Mon 170612 台風3号/八大竜王/東京駅から常磐線に乗る/日立227名の大盛況 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Mon 170612 台風3号/八大竜王/東京駅から常磐線に乗る/日立227名の大盛況

「九州西岸に台風3号が上陸しました」「長崎市付近です」「大牟田市付近です」「九州を横断して、四国の宇和島付近に再上陸しました」。朝からNHKの画面は台風関連のニュースで緊迫した雰囲気。これから遠くまで出張する者としては、台風の進路が心配でならない。

 小型の台風で、暴風雨圏はまもなく消滅したけれども、梅雨前線とタッグを組めば、豆台風君はイタズラのつもりでも、地上には甚大な被害が発生する。さすが梅雨も末期に入る。ここから2週間、ワタクシはひたすら出張の連続であって、毎日お天気ばかり気にして過ごすことになる。

 だって諸君、この日の茨城県日立では、200名超の受講生が集まっている。雨が降れば1割マイナス、豪雨になれば2割マイナス、台風直撃なんてことになれば、「予定の半分しか来ませんでした」、それどころか「中止になりました」という覚悟も必要だ。

 こんな蒸し暑い梅雨のさなか、スタッフ総出で大奮闘し、校舎規模から考えてビックリするほどの受講生を集めてくれたのだ。もしそんなことになったら、残念きわまりない。「慚愧の念にたえません」というヤツだ。
日立1
(茨城県日立の大盛況。雨の中、227名が集まってくれた 1)

 日立から電車で30分の県庁所在地・水戸からも、数十名の生徒諸君が参加予定。保護者の皆様も30人ご参集とのこと。そういう情報を聞くにつけ、「雨よ降るな」「台風よ、直ちに消滅せよ」「八大竜王、雨やめたまえ」と、天に祈り&地に伏して、出発の時刻を待ち受けた。

「時により 過ぐれば民の嘆きなり 八大竜王 雨やめたまへ」は、源実朝の歌。金槐和歌集に入っている。「恵みの雨と言っても、降りすぎると人々の嘆きとなる。八大竜王よ。もうこれ以上雨を降らせないでください」と、鎌倉将軍として実朝は熱く天に祈った。

 八大竜王とは、法華経に登場する竜族の8王である。仏教系の話になると、固有名詞が難読をきわめ、そのために仏典を読み進めることを諦める人が多い。

 だから、8王の名を全てここに記すことは遠慮しておく。ナンダ・ウバナンダ・サーガラからウッパラカまで、いやはや、昔の人はよくこんなに固有名詞を思いついたもんだ。

 そういうことを思いつつ、台風がどんどん東進してくるのを天気予報で確かめながら、午後3時、今井君は重い腰を上げた。もちろん「脱タクシー」であって、蒸し暑さに噴き出す汗を拭いながら地下鉄千代田線に乗り込んで、コツコツ地道に東京駅に向かった。
金槐和歌集
(金槐和歌集)

 いやはや便利になったものである。つい2年前までは、常磐線で北に向かうためには、まず上野駅に出なければならなかった。石川啄木の時代なら「ふるさとの 訛り懐かし 停車場の 人ごみの中に そを聞きに行く」であったろうが、どんなに故郷の訛りが懐かしくても、上野という駅はやっぱり不便である。

 ついでに申し上げれば、今や上野では故郷の訛りは聞こえない。21世紀、すでに訛りそのものがギュッと少数派に縮んじゃって、東京まで来て訛りを前面に押しだすのは、よほどガンコなオジーチャンぐらいのものである。

 しかもその少数派軍団は、もはや上野には集結しない。集結地はむしろ羽田のほうである。ヒコーキなんかでビューンと勇ましく羽田に飛んできて、いきなり訛りを全面展開できるのは、やっぱり胸に熱い思いをいだいたガンコなジーチャンばかりなのである。

 ま、いいか。とにかくワタクシは、上野ではなくて東京駅にやってきた。空は重く曇っているが、雨は落ちていない。台風は衰えて、中心気圧は995hP。「豆台風」「豆くん」「豆ちゃん」なので、東京で吹いている風は「そよ風に毛が生えた程度」に過ぎない。

 常磐線の特急「ひたち」は、品川からやってくる。おお、品川発。「上野発」に比べて、そのコトバのなんとエレガントなことだろう。庶民的な温かさはないが、「品川発」、マコトにハイソな響きじゃないか。車内もたいへん清潔で高級感満点。これなら出張も快適だ。
いば6
(NHK茨城、夕方のニュース情報番組「いば6」。ついこの間まで全国のスポーツ担当だったキャスターの姿があった)

 東京を出ると上野に停車、あとは水戸まで止まらない。土浦でホンのちょっと霞ヶ浦が見え、その先で筑波嶺もチラ見えして、高安と稀勢の里の故郷を順番に通過する。ひよっこ「みね子」の出身地もどんどん近づいてくる。今年の茨城はホントに絶好調だ。

 水戸に停車、17時。今井君の予備校講師生活は、30歳の春、この街で始まった。「筑波ゼミナール」という新進気鋭の予備校があって、予備校バブルの真っただ中、急成長を遂げていた。

 ホンの1年後にはもう河合塾に移籍してしまったが、筑波ゼミナールでの1年は、木曜2コマ・金曜2コマ・土曜2コマ。90分授業1コマで9000円ももらえた。完全な新人としては、なかなか嬉しい金額だった。

 ワタクシにとっての水戸は、そういう街である。ここでもまだ雨は降っていない。30分後、日立に到着。太平洋の勇姿を眺めつつホテルにチェックインした。まだ雨は降り出さない。風もない。どうやらこれは大丈夫そうだ。「八大竜王」に伏して祈ったのが、どうやら聞き入れてもらえたらしい。

 18時半、ホテルロビーでスタッフの皆さんと待ち合わせ。今は「ザ・テラス」と名前も変わってしまったが、さすが日本を代表する巨大企業HITACHIのお膝元であって、ここは元・ホテル日航である。ロビーにもまずまずの高級感が残っている。
ケーキ
(日立でもケーキをいただく)

 しかし諸君、とうとうこの時点で雨が降り出した。八大竜王の皆さんは、ナンダ・ウバナンダ・サーガラ・ウッパラカ、最後まで祈りを聞き入れてはくれなかったようだ。どんどん雨は強くなって、これじゃ自転車組や水戸から来る諸君のことが心配だ。

 やがて雷も鳴り出した。次々に稲妻が光って、ゴロリ&ゴーロゴロ、やがて風も強くなった。申し込みは約210名。「うーん、持ちこたえられるかね」と、控え室をウロウロしながら気を揉みに揉んだ。

 19時半、公開授業開始。グイッと入場すると諸君、嬉しいじゃないか。この悪天候をものともせずに、場内は2階席までカンペキに満員。お馴染み「席が足りなくなりました」「大急ぎで増設しています」「飛び込みの出席も続いています」とのことだった。

 最終集計で、227名が出席。おお、素晴らしいじゃないか。こうでなくちゃいかん。雨ぐらいビチョビチョ降りしきっても、雷がゴーロゴロ唸りつづけても、風がビュースカ吹きつのっても、そんなことに負けてはいられないのである。
日立2
(茨城県日立の大盛況。雨の中、227名が集まってくれた 2)

 ワタクシは冒頭から、自分のハードルをギュッと数段上げてしまう。「今までテレビでみたどんなお笑い番組と比較しても、間違いなく数倍は爆笑できる」「人生で今日ほど笑う日は、おそらく考えられない」「しかもモチベーションは90分で天まで上がる」。そう宣言してスタートする。

 そして諸君、確実にそのハードルを超えるのである。自分で設定したハードルに自分で引っかかって転げ回っているようじゃ、こんな荒天に集まってもらう資格なんかないじゃないか。

 思えば水戸の「筑波ゼミナール」で第一声をあげた30歳の頃は、ハードルもマコトに低かったし、自分でハードルを上げる大胆さもなかった。予習とか準備とか言っても、辞書を引いて、訳文を確かめて、問題を解いてみる程度。生徒と同じレベルの予習をして、それで十分と思っていた。

 教材が最後まで終われるかどうか見込みさえ立てずに、行き当たりばったりで好き勝手に喋りまくっていた当時を思えば、たいへん微笑ましいものがある。クビにならずに生き延びてこられたのは、僥倖に次ぐ僥倖だったのだと考える。

 90分の大爆笑で雷鳴も掻き消され、風のことも雨のこともみんな忘れて、話す側も聞く側も授業にウルトラ集中した。話したことが多すぎて、今ここに「何を話したのか」を要約することはできない。

 要約できないからこそ、雨の中90分の大奮闘を演じたのである。今井未体験の諸君、いつでも大歓迎だ。どんどん詰めかけて、直接体験してみてくれたまえ。

1E(Rc) Solti & Chicago:R.STRAUSS/DON JUAN ・ ALSO SPRACH ZARATHUSTRA・TILL EULENSPIEGEL’S MERRY PRANKS
2E(Rc) Collegium Aureum:HAYDN/SYMPHONY No.94 & 103 
3E(Rc) Solti & London:HAYDN/SYMPHONY No.101 & 96
4E(Rc) Collegium Aureum:VIVALDI/チェロ協奏曲集
5E(Cd) Akiko Suwanai:SOUVENIR
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