Tue 170502 トゥルムの遺跡へ/Xの氾濫/イルカの苦闘(キューバ&メキシコ探険記12) | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Tue 170502 トゥルムの遺跡へ/Xの氾濫/イルカの苦闘(キューバ&メキシコ探険記12)

 メキシコ滞在もすでに3日目、今日もまた朝からカッカ♡美しすぎる快晴の1日であるが、ワタクシは「トゥルムの遺跡」を訪問してこようと考える。

 何しろ、滞在初日の「ビーチ満喫」がいけなかった。肩も腕も背中も、メキシコの強烈なオヒサマに完全に焼き尽くされてしまった。ピーリピリの、ビーリビリ。シャワーを浴びると「電気が走る」というレベルの痛みに苛まれる。

 子供の頃の海水浴でも、翌日には確かに皮膚が痛いことは痛かったが、お湯を浴びるたびに電気が走るなんてことはなかった。さすがに雪国♡秋田の子供時代、オヒサマの紫外線もマコトに優しかったのである。

 一方のカンクンは、メキシコ。カリブ海に突き出たユカタン半島の紫外線は、人間にもクマにもサトイモにも、全く「容赦」ということをしてくれない。水のシャワーでさえこんなに痛いのだ。

 万が一「湯舟に入る」「バスタブに飛び込む」なんてことをしてみたまえ。皮膚への衝撃は、「うぎゃー♨」という絶叫を招きかねない。チチェンイツァの土産物屋が懸命に売り込んでいた「ジャガーの笛」なんてのは、まだ生易しいのだ。「うぎゃぎゃぎゃー」もいいところである。
トゥルム1
(メキシコ、トゥルムの遺跡。沖縄のグスクと雰囲気がそっくりだ。詳細は明日または明後日)

 それでもメキシコの今井君は、朝食だけは欠かさない。パパイヤにメロン、もちろんオレンジにイチゴにキウィ、キューバに入ってからはこれに「マンゴー」「グアバ」まで加わって、朝食はますますトロピカル、徹底的にトロピカルであって、お皿いっぱいのフルーツを3回も4回もオカワリすれば、ポンポンの中からどんどん健康になっていく。

 ただし諸君、トゥルム行きのバスもまた、昨日に負けず劣らず早い時間の出発だ。朝食は早々に切り上げて、ホテル前から路線バスに乗り込み、相変わらずの激烈なメキシコ音楽に耐えながら、セントロのADOバスターミナルに向かった。

 トゥルム行きのバスは、1時間に3本も4本も出ている。「山手線なみ」とは言わないまでも、昭和の高崎線や東北本線なみの頻繁な運行である。「武蔵野線」という形容もピッタリ。若い諸君は知らないだろうが、昭和の末まで、以上3路線はせいぜい20分に1本、40分も電車が来ない時間帯もあった。
朝食
(今日も今日とて、フルーツたっぷりの朝食を満喫する)

 チチェンイツァへのバスが1日たった1本なのに、何でカンクン ☞ トゥルム路線ばかりこんなにたくさん走っているのか、まあ乗ってみなければ納得がいかない。

 昨日のバジャドリードみたいな、荒れ果てた荒野を走るのではないのだ。バスが疾走するのは、「ホントにここはメキシコですか?」と目を丸くするほど、しっかり整備された高速道である。

 トゥルムまで2時間、すげー大規模なテーマパークが4つも5つもワラワラ連なり、テーマパークとテーマパークのスキマに、いかにもプレー代が高そうな高級ゴルフ場がナンボでもはまり込んでいる。

 テーマパークを経営&運営しているのは、どうやら同じ1つの企業体のようである。キーは「X」の文字。さまざまなテーマパークの名称が、「X」で始まるネーミングで統一されている。

 最初にバスが停車するのが「Xplor」。発音がエクスプロールなんだから分かるだろうが、ここはいかにも小学生男子がハシャぎそうなアドベンチャーパーク。ジャングルに覆われた洞窟を中心に、いろんな水のアクティビティが楽しめるんだそうな。

 そのお隣には「Xcaret」と言ふパークもある。「おやおや、エスカレートかいな」と思ったが、ガイドブックには「シカレ」となっている。イルカと遊べる海洋公園である。

「ドルフィンズ・スイム」「ドルフィンズ・エデュケーショナル」、要するにイルカさんに触ったり、触られたり、イルカさんとチューしたり、そういう海のテーマパークである。
トゥルム2
(メキシコ・トゥルム遺跡「大宮殿」。詳細は明日または明後日)

 その種のテーマパークに、バスは1つ1つキチンと停車していく。つまりこの路線は、トゥルムの遺跡を目的にした観光客のためというより、夏休みの元気な小学生をイルカの群れの真ん中にドボンとやるための路線なのだ。

「Xplor」に「Xcaret」、2つの「X」でバスはほとんどカラッポになっちゃった。もう1つ、バスは停車しなかったが「Xel-Há」というのもある。これも「エクセル … ハーッ!!」かと思ったのだが、ガイドブックには地味に「シェルハ」とある。

 ここもまたテーマパーク。イルカとチューする「ドルフィンズ・インテラックス」、イルカに足を押してもらう「ドルフィンズ・プリマックス」、水の中でイルカと触れ合う「ドルフィンズ・トレック」、ありとあらゆる工夫を凝らして、夏のコドモたちを誘っている。

 というか、これじゃイルカさんたちが忙しすぎないか。ワタクシはむしろイルカが可哀そうなほどだ。イルカというものは、ちらちら雪の舞う春先の駅のホームに寂しげに立ち尽くし、「いま、春が来てキミは、キレイになったぁー♡」と絶唱しているべきなんじゃないか。

 こういうふうで、昭和と21世紀のハザマないしスキマで苦しみながら、いま昼が来てサトイモはトゥルムに着いた。カンクンから2時間、またまたたくさんの土産物屋が立ち並び、「ウンギャギャギャー!!」「ワギャギャグエー!!」のジャガーの笛がどこまでもついてくる。
トゥルム3
(トゥルム「カスティージョ」。詳細は明日または明後日)

 侘しい茅葺き小屋のようなバスターミナルから、トゥルムの遺跡まで徒歩で10分ほど。諸君、たった10分ぐらい、せっせと歩きたまえ。

 高田馬場駅から早稲田大学まで、徒歩15分。本郷三丁目駅から東京大学の赤門まで、やっぱり徒歩15分。甘えて「学バス」なんてのに乗ってちゃイカンのだ。

 ましてや今のワタクシは、勉強中でも労働中でもない。苦行でも難行でもない。単なる暢気な物見遊山だ。

「Xplor」「Xel-Há」のイルカちゃんやドルフィンどんが、世界中のコドモたちを相手に労働に励んでいる時、たった10分か15分の道のりを「バス」だの「チキトレイン」だの、そんな甘えた行動をとることはできない。

 というか、バカバカしいじゃないか。10分で噴き出る汗が1リットルのペットボトルから溢れるほどの炎天下と言ったって、10分の道のりをチキトレインに乗っかって、それで50ペソも60ペソも払うなんて、そこまでサイフの紐を緩めてどうすんだ?

 しかも諸君、実際に歩いてみたら、徹底的に日陰を選んでクネクネしたにも関わらず、10分どころかせいぜいで6〜7分だ。日本のガイドブックは「歩くことも可能」という表現になっているが、これは絶対に書き直すべきだ。
トゥルム4
(トゥルムのカスティージョとカリブ海。ふと沖縄の古宇利島を思い出す)

 チケット売り場は2つに分かれていて、現金は人間が担当し、クレジットカードは機械がサバく。ホンの10年前までは、欧米でも決して日本国内なみに機械を信用することはできなかったが、今や中南米やモロッコやシチリアでも、機械の信用度は格段に高くなった。

 パリの地下鉄で、コーラの自動販売機を蹴り上げているフランス男を目撃したのは、たった12年前のことである。
「機械がオカネを飲み込んじゃった」
「クレジットカードが戻ってこないよ」
その種の例文が、「旅行フランス語会話集」や「旅するイタリア語」みたいな本には必ず掲載されていた。懐かしい時代である。

 ましてここはメキシコだ。機械の故障、クレジットカードのフンサイ、「あれれ、カードがシュレッダーみたいに切り刻まれちゃった」、そういう悲劇は後を絶たないと思っていた。しかし諸君、今やメキシコでも、機械のほうが人間より圧倒的にスピーディーなのだ。

 現金を扱う対人窓口は、「いやはや、いつになったら遺跡に入れるの?」という長蛇の列。一方のカード機械は、マコトにテンポよく人々を捌いてくれる。かく言う今井君も、ホンの5分でチケットを手に入れたのである(明日はいよいよ遺跡に入ります)。

1E(Cd) Jandó:MOZART/COMPLETE PIANO CONCERTOS vol.11
2E(Cd) Eschenbach:MOZART/DIE KLAVIERSONATEN 1/5
3E(Cd) Eschenbach:MOZART/DIE KLAVIERSONATEN 2/5
4E(Cd) Eschenbach:MOZART/DIE KLAVIERSONATEN 3/5
5E(Cd) Eschenbach:MOZART/DIE KLAVIERSONATEN 4/5
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