Sun 171105 平等院鳳凰堂へ/11月の宇治の町/雲中供養菩薩像/あなご蕎麦 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Sun 171105 平等院鳳凰堂へ/11月の宇治の町/雲中供養菩薩像/あなご蕎麦

 京都・山科から地下鉄とJR奈良線を乗り継いで、宇治の町に到着したのは午後5時ごろである(スミマセン、昨日の続きです)。

 

 11月下旬は、1年で最も日没が早い。宇治ももうすっかり日が暮れて、もしも平等院鳳凰堂のライトアップを満喫しようと思えば、まさに絶好のシチュエーションになっている。

 日が一番短いのは、もちろん12月20日過ぎの「冬至」に決まっている。しかし冬至の日が短いのは、日の出がグッと遅くなるからであって、日没の時間帯は11月よりもむしろ遅くなっている。「5時の段階でもうすっかり夜」という季節は、実は11月下旬なのである。

 しかも諸君、12月というのは、クリスマスやお正月がギュッと我々に接近して、何だかマコトにおめでたい。ジングルベルに「真っ赤なお鼻のトナカイ」に「雪投げをしようよ」、「もういくつ寝るとお正月?」であって、風が冷たくても雪がちらついても、心の中はポッカポカだ。

 それに比べて11月下旬と言ふものは、心が温まる要素がマコトに少ないものである。美しかった紅葉も、茶色く黒ずんでどんどんパラパラ散っていく。

 イチョウさんたちも、つい1週間前までは「金色の小さき鳥の形して」「いちょう散るなり 夕日の丘に」とか、たいへん綺麗に歌われていたのに、今じゃもう茶碗蒸しの中、煮えてオジサンの腹の中、ますますニオイがきつくなっていく。

 中高生は、「期末試験」と言ふ無粋な行事に追われ、恥ずかしい恋の芽生える余裕すらなし。受験生ともなれば、日曜ごとの模擬試験、返却されてくる侘しい成績表に「志望校変更をオススメします」。それを見せられたパパ&ママの侘しさは、まさに身も凍るありさまである。

平等院1
(宇治・平等院、月とモミジ)

 

 ワタクシがたどり着いた宇治の町も、どうやらそういう11月の真っ只中。改札から降りた階段の下に、ギターを抱えた青年が立って、侘しいお歌を熱唱している。「宇・治・の、まちー♡」と、宇治の町の素晴らしさや、そこで芽生えた懐かしくもはかない恋愛模様を歌いあげる。

 しかし何しろ宇治の駅前も、やっぱり「塾だらけ」。塾の飽和状態で、あっちも塾、こっちも塾、我々の加盟校サンの大きな塾もビシッと立っている。こんなに受験&受験じゃ、「宇・治・の、まちー♡」も何も、成績表の数字のことしか頭に入らないだろう。

 というわけで、宇治の町の今井君も、油断は禁物だ。ワタクシの顔を知っている生徒諸君だって、ワンサと存在する。こんな場所でマヌケた顔をしていれば、たちまち「今井が宇治でマヌケな顔をしていた」と、はなはだSNS映えしない情報が全国を駆け巡る。

 だからまず、蹴つまずかないように注意。「今井が宇治で蹴つまずいていた」という情報が流れる。ついでにクシャミなんかしないように注意。「今井が宇治でクシャミしていた」という情報が流れる。まして諸君、「社会の窓」にも注意。きちんと閉じておかないと、「社会の窓が開いていた」という恐るべき情報が広がる。

平等院2
(宇治のモミジはちょうど真っ盛りであった)

 

 青年の美しい歌声が響く宇治の町の暗闇を、人々は黙々と平等院鳳凰堂に向かう。10円玉の裏側の風景が、美しくライトアップされている。そりゃこぞって見に行かなきゃ。藤原摂関政治の精華であるよ。

「この世をば、我が世と思うよん」「満月がかけたこともないと思うよん」と豪語した道長どんの、長男。藤原頼通と言ふ名の、寄り道の好きそうなオジサマ。後一条・後朱雀・後冷泉、天皇3代にわたって摂政・関白を務めた。

 そういう素晴らしいオジサマが作ってつくってくれた、ありがたーい極楽浄土の模型なのだ。ありがたや&ありがたや、みんなで極楽浄土を拝みに行きませう。極楽浄土の予行演習でござるよ。

 いざたまえ、極楽浄土拝みに。人々の列はまさに初詣なみ、門前には長い行列がトグロを巻き、すっかり日の暮れた宇治の町は、SNS映えを狙ったスマホがパシャパシャいう音に満たされた。

 もちろん、モミジも真っ赤に染まっている。空には夕月、鎌のような三日月がキレイに浮かんで、空には一片の雲もなし。ライトアップの光を浴びた鳳凰堂は、その姿を完璧に目の前の池に映して、こりゃなるほどこの世の極楽浄土。これ以上ありがたい建物を、今井君ですら見た経験がない。

平等院3
(平等院鳳凰堂、正面もいいが、脇からの方が落ち着いて極楽浄土を味わえる)

 

 ただし諸君、ヒトビトの様子は、ありゃ何なんだ? 心の中にも頭の中にも、今やSNS映えのことしかないんじゃないか。阿弥陀如来像が鎮座する鳳凰堂正面の絶好の位置には、カメラやスマホを構えた人々が殺到して、ラグビーのモールの状況である。

 モールを形成する人数は、おそらく200名を軽く超える。これはマコトに危険なモールであって、モールというものは必然的にジワジワ前進する。モールを知らない人は、来週日曜日午後2時からラグビー早稲田−明治戦があるから、ぜひNHK−Eテレで実際のモールを目撃してくれたまえ。

 

 そしてこの平等院鳳凰堂前のモールは、目の前の池に向かってジワジワと前進を始めた。最前列なんか、もう池に半分落ちかかっている。警備の人が張っておいたロープも切れた。モールが崩れかかって、あちこちから悲鳴が上がる。将棋倒しの危機さえ感じる。

 かく言う今井君自身も、まさにモールの真ん中に巻き込まれてしまった。そういう状況で、昨日の写真の3枚目を何とか撮影。気づかないうちに最前列に押し出されそうになったが、周囲の人々とうまくコミュニケーションをかわしながら、ようやくモールの外に逃れた。

 安堵の胸を撫でおろしながら、鳳凰堂の脇から撮影した写真が、今日の3枚目。まあ諸君、あんまり「映える」「映えない」ばかりを論じて熱くならずに、余裕をもって行動しようじゃないか。なあんだ、脇からの方がずっといい写真が撮れた。
松葉
(夜の京都駅「松葉」で、あなご蕎麦をすする)
 
 平等院内に、新しい博物館が出来た。展示品も限定されていて、たいへん気楽に楽しめる。中でも「雲中供養菩薩像」が楽しい。詳しくはググってもらうのが一番いいが、合計52の菩薩像が、孫悟空の「きんと雲」みたいな小さい雲に乗って、いろんな楽器を演奏しているのである。

 合掌するとか、舞を舞っているとか、そういう菩薩像も混じる。楽器にしても、太鼓に横笛、笙の笛にヒチリキ、琴に琵琶、一体一体じっくり眺めても、ちっとも飽きのこないマコトに楽しい群像である。

 午後7時、平等院を出ると、赤いモミジの真上に綺麗な三日月が冴えている。宇治の駅まで戻ると、「う・じ・の、まちー♡」のオニーサンが熱唱中。あいにく聴衆は1人もいないが、おお、なかなかいい歌じゃないか。1970年代から80年代だったら、誰か熱心なスカウトがつくかもしれない熱唱ぶりだった。
京都麦酒
(京都のクラフトビールを2種類味わう)
 
 ちょうどその時代に東京の山手線をグルグル回っていたのと、まさにそっくりな奈良線の電車に乗り込んで、宇治から京都まで30分ほど。ホントにこれって、昔の山手線じゃあーりませんか? 半分から上を押し上げられる窓、金属のアミアミのついた荷物棚、懐かしい焦げ茶の床を眺めながら、タイムトリップを満喫した。

 こうして京都まで帰ってくれば、そこから先の帰り道はもう自由自在である。京都駅内の「松葉」で熱いお蕎麦をすすり、冷え切った肉体を温っためていくことにした。

 大好きな四条の「松葉 北店」とは、同じ系列ではあるがメニューがかなり違っている。注文したのは、「北店」では見たことのない「あなご蕎麦」。うーん、ちょっと穴子のアブラがキツすぎますな。

「にしんの棒煮」のほうは完全に同じ味わいだったけれども、やっぱり今井君は「北店」ファン。京都駅の構内じゃ、さすがに雰囲気が忙しすぎてあきまへんな。

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