような表現は、文章を書く者にふさわしいものとは思えない。

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(肉の饗宴のシメは中華麺&雑炊 @ 鹿児島)

 

 ま、こういうふうで、3月11日、今井君は福岡県久留米から鹿児島に向かった。20世紀の昔なら「L特急 有明」で4時間近い時間がかかったが、この日が開業7周年記念の新幹線「さくら」に乗れば、たった1時間ちょいの道のり。マコトにあっけなく到着してしまう。

 

 鹿児島の公開授業も、中3生とその保護者が対象、250名の出席で超満員になった。「ほぼ全員が初対面」という状況の中、開始1分後にはすでに大爆笑が始まり、20分も経過すれば爆笑と爆笑との間に切れ目がなくなり、最後の30分は一気呵成に「もう、腹痛えよ」「これ以上笑ったら死んじゃいそう」というレベルにまで駆けあがる。

 

 この場合、誰が楽しいかというに、まず今井自身が最高に楽しいのである。忙しい、ヘトヘトだ、トボトボ感だ、そんな愚痴を書いているようでいて、実際には最も楽しんでいるのがこのワタクシ。だからこそ会場も遠慮なしに大爆笑の渦になるのだと信じている。

 

 興奮をそのままに、懇親会場に直行する。鹿児島中央駅から徒歩1分、西郷隆盛の直筆も残る名門の黒豚専門店で、おいしい肉鍋を囲むことになった。

 

 出席者は、若めのオジサマ4名、もっとずーっと若い女子1名。「むかし駿台の福岡校で今井先生の授業に出てました」というオジサマもいらっしゃった。オジサマというよりオニーサマと言った方がいいが、駿台福岡校が開校したその年というのだから、1995年のことである。

 

 福岡校なら、何と言っても九州大コース。札幌なら北大コース、名古屋なら名大コース、京都なら京大コース、それと同じことであるが、なんと彼は「早慶コースに在籍してました」とおっしゃる。

 

 確かに諸君、1995年は、まだ受験バブルの真っただ中。全国どこの校舎でも、浪人生の早慶コースは完璧に満員だった。200名教室が4クラスすべて締め切りになって、他の予備校を選ばなきゃいけないケースだって少なくなかった。

19641 人愛天敬

(店には西郷隆盛の直筆もあれば、「敬天愛人」のコピーもある)

 

 今や世の中はすっかり様変わりして、「浪人」という選択肢を避けるのが主流。地元志向はどんどん強まって、地方校舎の早慶コースはガラガラだ。もともとガラガラの校舎で、特に私大文系コースは息を飲むほどのガーラガラ。空気も冷たく冷え切って、春の訪れなんかちっとも感じられない。

 

 もちろん我々の主な対象は現役高校生だから、今井君の教室は常に満員、13日1日だけで、550人もの参加者を集めた。「どこに行っても超満員」だなんて、今どきの予備校としては夢のようである。

 

 最高に旨い黒豚のしゃぶしゃぶで、最高に楽しい懇親会は進んだ。〆には、中華麺と雑炊の両方を選択できる。これで楽しくないはずはない。たいへんおいしゅーございました。

 

 帰りの新幹線口で、「今井先生ですか?」という若者が連続して訪れた。「長崎から鹿児島大学に来ることになりました」という男子。「今ちょうど『C組』を受講中です」という女子。そういう生徒諸君に囲まれた後、今井君は九州を一路北上、新幹線で1時間半の福岡に帰還したのである。

 

1E(Cd) Holliger:BACH/3 OBOENKONZERTE

2E(Cd) Richter:BACH/WELL-TEMPERED CLAVIER 1/4

3E(Cd) Richter:BACH/WELL-TEMPERED CLAVIER 2/4

4E(Cd) Richter:BACH/WELL-TEMPERED CLAVIER 3/4

5E(Cd) Richter:BACH/WELL-TEMPERED CLAVIER 4/4

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