Fri 180126  国生み神話の絵島/絵島生島/源平ランチ/串かつディナー(関西満腹旅6) | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Fri 180126  国生み神話の絵島/絵島生島/源平ランチ/串かつディナー(関西満腹旅6)

  2月12日のワタクシが、大阪からあえて淡路島を訪ねたのは、もちろん「単にのんびり遊んできたい」というだけのことだったのだが、元はと言えば3年前、兵庫県明石で公開授業を行った時、「淡路島から船で通ってくる生徒がいるんです」と、スタッフに教えられたのがきっかけである。

 

 だって諸君、塾や予備校に通うのに、「淡路島から明石まで、往復とも船で」「船で往復してでも今井先生の授業を受けたい」と言われたら、うぉ、その熱心さに感激するじゃないか。

 

 そこで今井君も、11日姫路、13日石川県小松、その間にポッカリ空いた1日を利用して、明石の港から対岸の岩屋港に、船で渡ってみたのである。わずか13分ではあるのだが、船は1時間に1〜2本の頻度。船での通学は、やっぱり楽ではなさそうだ。

19503 干しダコ

(兵庫県明石港付近で、タコどんたちが日干しにされていた)

 

 淡路島は、神話の上では「日本最古の島」なのである。古事記と日本書紀によれば、イザナギノミコト&イザナミノミコト、男女2柱の神様が大海原に降り立ち、海の底を矛の先でかき回す。泥んこ遊びが大好きな神様たちなのだ。引き抜いた矛の先から滴がポタポタが落ちて、それが固まって島になる。

 

 その島が「オノコロ島」。泥が自ずから凝固した島なので、オノコロ島に「自凝島」の漢字を当てる。諸君、これが淡路島。考えてみれば、ものすげーデカい泥のシズクだったのだ。さすが神様、泥までデカい。

 

 しかし諸君、「泥のシズクが淡路島」というんじゃ、やっぱりさすがにデカすぎる。「もう少しピンポイントで小さな島を指し示したほうがよくないか」と誰かが考えて、やがて泥のシズクは「淡路島の北端、岩屋港付近の絵島」が最有力候補になった。

 

 絵島は、岩屋港でフェリーを降りるとまさに目の前にある小島である。こんな小さな島なら、確かに「泥をかき混ぜた矛のシズクが自ら凝固した」という神話にも無理なく頷ける。

19504 絵島

(淡路島岩屋港そばの絵島。イザナギ&イザナミの矛の先から落ちたシズクが凝固して、この絵島になったそうな)

 

 江戸中期の大奥で発生した「絵島&生島事件」はあまりにも有名。大奥女中の絵島どん、お使いの帰りに芝居小屋に入り、美男の俳優・生島新五郎に夢中になってしまう。生島どんを宴会に招いてワイワイやっているうちに、大奥の門限に遅れて彼女の悲劇が始まるのである。

 

 詳しくは、舟橋聖一の小説「絵島生島」を参照。1953年に書かれた小説だが、もうとっくに本屋さんでは手に入らなくなっているから、まあ諸君、図書館に通いたまえ。

 

 あんまり大評判になった小説だから、これを原作に映画やらテレビドラマやら、今もそこいら中で滅多矢鱈に上演されている。絵島を演じたのは、古くは淡島千景に有馬稲子、最近は仲間由紀恵どん。「秘話」でも何でもないけれども、NHK「歴史秘話ヒストリア」でも特集された。

 

 幼い今井君が初めて絵島生島事件を知ったのは、やっぱりNHKの時代劇。恋に狂った絵島どんは、美男の生島ちゃんを長持の中に隠して大奥に連れ込んじゃっていた。いやはや、幼い時に激しい愛欲シーンを目撃、危うく今井君の人生に濃ゆい影響を与えそうだった。

 

「絵島」と書くこともあれば「江島」と書くこともある。どっちが正しいか、その辺のことは偉いセンセーたちに任せることにして、とにかくいま淡路島に来て実際の絵島を目にした時、ワタクシの頭の中では、イザナギにイザナミ、怪しい美熟女♡美魔女の絵島どんに、超美男の生島どん、さまざまな激しい映像が入り乱れて、何が何だか分からなくなった。

19505 明石大橋

(淡路島・絵島から明石大橋を望む)

 

 そういう状況で入ったのが、美しい明石海峡を前にした「寿司割烹 源平」である。確かに諸君、目の前の海を渡れば「一ノ谷の戦い」の古戦場だ。平敦盛、熊谷直実、鵯越の逆落とし、義経に弁慶、梶原景時に畠山重忠、今度は平家物語の英雄たちが、ワタクシの頭の中で雄々しい鬨の声をあげる。

 

 こんな華々しい精神状態で、お店のオバサマに注文したのが、昨日の写真の「タコの刺身」「穴子の刺身」「焼き穴子」なのである。もちろん仕事がお休みの日だから、瓶ビール1本、続いて熱燗の日本酒6合、とてもお昼とは思えない勢いで次々と注文した。

 

 それというのも、「カウンターは予約で満席です」「60分間でよければどうぞ」と、入り口の所でなかなか厳しい応対を受けたからなのである。最強寒波の真っ只中、身も心もギュッと凍りついている。「たった60分で温まる」というミッションのためには、高速熱燗マスターを目指すしかないじゃないか。

 

 飲み始めて15分ぐらい経過したところで、さっきまで厳しいことを言っていたオバサマが、「予約していたお客様がキャンセルなさいましたから、ごゆっくりどうぞ」と笑顔で頷いてくれた。まあこの寒さだ。キャンセルしたくなる気持ちもわかる。

 

 しかし諸君、岩屋港の「源平」、なかなかの人気である。たとえランチでも、お船に乗って訪れるなら予約は必須。予約しないで入ろうとすると、駐車場しか見えないお座敷にしか入れてもらえない可能性が高い。

 

 しかもそのお座敷、掘りゴタツ形式ではない。身体の固い今井君みたいな人には、座布団1つのお座敷ではランチが拷問になりかねない。せっかくお船で揺られていくんだから、面倒くさがらずにチャンと予約の労はとったほうがいい。

19506 明石焼き

(さすが明石、明石玉子焼の店がたくさん繁盛している)

 

 午後2時、そろそろお店を出て、お船で明石に戻ろうじゃないか。翌日の石川県小松でのお仕事に向けて、「どう移動するか」という難題に真剣に取り組まなきゃいけない。

 

 帰って来た明石でも強風が吹き荒れ、黒雲から雪が舞っている。それでも人々は「明石焼き」の店に列を作り、凍えそうになりながらテーブルが空くのを待っている。関西の人は、食べることにホントに熱心なのだ。

 

 明石からJR新快速に乗って、大阪駅まで40分。さてどうしようか。このまま大阪に宿泊して、翌朝の特急サンダーバードに乗るのが一番楽だが、サンダーバードはもう1週間もマトモに動いていない。明日も運休の可能性が高い。

 

 ならばいったん東京に戻って、ヒコーキで小松を目指すか、北陸新幹線で金沢を目指すかである。こんな綱渡りの移動をしなきゃならなくなるとは、予想もしなかった。いやはや、半世紀前の名高い「三八豪雪」の混乱ぶりを想像しながら、「今年の豪雪も4半世紀後には語り草になるのかね」と、ふと溜め息をついた。

19507 串カツ

(大阪で再び串カツを貪る。奥が「2度づけ禁止」のソースの缶)

 

 しかしもちろん溜め息ばかりついていられないから、ずいぶん長い間お世話になった大阪ヒルトンホテルをチェックアウトして、16時、いよいよ東京に出発することにする。

 

 もちろんそうは言っても、「関西満腹旅」と名付けた一連の出張、まさか最後に夕食を貪らずに素直に帰るわけにはいかない。しかも諸君、明日明後日の小松や金沢も関西文化圏であって、関西満腹旅はまだまだ続くのだ。

 

 ここはやっぱり、「串カツで夕食」と来なきゃ。時計は17時、新大阪の「串カツだるま」には長蛇の列ができていたが、長い滞在で今井君にも大阪人の根性が乗り移ってきた。ちょっとやそっとの列の長さに圧倒されて、串カツを諦めることなんかしない。

 

 列に並んだのは、15分ほど。長いカウンターの一番奥に通されて、壁のハンガーにコートをかけ、「2度づけ絶対禁止やで」のアルミ缶のソースを前にすれば、もう立派な大阪人の気分である。

 

 注文したのは、串12本がセットで出てくる「大阪城セット」。ウィンナもキスもアスパラもサツマイモも全て美味であるが、中でも旨いのが、オモチの串である。生ビール、冷たい日本酒300mlももちろん追加。端っこの席、こりゃホントに落ち着ける。

 

 何しろ明日が金沢&小松、明後日は向ヶ丘遊園、3日後は大阪あべのハルカス、4日後は池袋。厳しい移動スケジュールが待ち受けている。ここは是非ともしっかり食べて、何があってもヘコタレない気力を養っておくべきだ。

 

1E(Cd) John Coltrane:JUPITER VARIATION

2E(Cd) John Coltrane:AFRICA/BRASS

3E(Cd) Bill Evans:GETTING SENTIMENTAL

4E(Cd) George Duke:COOL

5E(Cd) Joe Sample:RAINBOW SEEKER

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