Sat 180120 甘やかし放題のオジーチャン/大阪新世界「グリル梵」(関西満腹旅2) | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Sat 180120 甘やかし放題のオジーチャン/大阪新世界「グリル梵」(関西満腹旅2)

「泣いても、わめいても、食べるものなんかあらへんで」。ママにおそろしい罵声を浴びせられて、5歳なのか6歳なのか、小さい男子は押し殺した悲鳴のような泣き声をあげた。ついさっき、明石の船の待合室でのことである。

 

 どうもこの3〜4日、今井君の周囲の人々はエラく苛立っているようである。3日前の羽田空港では、電話で大ゲンカしている中高年おじさんに出会ったばかり。関西コトバの罵声が、羽田空港全体をビリビリ震わせていた。

 

 昨日は大阪難波でランチの最中、やっぱり中高年のオバサマが、スマホにすごい勢いで噛みついていた。「そっちが一方的にそう決めつけたんやろ!!」というのであるが、中華レストランで豚まん2個にかぶりついていた今井君は、「いやはや関西の人たちはずいぶん激しいですな」と、身も震える思いだった。

 

 そして今朝、明石から淡路島・岩屋港にわたるフェリー乗り場で、30歳代後半のママが、小さな息子にあの激しい罵声を浴びせていたのである。超忙しいはずのワタクシが淡路島で何をしてきたのかについては、後日の記事に任せることにして、うーん、何しろ今井君は異様に優しいオジサマであるから、あの小さな男の子が可哀そうでならない。

日立

(2月9日午後、大阪新世界、通天閣を訪ねてみた)

 

 想像するに、ママと息子の間には、朝食の段階ですでに相当の諍いがあったのである。「ボク、朝ごはん食べたくないよ」と強硬な態度に出たか、目玉焼きか味噌汁を残したか、サラダのトマトを「いらない!!」とポイしたか、まあそんなところである。

 

 コドモだって、毎朝毎朝そんなにご機嫌でホイホイ&ムシャムシャ食べられるわけはないのだ。いろんなことでムカついていて、ママの作ったゴハンのカホリに、ふと胃袋がひっくり返りそうになることだってあるのだ。

 

 もちろん、ママへの感謝を忘れることはない。でも諸君、コドモにはコドモの体調やらご機嫌やら事情やらがあって、「どうしても今朝は目玉焼きの硫黄臭がイヤ」「今朝は意地でもトマトがイヤ」、そういう気持ちになることもある。

 

 しかしこの地球上では、5歳や8歳や11歳のコドモが、ママに向かって「こんなの食べたくないよ♨」などと発言することは、最大限の罵声を浴びて当然ということになっている。

 

 親不孝。感謝の心を知らない。根性が曲がっている。もしもそういう話になれば、昭和までの日本なら、ママがパパに言いつけ、パパはものすごく面倒臭いけれども、ママの視線を背後に感じて、息子に鉄拳制裁を加えるしかなかった。

ねこ1

(新世界の猫殿様。なかなかの威厳であった)

 

 今井君が5歳6歳の頃は、何しろ大人になってもこれほどクセのある男子のことだ、そんなのは日常茶飯事である。当時のワタクシがキライだったのは、まずマヨネーズ、次に酢、野菜全般、フルーツでも柿はイヤ、味噌汁の中に入ったサトイモも、「意地でも食べないぞ」と両親をギュッと睨みつけた。

 

 だって、柿やサトイモなんかより、番茶や煎茶がいい。酸っぱいマヨネーズより、香ばしいお醤油がいい。当時は「サラダ」というより「生野菜」という言い方が一般的だったが、卓袱台の上の生野菜に家族みんなが平気でかけたマヨネーズを、わざわざお箸でかきのけて、小皿の上のお醤油で食べた。

 

 朝食の席でそういうことをすれば、当然その日1日、事あるごとにギュッと叱られるのである。息子を叱るチャンスを目ざとく見つけては、「朝食の時にあんなワガママを言ったんだから」という理由で、全ての要求を却下される。

 

 うーん、コドモの時から男子と言ふものは、マコトに厳しい立場に置かれている。そのことには21世紀の今もなお大きな変化はないので、さっき兵庫県明石の港でママに責め立てられていた男子も、おそらく朝食のテーブルでのワガママをタネに、グーの音も出ないほど叱られ続けていたのだ。

 

 それにしても、冒頭に書いた「泣いてもわめいても」の一言は、いくらなんでも厳しすぎませんかね。

「アンタが朝御飯いらないってゆうたんや」

「お昼御飯まで何にもないで、ってゆうたやろ」

「意地はって、『何にもいらん』ゆうたんはアンタや」

「泣いても、わめいても、お昼御飯までは何にもないで」

早口の関西コトバで、ギューギュー締めあげ続けるのである。

暖簾

(新世界「グリル 梵」。小さな洋食屋さんである)

 

 今井君としては「何もそんなに言わんでも」と、なだめてあげたい気持ちである。ワタクシの精神年齢は、今も中2程度。というか、小4程度。というかもっと正確には幼稚園児程度。いま目の前で叱られている彼が、そもそも何を求めているか、あまりにハッキリ分かるのだ。

 

 彼がいま心を奪われているのは、目の前にズラリと並んだ自動販売機のジュースなのである。コドモ男子にとって、自動販売機から転がりだしてくるジュースは、全てが例外なく宝物なのだ。

 

 別に、コーラやサイダーやファンタでなくていい。お茶で構わない。コーンポタージュだっていいし、缶おしるこでもコワくない。コインを入れて、ボタンを押して、ゴロンと商品が出てきて、その商品を取り出す。彼が何より求めているのは、その瞬間の充実感なのである。

 

「おいしいか?」「うん」。親子でも、ジーチャンとマゴでも、それほど楽しい幸福の一瞬があるだろうか。至福を感じるのは、コドモやマゴばかりではない。むしろ親やジジどん&パパどんの方が、人生で最高の幸福をもてあそぶ瞬間である。

 

 今井君なんかは、この世で最もダラシない男であるから、もしもオジーチャンになることがあったら、日常的にその幸福をもてあそび続けるに違いない。

 

 マゴが「アイスがほしい」と言い出せば、「チョコも買ってやるぞ」。「クリームパンがほしい」と言えば、ついでに板チョコを買って、クリームパンを2つに割り、そこからチョコを押し込んで「自家製パン・オ・ショコラ」を作っちゃう。

 

 もちろんこの場合、マゴは虫歯や肥満の危機にさらされるが、そういうことには責任を一切負わない無責任オジーチャン。そういうオジーチャンにワタシはなりたい。

ねこ2

(麗らかな春の日差しの中、日向の猫がにらみ合っていた)

 

 ま、そういうことである。今のところワタクシはまだ単なるパパであって、決してオジーチャンではないから、ジーチャンとして徹底的に甘やかすべきマゴなんか、影も形もない。ということは諸君、甘やかすべき対象は「自分」でいいことになる。

 

 自分を甘やかすことにかけて、今井君ほど徹底した人物はいない。イヤになった職場からは、我慢しないで自家製の働き方改革を実行。経営方針がどうしてもイヤな予備校からも、スカッといなくなる。

 

 ガマンなんてのは、自分の身体に悪いだけではない。ガマンして勤務し続けられる会社の方にだって、実は何のプラスもない。「マイナビ」の広告にある通りの考え方で、別に悪くないのだ。

 

 というわけで諸君、2月9日の今井君は、早朝のヒコーキで東京から大阪に到着したばかり、夕暮れから大阪駅前で300人規模の大型公開授業が控えているにも関わらず、午前11時の大阪ミナミ「新世界」に姿を現した。

 

 2018年の「新世界」は、修学旅行生と中国人観光客とに完全に占拠され、軒を並べる串カツ屋に入り込むことはほぼ不可能である。ワタクシは2011年3月、東日本大震災直後に仕事で大阪を訪れ、「日本の副キャプテン大阪は元気だ」という記事を書いた。新世界はあの時以来7年ぶりの訪問だ。

 

 訪れたのは、名門洋食店「梵」。4人がけのテーブルが3つ、カウンター席が4つ。ホントに小さな洋食屋さんであるが、その味はワガママ放題の今井君でも100%満足できる高レベルなのである。

ヘレカツサンド

(グリル梵、名物ヘレカツサンドイッチ)

 

 注文したのは、まず200グラムの「ヘレステーキ」。もちろんそれだけじゃ足りないから、同じく200グラムのハンバーグステーキ。さらにプラスして、名物ヘレカツサンドイッチ。うぉ、これで満足しないわけはない。

 

 ただし諸君、「ケータイでの会話は外でお願いします」というタイプのお店。料理の写真もギュッと厳しく叱られそうだったので、ご遠慮申し上げた。ホントなら今ごろ、旨そうに湯気をあげるハンバーグとヘレステーキの写真をここにアップしているところであるが、まあ興味のある諸君は、実際に店を訪問してみてくれたまえ。

 

1E(Cd) Haydon Trio Eisenstadt:JOSEPH HAYDN:SCOTTISH SONGS 16/18

2E(Cd) Haydon Trio Eisenstadt:JOSEPH HAYDN:SCOTTISH SONGS 17/18

3E(Cd) Haydon Trio Eisenstadt:JOSEPH HAYDN:SCOTTISH SONGS 18/18

4E(Cd) Mehta&London:BERLIOZ/SYMPHONIE FANTASTIQUE

5E(Cd) SCHUBERT:ERLKONIG SUNG BY 18 FAMOUS SINGERS

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