Mon 170814 タクシー強盗の恐怖/到着/ぷっくりカップ麺(キューバ&メキシコ探険記42) | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Mon 170814 タクシー強盗の恐怖/到着/ぷっくりカップ麺(キューバ&メキシコ探険記42)

 ヒコーキがどんどん高度を下げていく時の風景は独特だ。成田なら「おお、日本ってすげー水田地帯なんだな」と実感するし、ミラノの場合はコモ湖畔やマッジョーレ湖畔の赤い瓦屋根が、中世ヨーロッパの街並みの美しさを髣髴とさせる。

 アムステルダムの時は「いやはや、ものすごい水浸しの街に来ちゃったな」であったし、リオデジャネイロでは投げ槍なほどムキダシの赤土の大地に唖然としたものだった。

 もちろんこういう風景は、空港に接近していく時間帯にも左右されるのだろう。5年前のブエノスアイレスには、早朝6時頃に到着したが、深い森の中を流れる泥の川がキラキラ輝いて、見たことのない異次元空間への期待が高まったのだった。

 ついでに、やっぱり少なからぬ緊張もあり、正直に白状すれば、恐怖もつのる。だってそうじゃないか。降りていく国なり街なりについてのオッカナイ情報が巷に溢れている。チマタとは、要するにインターネットのことであるが、話が中南米ということになると、必要以上にチマタがうるさくなる。
カップ麺
(メキシコの標高が高いせいでカップ麺がこんなに膨らんでいた。1968年、メキシコオリンピックの走り幅跳び:ビーモンの驚異的な「8m90cm」を思い出す)

「流しのタクシーには、絶対に乗ってはいけません」というのが、その最たるもの。確かに3〜4年前、エクアドルで流しのタクシーの乗ってしまった若いカップルが、タクシー強盗に惨殺される悲しい事件があった。

「短時間誘拐」「稲妻強盗」「簡易誘拐」「特急強盗」とも言う。街を知らない無防備な外国人観光客を乗せて、タクシーは街の危険地帯に入り込む。クレジットカードを強奪し、引き出し可能な金額を全額奪って立ち去る。

 または客を脅して、本国の家族に「誘拐された」と電話をかけさせる。口座にオカネを振り込ませ、それを引き出して逃走する。タクシー強盗の手口はどんどんグレードがアップして、下手に抵抗すればもちろん命の保証なんかない。

 アルゼンチンの場合には、「レミース」の使用を強く勧められた。レミースは一種のハイヤーサービスであって、外見からはタクシーに見えないごく普通のクルマが迎えに来てくれる。外見で「タクシー」と分かると、悪者に襲われる可能性も高くなるのだという。

 確かに、アルゼンチンのタクシーはそれなりにコワかった。ワザと道を間違えて、「オレはバカだ」「オレは何てバカなんだ」「ホントにとんでもないバカだ」と呟きつつ、グルッと街を反対向きに回り、自分で自分の頭を何度も殴って見せた。それでも最後にはメーターどおりのオカネを要求するのである。
ホテル
(メキシコシティ・ポランコ地区のホテル街。左から、マリオット・インターコンチネンタル・ハイアット)

 それが今回は、メキシコシティである。ヒコーキの中からもう、ワタクシの頭の中を緊張と恐怖が渦巻き、窓から眺める眼下の風景は、大袈裟に言えば恐怖の色に染められた。

「恐怖の色とは?」であるが、眼下はすでに夕暮れ、夕暮れの太陽に照らされた街のオレンジ色が、まさにその恐怖色と言っていい。ヒコーキは人口密集地帯の上空を半時計回りに半周していくのであるが、あらゆる街角が不気味なオレンジ色に染まっていた。

 こう言うのも何だが、今井君は十分に旅慣れている。どのぐらい旅慣れているかは、9年書き続けてきた旅行記を見れば、誰でも理解できると思う。一般の日本人の中で、旅慣れている方から数えて1000番目ぐらいには入るんじゃあるまいか。

 だって諸君、荷造りの速さを一度見てほしいぐらいだ。2週間の外国旅行でも、荷造りに15分もかからない。河口湖合宿の荷造りなら、10日分を10分で完了する。中南米のタクシー強盗なんか、片手でポイと対応できそうなものである。

 しかしやっぱりチマタの情報がコワすぎる。だからチマタ情報はできるだけ見ないようにしているのだ。だって諸君、あんまり怖がったら、旅先の人々に失礼じゃないか。例えばTOKYOにくる外国人が「コワいです」「コワいです」と震えていたら、我々だって気を悪くするはずだ。

 以上のような緊張感の中で、ハバナからのInterjetはメキシコシティの空港に無事に着陸した。さすがにキューバからのヒコーキ、空港ではあんまり優しくしてもらえない。30分も薄暗がりの列に並んで、ようやく入国審査を終えたのである。
チケット
(メキシコシティのタクシーには、チケットを購入して乗車する)

 さて、いよいよ問題のタクシーである。「そんなにコワいなら、地下鉄かバスを使えばいいじゃん」という意見については、「メッソーもございません」と答えるしかない。

 ここは「殺人事件発生率」の高さで、世界でも有数の街。スーツケースを引きずって地下鉄に乗るなんて、「ワタシは無防備な旅行者でございます」「どうか金品を要求してください」と旗を立てて歩いているようなものである。

 タクシーは、窓口でチケットを購入して乗車する「シティオ」タイプを選ぶ。日本で乗るナガシ・タイプの「リブレ」だと、タクシー強盗の被害にあう率がグッと高くなる。少なくともチマタ情報ではそういうことになっている。

 しかし諸君、窓口のオバサマも親切、乗車したシティオのオジサマも雰囲気のいい明るいオカタ。間もなく高速道路の大渋滞に巻き込まれたが、窓の景色も別に「危険が渦巻く街」という感じではない。

 ごく普通の騒がしい中南米の街を、ホテルのあるポランコ地区まで、約40分、何しろチケット制だから、降りる間際の「料金ゴマカしてんじゃねーか?」「メーターと違うぞ」「オマエ、ぼっただろ」みたいな悶着もない、マコトにスッキリしたものである。
リビング
(アップグレードされていた豪華なお部屋。リビングスペースはこんなに広大だ)

 こうして無事にホテルに到着してみると、ヒコーキの中であんなに怖がっていたのがウソのようである。ブログにも「コワかった」という恥ずかしい告白を書かずに、ごくカッコよく「メキシコは安全です♡」で済ませてもいいような気がするぐらいだ。

 ポランコ地区は、圏内人口3000万を誇るメキシコシティの中でも、特別に高級なホテル街として有名だ。近隣には「大統領官邸」「チャプルテペック城」「国立劇場」「国立人類学博物館」が並び、東京で言えば千代田区のど真ん中である。

 並んでいるホテルも、マリオットとハイアットリージェンシーとインターコンチネンタル。タクシーのチケット売り場で「ポランコ」と言っただけで、何だかオバサマの態度が一瞬で変わったようだった。

 インターコンチの豪華なお部屋に案内されて、とりあえず安堵の胸を撫でおろす。ごくフツーのお部屋を予約したのだが、いつものようにホテルサイドでグイッとアップグレードしてくれていて、信じがたいほど広大なリビングスペースがくっついている。
眺望
(お部屋からの眺望。手前が国立劇場、チャレルテペック公園の森が美しい)

 眼下には、国立劇場と大統領官邸。いやはや、旅の最終盤も最高級のお部屋でヌクヌクできそうだ。1フロア下の会員専用ラウンジで、無料の夕食や朝食も楽しめる。早速ラウンジに降りて、今夜はハムやチーズのラウンジ飯で済ませることにした。

 こうして、カンクン ☞ ハバナ ☞ メキシコシティの移動は終了。いつものヨーロッパ旅に比較して、なかなかハードルの高い日々であったが、メキシコシティには3泊だけ、とりあえずその後は東京に帰るだけである。

 ラウンジのメシだけではちょっと寂しいので、部屋で荷解きのついでに、日本から持参のカップ麺をすすることにした。① 東京 ☞ メキシコシティ ② メキシコシティ ☞ カンクン ③ カンクン ☞ ハバナ ④ ハバナ ☞ メキシコシティ、合計4回のフライトに耐えた、超ベテランのカップ麺君だ。

 その勇姿が諸君、今日1枚目の写真である。さすがのカップ麺君も、メキシコの気圧の低さに耐えかねて、もうパンパン。いつ「ポン!!」と崩壊してもおかしくないぐらいに膨らんでいた。旅にカップ麺を持参する諸君には、カップ麺は早めに食べてあげることを推奨する。

1E(Cd) Rampal:VIVALDI/THE FLUTE CONCERTOS 1/2
2E(Cd) Rampal:VIVALDI/THE FLUTE CONCERTOS 2/2
3E(Cd) Anita Baker:RAPTURE
4E(Cd) James Ingram:ALWAYS YOU
5E(Cd) John Coltrane:BLUE TRAIN
total m78 y1564 d21513