Fri 180105 祝3500回/函館での公開授業は「遺愛女子高」で/体育館の大盛況 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Fri 180105 祝3500回/函館での公開授業は「遺愛女子高」で/体育館の大盛況

 書いておきたいことがあんまり山盛りなので、どこから何から書いていいか、さすがのワタクシも困り果てている。とりあえず、まず感謝の挨拶と報告をかねて「今日の記事が3500回目になります」と記しておきたい。

 思えば、長い歴史である。1回につきA4版3枚がスタンダードであるから、合計すればもう1万枚を書きまくった。文庫本にして20000ページ分。200ページの文庫本なら100冊分、掲載した写真も間もなく20000枚、書きながら聞いたBGMも、やっぱりCDにしてのべ20000枚になる。

 諸君も、是非やってみたまえ。マコトに地味なチャレンジであるが、まあとにかくチャレンジしてみたまえ。かつては消極性の権化みたいだった今井君の人生が、何だか異様なほど積極的になった。

 ヒマがあれば意地でも海外を旅するようになり、10年で訪問した海外の都市は150都市になった。出張で地方都市を旅すれば、何が何でも寿司屋にカニ屋、イカ屋にトンカツ屋、「映える写真を撮りたい」というだけの理由でいい、やっぱりウルトラ積極的に生きたほうが、日々が豊かになるのは間違いない。
正面
(1月25日、函館の名門ミッションスクール「遺愛女子高」で公開授業をおこなった)

 1月25日、函館滞在の2日目にも、ワタクシはその積極性をいかんなく発揮した。普通なら「仕事の前は大人しくしていよう」と自重して、ホテルのお部屋でムッとして過ごすものであるが、積極サトイモは「よし、またカニを貪りに行ってこよう」と決めたのである。

 日本中が最強寒波の極寒にブルブル震えていた1日である。北海道はまさにその極寒の中心であって、函館の街は朝から強烈な暴風雪に襲われていた。それでもサトイモは吹雪をついて、タクシーで「はこだて亭」へ。昨日と同じ店でカニをムシャムシャやることにしたのである。

 往復のタクシー代は、合計で2500円ほど。そんなオカネをかけてまで、「吹雪なにするものぞ」とたどり着いたカニの店である。昨日のカニ盛りは「中」で我慢したが、今日は諸君、思い切って「大!!」と叫んでみた。

 お店の人々とも、もうすっかり馴染みである。昨日は対応が何となく硬かったけれども、さすがに2日連続の訪問だ。マスターもウェイトレスも、みんなイタズラっぽい笑顔で、今井君のワガママに優しく応えてくれた。

 もちろん、なにしろ「カニ盛り:大」だ。「ばっかり食べ」が得意な今井君も「もうカニ以外のものが食べたいよ」と弱音を吐き始めたが、考えてみれば諸君、昨日からワタクシのポンポンにはカニとイカとシャケしか入っていない。チョウチンアンコウにでもなった気分である。
廊下
(遺愛女子高。さすがの長い伝統を感じる校舎である 1)

 さて、こんなふうにして10年、若かった今井君もずいぶん立派な中年になった。オヒゲにも白髪が数十本混じって、白くキラキラ光っている。ブログを書き始めた頃には、あまりに黒々として恥ずかしいぐらいだったイガグリ頭にも、やっぱりずいぶん白髪が増えた。

「若い中年」が「立派な中年」に変わる頃、「ほれ見ろ」「そら見ろ」「だから言っただろ」の類いの発言が多くなるものである。野球観戦でもラグビー観戦でも、テレビに向かって様々な予言を行い、予言通りになったところで、マコトに得意げに「ほれ見ろ」「言った通りだろ」と叫ぶのである。

 高校野球を見ていて、ノーアウトでランナーが一塁に出る。「バントだな」と予言し、予言はマコトに見事に的中して、バントでランナーが2塁に進む。間髪を入れずに「ほれ見ろ」「言っただろ」と叫ぶわけだ。

 7回表、1点差で負けているチームに3塁打が出る。1アウト&ランナー3塁。立派な中年は「スクイズだな」と予言する。もちろん予言は当たってスクイズで同点。立派な中年はニンマリ家族を見回し「ほれ見ろ」「言っただろ」と2回でも3回でも、マコトに念入りに繰り返すのである。
階段
(遺愛女子高。さすがの長い伝統を感じる校舎である 2)

 そんなのあまりに当たり前すぎて、別にアンタが言ってくれなくても、誰でも分かっていることなのであるが、立派な中年というこの世で一番厄介な存在としては、「言っただろ」の発言は、まさに呼吸の次に大切なこと。これを我慢していると、何かのハズミに痙攣でも起こしかねない。

 もう20年も年をとれば、「言っただろ」「ほれ見ろ」はギュッと趣深く進化して「古老の知恵」と呼ばれるようになる。メンドーな中年から謎の古老への脱皮。今井君なんかも、早めに古老と呼ばれるようになりたいと願っている。

 今井君も次第に立派な中年になるにつれ、「ほれ見ろ指数」「言っただろ度数」の急上昇を自認する。何と言ってもお相撲で優勝した栃ノ心だ。日々の努力の成果がギュッと現れての優勝、マコトにおめでたい。

「ほれ見ろ!!」全開で行きたいのは、「オレは5日も前に、すでに彼の優勝を予測していたんだ」なのである。1月22日、東京が大雪に見舞われた日の記事を見てみたまえ。ミニかまくらの写真を掲載しておきながら、栃ノ心の活躍を讃えている。

 まだ新聞もテレビも「鶴竜が完全復活ですね」「御嶽海が絶好調」と大騒ぎしていたころである。「へっへっへ、どうだい、言った通りだろ、ほーれ見ろ。優勝決定の5日前に書いてたんだぞ」。おお、マコトに情けない中年だ。
講演1
(体育館での公開授業。大盛況であった 1)

 というわけで諸君、1月25日の今井君は函館の由緒あるミッションスクール「遺愛女子高校」で公開授業をおこなった。どのぐらいの由緒があるかについては、言葉や数字をツベコベ並べるよりも、今日の写真の1枚目・2枚目・3枚目をもう一度じっくり眺めてくれたまえ。

 学校ができたのが1874年。カロライン・ライト・メモリアル・スクールとして文部省の認可を受けたのが1882年。確かに我が秋田高校も150年近い歴史を誇るけれども、フェリス・神戸女学院・女子学院・白百合・雙葉に肩を並べる歴史の長い女子校なのだと教えてもらった。

 出席者、約180名。遺愛女子高の生徒諸君が中心であったが、函館ラサール高の男子諸君も、タクシーのピストン輸送で、大雪の中を50人近くが駆けつけてくれた。

 体育館に机と椅子を運び込み、北海道新聞と函館新聞の記者も2人が参加。保護者の皆さんや若い先生たちも出席して、大盛況。公開授業前には「遺愛高校新聞部」の3人の取材も受けた。

 使用したテキストは「C」。センター試験の戦略と戦術を詳述するマジメなバージョンだが、体育館は連続する激しい大爆笑に、ほとんど破裂寸前の熱々に盛り上がった。
講演2
(体育館での公開授業。大盛況であった 2)

 諸君、昭和の流行作家・石坂洋次郎を知っているかね。昭和10年代から30年代にかけて、新聞連載や雑誌連載の小説を書きまくった。いわゆる「流行作家」であるから、時代が変わればいきなり読まれなくなってしまう。もう4半世紀もすれば「誰、それ?」の対象になるかもしれない。

 しかし昭和50年ぐらいまでは、日本文学全集の常連。人気順に並べれば、谷崎潤一郎・川端康成・太宰治・三島由紀夫・夏目漱石・森鴎外・島崎藤村にはもちろんかなわないにしても、その次ぐらいにちらほら名前が出て来たものである。

 今井君は中2から高2までの4年間、中央公論社の「日本の文学」全80巻を読破しようと試みたことがあって、第1巻の「坪内逍遥・二葉亭四迷・幸田露伴」を除けば、その企てに9割がた成功したのである。
日本の文学
(中央公論社「日本の文学」80巻。オウチに9つある書架のうちの1つを今も占めている)

 1巻500ページ×80巻の中に「石坂洋次郎集」というのもあって、中2の今井君は彼の「若い人」を夏休みに通読した。いやはや、長かった。女子校の国語の先生と、「エキセントリックな生徒」が、まあ予想通りのいろんな経験をするというストーリーである。

 アラサーのカッケー先生と、「ちょい不思議ちゃん」な17歳の女子生徒の悲劇。マコトにありふれたお話だけれども、中2男子が読むにはそれなりに苦労した。

 作品は1937年に完結、「エキセントリック」が流行語にもなった。ヒロイン「江波恵子」があんまり魅力的だったらしくて、女優の中にはこの名前にあやかって「江波杏子」を名乗ったりするオカタもいた。映画化やテレビドラマ化だって、4度も5度も繰り返されたのである。

 石坂氏と同郷の太宰治どんも、軽いライバル意識があったらしく、初期の作品「創生記」の中で、ひとことチクリと言っている。ドラッグとの苦闘を続けていた日々の作品である。「石坂氏ハ駄目ナ作家デアル。葛西善蔵先生ハ、旦那芸ト言ウテ深ク苦慮シテ居マシタ」。なかなか手厳しい。
正面夜
(公開授業終了、18時半。伝統校は夜景も素晴らしい)

 その「若い人」のモデルになったのが、この遺愛女子高だというのである。そりゃそうだ、「北国の港町のミッションスクール」ということになれば、主人公・間崎センセが赴任しているのは、もうここしか考えられない。

 こういうストーリーには、ライバルとなる女子のセンセが登場するのが定番。「橋本スミ子」ないし「橋本スミ」という名前であるが、戦前までの女子の名前は、戸籍上わざわざ「子」をつけなくても、日常的には「子」をつけて呼んだ。ワタクシの母は「みわ」であるが、祖父も祖母も「みわ子」と呼んだものである。

 ただしもちろん、モデルになったのは学校の建物であって、別にこのストーリーに該当するモデルの人間たちが実在したわけではない。まあさすがに古すぎるのか、もう文庫本も売ってないらしいから、もしもヒマなら図書館でパラパラめくってみたまえ。

1E(Cd) 東京交響楽団:芥川也寸志/交響管弦楽のための音楽・エローラ交響曲
2E(Cd) デュトワ&モントリオール:ロッシーニ序曲集
3E(Cd) S.François& Cluytens & Société des Concerts du Conservatoire:ラヴェル/ピアノ協奏曲
4E(Cd) Paco de Lucia:ANTOLOGIA
5E(Cd) 寺井尚子:THINKING OF YOU
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