Sat 170520 いよいよ仕事が本格化/和歌山で長文の難問/ハモと赤足海老が旨い | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Sat 170520 いよいよ仕事が本格化/和歌山で長文の難問/ハモと赤足海老が旨い

 いよいよ怒濤のような仕事の日々が始まる。カレンダーに書き込んだ予定を眺めてみるに、ここから8月10日ぐらいまで、休日らしい休日はほとんどない。

 休みのように見える日でも、出張先への移動だったり、出張からの帰路だったり、吉祥寺で授業収録だったり、いやはや目まぐるしいことにおいて、今井君ほど目まぐるしい存在は、この世の中にそんなにいないんじゃないか。マイレージ・マイライフ、そういう日々が始まった。

 だからこそ、その前にたっぷり遊んでおいた。キューバ、メキシコ、ホントに楽しゅーございました。喜多方、京都、地味に楽しゅーございました。

 次の旅は、8月中旬からのノルウェーだ。フィヨルドを探険してくる予定であるが、そこまではまさにノンストップで仕事&仕事の毎日。もちろんそういう日々にも、旅を凌駕する充実感が溢れているから、しばらくはギュッと仕事に集中しようと考える。

 もちろん諸君、そこは虎視眈々と息抜きを狙う今井クマ蔵のことだ。ブログを読みながら「何だ、今日も公開授業か」と思っていると、油断もスキもないのである。

「ありゃりゃ、クマが温泉につかってるぞ」
「ありゃりゃ、サトイモがお祭りに参加してるぞ」
「ありゃりゃ、京都のお寺でアジサイを眺めてるぞ」
その類いの驚きも、随所に顔をのぞかせるはずだ。
のぼり旗
(和歌山に今井君のノボリが。元気にハタハタはためいていた)

 ま、とにかく8月中旬まで、そういう「ギュッと仕事な日々」の連続だ。6月9日、和歌山での公開授業が、その幕開けになった。和歌山には、13年前の夏、今井の東進移籍の直後から、公開授業で繰り返し繰り返しお邪魔している。

 月日の経過はマコトに恐ろしいので、13年前の生徒諸君は、もう30歳を超えている。今井君自身も、ビックリするほど若かった。「ほとんどの生徒が智弁和歌山高校に通っています」。あの時、塾長の自信ありげなヒトコトに感激したものだった。

 智弁和歌山は、甲子園でも超強豪だが、難関大学合格者数でも有名。和歌山では押しも押されもしないトップ校である。東進移籍前の佐々木ゼミ(仮名)では、なかなか考えられなかった優秀な生徒集団が目の前で盛り上がっていた。

 12年半も東進で仕事をするうちに、「優秀な生徒集団」にはすっかり慣れっこになってしまった。福岡でも札幌でも、関東でも関西でも、地元の誇りであるような名門校に通う生徒諸君がビッシリ会場を埋め尽くす。
和歌山
(和歌山の生徒諸君。今夜も熱く燃え上がった)

 もちろんワタクシは優秀な生徒も大好きだが、「あまり優秀じゃありません」「ボクはダメなヤツです」「ワタシは勉強が苦手です」という諸君も負けず劣らず大好き。何かのハズミで自信をなくした生徒に、幼い頃の自信を復活させることこそ、一番大事な仕事だと考えている。

 しかし今年もまた和歌山の参加者は優秀であるらしい。校舎を担当する先生方も、そのことについては自信たっぷりである。出席者120名のうち、高1が30%、高2が65%。中3生や保護者の姿も見えるが、用意された教材は、何と「大阪大学の長文読解問題」であった。

 今井君としては、「少し無理し過ぎなんじゃあーりませんか?」と思ったのだ。だって6月の高1生ということは、ホンの3ヶ月前まで、高校入試の英語で四苦八苦していた諸君である。

 高校入試の英語、ちょっと思い出してくれたまえ。英語の読解問題なのに、登場人物はミカとゴロー。バス停でバッタリ会ったミカとゴローが、いきなり英語で「Hi, hello!!」「Good morning!!」と挨拶しあう、あの不思議な世界だ。

 そんなのを3ヶ月前までやってた生徒諸君に、いきなり大阪大学の長文問題。扱うテーマは「自然保護における不介入の原則」「最上位の捕食者が必須であることについて」。いやはや、こりゃたいへんだ。

 しかし和歌山の若い先生方は「どうしてもお願いします」とおっしゃる。
「1日でも1時間でも、早くホンキにならなきゃいけないということを、生徒全員に認識してほしい」
「むしろ生徒が難しさにビックリ、自分の力不足に愕然とするぐらいが望ましい」
なるほど、そういう趣旨なら、この教材はまさにピッタリだ。
サザンなんば
(南海和歌山市駅。22時22分発の「サザン」が、難波ゆき最終の特急である)

 ただ、ここにたった1つ問題が存在する。今井君が解説すれば、どんな教材でも驚くほど理解しやすくなって、「あれれ、全部わかっちゃったぞ」という結果になってしまうのだ。

 せっかく「難しさにビックリ」「力不足に愕然」を狙ったのに、「難なく理解できた」という結果になっては、狙いがはずれちゃうじゃないか。こりゃ困った。愕然とさせることが目標なのに、今井君の解説で「何だ、カンタンだ」「よゆー♡」と安堵感が広まったらたいへんだ。

 ま、ジレンマである。分かりやすい、意地でも分からせる、「分からない」とは言わせない、それが今井の身上であり信条であるのだが、会の目的は「分からない」「難しい」「こりゃたいへんだ」と言わせることにある。

 たいへん難しい仕事を依頼されたものだが、しかしそこはそれ、さすがにウルトラ♡ベテランのサトイモだ。大爆笑も随所に配置しつつ、「100%理解できた」「よーく分かった」「しかしやっぱり、今すぐホンキで勉強を始めなきゃ」と、ほぼカンペキな反応を得たのである。
はも
(和歌山「笹寿司」のハモ湯引き。おいしゅーございました)

 何故「ほぼカンペキ」☞「ほぼ」がついているのかと言えば、教室の状況が「ギュー詰め&机ナシ」だったからである。ギュー詰めは、かまわない。というか、むしろギュー詰めのほうがグワングワン盛り上がるし、熱い一体感も生まれやすい。

 しかしさすがにこの難問の教材で「机ナシ」はキツいだろう。学力や集中力をギュッと短期間で成長させるには、「メモを取りまくる」のがベスト。授業冒頭で「腱鞘炎になるぐらいメモを取りまくりたまえ」と指示したけれども、生徒はA4版の板を渡されて、その上でメモをとるのである。

 うーん、この状況で100分の長文読解はキツい。30分も経過すると、腰と足と首がダルくなり、60分経過するとダルさはますますつのって、眠気や倦怠はゼロにしても、後半戦はダルさや痛みとの戦いになってしまう。そのことが「ほぼ完璧」の「ほぼ」の理由である。
赤足えび
(和歌山名産「赤足海老」。刺身でも塩焼きでも旨い)

 終了後、お馴染みの「笹寿司」で大成功の祝賀会。東進移籍以来12年半、このお寿司屋さんはもう何度も訪れた。お店の人たちとも、もうすっかり顔なじみである。ハモの湯引き、おいしゅーございました。和歌山名物「赤足海老」、塩焼きもお刺身もおいしゅーございました。

 海老を口に入れて、今井君独特の「ワシワシ」をやっていると、店の大将が満面の笑みで「どうですか?」「ご感想を」とおっしゃる。むしろ正直に言えば「どうだ!!」「圧倒的に旨いだろ」「降参だろ?」「こんなうまい海老、食べたことないだろ?」という表情である。

「よーく咀嚼して、嚥下してから感想を言いますから」と、今井クマ蔵は大将にマッタをかけた。ワタクシはグルメ番組のバカバカしさが大キライ。口に入れた瞬間、咀嚼もせずにギョロ目を剥いて「うん、甘い!!」と絶叫する。ああいう軽薄さは、食料に対しても、料理人に対しても、無礼きわまりないと思うのだ。

「旨い」でも「甘い」でも「とろけちゃうー♡」でも何でもいいが、せめて口に入れてから10秒、しっかりと咀嚼して、鼻から抜ける風味の余韻も味わって、それからゆっくりと、まるで驚きのあまりの嘆息のように、「おいしいですね」と、抑えようのない小さな呟きが漏れる。

 それがホントじゃないか。それがエチケットであり、タレントの演技力じゃないか。口に入れた瞬間、融けた金属でも飲んじゃったみたいなギョロ目を剥いてビックリするのは、演技者として余りにシロート。もっと修業を積むべきだし、番組の作り手も同様、「騒がしけりゃいい」という話しではないはずだ。

 そういうことを、ゆっくり分かりやすく丁寧に話したら、大将はものすごく嬉しそうに納得してくれたし、カウンターの隣の席にいた初対面のオジサマたちも、思わず話に加わってきてくれた。「そうですね」「そうですね」とおっしゃるのである。

 で、その赤足海老が旨かったかどうかであるが、ウソでも何でもなく、夢のように旨かった。今井君が「旨い」と言う時には、決してギョロ目にはならない。旨さの表現は、もっと遥かに穏やかであって然るべきである。

1E(Cd) Alban Berg:SCHUBERT/STRING QUARTETS 12 & 15
2E(Cd) Richter & Borodin Quartet:SCHUBERT/”TROUT” “WANDERER”
3E(Cd) Menuhin:SCHUBERT/SYMPHONY No.1 & No.4
6D(DMv) BARBAROSSA
total m104 y964 d20922