Fri 170428 悪い子いけない子/RIU/焼けたサトイモ(キューバ&メキシコ探険記8) | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Fri 170428 悪い子いけない子/RIU/焼けたサトイモ(キューバ&メキシコ探険記8)

 むかしむかしテレビの世界で「良い子 悪い子 普通の子」という3つのカテゴリーが花咲いたことがあった。1981年、フジテレビのバラエティ「欽ドン!」である。

 若い諸君のために正式名称を確認すれば、「欽ちゃんのドンとやってみよう!」。70年代から約20年間、テレビで不動の人気を誇った番組である。諸君のパパとママは、そういう番組を見て大きくなった。

 良い子の名は「ヨシオ」、悪い子の名は「ワルオ」、普通の子の名は「フツオ」。それぞれ山口良一・西山浩司・長江健次が演じた。あれから30年以上が経過、今や白髪のコメンテーターとして、雛壇のご意見番を演じていらっしゃる。

 人気沸騰の頃は「イモ欽トリオ」というユニットも結成。当時押しも押されもしない大スター「たのきんトリオ」に迫る勢いになった。デビュー曲「ハイスクールララバイ」は、細野晴臣作曲・松本隆作詞。80年代のこの2人の地位を考えれば、まさに破格の扱いであった。

 話が「ハイスクール」ということになれば、東進ハイスクール講師であるこのワタクシも、やっぱりヒトコト言っておかなければならない。サトイモ入道のカテゴリーは、「良い子」でもなく「普通の子」でもないのは明らか。じゃ、あたしゃ「悪い子」なんだろうか。
カリブ海
(ホテル最上階から眺める真昼のカリブ海。これで「ドボン」をやりたくなかったら、「悪い子」とは呼んでもらえない)

 男子として、「悪い子」に分類されるのは、まあ嬉しくないこともない。「良い子」と言われるのは、もちろん栄誉でもあるだろうが、同時に屈辱とも言える。近くにいても決して傷つくことのない「良い人」、先生のお気に入りの「良い子」、どうもあんまり人気が出そうにない。

 その点、「悪い人」はカッコいいじゃないか。「悪い人ね♡」「悪い子ね♡」。そう呼ばれる一瞬こそ、多くの男子が一生うっとり夢見るハレのステージなんじゃあるまいか。

 それに比べて「普通の子」は、許すべからざる屈辱的な呼称だと思うのだ。間違っても彼氏に向かって「アナタは普通の人ね」などと言ってはいけないんじゃないか。「なんだ、普通のヤツだな」「あの人は普通の人ですから」。うにゃにゃ、今井君なんかは、きっと激怒を抑制できない。

 塾や予備校が、講師に関するアンケートをとる時期である。
5「素晴らしい」
4「どちらかと言えば素晴らしい」
3「普通」
2「どちらかといえば評価できない」
1「全く評価できない」
そんな5段階評価で、生徒諸君が講師の授業を採点する。

 超ベテラン♡今井サトイモ入道としては、3の「普通」が一番イヤなのである。何なんだ「普通」ってのは。そんなんだったら、むしろ「大キライ」「最低」「最悪」とか、目いっぱいダメ出ししてもらうほうがスッキリしてないか?
コイン
(メキシコ滞在24時間が経過、だんだん小銭も貯まってきた)

 ついでに諸君、もしもアンケートに答える立場(要するに生徒)であるなら、若い先生方については出来るかぎり「5」をつけてあげてくれたまえ。生徒と同様、センセというものもホメられて成長するのだ。

 サイアクと言われればホントに最悪になり、サイコーとホメられればホントに最高の教師に成長する。つまり、目の前の若いセンセを成長させるのも諸君であり、挫折させてこの道を諦めさせるのも諸君なのである。

 だからこそ、「普通」のヒトコトでセンセをガッカリさせないでくれたまえ。「授業全般」☞ フツー。「板書」☞ フツー。「説明の仕方」☞ フツー。「情熱を感じますか?」☞ フツー。「感動はありますか?」☞ フツー。そんな評価じゃ、若いセンセはいったいこれからどうすればいいんだ?

 若い頃のワタクシなんかは、むしろ「悪い子」「いけない子」の評価のほうが嬉しかった。20年も昔、爆発的大人気の「パラグラフリーディング」で一世を風靡した後、そのパラグラフリーディングが強烈&濃厚なバッシングを受けた。

「いけない子」のレッテルをビシッ&バシッと貼られたわけであるが、男子というものは、普通の子と言われるより、「いけない子」「いけない人」と呼ばれる瞬間を常に求めている。バッシングの時期も大いに楽しかった。というか、その後の成長の素晴らしい燃料になった。
フルーツ
(パパイヤにメロン、朝食は豪華である)

 目の前に海が広がっている時もそうだ。イタズラ心がムラムラッと湧き上がって、「この海で、ちょっとイタズラしていくかな」と、いけないホホエミをこらえきれない。パパやママがどんなに難しい顔をしようと、ボクがイタズラしたいんだから、やり放題やって行きたいじゃないか。

 海外で「海に入る」というのは、2011年のギリシャ・ミコノス島以来である。その後、2014年・15年のマルセイユでも、地中海に入りそうになった。2016年9月のシチリアでも、12月のシドニー・ボンダイビーチでも、海にドボンの寸前まで心が動いた。

 しかしさすがに今井君もオトナだ。「いきなりドボン」はやっぱり気が引ける。だから今回、「カリブ海にドボン」をやったのは、2011年以来の快挙になる。「悪い子」「いけない子」、6年ぶりの開花だったわけだ。

 6年前のギリシャの「いけない子」は、岩場にはりついたウニを取って食おうとして、右手中指の先端をウニどんにしたたか刺された。紫色のトゲが指先に深く食い入って、その後3ヶ月どうしても抜けなかった。いつまでも指先に紫色のトゲが見えて、どうかするたびに激痛が走った。

 そんな痛みを知らんぷりして、公開授業や授業収録に臨んだ。白状すれば、チョークやマーカーを握る右手の指は、ギリシャのウニが繰り出す毒液の痛みに、たえずビリビリ痺れていたのである。
ホットフード
(カンクンの朝食、ホットフードも旨い)

 まあ諸君、今回のカリブ海は、マコトに穏やかな砂浜である。憎っくきウニ君はおろか、アサリもハマグリもヒトデもいない。サンゴ礁が砕けてできた真っ白な砂浜に、生き物の影は皆無。これならいくらイタズラでイケナイ今井君が遊び回っても、1つの危険もないのである。

 しかし諸君、ここで最も危険なのは、オヒサマである。4月12日の今井君が「悪い子いけない子」モード全開でカリブ海のビーチをのし歩いたのは、午後1時から4時まで。「紫外線を浴びまくるつもりですか?」「紫外線にローストされる気ですか?」というトンデモナイ行動である。

 そういうイタズラの報いは、さっそく翌日から訪れる。全身がオヒサマに焼かれて、ポッポ&ピリピリ、痛くて痛くて、とてもお風呂になんか入れない。シャワーも言語道断、お湯をやめて水のシャワーにしても「こりゃタマラン」と悲鳴をあげるほどに痛い。

 悪い子やいけない子には、こうしてテキメンに天の罰が下る。ここから3日ほどは、皮膚の痛みに悲鳴をあげる日々。4日目からは、皮膚がボロボロほぼ無限に剥げ落ちる日々が続いた。

「皮膚がボロボロ」については、旅が終わる4月26日以降も続いて、結局すべてが終局を迎えたのは、5月の連休が終わる頃であった。
夕暮れ
(夕暮れのカンクン。RIUホテルが席巻している)

 オヒサマが下した罰に耐えながら、夕暮れの窓辺に立てば、カンクンを支配する「RIU」というホテルチェーンの勢力に驚く。あっちも「RIU」、こっちも「RIU」、カリブ海のビーチはRIUの大洪水で、我がインターコンチも、マリオットやウェスティンも、まさにタジタジ。RIUにあらずんば人にあらずという勢いだ。

 ワタクシは無知であるから、RIUがスペイン系のホテルチェーンとは全く知らなかった。RIUという発音からして、いかにも中国系。「柳」「龍」、いや、やっぱり「劉」だろう。「項羽と劉邦」の劉さま、劉センセ、劉老師、そういう大っきな財閥が、メキシコのカンクンを乗っ取りつつあるんだと思っていた。

 夕暮れのカンクンでは、RIUをはじめいろんなホテルで派手なショーが始まる。スピーカーのボリュームは最大に上げられ、そのボリュームでライバルホテルを威圧しちゃおうという戦術である。

 しかし幸いなことにワタクシは、真昼のオヒサマにコンガリ焼かれ、今やタヌキ色の焼きサトイモ。皮を剥かれて赤裸、因幡の白ウサギのサトイモ版である。どんなに近所のショーがうるさくても、グッスリ眠れる幸せは、イタズラをヤメない「悪い子」「イケナイ子」の特権なのであった。

1E(Cd) Solti & Chicago:BRAHMS/SYMPHONY No.3
2E(Cd) Solti & Chicago:BRAHMS/SYMPHONY No.4
3E(Cd) Menuhin:BRAHMS/SEXTET FOR STRINGS No.1 & No.2
4E(Cd) Baumann:MOZART/THE 4 HORN CONCERTOS
5E(Cd) Solti & Wiener:MOZART/GROßE MESSE
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