Fri 170707 毎年よ 彼岸の入りに/スタートの苦労/鋭角的な急上昇/最高の成功事例 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Fri 170707 毎年よ 彼岸の入りに/スタートの苦労/鋭角的な急上昇/最高の成功事例

「毎年よ、彼岸の入りの寒いのは」
正岡子規の有名な句である。前書きには「母のコトバ、自ら 句となりて」とある。亡き母・八重の生前のコトバが、そのまま句になった。

「お彼岸なのに、寒いなぁ」と呟いた息子。さすが年齢を重ねて経験豊かな母は「毎年よ。彼岸の入りに寒いのは」と、微笑しながら倒置形で応える老母。春の彼岸が来るたびに、母の微笑の思い出が蘇ったのだろう。

 7月26日、合宿第1期の熱い記憶に浸っていた今井ガッシュ君の脳裏に、正岡子規のサトイモ・バージョンが浮かんだのである。
「毎年よ、2期の最初がツラいのは」

 そりゃそうだ。第1期の熱い熱い記憶が、まだ心もカラダも満たしている。90分×11回の授業を通じ、14回の確認テスト類を通じ、さらにはクラス閉講式を通じて、「ツー」と言えば「カー」と応え、ホンの軽い冗談でも爆笑になり、90名を超える生徒がすっかり一体になった直後なのである。

 そこへ、完全に初対面の2期の生徒たちがやってくる。講師と生徒も初対面、生徒どうしも初対面、スタッフもまだ「ノリノリ」には程遠い。当然のことながら、「ツー」と言っても誰も「カー」と応えてくれない。

 24時間前までは、「ツー」に対してノリノリで「カー♨」「カー♡」「カー!!」だったのだ。あの24時間後、緊張感でいっぱいの2期の諸君は「シーン」でしか応えない。この違和感、経験した人でなければ分からない。
スタート
(満点がたった1人。2期のスタートはたいへん厳しいものになった。ここから鋭角的な急上昇が始まる)

 その違和感を、さすが正岡八重なみに経験豊富なワタクシは「毎年よ、2期の最初がツラいのは」と表現した。スタッフも、若い先生方も、ここで焦ってはいかん。1期のラストの熱さと、2期の最初の緊張感を比較して、それで焦り、焦りすぎて、いろいろ失敗しちゃうことがあるのだ。

「どうも表情が暗いんですよ」
「なかなか盛り上がりません」
「どうもおとなしい。疲れちゃってるみたいですね」
「雰囲気がスゴく固い。スタッフも動きが悪い」

 第1日の夕食の席で、そんな愚痴を言ってしまうのは、熱いラストと緊張のスタートを比較してしまったせい。そこでスタッフを責めちゃ可哀そうだ。

 しかしそれにしても、第2期の今井クラスのスタートは、ウルトラ♡ベテラン今井でも思わず「困った」の呟きを抑えきれないほど。いつもなら満点が続出するアクセントテストで、「満点がたった2名」という惨状から始まった。

「え?」であり「は?」であり「Gosh!!」な世界。ハイレベルクラスのそのまたトップである「H1クラス」では、アクセントテストで満点が8割を超えることさえ珍しくないのである。それが「80名中2名だけ」となると、控えめな今井でさえ「OMG!!」と叫んで蹲りそうな惨状だ。
よいまち草
(2期の教室も、1期と同じ「よいまち草」。大宴会場を教室として使用する)

 授業後の確認テストも、やっぱり「Gosh!!」と「OMG!!」を連発したくなる状況で始まった。今日の写真の1枚目に示した通り「満点1名」。思わずスタッフに「これって、ホントですか?」「採点の間違いでは?」と尋ねてしまった。

 だって諸君、第1講と第2講の確認テスト、第1期の94名からは、満点が15名も出ていたのだ。それがたった1名しかいないんじゃ、さすがに授業を行った講師として、責任を感じるじゃないか。

 乾いた冷たい笑いも目立つ。「ちー」「つー」「たっ!!」「しししししー」。どんなにつまらないギャグでも、明るく「ガハハハ」「ゲハハハハ」と大きな口を開けて笑うようにと言ったのに、第1講、第2講、初日の授業では最後まで「しししししー」が主流。滅多なことでは盛り上がらない。
クラス開講式
(第2期クラス開講式。最初は雰囲気の固さが気になった)

 5日後の7月30日、終講式の時に聞いてみると、やっぱり初めの頃の雰囲気は余りよくなかったらしい。確認テストでなかなか思うように点数が取れなくて、泣き出しちゃう女子が多発。個別学習に集中できず、どうしても私語をしてしまう男子も多発。スタッフの苦労は並大抵ではなかった。

 ところが諸君、このクラスが2日目の午後から一気に上昇気流に乗った。カンペキな大爆笑が30秒に一度は爆発する。テキストをどんどん先に進めても、めげずにみんなついてくる。

 確認テストの成績もグイグイ向上して、満点40人、満点50人、クラス80人の平均点が99%を記録したのは、2日目の夜である。「平均99.9」などという恐るべき数字をたたきだしたグループも存在した。

 終講式の挨拶で、1人の女子スタッフが「苦労させられた子ほど可愛い♡」とホンネを漏らしたけれども、確かに諸君、スタートラインがあまりに低かった分、その後の上昇の角度はマコトに鋭角的だった。

「最初から最後までベストだった」ももちろん素晴らしいが、鋭角的向上は、さらに嬉しさが増す。最後の挨拶で激しく号泣してしまった女子スタッフがいたのも当然。もしかしてこれは最高の成功事例と言っても過言ではないんじゃないか。
回復
(2日目から、強烈な上昇気流に乗った)

 7月26日から30日の5日間は、日本中で天候不順が続いた。河口湖も例外ではなく、富士山が姿を現すこともほとんどなかったし、29日の夕暮れからは近くの山さえ霞むほどの豪雨になった。

 そういう天候を背景に、どんなふうにこのクラスが鋭角的上昇気流に乗っていったか。今井が怪しいマホーでも繰り出したのか。「サトイモマジック」ないし「魔法のキウィ」でも駆使したのか。いやはや、全くそんなことではないのである。

 まず、グループを半分に分けた。当初は、80人を5グループに分けて、スタッフ1人が16人ずつ担当する計画になっていた。しかしさすがに16人じゃ、グループ内の親近感も湧きにくい。大学のゼミだって、16人の大所帯になっちゃったら、教授の指導も行き届かない。

 ましてや、20歳代前半のスタッフだ。海千山千のオトナならともかく、22歳や23歳の若者に、1人で16人の指導はどう考えても無理。ワタクシからの提案で、2日目の昼から16人を2つに分け、8人で1グループに組み替えた。

 それではもちろんスタッフが足りなくなるのだが、生徒の中からリーダーを指名して、スタッフの補助役をやってもらう。例え生徒どうしでも「サブリーダー」という位置づけの者がいれば、グループのまとまりがググッと強くなる。
ラスト
(第11講、最終の確認テストは、満点が続出した)

 今井からお願いしたのは、要するにそれだけのことだ。1グループ8人の親近感が強まれば、当然のことながら教室内のまとまりもギュギュッと向上する。ギュギュッとなれば、笑いも生まれ、笑いは爆笑から大爆笑に変わって、それに比例して集中力も格段に上がるものである。

 斜に構えて「ししししー」とか「ちー」「つー」を続けていたんじゃ、集中力はどんどん弛緩し減退して、どんな芝居も映画も授業も「つまんねー」「かったりー」の対象になり、そこに睡魔が忍び込むのも当たり前だ。

「親しい仲間と一緒にいる」という安心感があれば、熱い笑いと拍手が生まれ、「次はどんなギャグがくるか」「その次は講師がどんな笑いで攻めて来るか」と、常にワクワクし続けることになる。目つきが変わる瞬間である。

 これに「メモをとりまくる」を付け加える。どんな分かりきったことでも、どんどん遠慮せずにメモをとる。親しい仲間と一緒だから、メモをとるにも遠慮はいらない。

 ま、「ライバル」ということであるが、「アイツがあんなにメモをとりまくってるから、オレも負けずにメモしまくらなきゃ」。「よいまち草」の閉鎖空間は、こうして加速度的に熱を増していったのである。

1E(Cd) Böhm & Berliner:MOZART 46 SYMPHONIEN②
2E(Cd) Böhm & Berliner:MOZART 46 SYMPHONIEN⑤
3E(Cd) Böhm & Berliner:MOZART 46 SYMPHONIEN⑥
4E(Cd) Böhm & Berliner:MOZART 46 SYMPHONIEN⑦
5E(Cd) Eschenbach:MOZART/DIE KLAVIERSONATEN①
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