Sun 170507 トレンディとコロナの関係/予備校ドラマ(キューバ&メキシコ探険記14) | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Sun 170507 トレンディとコロナの関係/予備校ドラマ(キューバ&メキシコ探険記14)

 何だかこのところ、3日も4日も続けて力作が続き、16世紀の詳細な年表まで入った力作がこんなに続いたんじゃ、読まされる方もさぞかしたいへんだろう。「スミマセン」もいいところである。

 ホントなら諸君、「イェーイ、○○先生と飲んできたぜ」「六本木サイコー、うっぽっぽ」の類いを読みたいんじゃないか。そのあたりは「うすうす」どころかイヤというほど承知していながら、あえて意地悪を続けている。ホントにすんません。

 しかしまあ諸君だって、「うっぽっぽ」や「イェーイ」や「チョーすげんじゃね?」みたいな世界に飽き飽きして、あえてサトイモおじさんのブログなんかをクリックしているんだ。モロッコ・キューバ・メキシコ、そのへんの旅行記が延々と続いても、それに付き合う忍耐力はあるはずだ。

 しかし、覚悟したまえ。このあとも、「ノルウェー」「フィヨルド」「ポーランド」が続く。クラクフだのワルシャワだの、普通のオニーチャン&オネーチャンなら「おかしくね?」「それってどこ?」「知るかよ?」な世界。読者諸君、ワタクシの偏屈にどこまで耐えられるだろうか。

 だって、せっかくの真夏の快晴 ☞ かんかん照りなのに、現在のサトイモ計画では「オスロ」なのだ。甲子園大会が終わり、清宮フィーバーが終わりを告げる頃、ボクチンはおそらく「ムンクの叫び」の舞台に立っている。偏屈ここに極まれり。「いやはや」もいいところである。
コロナ
(メキシコ・トゥルム遺跡でコロナビールを満喫。トレンディドラマの思ひ出がブワーッとよみがえった)

 4月14日、メキシコ・カンクンから南へ130km、16世紀スペイン人が初めて目にしたマヤ文明の遺跡トゥルムをワタクシは散策していた。大っきなトカゲさんが組んず解れつ、水着のオバサマやオジサマが大歓声をあげる中、常夏の太陽に焼かれてTシャツをしぼるほどの大汗をかいた。

 大汗のレベルは、甲子園の9回を投げぬいた鉄腕ピッチャーなみ。いや、あの炎暑のスタンドで2時間、ホルンやトロンボーンを吹き鳴らしつづけた吹奏楽部の部員並み。ウチワを打ちふりながら大合唱を続けたOBのオジサンたちに勝るとも劣らない。

 こうなれば、誰が何と言っても「コマメな水分補給」である。甲子園なら「カチワリ氷」も売りにくるだろうし、「ビール、いかがっすかー?」もナンボでもやってくる。ところがここはメキシコだ。「いかがっすかー?」は影も形も見当たらない。

 というわけで、肉体からほとんどの水分が蒸発。今井君は危機一髪。「乾燥サトイモ」「乾燥クマ肉」などという奇妙奇天烈ものが、メキシコの海岸で売りに出される寸前だった。

 だから諸君、ここで緊急に必要なのは、「乾燥サトイモを冷水につけて、水で戻す」という地道な作業。その仕事には、アブクの立つ黄金色の水分が必須要素である。
バス
(トゥルム遺跡、バス停と遺跡を結ぶシャトルバス。うぉ、こりゃなかなかワイルドである)

 遺跡を出て徒歩10分。懸命な探索の結果、遺跡に付属した粗末な食堂を発見した。「学食に毛が生えたような」と言うか、むしろ「学食から毛を抜き去った」という雰囲気の、マコトに閑散とした食堂である。

 しかしとにかくそんなことはどうでもいい、乾燥イモを水で戻さないと、この独特のネバリもヌメヌメもなくなって、砕けてこなごなのポテトチップスみたいになっちゃう。

 ころころ転げ回る必死の勢いで、注文したのは「コロナビール」。1本目は30秒で飲み干し、店員さんがその場に立ち尽くして見とれている状況で「もう1本!!」と叫んだ。胃袋のあたりからどんどん水分が染み込んで、「助かった!!」と快哉を叫んだ。
タコス
(トゥルム遺跡の食堂にて。タコスもたいへんワイルドだ)

 若い諸君は知らないだろうが、1980年代から90年代初期にかけては、このコロナビールがたいへんオシャレな存在として、日本のテレビドラマの世界に君臨したのである。

 トレンディドラマの隆盛は、1980年代前半。90年代が近づくにつれてそろそろ「篠ひろ子」「金妻」の時代は過ぎ、トレンディドラマの中心にいたのは、男子なら陣内孝則・石田純一・柳葉敏郎・布施博・三上博史。おお、ヒロシはまだ流行中。他に風間トオル・前田耕陽・吉田栄作・加勢大周。記憶をたどればキリがない。

 女子はもちろん誰が何と言ったって「W浅野」であって、早稲田大学が大好きな今井君は「Wなら何でもいい」というぐらいの早稲田ファンであるが、さすがにW浅野ばかりのトレンディドラマには辟易していた。いやはや諸君、「ゆう子」に「温子」であるよ。あまりに昭和すぎないかい?

 他の女子は、かとうかずこ・鈴木保奈美・仙道敦子。渡辺満里奈・中山美穂・深津絵里。うにゃにゃ、やっぱり若い諸君にとってはまさしくママ世代なのかもしれない。

「君の瞳をタイホする」「君の瞳に恋してる」「世界で一番君が好き」、タイトルもやたら「きみ」「キミ」「君」のオンパレードかと思えば、「ハートに火をつけて」「抱きしめたい!」と、ボワッと夜空に火がつきそうだ。「空に火がつく通天閣」の世界。杏里に門あさ美、バックの音楽もマコトにトレンディな世界だった。

 そういうトレンディドラマの中で、Wな浅野を中心に「ブラウン管」というたいへん古風なものを飾っていたのがコロナビール。日本中の中途半端な若者たちが、当時流行した「カフェバー」でコロナを注文、瓶の口を塞ぐライムに四苦八苦しながらラッパ飲みに励んだ。
コロナ3本
(あっという間にコロナを3本飲み干した)

 TBS系の「ブギ・シリーズ」も流行。「ママハハ・ブギ」「ADブギ」。「ハイティーンブギ」は「たのきん」の曲であるが、予備校の講師室で話題になったのは何と言っても「予備校ブギ」。的場浩司・織田裕二・緒方直人の受験生3人組に、マドンナ役で田中美佐子どんが絡み、どこの予備校の先生方もドラマに夢中だった。

 当時は予備校バブルを反映してドラマでもマンガでも映画でも「予備校もの」が大流行。原秀則「冬物語」に、江川達也「東京大学物語」、30年前の3大予備校をもじった「駿河合ゼミナール」なんてのも登場した。

 メキシコの遺跡でコロナビールを痛飲しながら、今井君の頭をよぎったのは以上のような記憶の赤い激流である。もっとも今日の話は、16世紀もカルロスもスレイマンも宮沢賢治も登場しないから、誰にとってもマコトに分かりやすい話なんじゃあーりませんか?

 コロナ3本を飲み干して、メキシコの今井君もすっかりトレンディ俳優並みにクールダウン。注文しておいたタコスがこの段階で運ばれてきて、すっかり水分補給の済んだ乾燥サトイモ君は、早速タコスでの栄養補給に進んだのである。
ADO
(カンクンに帰還。連日お世話になったADO社のバスターミナルとも、これでしばしのお別れである)

 こうして諸君、トゥルム遺跡の探険も終わった。昨日がチチェンイツァ、今日がトゥルム、明日がイスラ・ムヘーレス。とても普段の今井君とは思えない勤勉さであって、こりゃ諸君、「サトイモ変じてキウィとなる」という真夏の珍事と言っていい。

 帰りのバスは、途中で「プラジャ・デル・カルメン」に立ち寄る。「コスメル島」への中継地点として急速に発展した町である。うーん、コスメル島、ワタクシも近いうちに是非一度訪ねてみたい。

 コスメル島の周辺の海は、世界でも有数の透明度を誇る。普段でも透明度30メートル。状況がよければ透明度60メートルにも達すると言うのだ。日本の誇る支笏湖、「湖の底に森林が広がる!!」という絶叫の対象である支笏湖でさえ、その透明度は20メートル。コスメルの60メートルは、まさに驚異的なのである。

「透明度なんか、大したことないだろ」とうそぶく諸君、諸君にはどうしても明日・明後日・明明後日にワタクシが掲載する「イスラ・ムヘーレス」の水の色を見ていただかなくてはならない。

 人間が1万年にわたって理想と考えてきた、「抽象的」と言っていい海の色がそこにある。コスメルの海は、そのイスラ・ムヘーレスよりもさらに圧倒的に美しいらしい。そんな海を見ないでいていいのか。ワタクシは、自分の限りない怠惰を、つくづく痛感するのである。

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