Tue 170725 地味な旅が好き/クラシックカーはパスする(キューバ&メキシコ探険記26) | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Tue 170725 地味な旅が好き/クラシックカーはパスする(キューバ&メキシコ探険記26)

 こういうふうで、今井君はホントにホントに気難しいヤツなのである(スミマセン、昨日の続きです)。決してハバナの「クラシックカー」を批判しているのではなく、ただ単に「苦手」「苦手なんだからどうしようもないじゃないか」という世界なのであるが、どうしても厚塗り系は得意になれない。

 ゴハン以外のテンコ盛りには、どうしても触手が伸びない。ゴハンのテンコ盛りは得意中の得意であって、「おっ、テンコ盛りですか?」とニヤリとするが早いか、熱いお茶をかけて焼きタラコでサラサラ&サクサク、丼メシは3分もかからずに我が胃袋に収まってしまう。

 しかし諸君、本来の姿をゴマかす感じのテンコ盛りは、やっぱりイヤなのである。21世紀の日本には、その種のテンコ盛りが、それこそテンコ盛り。目いっぱい着飾った「豪華列車」なるものが日本中を走り回っている。

 もう一度断っておくが、別に批判するのではない。テンコ盛り列車も、それが人の心を惹きつけるなら、マコトに素晴しいことである。しかし諸君、それが苦手だという人間の存在も、ぜひ認めてくれたまえ。

 やさしい日本の風景の中を走る列車は、ワタクシは出来れば控えめでいてほしいのである。あんなにキンキラキンに飾り立て、たった4日だか5日だかの旅に30万円も50万円も要求するのは、キライなのである。
クラシック1
(ハバナのクラシックカー 1)

 そういう旅が大好きで、「オカネなんかナンボでも払います」とおっしゃる人は、どんどん贅沢な旅を選んでくんなまし。しかし今のワタクシは、できれば「或る列車」の類いは避けて通りたい。何だかキンキラキンの弁当箱に乗って旅してるみたいで、気持ちが落ち着かないじゃないか。

 やっぱり、普段通りの地味な列車がいい。キンキラキンは、キンキラキンが大好きなヒトビトにお任せしたい。鉄道の旅は、日本国内なら出来るかぎり「キハ」がいい。

「車室で温泉に入れます」
「車室からの星空がキレイです」
「食堂車で3つ星シェフのフランス料理です」
の類いは、ワタクシにはムリ。ムリとは思わない人にお任せしたい。今井君は、昔の2等車で普通の駅弁を楽しみたい。

 日本からはほぼ消滅してしまったが、もしも夜行列車に乗るなら、むかしむかしの日本の深夜を駆け巡っていた地味を極めた列車がいい。「ゆうづる」「はくつる」「日本海」が理想であって、東京から西に向かうなら「あさかぜ」「はやぶさ」「富士」がいい。

 もっとワガママを言うなら、やっぱり一番は「津軽」「八甲田」「十和田」「銀河」の類い。要するに「寝台特急」じゃなくて、「夜行急行」、「一部寝台車あり」だけれども、ごく普通の向かい合わせの座席もついている夜行列車がいいのである。

 なぜ日本のヒトは、いつの間にかあんなに厚塗りの豪華列車を好むようになっちゃったんだろう。というか、なぜマスメディアはあの類いばかり喧伝するようになっちゃったんだろう。ごってり厚塗り系からは、少なくともワタクシは、スゴスゴ退散するしかないのである。
クラシック2
(ハバナのクラシックカー 1)

 というわけで、キューバのハバナで過ごした日々、今井君はハバナの象徴「クラシックカー」と言ふものを、ついに1回も利用しなかった。滞在していた旧市街はもちろん徒歩で、遠い新市街にもクラシックカー仕様のタクシーを利用することはなかった。

 だって諸君、何だかイヤらしいじゃないか。1950年代とか60年代とか、すでに生産から半世紀以上を経た美しいクルマたちなのに、板金屋さんと塗装屋さんが目いっぱい努力して、キンキラキンの厚塗りに仕上げてしまった。

 何万ドルもかけて分厚く塗りまくった「クラシックカー」なるものが、高級ホテルの前にズラリと勢揃いしている。CUCなら数十万、CUPなら「数千万!!」という勢いだ(昨日の記事参照)。ホテルから出てきたオカネモチの観光客が、マコトにチャラチャラした様子で、そのクラシックカーを値踏みする。

 いやはや、お客もチャラいし、ドライバーもチャラい。眺めていると、そのやりとりなり交渉なりの進行ぶりもやっぱりチャラい。光景自体がチョー分厚い厚塗りであって、目も耳を塞ぎたいほどのホンネが、やりとりのスキマからボロボロ顔をのぞかせる。

 やがて交渉がまとまって、この上なくチャラい感じのヒトビトが、むかしむかしのマンガなら「キャッホー!!」「ヒャッホー!!」の文字がフキダシに踊るほどの甲高い歓声をあげつつ、ハバナの街を疾走しはじめるのである。
厚塗り系
(厚塗り系のクラシックカーが増えている)

 ガイドブックには「乗り心地はいかに?」とか、マコトに暢気なコトバが踊っているが、うーむ、あれじゃ、乗り心地がいいはずはないのである。今井君なんかは、そもそも気色悪くてとても乗っていられない。

 だって諸君、クラシックカーと全く同じ路上を、超満員の乗合バスが走っている。赤信号で停止するたびに、バスの中の市民とバッチシ視線が合うじゃないか。

 今日もまた地味にマジメに働くヒトビトと、「キャッホー!!」「ヒャッホー!!」のド派手な面々。いやはや、とてもキャッホーどころの話じゃないのである。

 水玉模様やらハート模様やらのクラシックカーとなると、今井君はもう完全にダメである。クラシックカーそのものへの侮辱にしか見えない。

 もちろん、そういうのが大好きで
「カッワイイー!!」
「Mucho kawaii!!」
「ムッチャ、カワイイやん!!」
「Wow, very pretty♡」
「かわいんじゃね?」
と、お互いに手を取って何度も跳躍するヒトビトの存在もまた素晴らしい。ちょー、いいんじゃね?
クラシック3
(もうクラシックカーなんかちっとも珍しくない)

 しかし諸君、何しろ今井君は、現代日本でも最も古くさい発想の世代に属している。スタンダードを逸脱したクルマ、スタンダードからかけ離れた豪華列車、その種のものにはカンタンに馴染めない。

 だから諸君、ハバナでも今井君は「脱タクシー」「卒タクシー」を貫いた。タクシーを使用したのは、① 初日の空港からホテル、② 最終日のホテルから空港、その2回だけである。

「では、観光には何を使ったの?」であるが、目いっぱい利用したのはハバナを走り回る赤い観光バス。観光バスを観光バスとして利用するんじゃなくて、公共交通機関として利用する。

 1日券を10ペソで購入すれば、山手線よろしく30分に一度、確実に同じ経路で同じバスが回ってきてくれる。ハバナ市内に溢れる「キャッハー!!」や「ヒャッホー!!」の絶叫を避けながら、1日券を運転手さんに見せて赤いバスを乗り降りするのには、マコトにレトロな楽しさが溢れている。
観光バス
(バス1日券。10ペソで何度でも乗れる)

 ハバナ滞在2日目の4月17日、滞在3日目の4月18日とも、ワタクシはこの方式を採用。10ペソの1日券で、徹底的にモトをとりつづけた。

 こりゃいいや。クラシックカーのタクシーでナンボ払うんだか分からないが、バスなら10ペソで好きなだけ、ハバナ市内をグルグル出来ちゃうのである。

 ワタクシは、もともとこういう周遊券が大好きな人間。ないしは周遊券大好きキウィ富士。昭和の昔には、「北海道周遊券」「四国周遊券」「九州周遊券」を目いっぱい使いまくって、強烈に地味な列車の旅を、それぞれ1ヶ月ずつ満喫した。

 2005年2月から3月にかけての「ユーレイルパスの旅」、その1ヶ月の旅の意地汚さも、諸君、「ウワバミ文庫」から「ヨーロッパ40日の旅」をクリックして参照してくれたまえ。

1E(Cd) Maria del Mar Bonet:CAVALL DE FOC
2E(Cd) CHAD Music from Tibesti
3E(Cd) AZERBAIJAN Traditional Music
4E(Cd) Ibn Baya:MUSICA ANDALUSI
5E(Cd) T.Beecham:BERLIOZ/LES TROYENS 1/3
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