Thu 170817 メキシコ大地震のこと/テンプロ・マジョール(キューバ&メキシコ探険記45) | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Thu 170817 メキシコ大地震のこと/テンプロ・マジョール(キューバ&メキシコ探険記45)

 マグニチュード8.1。巨大地震がメキシコを襲った。当初の発表ではM8.4。その後も8.0とか8.2とか発表が錯綜し、「確認された死者61人、生き埋めが多数発生の恐れ」という悲惨な状況が伝えられる。

 もちろん日本人としては、東日本大震災のことを思わずにはいられない。日本に大きな津波が到達することはないらしいが、折から日本でも、小笠原・熊本・秋田で地震が続いた。

 小笠原は震度3、熊本は震度4、我がふるさと秋田では震度5強を記録。まさかメキシコの地震と関連はないだろうが、「地球の裏側で」みたいな暢気なことを言っている場合ではないのかもしれない。

 震源の近くには、Oaxaca(オアハカ)という町がある。オアハカ州の州都であって、古代オアハカ文化で有名。明日と明後日のブログ記事に、メキシコシティの博物館で大好きになったオアハカ文化について、写真もたくさん掲載して綿々と書こうと思っていた矢先の地震である。

 オアハカは、先住民のパーセンテージがきわめて高い町である。メキシコ全体で15〜16%であるが、オアハカは40%に達する。アステカ・サポテカ・ミシュテカ、各民族のお祭りも盛んであるらしい。

 お祭りは「ゲラゲッツァ」と呼ばれ、7月下旬に開催される。ゲラゲッツァとは、「互いに助け合う」の意味であるらしい。治安・衛生状況も良好で、オアハカチーズも有名。「裂けるチーズ」のモデルになったという説もある。
オアハカ1
(メキシコシティ、テンプロ・マジョールにて 1)

 近くにはタバスコ州の州都Villahermosa(ビジャエルモサ/ビヤエルモサ)の町もある。こちらは、「オルメカ文化」。ラベンタ公園(Parque Museo La Venta)は、直径2メートルを超えるほどの巨石人頭像で有名だ。

 ウソでも何でもなくて、まさにいま旅行記が進行中の4月22日午後、「明日23日は、オアハカかビヤエルモサに日帰り旅行を敢行しようかな」と考えていた。メキシコシティを朝早いヒコーキで出れば、夜遅くには帰ってこられる。

 もっと正直に言えば、オアハカないしオルメカ日帰り旅の計画は、「旅の最終日(4月24日)でもいいな」と考えた。24日朝にホテルをチェックアウト、日本に帰るヒコーキは25日深夜(というか翌朝)2時の出発だから、オアハカまで行って帰って、そのままにTOKYOに飛んで帰れるじゃないか。
オアハカ2
(メキシコシティ、テンプロ・マジョールにて 2)

 その計画を中止したのは、あくまでメキシコが大好きになったから。事前の情報で「治安が余りに悪い」「タクシーにも乗れない」「殺人が多すぎる」と脅し放題に脅されていたが、実際に来てみると、カンクンでもメキシコシティでも、こんなゆっくりした国はなかなかないぐらいだ。

 だからきっとメキシコには、近い将来きっとまた来る。その場合のターゲットは、オアハカとオルメカ。何も今回の旅のついでに、無理して異様に忙しい日帰りの綱渡りをやる必要はない。次回ゆっくりオアハカを旅して、出来ればオアハカ5日+オルメカ5日+カンクン5日、そういう旅をしたかった。

 いや、もっともっと正直に言えば、実はすでに来年1月にその旅を組み込んであった。1月上旬から中旬にかけて、予定では「第3次ンラゼマ地球一周の旅」をやろうじゃないか。そういう計画で盛り上がっていた。

 メキシコ(カンクン&オアハカ)☞ ペルー(リマ) ☞ リスボン ☞ パリ ☞ 東京。マゼランと反対向きだから「ンラゼマ」。すでに4年前にブエノスアイレス経由、3年前にはサンパウロ経由で2度のンラゼマを経験している。
オアハカ3
(オアハカ文化が大好きだ。メキシコシティ、人類学博物館にて)

「オアハカ雑貨」も有名であるらしい。画像検索するに、これはなかなか激しくカラフルであって、モロッコのバブーシュに通じるところがある。モロッコとは大西洋を隔てているが、まさに対岸同士じゃないか。行ってみっか、行ってもみるべ。ンラゼマ計画にモロッコも入れちゃう勢いだった。

 その矢先の大地震である。いまだに情報が錯綜して、正確な被害状況すら分からない。日本の報道は「地球の裏側」のことについてはマコトに冷淡なので、これほどの大地震であってもトップニュースにすらしてくれない。

 しかし諸君、いまここで悲痛と悲嘆に暮れていても、事態は一歩も前に進まない。いまワタクシに出来るのは、今日も今日とてワタクシ流のガンコな手法で、メキシコを若い諸君に紹介すること。「よし、それならばオレたちもメキシコに行こう♨」と思っていただければ、小さな1歩の前進にはなる。
テンプロ1
(破壊されたアステカの「テンプロ・マジョール」から、メトロポリタン大聖堂の勇姿を望む)

 というわけで諸君、気を取り直して4月22日午後1時、話をメトロポリタン大聖堂前に戻すしかない。余りに人出が多いので、もともと田舎者の今井君は「人に酔う」という困った症状を発症していた。

 18歳、初めてTOKYO生活を経験した時でさえ、こんなことはなかった。新宿でも銀座でも渋谷でも、どんな強烈な人ごみの中であっても、若いワタクシは平気で闊歩しつづけたものである。

 それなのに、メキシコシティの猛烈さには、さすがの今井もシャッポを脱いだ。諸君、「シャッポを脱ぐ」、これほど完全な死語が考えられるだろうか。

 シャッポとは帽子のこと。「帽子」そのものがすでに死語に近いのであって、むかしむかしの中1英語の授業では、capとhatの区別を厳密に述べるのが英語教師の大事な仕事だったりしたものだが、今やhatなんかかぶっている若者はほとんど見かけない。

 1981年の映画で「白いドレスの女」という名作がある。原作のタイトルは白いドレスでも何でもなくて「Body Heat」。30歳代弁護士が40歳代前半と思われる人妻の色香に溺れて破滅していくストーリーは、ふと民進党の危機を思わせるものがあるが、まあその辺は放置しておこう。

 映画のベテラン今井としては、すでに「Body Heat」を鑑賞すること10回に近いが、その中に「hatをかぶりたくなる瞬間」という挿話があって、要するに1980年代初期の段階で「hat」というものが廃れていたことがわかる。
テンプロ2
(アステカ中央神殿「テンプロ・マジョール」。栄光の日々の勇姿が今も生々しい)

 さて、今井君はメキシコシティの人口密度にシャッポを脱ぎ、近くのレストランに逃げ込んで、この余りに濃厚な人口密度が少しでも希薄になるのを、ジッとまちうけたのである。

 レストランで何を飲み&何を食べたか、その辺のことは明日の記事に任せるとして、とにかくシャッポを脱いだ今井君は、レストランの後は遺跡に逃げ込むことにした。諸君、こうやって今井がほうほうのていで逃げ回るほど、人&人&人の波。メキシコのバイタリティは凄まじい。

 逃げ込んだ「遺跡」は、5世紀前のアステカの神殿「テンプロ・マヨール」ないし「テンプロ・マジョール」である。ここはアステカ帝国の都テノチティトランの中央神殿。スペイン人による破壊がマコトに念の入ったものだったので、1913年までその存在が知られていなかった。
ヘビ
(テンプロ・マジョールにて。ヘビ君は、笑っているみたいだ)

 というか、この神殿の石材を材料にして、メトロポリタン大聖堂の建築が進められたのである。テンプロ・マジョールの廃墟の向こうに高々と聳える大聖堂の勇姿を眺めれば、500年にわたる激しい文明の衝突の歴史に、茫然とせずにはいられない。

 500年前のアステカ帝国の姿が、余りに生々しく残っているのである。羽毛の竜(ないし大蛇)は今もイタズラそうに微笑み、生け贄を載せたチャックモールも、笑顔にしか見えない鮮やかな表情でこちらを向いている。

 ここから諸君、大混雑の博物館や美術館がキライなはずのワタクシが約2時間、夢中になってこの遺跡を歩き回ることになるのであるが、その話はまた明日。明日はタコスとコロナビールとメキシコ文明について、書きまくりたいと思うのである。

1E(Cd) Jaco Pastorios:WORD OF MOUTH
2E(Cd) THE BEST OF ERIC CLAPTON
3E(Cd) Anita Baker:RAPTURE
4E(Cd) Anita Baker:THE SONGSTRESS
5E(Cd) Anita Baker:RHYTHM OF LOVE
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