Fri 170609 もっと厳しくしてほしい/クラシックカー(キューバ&メキシコ探険記20)
「もっとギュッと厳しくしてほしい」
「甘やかされると返って不安です」
「チャンと努力するのが大好きなのに、『努力するな』『努力するな』と、そんなことばかり言われるとムカつきます」
若い諸君は、むしろそうなんじゃないか。
「文法なんか必要ありません」
「単語を覚える努力もいりません」
「音読なんかで苦労するのは愚の骨頂だ」
「英語なんか、誰でもあっという間に身につきます」
マスコミはそんなふうに安易なほうへ安易なほうへと導きたがるが、その割にこの半世紀、安易な方法でチャンと英語が身についた人はあんまり多くない。
というか、せっかく頑張ってる部活の真っ最中、
「もう柔軟体操なんかしなくていいぞ」
「ウェイトトレーニングってのは、実は無駄なんだ」
「毎日グランド10周走って足腰を鍛えるなんて、全く役に立たないぞ」
とか、そんな発言をコーチがしてみたまえ。おそらくみんな、たちまち退部する。
英語学習の現場も全く同じであって、「厳しくしてください」「厳しい方が好きなんです」「努力大好き」「怠惰は大キライ」がホンネなんじゃないか。ニヤニヤ楽してゴマかしたいと思っている人なんか、ごく少数派のはずである。
![カー1](https://stat.ameba.jp/user_images/20170703/14/imai-hiroshi/9b/e6/j/o0400030013974298507.jpg?caw=800)
(キューバ・ハバナ、オビスポ通りのクラシックカー 1)
さて、事前に「すげー厳しいぞ」と聞いて内心ビクビクしていたのが「キューバの入国審査」。何しろ「海外旅行保険証書1通が必要」「アメリカ系の保険会社のものではNG」というのだから、うーん、ホントに厳しそうだ。
1ヶ月前にクレジットカード会社のデスクに電話して、「海外旅行保険証書を一通…」と言いかけた瞬間、「はい、分かりました。キューバにいらっしゃるんですね」という答えが返ってきた。カード会社の人々にも有名な話であるのに違いない。
そもそも「海外旅行保険に加入していることを前提にして入国を許可する」というのは、保険が必要になる場面がキューバ国内で頻発するんだと、暗に示しているじゃないか。
おおー、コワい。おお、恐ろしい。クワバラ&クワバラ。ナンマンダブ&ナンマンダブ。「どうしてそんな国に来ちゃったんだろ」「オレはあさはかだった」。飛行機が滑走路からターミナルに近づいていくにつれて、今井君の心は恐怖のせいで紫色に染まりだしていた。
![カー2](https://stat.ameba.jp/user_images/20170703/14/imai-hiroshi/9e/74/j/o0400030013974298509.jpg?caw=800)
(キューバ・ハバナ、オビスポ通りのクラシックカー 2)
アメリカの入国審査なんか、今や昔よりどんどん厳しくなって、「荷物の中に肉類はないか?」「この街でいったいどことどこを観光するつもりなんだ?」「ホントに肉類はもってないか?」「ホントか?」「ウソじゃありませんね?」と、5分も6分も問いつめられる。
きっとキューバはもっとたいへんだろう。保険証書をタメツ&スガメツされた上で、「アナタは3ヶ月前にアフリカ大陸に行ってますね」「何をしにイスラム圏に出入りしてるんですか」「モロッコで何をしてきたんですか」と、キツく問いただされるに決まっている。
だって諸君、日本の成田空港ですら「アフリカ大陸に行ってきた人は、荷物を全て検査させていただくことになっております」と、スーツケースの中身について1つ1つ詳細に質問された。それがキューバということになれば、10分、いや15分、うんにゃ30分、徹底的に詰問されるかもしれない。
![カー3](https://stat.ameba.jp/user_images/20170703/14/imai-hiroshi/a0/60/j/o0400030013974298512.jpg?caw=800)
(キューバ・ハバナ、オビスポ通りのクラシックカー 3)
ところが諸君、ありゃりゃ、何にも聞かれないぞ。「保険証書を出しなさい」とも言われない。質問一切ナシで、いきなりギュッと空港の外に押し出されてしまった。「は?」であり「へ?」であり「ん?」であって、あまりの呆気なさに、かえってワタクシは心配になってしまった。
例えば空港から外に出た途端に、係官が青くなって追いかけてくるんじゃないか。警棒とか自動小銃みたいなものをチラチラさせながら、
「アナタは不正なやり方で入国審査をすり抜けましたね」
「必要書類を提出しないですり抜けるとは言語道断」
「とんでもないアジアのサトイモめ!!」
そんなことになったら、いったいワタクシはどうすんだい?
そういう場面を思いつつ、しばしの間ワタクシは、空港の1階ロビーに立ち尽くしていた。とりあえずトイレに行きたいが、見当たらない。両替の窓口を探したが、それもない。カンタンなコーヒーショップが1つあるだけで、人々は不安な面持ちでキョロキョロ周囲を見回すばかりである。
きっとみんな、入国審査のあまりのカンタンさに茫然としているのだ。ヨーロッパからの人も、北米大陸の人々も、思いはみんな一緒である。「すげー厳しいぞ」というウワサに怯え、ウワサと裏腹のスルー状態に呆れ、「ホントにこれでいいんだろうか」と立ちすくむ。
例えば「シューカツ、厳しいぞ」と先輩や親や大学関係者に脅される。ビクビク始めて見たら、3日目で超難関企業からいきなり内定が出る。会社の人もマコトにニコヤカ、「書類もエントリーシートも何にも必要ありません」とニッコリ。「会社をエンジョイしてくださいね」と握手を求められる。そんな感じである。
![カー4](https://stat.ameba.jp/user_images/20170703/14/imai-hiroshi/8f/3f/j/o0400030013974298514.jpg?caw=800)
(キューバ・ハバナ、オビスポ通りのクラシックカー 4)
両替の窓口は、空港2階の出発ロビーに発見。「長蛇の列が出来てます」「両替には長い時間がかかることを覚悟しなきゃいけません」。ガイドブックにもネット情報にもそう書かれていたが、日本円3万円分からキューバのお札を十数枚、ここもまたスルー状態でゲットできた。
キレイなタクシーもたくさん並んでいて、ちっとも困らない。確かに細かく見れば、クッションから中身がはみだしているとか、窓枠が外れかけてビュービューすきま風が入ってくるとか、「さすがキューバ!!」という古いクルマだけれども、ハバナ中心部まで30分、予想外に快適なタクシーライドであった。
革命広場を左に見て、いよいよハバナ市街に入っていく。巨大なチェ・ゲバラのお顔がキューバ国旗と並んで、東洋の怪しいサトイモ君の闖入を見守っている。
午後の日差しを浴びて、街角に三々五々集まっている人々は、いかにも南の島らしい穏やかな風情。建物は50年も60年もの歳月を耐えぬいたものが多くて、壁も窓ガラスも多くが崩れかけているが、街の人々に殺気立った雰囲気は全く見受けられない。
![カー5](https://stat.ameba.jp/user_images/20170703/14/imai-hiroshi/79/32/j/o0400030013974298516.jpg?caw=800)
(キューバ・ハバナ、オビスポ通りのクラシックカー 5)
ハバナと言えば、何と言ってもクラシックカーであるが、諸君、クルマ全体に占めるクラシックカーの割合は、予想を遥かに上回る。郊外でも2台に1台はクラシックカー、中心部に入ると、3台に2台、いや4台に3台はクラシックカー。普通のクルマが珍しいぐらいである。
ただし、一口に「クラシックカー」と言っても
① 観光用に無理やりド派手に飾り立てました
② 長い年月にわたり、大切に使って使って使いぬいたら、自然にクラシックカーになりました
の2種に分けられるのである。
もちろん今井君が好きなのは②のタイプ。高級ホテル前にズラリと並んだ①タイプは、何となくあくどい感じがして、カメラを向けるのにもタメライを感じる。
赤やピンクの水玉模様とか、ハートを水玉ふうにズラッと並べたクルマの周囲で、観光客がキャーキャー大騒ぎしている光景を眺めつつ、少し寂しい気持ちになった。
「きっとキューバも、古き良き日は去りつつあるんだな」
「テーマパークなみの騒がしい街に変わっていくんだな」
「渋すぎるぐらい渋いハバナを満喫できるのは、あと数年かな」
であって、渋さ&厳しさが好きな諸君、今すぐキューバに急ぎたまえ。ハバナの旧市街は、急激にキャピキャピ系に変化しつつある。
おお、「キャピキャピ♡」ときたか。いやはや、そりゃまたずいぶん昭和なコトバでござるね。20世紀のはるかかなたに、懐かしい日々はどんどん遠ざかりつつある。こうしてクラシックカーを眺める今井自身、すでにクラシックサトイモと化しているのかもしれない。
1E(Cd) Mascagni & Teatro alla Scala di Milano:MASCAGNI/CAVALLERIA RUSTICANA
2E(Cd) Molajoli & Teatro alla Scala di Milano:LEONCAVALLO/I PAGLIACCI
3E(Cd) Solti & Chicago:HÄNDEL/MESSIAH 1/2
4E(Cd) Solti & Chicago:HÄNDEL/MESSIAH 2/2
5E(Cd) Bonynge:OFFENBACH/LES CONTES D’HOFFMANN 1/2
total m45 y1065 d21023
「甘やかされると返って不安です」
「チャンと努力するのが大好きなのに、『努力するな』『努力するな』と、そんなことばかり言われるとムカつきます」
若い諸君は、むしろそうなんじゃないか。
「文法なんか必要ありません」
「単語を覚える努力もいりません」
「音読なんかで苦労するのは愚の骨頂だ」
「英語なんか、誰でもあっという間に身につきます」
マスコミはそんなふうに安易なほうへ安易なほうへと導きたがるが、その割にこの半世紀、安易な方法でチャンと英語が身についた人はあんまり多くない。
というか、せっかく頑張ってる部活の真っ最中、
「もう柔軟体操なんかしなくていいぞ」
「ウェイトトレーニングってのは、実は無駄なんだ」
「毎日グランド10周走って足腰を鍛えるなんて、全く役に立たないぞ」
とか、そんな発言をコーチがしてみたまえ。おそらくみんな、たちまち退部する。
英語学習の現場も全く同じであって、「厳しくしてください」「厳しい方が好きなんです」「努力大好き」「怠惰は大キライ」がホンネなんじゃないか。ニヤニヤ楽してゴマかしたいと思っている人なんか、ごく少数派のはずである。
![カー1](https://stat.ameba.jp/user_images/20170703/14/imai-hiroshi/9b/e6/j/o0400030013974298507.jpg?caw=800)
(キューバ・ハバナ、オビスポ通りのクラシックカー 1)
さて、事前に「すげー厳しいぞ」と聞いて内心ビクビクしていたのが「キューバの入国審査」。何しろ「海外旅行保険証書1通が必要」「アメリカ系の保険会社のものではNG」というのだから、うーん、ホントに厳しそうだ。
1ヶ月前にクレジットカード会社のデスクに電話して、「海外旅行保険証書を一通…」と言いかけた瞬間、「はい、分かりました。キューバにいらっしゃるんですね」という答えが返ってきた。カード会社の人々にも有名な話であるのに違いない。
そもそも「海外旅行保険に加入していることを前提にして入国を許可する」というのは、保険が必要になる場面がキューバ国内で頻発するんだと、暗に示しているじゃないか。
おおー、コワい。おお、恐ろしい。クワバラ&クワバラ。ナンマンダブ&ナンマンダブ。「どうしてそんな国に来ちゃったんだろ」「オレはあさはかだった」。飛行機が滑走路からターミナルに近づいていくにつれて、今井君の心は恐怖のせいで紫色に染まりだしていた。
![カー2](https://stat.ameba.jp/user_images/20170703/14/imai-hiroshi/9e/74/j/o0400030013974298509.jpg?caw=800)
(キューバ・ハバナ、オビスポ通りのクラシックカー 2)
アメリカの入国審査なんか、今や昔よりどんどん厳しくなって、「荷物の中に肉類はないか?」「この街でいったいどことどこを観光するつもりなんだ?」「ホントに肉類はもってないか?」「ホントか?」「ウソじゃありませんね?」と、5分も6分も問いつめられる。
きっとキューバはもっとたいへんだろう。保険証書をタメツ&スガメツされた上で、「アナタは3ヶ月前にアフリカ大陸に行ってますね」「何をしにイスラム圏に出入りしてるんですか」「モロッコで何をしてきたんですか」と、キツく問いただされるに決まっている。
だって諸君、日本の成田空港ですら「アフリカ大陸に行ってきた人は、荷物を全て検査させていただくことになっております」と、スーツケースの中身について1つ1つ詳細に質問された。それがキューバということになれば、10分、いや15分、うんにゃ30分、徹底的に詰問されるかもしれない。
![カー3](https://stat.ameba.jp/user_images/20170703/14/imai-hiroshi/a0/60/j/o0400030013974298512.jpg?caw=800)
(キューバ・ハバナ、オビスポ通りのクラシックカー 3)
ところが諸君、ありゃりゃ、何にも聞かれないぞ。「保険証書を出しなさい」とも言われない。質問一切ナシで、いきなりギュッと空港の外に押し出されてしまった。「は?」であり「へ?」であり「ん?」であって、あまりの呆気なさに、かえってワタクシは心配になってしまった。
例えば空港から外に出た途端に、係官が青くなって追いかけてくるんじゃないか。警棒とか自動小銃みたいなものをチラチラさせながら、
「アナタは不正なやり方で入国審査をすり抜けましたね」
「必要書類を提出しないですり抜けるとは言語道断」
「とんでもないアジアのサトイモめ!!」
そんなことになったら、いったいワタクシはどうすんだい?
そういう場面を思いつつ、しばしの間ワタクシは、空港の1階ロビーに立ち尽くしていた。とりあえずトイレに行きたいが、見当たらない。両替の窓口を探したが、それもない。カンタンなコーヒーショップが1つあるだけで、人々は不安な面持ちでキョロキョロ周囲を見回すばかりである。
きっとみんな、入国審査のあまりのカンタンさに茫然としているのだ。ヨーロッパからの人も、北米大陸の人々も、思いはみんな一緒である。「すげー厳しいぞ」というウワサに怯え、ウワサと裏腹のスルー状態に呆れ、「ホントにこれでいいんだろうか」と立ちすくむ。
例えば「シューカツ、厳しいぞ」と先輩や親や大学関係者に脅される。ビクビク始めて見たら、3日目で超難関企業からいきなり内定が出る。会社の人もマコトにニコヤカ、「書類もエントリーシートも何にも必要ありません」とニッコリ。「会社をエンジョイしてくださいね」と握手を求められる。そんな感じである。
![カー4](https://stat.ameba.jp/user_images/20170703/14/imai-hiroshi/8f/3f/j/o0400030013974298514.jpg?caw=800)
(キューバ・ハバナ、オビスポ通りのクラシックカー 4)
両替の窓口は、空港2階の出発ロビーに発見。「長蛇の列が出来てます」「両替には長い時間がかかることを覚悟しなきゃいけません」。ガイドブックにもネット情報にもそう書かれていたが、日本円3万円分からキューバのお札を十数枚、ここもまたスルー状態でゲットできた。
キレイなタクシーもたくさん並んでいて、ちっとも困らない。確かに細かく見れば、クッションから中身がはみだしているとか、窓枠が外れかけてビュービューすきま風が入ってくるとか、「さすがキューバ!!」という古いクルマだけれども、ハバナ中心部まで30分、予想外に快適なタクシーライドであった。
革命広場を左に見て、いよいよハバナ市街に入っていく。巨大なチェ・ゲバラのお顔がキューバ国旗と並んで、東洋の怪しいサトイモ君の闖入を見守っている。
午後の日差しを浴びて、街角に三々五々集まっている人々は、いかにも南の島らしい穏やかな風情。建物は50年も60年もの歳月を耐えぬいたものが多くて、壁も窓ガラスも多くが崩れかけているが、街の人々に殺気立った雰囲気は全く見受けられない。
![カー5](https://stat.ameba.jp/user_images/20170703/14/imai-hiroshi/79/32/j/o0400030013974298516.jpg?caw=800)
(キューバ・ハバナ、オビスポ通りのクラシックカー 5)
ハバナと言えば、何と言ってもクラシックカーであるが、諸君、クルマ全体に占めるクラシックカーの割合は、予想を遥かに上回る。郊外でも2台に1台はクラシックカー、中心部に入ると、3台に2台、いや4台に3台はクラシックカー。普通のクルマが珍しいぐらいである。
ただし、一口に「クラシックカー」と言っても
① 観光用に無理やりド派手に飾り立てました
② 長い年月にわたり、大切に使って使って使いぬいたら、自然にクラシックカーになりました
の2種に分けられるのである。
もちろん今井君が好きなのは②のタイプ。高級ホテル前にズラリと並んだ①タイプは、何となくあくどい感じがして、カメラを向けるのにもタメライを感じる。
赤やピンクの水玉模様とか、ハートを水玉ふうにズラッと並べたクルマの周囲で、観光客がキャーキャー大騒ぎしている光景を眺めつつ、少し寂しい気持ちになった。
「きっとキューバも、古き良き日は去りつつあるんだな」
「テーマパークなみの騒がしい街に変わっていくんだな」
「渋すぎるぐらい渋いハバナを満喫できるのは、あと数年かな」
であって、渋さ&厳しさが好きな諸君、今すぐキューバに急ぎたまえ。ハバナの旧市街は、急激にキャピキャピ系に変化しつつある。
おお、「キャピキャピ♡」ときたか。いやはや、そりゃまたずいぶん昭和なコトバでござるね。20世紀のはるかかなたに、懐かしい日々はどんどん遠ざかりつつある。こうしてクラシックカーを眺める今井自身、すでにクラシックサトイモと化しているのかもしれない。
1E(Cd) Mascagni & Teatro alla Scala di Milano:MASCAGNI/CAVALLERIA RUSTICANA
2E(Cd) Molajoli & Teatro alla Scala di Milano:LEONCAVALLO/I PAGLIACCI
3E(Cd) Solti & Chicago:HÄNDEL/MESSIAH 1/2
4E(Cd) Solti & Chicago:HÄNDEL/MESSIAH 2/2
5E(Cd) Bonynge:OFFENBACH/LES CONTES D’HOFFMANN 1/2
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