Sat 170715 店のスタッフが今井ブログを熟読している/文楽/法善寺横丁のおでんが最高だ | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Sat 170715 店のスタッフが今井ブログを熟読している/文楽/法善寺横丁のおでんが最高だ

 すっかりお馴染みになった大阪梅田「Buzz」であるが、ここのスタッフはマコトに真剣で丁寧な素晴らしい青年ぞろいである。「今井♡来訪」というスケジュールが決まると、主なスタッフはわざわざ今井ブログを熟読、最近2〜3ヶ月のワタクシの動向を熟知した上で対応してくれる。

 だから、河口湖合宿の様子もビックリするぐらい詳しくご存じだ。3日目が煮込みハンバーグの日であることも、最終日には生タマゴなしのスキヤキであることも、今年の合宿後半に富士山がほとんど見えなかったことも、よーく分かってくれている。

 この9年でワタクシが河口湖合宿の記事を103回にわたって書きつくしたことも、青年シェフはしっかり把握、最後に出るコーヒーには、「103回目、おめでとうございます」のコトバが添えられていた。

 今井の最近の旅についても、「モロッコ、いかがでした?」「キューバとメキシコ、スゴくよかったみたいですね」「シチリアの海はどうでした?」と、ポンポン質問が飛んでくる。

 店の応対として模範的というか何と言うか。関係者の中にも「講師のプライベートには、全く興味がありません」という人は少なくないから、感動と感激に思わずフォークを取り落としそうになる。

 だって諸君、「今井先生は、海外に行かれたことはあるんですか?」とか「お酒は飲まれるんですか?」とか、その類いの質問を校舎で受けることも少なくないのだ。レストランのスタッフがこんなにお客をよく理解しようとする姿、そういう努力に楽しげに邁進している姿を目にすれば、この感激は当然だ。

 前回この店を訪ねたのは、3月上旬のことである。半年前であるが、あの時は今井の和菓子好きが話題になった。京都銘菓「阿闍梨餅」や秋田「金萬」と並んで、十三駅前の酒饅頭がどれほど気に入ったか、ひとしきり話が盛り上がったのである。

 若きシェフは、そのことも記憶している。記憶に基づいて、さりげなくその酒饅頭を料理にアレンジしてくれた。箸休めと言うか、フォーク休めと言うか、もちろんメインの邪魔にならないように、上手にそっと添えられている。うにゃにゃ、こういうのはホントに嬉しいですな。
文楽
(8月4日、国立文楽劇場。客席もすっかりグローバルだ)

 こうして、8月3日のお仕事は無事に終了した。夏シリーズの千秋楽は、8月5日夜の福島県郡山であるから、4日はまるまるスケジュールが空いている。

 もちろん東京に帰ってもいいのだが、せっかくの大阪だ、大好きな文楽ぐらい観たいじゃないか。国立文楽劇場では「夏休み文楽特別公演」を開催中だ。

 何しろ「夏休み公演」だから、午前の第1部はあくまでコドモたちのための文楽入門編。さすがにこれは遠慮して、午後2時開演「源平布引滝」を選んだ。今や第一人者の豊竹咲太夫も終盤に出演。午後6時終演となれば、その後の「第3部」も大いに楽しみだ。

 ただし諸君、ワタクシが「第3部」と言う時には、文楽それ自体の「第3部」ではない。実際に今回の公演には「第3部 夏祭浪花鑑」が組まれていて、若手中心で舞台を構成している。しかし今井君には今井君独自の第3部があり、普段このブログでは「祝勝会」とか「懇親会」と呼んでいる。

 夜の難波の街に出て、夏の単独祝勝会を楽しもうじゃないか。何しろ翌日が夏シリーズの締めくくり。「第3部 単独前夜祭」ということにしてもいい。
おでん
(大阪での単独前夜祭は、法善寺横丁「おでん工房 和の子」にて。猛暑の日のおでんが、まさに絶品だった)

 恐竜たちが跋扈した太古の昔から、ダラしない今井に呆れもせず、大阪で文楽があるたびに声をかけてくれる友人がいる。さすが大阪の男だから、祝勝会や前夜祭にピッタリのお店をいろいろ教えてくれる。

「クマが食いたい」「お燗をした日本酒が飲みたい」「上本町の『ハイハイ酒場』を経験したい」その他、ワタクシのわがままな要求は、何の苦もなくかなえられるのである。

 今回の「前夜祭」は、猛暑の夏の真っ盛りに、何と「おでん」と来た。うひゃ、8月4日の大阪は、最高気温36℃を記録。夕暮れになっても33℃とか34℃とか、いやはやたいへんな気温であるが、それでも意地でも「おでん」を選択した。

 そして諸君、その「意地でもおでん」が、「さすが大阪や!!」とNHKで学んだ関西弁で溜め息をつきたくなるほどの、まさに絶品だったのである。こりゃ旨い。何度でも行きたい。秋でも冬でも春でも行きたいが、夏のおでんもマコトに素晴らしいものである。
蛸
(おでん屋で、やっぱりまずは「たこ」を注文)

 今井君だって人生のベテランだ。大阪の有名なおでん屋もそれなりに知っている。梅田のお隣、福島駅前にもたいへん雰囲気のいいおでん屋さんがある。12年ほど昔、ある東進加盟校の代表の先生に連れていってもらって以来、「大阪でおでん」と言ったら福島のあの店に決めていた。

 道頓堀のど真ん中にも、超有名店が一軒。「たこ梅」がその名前である。「難波 おでん」でググってみれば、最初に登場するのが「たこ梅 本店」であって、ワタクシは今から2年だったか3年だったか昔、その「たこ梅」を試したことがある。

「おでんランチ」もなかなかオツなものだ。中国からの団体ツアーの皆様が道頓堀周辺を埋め尽くしていた時代であって、「たこ梅で昼食を」と張り切って出かけたものの、中国の彼ら彼女らが溢れていて、前進することさえ困難。そういう思い出しか残っていない。

 ということは諸君、ワタクシは「たこ梅」をあまりエンジョイできなかったのである。心からエンジョイしたなら、きっと「旨いおでんだったな♡」の楽しい記憶が定着しているはずだ。

 それなのに「前進できなかった」という重苦しい記憶が勝っているとすれば、それはきっと「コースしかありません」とか「ランチはセットメニューにしてください」とか、何かそれに類することを言われたか、あんまり店の味に馴染めなかったか、要するにその類いの話である。
生姜天
(大阪おでんの定番「しょうが天」。おいしゅーございました)

 今回のお店は、「法善寺横丁」の奥だった。横丁の雰囲気がまさにワタクシにピッタリであって、そこいら中のお店の中から、まさに今「夫婦善哉」を執筆中の織田作之助が、坂口安吾あたりと肩を組んで「もう1軒行こうぜ」と飛びだしてきてもおかしくない、濃厚な昭和のカホリである。

 同じ難波周辺のおでん屋でも、「なんばマイクス」「CP良い ガールズおでん」「おでんBAR ニコラス刑事」などというド派手な店名が目立つ中、おとなしい色彩の暖簾に控えめな文字で「おでん工房 和の子」とある。いやはや、こりゃ間違いなくおでんも旨いだろう。

 物静かな大将と、笑顔を絶やさない女将。1品ずつ落ち着いて丁寧に差し出されるおでんは、「猛暑真っ盛りの夕暮れだからこそ、これじゃなきゃ」という納得の味である。

 お酒も急ピッチ。ワタクシはあっという間に5合を飲み干し、6合目に入ったあたりから、ようやくペースがいくぶん落ちる、そういう勢いになった。

 注文したおでんは、①たこ ② しょうが天 ③ タマゴ ④ 牛すじ ⑤ 厚揚げ ⑥ 万願寺とうがらし。同じものを何度か繰り返しお願いしたけれども、中でも今井君が気に入っちゃったのが②「しょうが天」。大阪ではおでんの定番なのだというが、おお、しょうがで肉体がギュッと温まる感覚は、秋の終わりや春先の冷え込む夜に、心からホッコリ嬉しいだろう。
万願寺唐辛子
(植物はキライなはずの今井君が、万願寺とうがらしをダブルで平らげる。マコトにおいしゅーございました)

 ⑥の「万願寺とうがらし」については、普段の今井君を知っている人ならさぞかし驚きの対象であるはずだ。ワタクシは、植物はキライなのだ。法善寺横丁のお店でも、まずは女将に「野菜とか山菜類とか、要するに植物は食べられません」とお断りしてから、前夜祭を開始したのである。

 それなのに、何となく旨そうなカホリに引かれて、1つ目の万願寺を注文。「あれれ、野菜は食べられへんって、おっしゃったやないですか?」「万願寺は野菜ですよ」と呆れられつつ、まず1皿目を平らげた。

「もう1品、何か召し上がりませんか?」と尋ねられ、おずおずとお願いしたのが「万願寺、もう1回ください」。「あれれ、おかしいな」「おかしいな」「万願寺は植物ですよ」と、温かく軽妙に冷やかされながら、2回目の万願寺おでんをサクサク噛みしめた。

 6時入店、お店を出たのは8時前。まだ早かったので、近くのワインバーでさらに1時間、2017夏シリーズの明日完了を祝ってさらに祝杯を重ねた。さすがに、大阪だ。梅田Buzz・文楽・おでんと、こんなに楽しいことが山盛りじゃ、いやはや困った、まだ帰りたくない。

1E(Cd) Miles Davis:THE COMPLETE BIRTH OF THE COOL
2E(Cd) Art Blakey:MOANIN’
3E(Cd) Human Soul:LOVE BELLS
4E(Cd) Patricia Barber:NIGHTCLUB
5E(Cd) Yohichi Murata:SOLID BRASS Ⅱ
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