Sat 170805 新宿駅で/ハバナのバンド演奏/ネコと中央駅(キューバ&メキシコ探険記35) | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Sat 170805 新宿駅で/ハバナのバンド演奏/ネコと中央駅(キューバ&メキシコ探険記35)

 ついさっき、吉祥寺のスタジオからオウチに帰ってきた。本日8月28日、ワタクシは「過去問演習講座/早稲田大学国際教養学部」の収録だった。

 午後3時にスタートして、100行を超える長文読解を2問、要約問題1問、自由英作文1問、リスニング2問。難問ぞろいの合計6問を徹底的に分かりやすく解説して、収録には4時間近くかかった。いやはや、ヘトヘトだ。

 何しろ今井は、3日前にノルウェーの旅から帰国したばかり。帰国の瞬間から数えて、70時間ちょいしか経過していない。帰国直後の長時間収録だ、今日ぐらいは「脱タクシー」の旗を下ろし、往復ともタクシーぐらい許されていいじゃないか。

 そうやって人生に甘え、自分でも感心できない贅沢をやってみた。普通ならここで後悔して、「やっぱり電車で慎ましく往復するんだった」と、正直にその後悔を書き記すべきなのだ。

 ところが諸君。「帰ってみれば、こはいかに」であって、今井浦島は玉手箱ならぬ「午後の新宿駅で白煙パニック」という恐るべきニュースを目にしたのである。午後2時半、新宿駅で数メートル先も見えないほどの濃厚な白煙が立ち込めたというのである。

 確かに映像で見ると、ケムリの勢いは凄まじい。「13番14番ホームで視聴者が撮影」という動画は、「すわ、大事故か」「スワ、大火災か?」「Suwa、とうとうTokyoでテロ事件か?」と、ふと目をこすり、座り直すほどの勢いである。
列車ホーム
(キューバ・ハバナのモト中央駅。駅舎もホームも廃墟となっていた)

 しかしよく聞いてみると、原因は「工事用の重機が横転」というのである。東口と西口をつなぐ地下通路工事の最中、重機が横転。新宿周辺に準パニックを引き起こした。おい重機君、横転なんかすんなよ。いくら暑いからといって、ヤケを起こしなさんな。

 動画に映っている13番14番ホームは、まさにワタクシがしょっちゅう利用しているホームである。山手線と総武線各駅停車が2〜3分おきに発着する。

 午後2時半、もしも今井が普段通り質素に「今日も脱タクシーで吉祥寺へ」「電車に乗って吉祥寺へ」と考えていれば、まさにあの濃厚な白煙の真っただ中に立ち尽くしていた可能性が高い。

 人生とは何が起こるかホントにちっとも予測がつかないもので、旅の疲労のせいでたまたま「脱タクシー」をお休みにし、新宿駅を回避したことが、白いケムケムに巻かれるストレスをなくしてくれた。

 この今井は、マコトに幸運な生物なのである。どうやら諸君、「なんだか危険のカホリがするな」というイヤな予感を感じたら、今井キウィ麻呂の近くにきたまえ。キウィ麻呂のそばなら、きっと危険は素通りしていく。

 あそこでもテロが起こった、こっちでもテロに狙われた。あくまで事故だけれども、新宿でケムケムが渦巻いた。21世紀前半はマコトに濃厚な危険のカホリに溢れているが、今井君は世界中を旅しながら、その危険や事件の現場を、マホーのように軽やかにスイスイ無事にくぐり抜けている。
バス
(20世紀のバス。モト中央駅前に展示されていた)

 だから深夜まで飲み歩いていても、今井君が何らかの事件に巻き込まれたことは一度もない。酔っぱらい集団に絡まれたこともない。危ない人々に追っかけられたことも皆無だ。

 あえて言えば、ニューヨーク・ブルックリンのステーキ屋で白昼堂々、地味な外見の男に絡まれたことがあるが、「どうしてオレをファーストネームで呼んでくれないんだ?」と、初対面のおかしなヤツに5分ほど絡まれただけのことである。

 話がキューバ・ハバナになっても同じことで、「治安は大丈夫なんですか?」と東京ではずいぶん心配されたが、大丈夫も何も、ハバナの人々から見て、治安上最も危険そうな人物こそ、誰あろうこの今井キウィ麻呂だったんじゃあーりませんか?
ホーム
(現在のハバナ中央駅。中央駅らしい重厚さは感じられない)

 4月18日夜は、名門「カフェ・パリ」に闖入して、深夜までラム酒を飲みまくった。レストランにビールしかなかったから、せめて食後のカフェでラム酒を飲みまくろうと考えたのである。

 入店時には、店内は深い静寂に包まれていた。バンドは演奏の中休み。ハバナのお客はお気に入りのバンドを追っかけて、演奏が始まるやいなや、慌ててその店に移動するのが習慣のようである。

 バンドの演奏が始まると、そこいら中からワラワラ人々が押し掛けて、あっという間に店は超満員になる。その点、ヴェネツィアのサンマルコ広場と相似形なのだ。

 ヴェネツィアの広場のほうは、超有名カフェが3軒。「フローリアン」や「クアドリ」みたいな名店の屋外ステージで、バンドが代わる代わる演奏を繰り広げると、広場の群衆はいま演奏の行われている店の方へのワラワラ移動する。

 ハバナのオビスポ通りでは、バンド演奏をやっている店はお互いどうし遠く離れているけれども、お客は演奏のタイミングを熟知していて、「そろそろ始まるな♡」と判断すると、どんどん店に押し寄せる。さっきまでカラッポだった店が、10分後には超満員になっていたりするのである。

 この夜の「カフェ・パリ」もまさにその通り。演奏前は中国人カップルが2組つまらなそうにテーブルにへたり込んでいるだけだったが、陽気なラテンの演奏がはじまるやいなや、狭い店内はパンパンの満員になった。
時刻表
(中央駅にて。列車の運行スケジュールは「ホワイトボードに手書き」という形式だ)

 店の外では、演奏に合わせてネコたちも乱舞する。残念ながら音楽に乱舞するんじゃなくて、人々の移動につれて乱舞するのである。人が動けば、その中には食べ物をくれる人だっているだろう。

 昨日の記事の写真の注意書きに、「子ネコが多い」と書いておいたが、間違いなく子ネコの比率が高い。「1年以内に生まれたばかり」とハッキリ分かる子ネコたちが、単独行動で店の周囲を乱舞している。

 諸君、これはいいことではないのだ。こんなに痩せた小さな子ネコが多いのは、親ネコがケガしたり病気にかかったりして、若くして命を落とす率が高いせいである。バイクやクラシックカーが狭い街路をこんなに頻繁に走り回ったんじゃ、ネコたちだってたまらない。
街並み
(ハバナ中央駅付近。貧しさを如実に感じる)

 翌4月19日、今井君は繁華街からグッと南下して、鉄道の元・ハバナ中央駅まで足を伸ばしてみた。「中央駅」と言っても、キューバは島国、国土もそんなに広大なわけじゃない。ベルリン中央駅やローマ・テルミニ駅みたいな貫禄はもともとありえないのである。

 しかし諸君、元中央駅は、今や完全な廃墟である。半世紀前の繁栄と隆盛の雰囲気が、朽ちかけた鉄骨の間からふと感じられないこともないけれども、いつ崩壊してもおかしくない激しい荒廃ぶりだ。係員だか何だか分からない若者が1人、ここに侵入しようとする観光客を懸命に食い止めているのだった。

 現在の中央駅は、「モト」からさらに徒歩10分ほど離れた所にある。「モト」を英語では「Ex」といい、元カレも元カノも「Ex」と呼ぶことになっているが、Ex♡中央駅のかつての繁栄は、現中央駅には全く感じられない。

 何しろ、発着する列車のスケジュールが、ホワイトボードにマーカーで手書きされているアリサマだ。スケジュールが頻繁に大幅に変更になるような状況では、さすがの今井キウィ麻呂も、気軽に「鉄道で小旅行」「夜行列車で旅してみる」の類いの行動には踏み出せない。

 鉄道駅のあたりは、人々の日々の暮らしの貧しさが、露骨なほど如実に感じられて悲しい。目の前の超大国と半世紀にわたって敵対し、2国間関係がどこまでも悪化する中で、国民はガマンにガマンを重ねて生きてきた。

 そうして半世紀、中央駅も都心の人々のオウチもこんな状況だ。クルマのフロントガラスだって、汚れたセロテープで何度でも補修しているアリサマ。いまワタクシは「イチ観光客」に過ぎないわけであるが、何だか悲痛な気持ちが抑えきれず、しばらくはバーで暢気にビールを味わう気持ちにもなれなかった。

 ただし諸君、ちょっとホッとしたのが「ハバナ中央駅は現在大改修工事中」というニュース。ハバナの町全体が「古いものはいったんコワして、新しく作り直す」の方向性なのだ。完全な廃墟に見えた中央駅も、きっと近い将来ピッカピカに生まれ変わるだろう。

1E(Cd) Janis Joplin:CHEAP THRILLS
2E(Cd) Janis Joplin:PEARL
3E(Cd) Linda Ronstadt:GREATEST HITS①
4E(Cd) Linda Ronstadt:GREATEST HITS②
5E(Cd) Debbie Gibson:GREATEST HITS
total m25 y1511 d21460