Wed 170906 伊勢丹松戸店が閉店/いろんな栄枯盛衰を見た/金子書店の思ひ出/太った | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Wed 170906 伊勢丹松戸店が閉店/いろんな栄枯盛衰を見た/金子書店の思ひ出/太った

 伊勢丹の松戸店が完全閉店するんだとさ。民進党の消滅より、ワタクシにとっては遥かに大きなニュースだった。若き今井君が千葉県松戸で生活したのは、1983年から85年までの2年ちょい。人生で一番苦しい時期を、常磐線の松戸駅前で過した。

 伊勢丹松戸店は1974年に営業開始。ワタクシが知っている伊勢丹は、まだ開業10年の新進気鋭だったことになる。最上階に回転展望レストランがあって、日がな一日マコトに暢気にグルグル回りつづけた。

 しかし諸君、いくらグルグル回ったって、見えるのはひたすら関東平野のみ。いい若いもんが、田んぼ&どこまでも田んぼの風景を眺めながら、いったい何を食えばいいんだ? 結局、伊勢丹の最上階まで昇ることは一度もなかった。

 むしろ伊勢丹については、「やっと帰ってきたな」とホッとタメイキをつく思い出の方が強い。大混雑の常磐線でヘトヘトになって帰ってくると、夜の江戸川をわたりながら進行方向左側の窓に、キラキラ光る展望レストランの明かりが見えた。

 予備校講師になって最初の2年間は、毎週水曜日に河合塾松戸校に出講していた。伊勢丹松戸店至近、予備校バブルの真っただ中には、松戸校にも浪人生があふれ、朝からほぼ満席の状態。講師室に講師が入りきれないぐらいギュッと詰めかけていた。

 今思えば、あの頃の講師室のメンバー、かなりの比率で新人講師&準新人講師だったのである。ワタクシがまさにその典型であるが、他業種でついていけなくなって脱落、予備校講師に活路を見いだそうと、みんな目を血走らせていた。
銀水
(秋田市土崎港「銀水」。かつては高級店として賑わった)

 「松戸市」というもののバイタリティも、あの頃がピークだったかもしれない。松戸から常磐線各駅停車で3つ目、「新松戸」には三井不動産・住友不動産・三菱地所がそろって大型開発に取り組んだ大型マンションが立ち並び、松戸から東京都内に通勤する「松戸都民」が街の主流を占めた。

「新松戸」と言えばそれなりにカッコいいが、元々の地名は「大谷口新田」。新田とは、荒れ地や沼沢地を江戸時代に開墾して田んぼに変えた歴史を物語る地名であって、ここはモト・江戸川沿いの大湿地帯。新松戸とカッコよく改名しても、雨が降ればそこいら中で泥水が溢れた。

 しかし松戸都民は、地下鉄千代田線と相互乗り入れを始めた常磐線を利用して、都心の大企業に通う優秀なサラリーマンがほとんど。息子も娘も優秀で、都内有名私立中や私立高校では、松戸都民が最も高い割合を占めた時代があった。

 しかしやっぱりそういう時代も、諸行無常&盛者必衰。最盛期から30年も経過すれば、かつて40歳の松戸都民も70歳になるのは必然であって、ブームが終われば民主党も民進党もサッサと消滅するのと同じことである。

 優秀だったコドモたちとっくにオトナ。松戸の巣を飛び立ち、豊洲とかニコタマとか武蔵小杉とか、もっとカッケー街の高層マンションを買って悦に入っている。ブームは希望の党へ引き継がれ、松戸では伊勢丹閉店、河合塾は「現役高校部のみ」に縮小、新松戸は飲み屋だらけに変わる。
オヤツ
(秋田市土崎港「オヤツの店 たてやま菓子店」。コドモたちの憧れを一身に集める存在だった)

 さて、そういう諸行無常を30年も40年も先取りしたのが、我がふるさと秋田市土崎港である。10年前にはこのアリサマを見てショックを受けたが、今やもうアキラメが固定して、タメイキも出ない。

 昨日の記事で列挙した懐かしい店のうち、残ったのは「銀水」「かがや」「白樺」「たてやま」の4軒のみ。かつて2軒のパチンコ屋さんからは「チーン ☞ ジャラジャラジャラ」と景気のいい音が街中に響いていたものだったが、もはやあの建物の影も形も見えない。

「かがや」と「たてやま」についても、「他にすることがないから、とりあえず閉店だけはしていない。売れても売れなくても構わない」「むしろ閉店の方がメンドー」というスタンスに見える。

 ワタクシのコドモ時代、おまんじゅうやおせんべい、おかきや飴玉、パラソルチョコやサイコロキャラメルが、ナンボでも夢のように並んでいた「たてやま」であるが、今は「おやき」と手書きで書いた貼紙を寂しく2枚ガラス戸に貼って、店の奥でオジーチャンが小さくしゃがんでいらっしゃった。
かねこ書店
(金子書店。中学時代のワタクシは連日ここに通った。今は看板が残るだけである)

 何と言っても寂しいのが「金子書店」である。幼い今井君の読書歴は、すべてこの「金子書店」で始まった。通いはじめたのは、中1の夏。中3の夏までに、それまで貯めた貯金の全てを、金子書店で使い果たしたと言ってもいい。

 田沢湖への遠足で「宝船に乗った七福神の貯金箱」という憎っくきシロモノを購入したのが小5の夏。その貯金を金子書店に貢ぎ尽くしたのが中3の秋。貯金箱は、5年近い歳月を今井君と過したことになる。

 日本の偉い人たちは、みんな一様に早熟で、
「世界文学全集なんか、小学5年生の時に読破した」
「日本文学全集は、中学生で3回繰り返して読んだ」
などということになっている。すげー。何て早熟なんだ。

 もちろん今井君はそれほど早熟でも高級でもないから、金子書店で買い込んだのはほとんどが文庫本。新潮・岩波・角川・講談社、当時わずか4.5畳だった狭い今井君のお部屋は、あっという間に文庫本の大洪水になった。
スギッチ
(秋田県マスコット「スギッチ」。頑張ってくれたまえ)

 その後、秋田市の南西部に引っ越した。国鉄の社宅を出て、オウチを新築したのであるが、おかげでワタクシのお部屋は6畳になった。玄関脇には「応接間 兼 書斎」などというものも出来て、文庫本洪水は何とか収まったのである。

 しかしあの時を境に、懐かしい金子書店との関係は消えてしまった。秋田駅前に3軒の大きな書店が残っていた時代であって、その「加賀谷書店」「三浦書店」「三光堂書店」に今井君の本拠は移動したのである。

 あれから長い月日が経過した。かつての金子書店は「かねこ書店」と平仮名の店名に変わり、それもやがて消滅して、今や看板が1つ、廃墟の前に寂しく立ち尽くすばかりである。

 その様子を確認してから、2017年9月のワタクシは秋田駅西口行きのバスに乗り込んだ。昔は「東口」というものがなかったから、秋田駅行きは全て「秋田駅行き」、「西口」などという余計な付録はなくて、秋田駅は威風堂々、「文句あっか?」と威厳を保っていたが、全ては過ぎた昔の話である。
お弁当
(岩手県花巻で戴いた豪華幕の内弁当。太るのも、むべなるかな)

 あとは、空港行きのリムジンバスに乗り込むだけである。空港まで40分弱、いやはや、この数日でワタクシはすっかり太ってしまった。体重84kgは、ベスト体重74kgを10kgも上回る。ヒコーキの座席に収まっても、何だか息苦しくてツラいぐらいだ。

 思い起こせばこの数日、食生活が大きく乱れている。厚切りの牛タンがたっぷり詰まった大盛り駅弁だの、お茶漬け2杯 ☞ サーラサラだの、ハタハタ5匹 ☞ ワッシワシだの、大っきな幕の内弁当だの、味噌ラーメンにギョーザだの、大学学部生みたいなワシワシぶりを発揮しつづけているじゃないか。

 自制しなきゃいかんよ、キミ。たくさん公開授業もあれば、新規講座の収録予定もあって、鋭意テキスト作成に努めている所でもある。冬眠前のクマさんみたいに食べまくり、ムクムク丸く太っていくんじゃ、受講生諸君に申し訳ないじゃないか。

 こうして諸君、厳しくこれからの自制を誓い、ヒコーキ内で出る夜の御弁当もしっかり断って、羽田からもごくごく素直に家路についたのであった。偉いなー。ホントに偉いなー。

1E(Cd) Böhm & Berliner:MOZART 46 SYMPHONIEN①
2E(Cd) Böhm & Berliner:MOZART 46 SYMPHONIEN②
3E(Cd) Böhm & Berliner:MOZART 46 SYMPHONIEN⑤
4E(Cd) Böhm & Berliner:MOZART 46 SYMPHONIEN⑥
5E(Cd) Böhm & Berliner:MOZART 46 SYMPHONIEN⑦
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