Sun 170716 立秋は台風 ☞ 猛暑/大阪カレー/セイロンカレー延期/梅田インデアンカレー | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Sun 170716 立秋は台風 ☞ 猛暑/大阪カレー/セイロンカレー延期/梅田インデアンカレー

 思えば昨日8月7日は立秋、台風一過の今日8日は、「目にはさやかに見えねども」すでにレッキとした秋の1日であって、あまりに敏感なワタクシは、甲子園の外野をフラフラ飛んでいる赤とんぼの姿に「小さい秋、見つけた!!」と小さく叫ぶ1日なのである。

 今井君なみに老獪な超ベテラン台風5号は、東京の西側をのんべんだらりと北上していった。「一過」の8月8日は、熱中症危険度のきわめて高いイヤらしーい梅雨のお空。お外に一歩でも出たら最後、今井オジサマのキウィ顔を激しい汗の滝が流れ落ちる。

 35℃、36℃、37℃。北国で育ったサトイモ君は、その数字を見ただけでクラクラする。盛夏の真っただ中、8月5日の大阪は、最高気温36℃。あの日は、台風5号が南西から接近中。Mac君は「台風5合」などと変換して、昨日のおでん屋での痛飲の記憶を呼び覚ましてくれる。
関西熱波
(8月5日、関西を熱波が襲っていた。昼のNHKニュースより)

 大阪京橋での公開授業の後、今井先生はお土産として伊勢の銘酒「作」をいただいた。「作」と書いて「ざく」と読む。その中でも最高級品の「中取り」であって、昨年5月の伊勢志摩サミットの晩餐会を彩った超高級日本酒である。

 この銘酒を、オバマどんやオランドどんも、あの頃まだ得意の絶頂だった安倍首相にぐいぐい勧められたであろう。民主主義なんだから「栄枯盛衰」とは言わないが、盛者必衰というか何と言うか、たった15ヶ月でこんなに世界が変わるなんて、人の世はマコトにはかないものである。

 どうせはかない世の中ならば、せっかくの大阪滞在だ、福島県郡山に移動する前に、大阪のカレーぐらい貪って行きたいじゃないか。食い倒れ自慢の大阪なんだし、昨日の夏おでんもあんなに旨かったんだから、探せばカレーの名店はナンボでも見つかるだろう。

 ちょいとググって、候補に上がったのは以下の3店である。
① 難波アメリカ村の「ニューライト」
② 堺筋本町「コロンビア・エイト」
③ 梅田3番街「インデアン・カレー」

 最初に決めかけたのは、② の「コロンビア・エイト」。名物がキーマカレーということになれば、キーマ大好きの横綱キウィ富士として、このお店を訪問しない手はないだろう。

 カウンター13席しかない小さな店であるが、もう心は浮き立って留まるところを知らない。「キーマ♡」「キーマ♡」「キーマ♡」と歌いながら、広いホテルの部屋を7回り半する勢いであった。

 ところが諸君、なんてこった、「日曜日定休」とあるじゃないか。「えーっ?」のヒトコトで、白鵬にはたき込れた平幕力士よろしく、キウィ富士もまたホテルの床に突っ伏し、厳しい運命を嘆き悲しんだのである。

 いま考えてみれば、その愚かさ、そのそそっかしさに恥じ入るばかりだ。だって諸君、8月5日は日曜日ではない。レッキとした土曜日であり、Saturdayであり、Sábado(スペイン語)Samstag(ドイツ語)星期六(中国語)Samedi(フランス語)Sabato(イタリア語)である。ちっとも日曜日なんかじゃなかったのだ。

「キーマ♡」「キーマ♡」と心も肉体も浮き足立ったせいで、すっかり日曜日と勘違いし、勘違いから絶望の縁に至った今井君は、残る選択肢①「ニューライト」と、選択肢③「インデアンカレー」の間で、深くツラいディレンマを経験したのである。
作
(大阪京橋でのお仕事の後、伊勢の銘酒「作 中取り」をお土産にいただいた)

 何だ、こんな問題で悩んでいるんじゃ、センター試験の4択問題に苦しむ受験生諸君と、まさに択ぶところがない。しかし諸君、まあそう言いなさんな。諸行無常&盛者必衰の21世紀、オオサカでどっちのカレーを貪るかは、日本史選択か世界史選択かよりも、遥かに大事な問題かもしれない。

 決めかけたのは、①。「きたなミシュラン」の候補に上がるほど、昭和の大阪がムッと詰まったお店である。せっかく真夏のオーサカなら、オシャレで爽やかな梅田より、ムワッと熱い難波のほうが、「オレは真夏の大阪でカレーを食ったんだ」という素晴らしい思ひ出になりそうじゃないか。

 しかし諸君、Mac君の画面で眺める「ニューライト」は、さすがに激しすぎるのである。名物の「セイロンライス」も、なかなかドギモを抜く光景なのである。カレーの真ん中に陣取る生タマゴが、自分が生のタマゴであることを、異様な強烈さで主張してくるのである。

 ビショビショ&ネロネロなタマゴとカレーの中を、無数の米粒が楽しそうに泳ぎ回る。むしろ「カレー茶漬け」の世界。カツカレーの様子をコワゴワうかがい見るに、カツのコロモにビショビショのカレーと生タマゴの白身が好き放題に染み込んで、こりゃあまりにも旨そうだ。

「激ウマ」で、しかも恐ろしいほど安い。セイロンライス500円。よーく生タマゴが染み込んだカツカレーライス600円。玉子丼・親子丼・カツ丼・中華丼・スパゲティ・ヤキソバもあり、「ラーメン」☞ 370円なんてのもある。

 ギュッと興味をひかれたのが「スパニッシュライス」☞ 500円。スパニッシュライスとは、何ぞや? ドリンクメニューに「日本酒あります」の文字もある。

 諸君、ここまで強烈に攻めて来られると、宿泊も難波にして、じっくり3日連続で訪ねてみた方がよくないか。そのぐらいの名店、いやむしろ名所旧蹟であって、大阪歴史文化遺産(仮)への登録を考えてもいいぐらい。軽々には訪問できない。
インディアンカレー
(大阪・梅田3番街、「インデアンカレー」のインデアンカレー)

 こうして最終的に8月5日の今井君が選択したのは、梅田3番街「インデアンカレー」である。「オシャレで爽やか」とは書いたけれども、それはあくまで難波との比較の問題であって、梅田もやっぱり大阪であってみれば、梅田3番街も間違いなく濃厚に昭和のカホリが立ち込めている。

 阪急梅田駅には、この3番街の他に「新梅田食道街」というのもある。昭和25年に始まった「食道街」は、今もなお「戦後のドサクサ」の雰囲気を残し、本来は「食堂街」のはずであるが、「細い道に沿って延々と店が並んでいるんだから」と、あえて「食道街」を名乗っている。

 店舗数50ほど。今井君はむかしむかし20年も昔、大阪出張といえば「新阪急ホテル」という古色蒼然とした昭和なホテルに泊まり、夜は食道街のショットバーで時間をつぶした。

 昨年の熊本出張の時には、新梅田食道街の皆さんの慰安旅行に、九州新幹線の車中で遭遇。いろんな思ひ出が地層のように積み重なった、たいへん懐かしい街である。
混む
(梅田インデアンカレー、ヒジがぶつかりあう激混みの光景)

 阪急3番街のほうは、関西のハイソな人々がこぞって集結する「阪急」を名乗るだけあって、さすがに新梅田食道街みたいなドサクサな雰囲気はありまへんで。

 しかしやっぱり、大阪は食い倒れの街。朝食にもランチにも、店の選択はマコトに真剣であって、「安くて旨い」と言ふ大阪の基本を貫くお店には、間違いなく長蛇の列ができている。

 1947年創業。「インディアン」ではなくて、意地でも「インデアン」。列に並んで10分、店内に入ってもまだ列があって5分、たっぷりと「列に並んでガマン」な世界を満喫した後、人口密度の極めて濃厚なテーブルについて、創業70年の歴史あるカレーにありついた。
列
(梅田三番街「インデアンカレー」前で、長蛇の列に耐える)

 口に運んだ瞬間、「おっ、すげー甘いな!!」であって、昭和の「ハウスバーモントカレー」よろしく「リンゴとハチミツ ☞ とろーり溶けてる!!」な感覚。「こんなに甘くて大丈夫?」と心配になるけれども、それは一口目を飲み込むまでのお話だ。

 飲み込んだ直後に、ギュッと鋭い辛さが押し寄せてきて、小さいコドモだったらその落差の大きさに泣き出しちゃうぐらいのギャップがある。人々はそのギャップを楽しみにここに押し寄せる。ヒジとヒジがぶつかり合い、お互いの首筋を流れる汗を間近に感じるほどの混雑でも、全く意に介さない。

 ホンマにおいしゅーございました。ついでに、楽しゅーございました。ホンマに、楽しゅーございました。食べることにこんなに夢中で真剣な大阪の人々が、ワタクシは大好きなのだ。

 シラケた顔で「何でもいいよ」と吐き捨てることは決してしない。長いようで短い一生、100年生きたとしても、約36500日。自分の好きに楽しめるランチは、せいぜいで3万回しかない。

 だからこそ好きなもんを、長蛇の列と人口密度に耐えてでも、好きなように貪って満喫する。そんなに素晴らしい人生の楽しみ方は、他に滅多なことでは考えられないじゃないか。

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