Mon 170703 ハンバーグの日/同じハンバーグ101個が胃袋で燃える/30分が悔しい | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Mon 170703 ハンバーグの日/同じハンバーグ101個が胃袋で燃える/30分が悔しい

 7月23日、合宿第1期は早くも3日目。横綱白鵬の優勝を見届けてから、午後6時、夕食会場に向かった。3日目は、ハンバーグの日である。この献立は13年間ガンコに絶対に変わらない。

 他の日の献立にはいろんな変遷があって、例えば最終日のメニューには昔は天ぷらがあり、すき焼きに生タマゴがついていたが、3年前から天ぷらは別のものにかわり、生タマゴは姿を消した。

 真夏の真っただ中、この宿舎だけで300人、河口湖合計で3000人に迫る勢いなんだから、「生タマゴ」となると、やっぱり万が一のことが心配だ。調理場の苦労は並大抵ではない。食事前には生徒も講師もスタッフも、みんなでお手手をアルコール消毒する。

 3日目のハンバーグにも、ガンコはガンコなりに変遷があって、3〜4年前から「煮込みハンバーグ」になった。昔々のその昔は、我々が食卓につく頃にはもう冷え冷えと冷えきったハンバーグだったけれども、鉄のお鍋の中でギリギリまで煮込んでくれるから、温かいハンバーグで英気を養うことができる。

 ハンバーグの大きさにも変遷があって、その直径たるや、今や昔の2倍に近い。やっぱりこれも嬉しいので、今井みたいなイヤしいヤツは、大っきなハンバーグから湯気が上がっているのを見ただけで、養われる「英気」の濃度も2倍になる。
ハンバーグ1
(合宿3日目は、ハンバーグの日だ)

 これに、焼き魚もついている。ハンバーグ + 焼き魚という豪華セットだから、これをワシワシ貪っていれば、中年の胃袋にもう炭水化物はいらない。6時20分、ポンポンもポーンと膨れてボボーンと前に突き出し、そのTシャツ姿を人前にさらすにはなかなかの勇気が必要だ。

 そうは言っても、今井君は河口湖に授業をしにきているのであって、ハンバーグや焼き魚に相好を崩してばかりもいられない。夕食のあと夜の授業開始まで約2時間半、一気にポンポンを引っ込める夢のような方法はないから、Tシャツの上からワイシャツを着込んで、それで何とかゴマかすことにする。

 ところで諸君、我がH1クラスは前代未聞に頑張って、4日 ☞ 11講かけて終了するはずのテキストを、3日目 ☞ 8講目で終了しそうである。すでに午後の授業(第7講)で、最終11講の長文読解問題を半分読んでしまった。残りは15行程度と設問だけである。

 ワタクシが企てていたよりも1時間ほど遅れているが、世の中は何事もプラン通り進むほど甘くない。標準の1.5倍のスピードでここまでビュンビュン飛ばしてきただけで素晴らしい。生徒諸君も、よくめげずにキッチリついてきてくれた。
富士山
(3日目、富士の裾野に薄雲がたなびいた)

 そこで諸君、とうとうこの段階で「全力音読」を解禁する。ずっと控えめの声で音読しつづけて、内心には鬱屈したものも若干あるだろう。「全力音読」とは「絶叫」の一歩手前であって、もしも偶然何かのハズミに部外者が通りかかれば、そのボリュームに腰を抜かしかねない。

 マイナス評価しか出来ない人なら、
「何をバカなことやってんだ」
「実際の英会話で、そんなバカな声を出すわけないだろ」
「くだらねー。ホントくだらねー」
「めっちゃアホっぽくね?」
ま、その類いの失笑なり嘲笑なり憫笑なりを、汚いツバのように吐き捨てて、さっさとその場を立ち去るに違いない。

 プラス評価が得意な人でも、やっぱり驚きは大きいだろう。
「おやおや、すげー元気ですね」
「やっぱり若者はそのぐらいの元気はなくちゃ」
「ワタクシも一緒に叫んでみようかな」
「でも、それって英語って言えるんですか?」
そんなふうに、最後にちょっと首をかしげるんじゃあるまいか。

 しかし、忘れてもらっては困る。この集団94名は、すでに10問の長文読解問題を解きこなし、50問の確認テストを7回通過して、クラス平均点は常に98%を超えている。

 授業時間はここまで720分、個別学習時間も3日で14時間超。今井が彼ら&彼女らに「全力音読」を許可したのは、そういう厳しいプロセスを全てこなしてきた集団だからこそなのである。
山頂
(頭を雲の上に出す)

 実を言えば、「許可」を出したのは、今井自身ではない。このクラスを担当するスタッフ5人のうちのキャプテン女子(我々は「隊長」と呼ぶ)が、いかにも「全力音読をやりたい」「全力音読をさせてあげたい」という様子を見せていたので、「そういうのもありですよ」と授業中にほのめかしただけなのだ。

 スタッフ諸君は見事にそれに応えて、3日目の午後から夕暮れの時間帯に、とうとう全力音読の火ぶたを切った。クラスの94名も、実は初日からやりたくてやりたくてウズウズしていたのである。

 鬱屈をガマンしていた高3生諸君の爆発ぶりは、まさに胸のすく思いだ。例え「心臓の動きは意のままにはならない」の類いのセンテンスでも、腹の底からのボリュームで、富士山がビックリするほどの音読をすれば、鬱屈の雲はあっという間に吹き払われる。雲に隠れていた富士もひょっこり顔を出した。

 考えてみれば、いま目の前にいる生徒諸君のお腹の中には、みんな同じハンバーグが収まっている。94個のハンバーグ、今井君とスタッフを合わせれば101個のハンバーグが、いまこの教室の中でメラメラ炎を上げて燃えはじめたのだ。この一体感、滅多なことでは味わえない。
ハンバーグ2
(これを同じハンバーグが101名の胃袋で燃えている)

 夜21時、第8講の授業を開始。3日目の夜の時間帯の授業は短く、60分で切り上げることになっている。終了後に「個別学習」「確認テスト」「グループ学習」と忙しいスケジュールが待ち受けている。授業延長は御法度。60分なら60分で、キチンと時間通りに切り上げなきゃいけない。

 授業開始30分で、ついにテキストはすべて終了。まさに企て通り、11講分を8講目で完璧に終わらせた。見事&見事と自画自賛する今井君であるが、ホントを言えば、この30分が惜しかった。もう30分早く、午後の時間帯の授業でテキストを完了していれば、3日目夜から補助教材に入れたわけである。

 こうして、マコトに中途半端な30分が、ここにポッカリ出来てしまった。今回の合宿で唯一、この30分が心残りである。

 もちろん、すぐに補助教材の長文第1問に入ってもよかった。しかし、テストゼミ形式である。北海道大の長文1問をテスト形式で解かせれば、制限時間は30分。解いただけで終わり、解説は明日の朝ということになる、10時間も時間があいたんじゃ、コーラだってファンタだって気が抜けちゃうだろう。
99
(100点満点のテストで、クラスの平均はこんなふうになる)

 迷いに迷ったあげく、「補助教材に入るのは、明日の朝から」「この30分で、長文問題の解き方の概要を話します」ということにしてしまった。「諸君はホントに長文が苦手なのか?」「大学入試の長文ってホントに『長文』の名に値するのか」というトークである。

 もちろんいったんトークが始まれば、クラスは15秒に1回の大爆笑に包まれる。講師も生徒も絶好調で、話しつづけ、笑いつづけ、一番苦しいはずの3日目の夜なのに、みんな苦しさをスカッと忘れ、気分はますます高揚した。

 だから、もちろん素晴らしい30分だったのである。どんどん気分を高揚させなきゃ、学力はつかない。実際、翌朝9時に教室に出かけてみると、94名が残らず高揚しまくって、疲労困憊の「ひ」の字も「こ」の字もない。4日目をウルトラ元気で乗り切れたのは、あの30分があったからこそなのだ。

 しかしですな、中途半端な30分さえなかったら、「長文読解をさらに1問補充してやれたのに」とも思うのである。講師として、もう1問余計にやって上げられなかったのが、悔しいのである。ま、講師って、ホントに贅沢な生き物ですな。

1E(Cd) Jarvi & Goteborg:GRIEG/PEER GYNT 2/2
2E(Cd) Lanchbery & The Philharmonia:MUSIC OF KETELBEY
3E(Cd) Lazarev & Bolshoi:KHACHATURIAN/ORCHESTRAL WORKS
4E(Cd) Sinopoli・Jarvi・Pletnev:RUSSIAN FAMOUS ORCHESTRAL WORKS
5E(Cd) Minin & The State Moscow Chamber Choir:RUSSIAN FOLK SONGS
total m15 y1345 d21303