Sat 170722 凶悪なぐらい辛いカレーが食べたい/不忍池のハスの花/こんなに辛くてインド? | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Sat 170722 凶悪なぐらい辛いカレーが食べたい/不忍池のハスの花/こんなに辛くてインド?

 何だかどうしてもカレーが食べたくなった。8月10日ぐらいからである。意地でもカレー、何が何でもカレー。読者諸君にもそういう経験があると思う。カレー以外の全てを、胃袋と腸が拒絶していた。

「中途半端な辛さじゃイヤだ」
「辛くて辛くてボッと火の手が上がるようなカレーを貪りたい」
「口から真っ赤なホノオを噴き出しそうなカレーが食いてぇ」

 そういう凶悪な欲望が今井君の心をトリコにしたのは、正直に申し上げれば8月5日、大阪梅田の「インデアンカレー」を食べ終わった頃のことである。

 もちろん、梅田のカレーは旨かった。甘さの奥にギュッと詰まった奥ゆかしい辛さは、横綱キウィ富士の心をワシヅカミにしたのである。しかし諸君、奥ゆかしいのも素晴らしいが、もっとずっと凶悪な、無条件にホッホ&ホッホ、一口でホントに炎の噴き出す辛さも味わいたいじゃないか。

 普段の今井君なら、一目散に「春日部 ラホール」を目指すところである。ジャンボハンバーグ、インドカレーの極辛。さらに一段上の「極々辛」もあるし、店の人は「あまりオススメできません」と言うけれども、「激辛」やら「超辛」もある。チャレンジするのもいいだろう。

 しかし諸君、やっぱり春日部は遥かなカナタだ。浅草から乗るにしても、北千住から乗るにしても、東武線の特急電車で日光に向かってズンズン北上しなければならない。

「奥の細道」の松尾芭蕉が、2日も3日もかかってエッチラ&オッチラ北上した日光街道を、「カレーのためだけ」に特急料金をはらって往復することになる。

 そんな「カレーの細道」みたいな旅を繰り返していれば、さすがに今井も疲労&疲弊する。特に問題なのは「帰り道」である。ポンポンはカレーとジャンボハンバーグでパンパン、口からはカレーの炎をホッホ&ホッホ噴き出して、ノドはからから、ひたすら冷たいビールを求めて帰京する。
カシミール
(上野「デリー」のカシミールカレー。最高でございました)

 だから諸君、8月14日の今井君は「近場でGo♨」を決意した。さすがに世界一のグルメ都市♡東京だ。山手線の内側に、全身に火のつくほど辛いカレー店の4〜5軒ぐらい見つかるだろう。

 そういうサトイモ君の目に止まったのが、上野広小路「デリー本店」である。創業1959年、銀座と赤坂に支店があるけれども、上野の本店はガンコに17席の小さな店舗を守っている。

 オススメは、激辛のカシミールカレー。おお、いいじゃないか。「甘さの後にギュッと辛さが味わえます」とか、そういう奥ゆかしいタイプではない。いきなりギュッと凶悪に辛い。「いいじゃん&いいじゃん」であって、炎の噴き出る辛さを求める今井は、ギュッと上野に押し寄せた。

 お盆の真っただ中、「帰京ラッシュがピーク」という午後である。東京は朝からシトシト雨模様。梅雨時のような蒸し暑さは、むしろ宮沢賢治どんなら「寒さの夏はオロオロ歩き」と、ヤマセと冷害が心配になる午後であった。

 上野駅は、アジア全域からの観光客でごった返している。何しろワタクシは、18歳の春に東北地方のど真ん中♡秋田県秋田市から上京してきた典型的なオノボリさんである。上野は、余りに懐かしい。

 いくら都会っぽく改修したって、上野駅はあくまで上野駅であって、ホームも階段も、改札口も駅弁売り場も、みどりの窓口もトイレも、どこもかしこも「ふるさとの訛り懐かし」であって、アジア各地のコトバが氾濫するその様子は、今井の上京時代とちっとも変わらない。
不忍池
(上野・不忍池は、まだハスの花の盛りだった)

 目指すカレー屋「デリー」は、上野駅から御徒町に向かって広小路を南下、不忍池に沿って湯島方面に向かえば、徒歩で約10分である。不忍池は8月中旬の今でもまだハスのお花の真っ盛り。アジアから大量の観光客が押し寄せて、ピンクのハスと一緒に写真に収まっている。

 亀さんも多い。ハスの根元にはカミツキガメがウヨウヨしていて、軽い危険を感じるほどであるが、ドイツからきた若い男子数名は、その危険な亀さん軍団がヤタラに気に入ったらしい。亀軍団と一緒に写真に収まって、得意満面の様子でござった。

 カレーの「デリー」は、すぐに見つかった。何しろ湯島付近には珍しい長蛇の列である。これで見つからないはずはない。すでに時計は14時近いのに、遅いランチを求めて並んだヒトビトの列は、うーん、こりゃ15分は待たなきゃいけない。

 今井君も、ずいぶん辛抱強くなったのものである。ホンの10年前のワタクシなら、「列に並んで待つ」なんてことには絶対に我慢ができなかった。列を見た瞬間にキビスを返している。「並んで下さい」の「並んで...」までも聞かないうちに、もう別の店を探している。そういう人間だった。

 その余りのハヤワザは、周囲のヒトビトを驚かせたものである。一緒に店を訪れたヒトビトが、「どうしよっか?」と振り返る。その時にもうサトイモ君は、店の入口から十数メートル離れたところを、ひたすら別の店に向かって猛ダッシュしているのである。
デリー
(上野「デリー」本店。長蛇の列ができていた)

 それなのに諸君、驚くなかれ8月14日のキウィ富士は、ピタッとその場に立ち止った。「そうか、15分か」「ならばガマンして『列に並ぶ』という行動をとってみようじゃないか」。人間の成長とは諸君、素晴らしいものであるね。

 梅雨のような雨が降りしきる中、ワタクシは傘をさして15分、「デリー」のカシミールカレーをひたすら待った。1700円の「タンドリーチキンセット」なら、凶悪なカシミールカレーと、サラダとタンドリーチキンと、生ビールもグビグビできる。素晴らしいじゃないか。

 並ぶこと15分、うぉ、ビックリするほどカンタンに順番が来た。「こんなにカンタンでいいの?」であるが、並んでいるヒトビトはみんな超のつくベテラン選手ばかりの様子である。サッサと注文して、サッサとワシワシやらないと、きっと「早くしろよ」と叱られる。

 注文して1分、まず生ビールがきた。ノドをギュッと潤しているうちに、「タンドリーチキン」もきた。たっぷり若鶏1/2羽分、豪勢なタンドリーチキンである。
蓮
(不忍池のハスの花を眺めながら帰る)

 その2分後、凶悪な色合いのカシミールカレーもきた(本日の写真1枚目をご覧あれ)。うぉ、ホントに凶悪な色合いだ。その濃厚&痛烈なカレーの中に、再び若鶏1/2羽分の鶏肉が浮かんでいる。大っきなおジャガも1個分まるまる、こりゃ豪華、余りに豪華であって、1700円とは信じられない。

 カシミールカレーの辛さについては、まさに文句のつけどころなし。うにゃにゃ、初心者はカシミールを避けて、2段階優しい「インドカレー」ぐらいにしておいたほうがよさそうだ。

 おお、今井が求めていたのはまさにこれだ。口に火がつき、ノドに火がつき、胃袋も小腸も大腸も燃え上がって、身体中の細胞から真っ赤なホノオがボッと噴き出しそうだ。

「こうじゃなきゃいかん」「やっぱりカレーは凶悪なほど辛くなくちゃいかん」。ガンコな今井は、そうガンコに頷いて、「こんなに辛くてインド?」「もちろんこれでインド」と、心の底から辛さに納得、辛さを肯定、やがて辛さを絶讃して、辛さに陶酔、間もなく悶絶寸前となるのであった。

「デリー」店内にいたのは、ホンの30分ほどである。辛さのせいで流れ落ちた汗の量は、優に1リットルを超える。こりゃいかん、こまめな水分補給を心がけないと、8月の梅雨空の下、今井君は熱中症に陥る。上野駅付近の店で生ビールでも飲むべい。ウキウキしながら店を出た。
ブーツ
(上野「銀座ライオン」で、ブーツグラスのビアを満喫)

 すると諸君、驚くじゃないか、店の外に今もズラズラ続いている長蛇の列の中に、河口湖合宿ですっかりお馴染みの、東進の英語の先生がいらっしゃる。仮に「H山先生」としておこう。「20年来、ここに通っています」とおっしゃる。

 いやはや、カレー系グルメとは、マコトに恐ろしい。上野や湯島のカレー屋で、こうしてバッタリ出会うんだから、油断もスキもないのである。素晴らしい、全く素晴らしい。この店に20年も通っているとしたら、そりゃホントに素晴らしい。

 感動に感激が重なり、不忍池のハスの美しさのせいで、さらに分厚い感激を付け足しながら、真夏の今井は上野駅に向かった。すると諸君、ノドの乾いた今井の目の前に「銀座ライオン」の看板が。おお、いいね。上野って、ホントにいいですね。

 というわけで、長靴の形の「ブーツグラス」で、ギュッと冷たい生ビール。枝豆も一皿注文すれば、当然プラスで日本酒お願いして、いつの間にか「すみませんーん、もう1本くださーい」。あっという間に店のヌシみたいになって、今井のランチは午後5時近くまで延々と続くのであった。

1E(Cd) Shelly Manne & His Friends:MY FAIR LADY
2E(Cd) Sarah Vaughan:SARAH VAUGHAN
3E(Cd) José James:BLACKMAGIC
4E(Cd) Radka Toneff/Steve Dobrogosz:FAIRYTALES
5E(Cd) Billy Wooten:THE WOODEN GLASS Recorded live
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