Tue 180123 紀伊半島一周計画/京都河原町「松葉」/再び化野「平野屋」(関西満腹旅 3) | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Tue 180123 紀伊半島一周計画/京都河原町「松葉」/再び化野「平野屋」(関西満腹旅 3)

 2月6日の京都から2月14日の金沢まで、東京と大阪の往復を繰り返し、大阪での連泊も多くなった。すると勢いとして、何しろ関西には安くて旨いものがナンボでもあるんだから、体重増加の心配はさておいて、美食を求めて京都やら明石やら難波やら、関西圏を東奔西走することになる。

 

 すでに① 京都化野「平野屋」でのイノシシ鍋、② 大阪新世界「グリル 梵」でのヘレステーキ&ハンバーグ&ヘレカツサンド三昧、2回のグルメ小旅行については詳細を記した。

 

 後付けになって申し訳ないが、「平野屋」の章を「関西満腹旅1」、「グリル 梵」の章を「関西満腹旅2」とし、今日からさらに合計5回、金沢も含めた関西文化圏で、高級なものやら庶民的なものやら、長い出張の合間に貪った数々の美食について記録しておこうと思う。

19487 猪肉

(京都化野・平野屋を再訪。今回は赤身のイノシシ肉を用意してくれた)

 

 この1週間の関西は、「これって実は北海道じゃないの?」と勘違いするほどの寒さにすっぽり覆われた。大阪でも明石でも姫路でも雪が舞ったし、遠くに垂れ込めた黒い雪雲から激しく雪が降りてくるのも見えた。

 

「パッチが欲しい」「カイロが欲しい」。秋田出身、しかも地吹雪が続く港町出身、高校までの雪道を自転車で片道40分、それを3年続けた我慢強い今井君でさえ、強風の吹き荒れる大阪駅前で思わず弱音を吐いた。

 

 こうなると諸君、再び心は鍋物を求めるのだ。鍋物、鍋物、意地でも鍋物。もうもうと湯気の上がるワイルドな鍋物を前に、熱い日本酒を6合。仕事が休みの日の晩飯に、それ以上の過ごし方があるだろうか。

 

 そこで諸君、つい3日前に訪れたばかりではあるが、京都化野「平野屋」を再訪しようかなと、ふと頭に浮かんだのである。こういう発想は、いったん頭に浮かんでしまえば、もう居ても立ってもいられない。何が何でも平野屋を再訪し、何が何でも再びのイノシシ鍋を貪りたくなった。

19488 京都国立博物館

(雨の京都国立博物館。この雰囲気がいいじゃないか)

 

 実は、仕事がまるまる1日休みなんだから、今井君のもともとの計画としては「紀伊半島一周ツアー」があったのだ。朝9時の新大阪駅を出発する特急「くろしお」に乗れば、ちょうどお昼の時間帯に紀伊半島の南端・南紀白浜の駅に着く。

 

 白浜の海辺でエビにイカにウニにタコ、思い切り海鮮を味わった後は、再び「くろしお」で紀伊勝浦へ。紀伊勝浦で「ワイドビュー南紀」に乗り換えれば、名古屋に20時半ごろの到着。せっかくだから名古屋駅新幹線ホームで大好きな熱いきしめんをすすって帰ってくる。

 

 どうですか、この紀伊半島一周ツアー。乗車券は「大阪市内発→大阪市内着」。10年ほど昔、東京→盛岡→秋田→金沢→京都山科→東京のルートで「東京都区内発→東京都区内着」のチケットを手に入れたことがあるが、「大阪→大阪」の一周チケットもまた素晴らしいじゃないか。

 

 ところが諸君、当日の関西は朝から雨。天気予報ではそのまま夜まで雨で、しかも「雷を伴って激しく降るところもあります」など、ずいぶん厳しい表情で注意を呼びかけている。

 

 そんな雨の中、灰色の南紀の海を眺めても侘しいだけだろう。南紀の海は、どこまでも明るく青くなければイヤだ。何しろワタクシにとっては人生初の南紀、重苦しく雨に濡れた海なら、18歳の時まで毎日オウチのそばで見て育った。

19489 松葉

(あまりの寒さに「松葉北店」で熱燗2合。しみわたりますな)

 

 以上のような経過を経て、「そうだ、京都に行こう」→「京都となればイノシシ鍋だ」と、心はたちまち古都を目指した。梅田から阪急電車に乗れば、40分で京都河原町。河原町からはちょっと贅沢をしてタクシーに乗ってもいいじゃないか。

 

 しかし、もしも大阪が寒かったら、京都の街の寒さはその数倍も身にしみる。河原町の駅から地上に出て、四条大橋の上で雨の鴨川を一瞥した瞬間、だらしないワタクシはもう耐えられなくなった。白鷺だって震えていた。

 

 ホントはお寺の1つか2つ、イノシシ鍋の前に見てくるつもりだったのだが、こりゃいかん、すぐ熱燗で身体の中から温まらないと、全ての気力が失せて行く。すぐに逃げ込む場所を物色した。言うまでもないことだが、この辺で逃げ込む場所は、「にしんそば 松葉北店」に決まっている。

 

 お店の人々は、マコトに温かく迎えてくれる。「お久しぶりです」と京都のアクセントで挨拶されれば、そりゃ嬉しくてたまらない。1年に2〜3回ずつであるが、もう7年も8年も通っている。来れば必ず長っ尻で、お酒を5合も6合も飲んで東京に帰るサトイモ、こんなヤツを記憶していないはずがない。

19490 平野屋

(夕闇せまる「平野屋」。灯りもすっかり灯っていた)

 

 ただし今回は、この3時間ほど後にイノシシ鍋を予約している身。お蕎麦もお酒も控えめにしないと、イノシシ君に合わせる顔がない。熱燗は2合まで。ツマミは、ニシンの棒煮と、ニシンのカラシあえのみ。マコトに控えめに、しかし身も心もしっかり温まってから店を出た。

 

 イノシシ鍋の前に、京都国立博物館を訪問する。さすがに諸君、こんなに知的な♡今井君が、京都まで来てまさかお酒や蕎麦やイノシシだけで帰っちゃったなんてことは出来ないじゃないか。

 

 いつ雪にかわってもおかしくない冷たい雨。しかも強めに降り続いている。こういう時にお寺なんかに行って、靴を脱いで、また履いて、また脱いで、また履いて、そんなことを繰り返すのは避けたほうがいい。

 

 ワタクシは、この博物館が大好きなのだ。観覧客も少なめ。国宝級の仏像や絵巻物がズラリと並んで、気軽であり手軽であって、雨の日の時間を暖かく過ごすのにはぴったりだ。

19491 薬味

(イノシシ鍋は、大根おろし・醤油・みりん・柚子・ねぎ・生姜・もみじおろしを混ぜて作ったダシで食べる)

 

 さて午後4時半、博物館を出たところでタクシーを止めた。予約は5時。東山から七条通りを嵐山まで真っ直ぐに進んで、渡月橋付近から化野を目指した。

 

 2月の5時は、まだ薄明かりが残っている。12月、午後4時半にはもうすっかり暗くなっていた時期から考えれば、どれほど冷え込んでも、なるほど立春は過ぎたのだ。

 

 薄闇の山奥に「平野屋」の灯りがボンヤリ灯っている。女将を先頭に2人の仲居さんが、店先に赤い傘をさして出迎えてくれる。タクシーの運転手さんも「こりゃどこのお大尽だ?」と恐れ入っている様子。まさかそのへんのサトイモだとは思わないだろう。

 

 3日前にもきた客だから、店の側も今井情報をしっかり把握している。3日前の昼食の時に、「脂の多い肉よりも、グッとしっかりした歯ごたえのある赤身が好きなんです」と、話が盛り上がった。お店のほうもちょっと無理をして、赤身の多い部位を揃えてくれた。今日の1枚目の写真がそれである。

 

 まず飴色をした柚子のハチミツ煮が出て、これを噛みしめているうちにグングン食欲が増してくる。川魚のお造り、おっきなフナの甘露煮、そういうものでまずビールを1本、続いて熱燗を2合ほど空けたところで、イノシシ鍋が出来上がった。

 

「火薬のニオイが苦手なんです」という今井発言も記憶してくれていて、ダイヤルでカチンと火のつくコンロも用意してくれた。ありがたや&ありがたや。サトイモ君は早速イノシシ君との格闘を始めた。

19492 甘露煮

(箸休めに出てくるフナの甘露煮。「どうせ自分は主役じゃありません」という不満げなお顔で登場した)

 

 3日前の昼食では、真っ白い脂身たっぷりのお肉だったのだ。赤身と脂身を丸く並べて、ボタンの花のように見えるから「ボタン鍋」とも呼ぶ。しかしワタクシは脂身が苦手であって、あれを全て平らげるのには骨が折れた。

 

 しかし今夜は、あくまで赤身が優先、脂身はグッと抑えめにしてくれた。こうなるとワタクシの胃袋はほぼ無敵であって、つい昨日も「グリル 梵」で200グラムのステーキと200グラムのハンバーグを平らげた後、「ステーキもう1皿行きますかね」と、ホンキで思案したほどなのである。

 

 鍋は、あっけなく空っぽになった。日本酒も6合、お店の方が間に合わなくなるほどの急ピッチでいただいた。出来れば「イノシシのお肉、1皿、今のと同じだけ追加できますか?」とお願いしたいところだったが、そこはやっぱりジビエ、予定した以上の仕入れはしていない。ここで打ち止めとするしかないのである。

 

 お店を出たのが、午後7時。雨も北風もますます強くなって、こりゃいかん、早く帰らないと風邪をひく。というか、お蕎麦屋から数えて熱燗はすでに8合にも及び、ごく自然にスヤーッと意識を失うかどうか、もうその瀬戸際に立っていたのである。

 

1E(Cd) 1453

2E(Cd) Jarvi & Goteborg:GRIEG/PEER GYNT 1/2

3E(Cd) Jarvi & Goteborg:GRIEG/PEER GYNT 2/2

4E(Cd) Lanchbery & The Philharmonia:MUSIC OF KETELBEY

5E(Cd) Lazarev & Bolshoi:KHACHATURIAN/ORCHESTRAL WORKS

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