Tue 171017 冬コートがそっくりだ/また大阪で文楽/スデッチ/超イケメン♡ゴンザの話 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Tue 171017 冬コートがそっくりだ/また大阪で文楽/スデッチ/超イケメン♡ゴンザの話

 昨日は昼のヒコーキで大阪から千葉県の稲毛に移動、キチンとお仕事をこなしてオウチに帰ったら、時計は23時を回っていた。テレビをつけると、トランプ氏と習近平氏が並んで闊歩する姿が。今井君は思わず「うぉっ」と唸ったのである。

 もっとも、その呻き声はマコトにクダラン理由からのものだったので、えらーい新聞記者さまや、テレビの雛壇芸人の皆さまみたいに「ゴルフや観光や豪華な食事なんかより、他にやることがいくらでもあると思います」の類いの話とは、全く次元が違うのである。

「うぉっ」の原因は、21世紀の地球を支配する2大帝王サマの、お召しになってらっしゃる冬コートにあった。おやおや、トランプさま、習さま、どちらも今井君とソックリ同じコートをお召しになっていらっしゃる。

 まず、トランプさまのコートであるが、膝の下まで届く長—いコートは、手前イマイが11月中旬から12月下旬まで着用するのとそっくり。「もう30年近く愛用しています」と、このブログでも何度か紹介してきたヤツである。

 一方の習さまは、手前イマイが1月から3月中旬まで愛用するのとそっくり。おそらくこちらはブランドまで一緒なので、ありゃどう考えても「Loro Piana」。ワタクシのロロ・ピアーナとデザインまで一緒でござるよ。

 世界を治める2大帝王と、そっくりのコートを着ているなんて、① マコトに光栄であり ② 自分の趣味がいいのか悪いのか深く悩む場面でもあるが、まあ①と②を適当に混ぜ合わせれば、「うぉっ♨」という呻き声ないし唸り声が、肉体の奥深くからモロッと湧き出てくるのを抑えきれない。
文楽
(11月3日、大阪・国立文楽劇場を訪ねる)

 さて、話を一週間前に戻すことにして、11月3日の今井君は、またまた大阪・国立文楽劇場にいた。せっかくの「文化の日」だ、ホントならデッカい勲章でももらいに行きたいところだが、予備校講師なんかにくれる勲章は、あんまりなさそうだ。

 ワタクシの伯父・加藤一夫は、静岡大学総長まで務めた人であったから、むかし「勲2等」をいただいたはず。父・三千雄は、国鉄職員として30年以上もマジメに仕事に励み、死後に「勲5等」をいただいた。残念ながら今井君本人は、勲章から最も遠い存在として生きている。

 となれば、せめてトランプコートや習コートを着て、外見だけでも権威づけに励むとしよう。ただし諸君、11月3日の大阪は10月初旬なみに気温が上がった。今井君はワイシャツ&ベストという軽装で、午前10時半、大阪日本橋の国立文楽劇場に闖入した。

 思えば、文楽とはマコトに長い付き合いである。最初に文楽を観たのは、1978年8月の東京・国立小劇場。ワタクシはまだコドモもいいところであったが、昭和の大名人・竹本津大夫が豪快に語る「摂州合邦辻」に感激、あれから長い文楽通いが始まった。

 人形遣い・先代の吉田玉男も吉田蓑助も、みんな若々しかった。スーパー名人・竹本越路大夫も健在だったし、後の竹本住大夫は、まだ「文字大夫」を名乗っていた。

 先代の豊竹呂大夫が「若手No.1」と呼ばれていた頃で、2〜3年前に亡くなった竹本源太夫は、まだ「竹本織大夫」。その後「綱大夫」を経て2段階の出世を果たしたわけだから、今井君の文楽観劇歴の長さが分かろうというものだ。

 多くの名人が引退し、あるいは天国に旅立ち、2017年の文楽はすっかり世代交代が進んだ。かつて駆け出しだった人々が、次々と襲名披露を行い、吉田玉男も豊竹呂大夫も、みんな21世紀の新しい人々になった。来年1月には、新しい竹本織太夫が誕生するんだそうな。
初日
(11月文楽は、この日が初日だった)

 そんなふうに、演ずるほうはどんどん新しくなっていくが、「観客席は?」と見ると、残念ながら甚だしく高齢化が進んでいる。この日は11月公演の初日であったけれども、若いお客さんはほとんど見当たらない。客席で一番若いのが、おそらくこの今井君なのである。

 高校生諸君、大学生諸君、20歳代の若い社会人諸君、どうだい、文楽を見に来ないかね。ワタクシが演劇にハマり、来る日も来る日も渋谷や下北沢の小劇場に通うようになったキッカケは、1978年の文楽だった。見れば、きっとハマりますぜ。遠慮せず、予習もせず、気楽にいらっしゃるといい。

 今回の演目は、①八陣守護城(はちじんしゅごのほんじょう)と、②鑓権三重帷子(やりのごんざかさねかたびら)。ま、「なんじゃそりゃ?」であろうけれども、要するに①は加藤清正の英雄譚だし、②はむかし「郷ひろみ」というオカタの主演で映画にもなったお話。決して退屈はしない。
玉出
(大阪では定番の「スーパー玉出」。数年前までてっきりパチンコ屋だと思っていたが、大安売りのスーパーマーケットだった)

 ①の主人公・加藤正清は、外国遠征から帰国したばかり。強い毒を盛られて同僚はたちまち死んでしまうが、アジア全域で恐れられる豪傑・加藤正清は、同じ毒を盛られても何のその、100日生きて髭ボーボー、たくさんの忍者が館に忍び込んでも、ポンポン首を引っこ抜いて退治してしまう。

 それほどの勇者であるから、周囲からも恐れられている。女中たちも「ニラミ殺される」と噂しあい、息子や忠臣たちをも「役立たずの素丁稚めが!!」と豪快に叱りつける。「素丁稚」と書いて、「すでっち」と発音する。

 諸君、どうだい「素丁稚」。「シュワッチ!!」と叫ぶのはウルトラマンだったはずだが、「スデッチ!!」「スデッチ!!」と呟きながら街を歩き回ってみませんか? 何かにムカついたら、すかさず「スデッチ!!」と呟いて溜飲を下げればいい。おお、爽快だ。スカッと爽やか、素丁稚クンだ。
ぶたまん
(大阪・天満で、かわいい豚まんキャラクターを発見)

 ②は、さすがに映画になっただけあって、なかなかたいへんなストーリーだ。主人公・笹野権三(ササノ・ゴンザ)は、超イケメン。「油壺から出したような」「とろーりとろとろ」な男である。武芸は槍にも馬術にも優れ、茶の湯にも通じている。まさに文武両道なとろとろ男なのだ。

 しかも、スーパー色男。友人の妹 ☞ お雪とは、もうすでに…しちゃった。江戸時代、祝言前に…しちゃったなんてのは、そりゃもうスゲーことである。しかし諸君、こんなカッケー男だから、国中の女たちがみんなゴンザにお熱を上げている。

 すでにお嫁に行ってコドモを2人も生んだ女であっても、「ゴンザさま♡」とウットリするアリサマ。茶道の師、浅香市之進の妻「おさゐ」も例外ではない。すでに37歳、娘お菊は13歳、ゴンザ ☞ 25歳だ。都合良く3人は、12歳ずつ離れている。3人ともトリ年なのである。

 おさゐは、ゴンザを娘お菊のダンナにしたい。お菊は「12歳も上のオジサンはイヤだ」と言うのであるが、おさゐのダンナの市之進は49歳、「12歳ちがいぐらいがちょうどいいのだ」と娘を諭す。このあたりで、誰でもその後のストーリー展開が見えてくるはずだ。

「娘のダンナにしたい」と熱望しているゴンザどんに、実はもう…しちゃったお雪という女がいる。そう考えただけで、おさゐの熱い嫉妬がギュッと燃え上がる。ほとんど狂態と言っていいほどの嫉妬である。

 そこからストーリーは一気に悲劇へとひた走るのであるが、そこはそれ、ワタクシは教えてあげない。37歳女子と25歳男子、こりゃもう「君はペット♡」な世界であって、諸君の想像に任せよう。または11月のうちに、国立文楽劇場に足を運んでくれたまえ。
わかさ
(終演後、天神橋筋の店で日本酒を満喫。「わかさ」とは、栄養ドリンクみたいな命名であるが、もちろん「若狭」のこと。福井県の銘酒である)

 終演、3時半。午前11時から4時間強にわたって、こんなのを2本も観ちゃったわけだから、心も肉体もグッタリ疲労した。

 しかし諸君、驚くなかれ、このまま劇場に残って、夜の部の4時間も続けて観る人が少なくない。もちろん夜の部は演目が違うけれども、よほどの文楽ファンに違いない。

 さすがにワタクシは「このまま夜の部も♡」というほどの体力も精神力も忍耐力もないから、ここは素直に「飲みに行きますかね」ということにした。

 向かったのは、天満。梅田から東へ1駅、難波や福島よりもう1段階ディープな街であって、今井君は思わずモロッコ迷宮都市 ☞ フェズやマラケシュを思い出すほどであった。

 ただし、今日もまたすでに長く書きすぎた。天満での飲み会の詳細は、「明日の記事で」ということにしたい。

1E(Cd) LET’S GROOVE ①
2E(Cd) LET’S GROOVE ②
3E(Cd) Linda Ronstadt:GREATEST HITS①
6D(Pl) 錦秋文楽公演:八陣守護城/鑓権三重帷子:国立文楽劇場
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