Thu 170824 意識低い系めざして/謝罪3種/継続を優先(キューバ&メキシコ探険記51) | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Thu 170824 意識低い系めざして/謝罪3種/継続を優先(キューバ&メキシコ探険記51)

 熱心な読者諸君に、謝らなければならないことが3つある。こういう「ドキッ♡」とさせる発言で書き始めること自体が、すでに謝罪の対象なのかもしれないが、どうしても謝罪しなければならないのは、以下の3点である。

① 旅行記が長くなって、すみません
② 最近写真が増えて、すみません
③ 意識低い系で、スミマセン

 ①については、まあ今日のサブタイトルを見てくれたまえ。驚くべきことに「キューバ&メキシコ探険記51」となっている。51であるよ、51。たった2週間の滞在について、旅行記50回を超えちゃった。

 その段階でもう十分に非常識だと思うのだが、残念なことに諸君、メキシコの旅の記録はまだまだ終わらない。予定では、55回まで続く。いや、56回になるかもしれない。
巨顔1
(巨石人頭像。高さ2m超。メキシコ国立人類学博物館にて 1)

 読者の多くが関心をもっているのは、「予備校講師の身辺雑記」であることは、よーく認識している。「認識」というより、正しくは「了解」している。

 キューバとか、モロッコとか、メキシコとか、そんな英語と何のカンケーもない国への旅行記なんかより、「誰と飲みました」「誰と仲がいいです」「最近こんな講座を収録しました」、そういう情報を求めてブログをクリックしているヒトが大半であるのも、よーく承知している。

 それなのに「51」。下手をすれば「60」という次元さえ見えてくる。もともとその傾向はあったけれども、今年になってますます拍車がかかってきた。今年は外国旅行が計5回。6回になる可能性さえあって、うにゃにゃ、なかなか身辺雑記が書きにくい状況だ。

 しかし諸君、あと少しの辛抱だ。もうすぐ身辺雑記だらけになる。明日か明後日、もしかしたらその次の日、「誰と飲みました」「こんな授業をしました」の類いを再開できると思う。せめてあと3日、ガマンして旅行記に目を通してくれたまえ。
巨顔2
(巨石人頭像。高さ2m超。メキシコ国立人類学博物館にて 2)

 ②についてはどうだろう。先月末にノルウェーから帰ってきてから、どうも掲載したい写真がググッと増加する傾向にあるのである。自分で決めた「1日5枚」が守りきれない。

 6枚掲載すれば、「もう1枚!!」という欲望がつのり、だから「えーい、7枚いっちゃえ!!」と思った瞬間、「ついでにもう1枚♡」と、欲望は等高線なり等圧線なりを描いていつの間にか山積みになっていく。

 こういうのはお酒やゴハンと一緒であって、「ついでにもう1杯」「もっとついでにもう1杯」の積み重ねが、いつの間にか4合、いつの間にか6合、気がつけば「一升メシ」という結果になっている。

 諸君、昔から今井君に欠けているのが「限度」と「歯止め」である。生牡蠣を貪り始めれば、面白くて面白くて歯止めがきかない。お酒を飲んでもメシを食べても、もう面白すぎて誰が何と言っても止められない。
チャック
(チチェンイツァのチャックモール)

 そういうのが「勉強」という方向性に向けば、マコトに勇ましく&頼もしい限りであるが、マコトに残念なことに、「面白くてヤメられない」「楽しくて止まらない」「ヤメられない&止まらない」の境地は、勉強よりも「カッパ海老せん」の類いに独占されてしまう。

 実際、「ワーカホリック」はあっても、「勉強ホリック」というコトバはない。13歳から15歳にかけての今井君はまさにその「勉強ホリック」であって、1日15時間勉強してもまだ足りない、もっと勉強していたい♡という奇妙な男子であったが、今やその面影はブログ執筆にしか残っていない。

 オトナになってからの今井君は、2度のワーカホリック時代を経験している。「どうすんだい?」(仮名)での講師時代が1回目。1週間に50分授業を40コマ、目の前が真っ赤になるほど働いて、それでも「もっとやらせてくれなきゃいヤメちゃうぞ」と唸っては、事務方を困らせていた。

 2回目のワーカホリックが「佐々木ゼミナール」の8年間。90分授業を1週間で30コマこなして8年、いやはや、目の前は赤からムラサキにかわって、仕事のしすぎで熱中症になりかけた。

 今も状況はそれほど変わっていない。年間に公開授業を100回もこなし、しかしそれでもまだ足りずに「もっとやらせてくれなきゃムクれちゃうぞ」のヒトコトを、懸命に抑え込んでいる。

 そのへんが「写真が増える」「文章が長くなる」という現象として如実に現れるわけである。文章の方は、「A4版3枚」という枠をこしらえてこれまた懸命に抑制しているが、かつての勉強ホリック今井君は、今や文章ホリックであって、3.5枚になり、やがて4枚に近くなって、樽のタガが切れるのは時間の問題だ。
おじさん
(舞うオジサマ)

 そして諸君、何と言っても問題なのは、③「脱力系」「意識低い系」である。今井も予備校講師のハシクレだ。本来もっと「意識高い系」を目指さなきゃイケナイんじゃないか。

 世の中は今や「意識高い系」の天下である。シューカツも、入社後の新人研修も、日々のミーティングも、ひたすら意識高い系。ボーボー熱く燃え上がる意識高い系のヒトビトにならって、「いいかー、おまえたちー♨」「オレについて来いよー♨」みたいな熱い講師を目指すべきなんじゃないか。

 ところが諸君、現実の今井君が志向するのは、どこまでも「意識低い系」。もちろんそれを「脱力系」と言い換えてもいい。昨日の写真1枚目&2枚目、ああいう巻貝のお風呂からゆっくり語りかけるオジーチャンこそ、20年後 ☞ 30年後のワタクシの理想郷だ。3枚目の「亀おじさん」も最高であったね。

 もちろん、分かってはいる。せっかくメキシコシティにおもむき、公園の大群衆を掻き分けて人類学博物館に突進し、高いオカネを払って入場したのだ。往復のヒコーキ代だって、たとえエコノミーでもバカにならない。
柔
(こうしてだんだん脱力系に夢中になっていく)

 それなのに、貝ジーサンや亀オジサンやムンズ鳥(スミマセン、昨日の続きです)を眺め、ニタニタ&ニヤニヤしてるだけ。「ダメじゃないか」「ソモソモ、何を学ぼうとしてメキシコに行ったんだ?」。意識高い系のヒトに、きっとそんなふうに叱られる。

 でも諸君、意識高い系より、やっぱりムンズ鳥。高い問題意識より、やっぱり巻貝ジーチャン。旅は脱力系のほうが圧倒的に楽しいし、意識高い系な旅ばかりしていると、理想の旅ホリックにはなれないんじゃないか。

 諸君、旅ホリック、最高でござるよ。日々旅にして旅を住処とす。そういう生き方を選択して、勉強ホリック、文章ホリック、何でもかんでもホリックになっちゃうほうが、意識ばかり高くて反省ばかりの日々を過すよりずっといいんじゃないか。

 最も重要なのが「継続」であることは、おそらく間違いない真実である。高い意識と反省と後悔の日々では、長期間の継続は難しい。肩の力を抜いて脱力系を自称し、しかし10年でも20年でも50年でも継続する。マジメに継続したければ、あんまり力が入っていちゃいかんのだ。
笑
(1000年前の高笑い)

 というわけで、4月23日のワタクシは「少しは意識を高くもとう」と懸命に努力してみた。ニタニタ崩壊しそうになる自分を立て直して、オルメカの巨石人頭像やらチチェンイツァのチャックモール君を仔細に観察したりしたのである。

 チャック君のお腹の上では、かつてマヤの人身御供の儀式が行われ、生け贄の肉体から取り出された心臓は、太陽神への捧げ物として最後の生々しい鼓動を続けた。

 しかしどうしてもワタクシは、意識低い系から抜け出せない。そんなおっかないものより、笑うジーチャン、舞う男、カラダの柔らかいオカタ、甲羅をかぶったおじちゃん、そっちのほうにググッと興味を惹かれるのである。

 だって諸君、そんな「人身御供」だなんてのは、ヒトビトから遥かに遠い場所、視力2.0とか1.5とかでなきゃちっとも見えないところで、ごく密やかに行われていただけなのだ。

 むしろ文化の本質は、ジーチャンやオジチャンやグンニャリ男の表情のほうにあるんじゃないか。血なまぐさい密室にしか目が向かないようじゃ、マヤもアステカもオルメカも、ちっとも理解できないんじゃないか。脱力サトイモは、そんなふうに感じるのである。

 ただ、最後に問題が2つ残ってしまった。
① 謝罪したくせに、またまた長い。
② 謝罪したくせに、またまた写真が6枚。
とかく、この世は難しいのである。

1E(Cd) George Benson:LOVE REMEMBERS
2E(Cd) George Benson:STANDING TOGETHER
3E(Cd) Chicago:CHICAGO
4E(Cd) Akiko Suwanai(v) Fischer & Budapest:SARASATE/ZIGEUNERWEIZEN
5E(Cd) Alban Berg:SCHUBERT/STRING QUARTETS 12 & 15
total m128 y1614 d21563